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マーケティングDXとは何か?基本から事例まで分かりやすく解説

マーケティングDXとは何か?基本から事例まで分かりやすく解説

スマ―トフォン端末の普及やインターネット環境の向上によって我々の生活環境には大きな変化が起こりました。企業のサービスもその提供方法がデジタルやバーチャルに置き換わり大きな変革が起きています。その変革の中心となっているのがマーケティングDXです。マーケティングDXは日常生活にも深い関連があります。本記事ではマーケティングDXについて事例と共に解説します。

マーケティングDXとは|デジタルマーケティングとの違いも解説

マーケティングDXとは|デジタルマーケティングとの違いも解説

近年DXが注目される中でマーケティングDXがさまざまな企業に導入され始めています。ここでは、「DX」「マーケティングDX」「デジタルマーケティング」という各用語の定義について整理していきましょう。

DXとは

DXとはDigital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の頭文字から取った用語です。「X」は接頭語の「Trans」を表します。DXの意訳は「デジタルによる変革」となります。語源は2004年にスウェーデンの大学教授が提唱したところから始まりました。

DXは単純にアナログからデジタルへの移行という意味ではなく、生成AIやIoTなどのデジタル技術をフルに活用して、これまでにない新たな価値を創造し市場において競合他社よりも優位に立とうという考え方です。既存の価値を超えてデジタルをべースに新しいサ—ビスやモノを創造する考えがDXの根底にあります。

マーケティングDXとは

マーケティングDXとは、マーケティング活動の中でデジタル技術やビッグデータを活用することによって業務プロセスの改革を行い、これまでにない新しい価値やサービスを提供することを意味します。マーケティングDXが目指すところは市場において競争優位性や俊敏性を追及することにあります。

マーケティングDXを通じて、これまで人の手で対応していた業務をデジタルに置き換えることによって、マーケティング活動の最適化を図ります。例えば、スーパーマーケットで買い物する際にスマートフォン向けアプリを利用してスキャンと決済ができる仕組みなどがマーケティングDXの一例として挙げられます。

デジタルマーケティングとは

デジタルマーケティングとは、デジタル技術を活用して顧客行動に変化を起こしたり顧客に対してコミュニケーションを発生させたりするマーケティング活動の全般を指します。

デジタルマーケティングが実行される媒体にはさまざまなものがあります。例えば、Web広告、SNS、スマートフォン向け公式アプリ、MAツールなど、多岐にわたります。モバイル端末の普及やインターネット環境の向上に伴い、デジタルマーケティングは企業のマーケティング活動において不可欠です。

マーケティングDXとデジタルマーケティングの違いとは

マーケティングDXとデジタルマーケティングとの違いは非常に分かりづらいかもしれません。デジタルマーケティングはデジタル技術を活用したマーケティング施策です。顧客とのコミュニケーションを通じて行動変容を促すところにデジタルマーケティングの主眼があります。

一方でマーケティングDXはデジタルマーケティングを包含する概念であり、マーケティングDXにおける一部の領域がデジタルマーケティングです。マーケティングDXは業務改革に焦点を当てているのが大きな特徴です。

マーケティングDXで起こる変革とは

マーケティングDXで起こる変革とは

マーケティングDXはどのような変革を起こすのでしょうか。ここで紹介するその変革の内容は、身の周りで既に起こっているものばかりであることに気が付くでしょう。

顧客体験の創造

マーケティングDXは、デジタル技術の活用を通じて既存の枠組みを超えたこれまでにない新たな価値を創造します。その価値はユーザーがサービスやモノを体験することによって生まれます。

具体的な例を挙げると、対面販売からオンライン販売への移行があります。これまで小売業では顧客との接点においてリアル店舗における対面接客や販売が中心でした。マーケティングDXの導入によって、顧客との接点が広がり、ECサイトやスマ―トフォン向けアプリをはじめとするデジタル環境においても販売の機会が創出されています。顧客は場所や時間を選ぶことなく商品に関する情報収集や購買ができるようになりました。

データに基づいた的確な判断ができる

マーケティングDXを推進する上で重要なツールの1つとしてBIツールがあります。BIツールはさまざまなデータを一元的に集約し売上や顧客の購買行動などを定量的に可視化する便利なツールです。BIツールを用いると、勘に頼らないデータに基づいた適切な判断ができるようになります。

ECサイトやスマ―トフォン向けアプリなど、デジタルを起点とした購買機会が増えている昨今においては、膨大なデータが日々生成されています。そうしたデータを有効に活用することで、これまで見えてこなかった顧客のインサイトや心のホットボタンを掘り起こすことが可能です。

属人化を防げる

組織の中で業務プロセスが属人化してしまうと、その担当者しか業務内容が理解できないという状況が生まれてしまいます。担当者以外が業務内容を把握できない状況は、企業として経営上のリスクとなるでしょう。

マーケティングDXによる業務プロセスのデジタル化はこうした属人化によるリスクを解消し安定した経営基盤を維持するのに役に立ちます。例えば、CRMの導入は顧客情報を一元管理し、誰がどの顧客を担当しどのような商談ステータスであるかがデータとして分かるようになっています。担当者が辞めたとしても容易に引継ぎが可能です。

マーケティングDXを成功に導く4つのポイント

マーケティングDXを成功に導く4つのポイント

マーケティングDXの導入は、一筋縄ではいかず予算や工数の検討やある種のマインドセットが求められます。ここではどのようなものが求められるのか重要な部分をピックアップし解説します。

社内全体で取り組む

マーケティングDXは、業務プロセスの部分最適ではなく業務プロセスそのものを改革していくことです。そのため、マーケティングだけではなくIT部門、会計部門、営業部門など、各部署が当事者としてマーケティングDXに取り組んでいく必要があります。このようなことから、部門担当者が経営層に対してボトムアップから提案していくのではなく、経営層からトップダウンで社内全体へ導入推進をしていくことが、マーケティングDXを成功させるためのキーといえるでしょう。

顧客の視点で考える

単純に業務プロセスをデジタル化することがマーケティングDXの目的ではありません。マーケティングDXを通じて顧客にとって意味のある新しい体験を創出することがその目的です。よく見られる例として、セルフオーダーレジやモバイルオーダーを導入したが、使い勝手が悪く顧客からのクレームを招いてしまうケースがあります。このような例ではかえって顧客離れや企業価値の低下を招いてしまうことにつながりかねません。マーケティングDXを導入する際は、常に顧客の視点を持ちながら要件定義や評価を進めていくことが重要です。

目的を明確にする

マーケティングDX自体が自己目的化してしまうと意味のないものを生み出すことになってしまいます。その例として、せっかく新しいデジタルツールを導入したけれども、現場の業務プロセスにマッチしておらず、かえって業務効率が悪くなってしまうというケースがあります。あくまでもマーケティングDXは新しい価値を創造し競争優位性を確保するための手段であることを念頭に置きましょう。競合他社の見よう見まねではなく、マーケティングDXを通じてどのような価値を生み出すのか時間をかけて検討しましょう。

自社に合ったツールを選ぶ

例えば、顧客に関するさまざまなデータを収集しパーソナライズしたメッセージを顧客に送り、顧客生涯価値を上げるためにMAツールの導入を検討しているとします。MAツールを1つ取ってもBtoC向け、BtoB向けだけではなく業界に応じたさまざまな形態のMAツールがあります。ツールを提供しているベンダーの公式サイトには企業事例が掲載されていることがほとんどです。同業他社がツールを利用しているかどうかは、自社の用途に沿っているか判断する上で指標の1つとなりますので、必ずチェックするようにしましょう。

マーケティングDXの成功事例

マーケティングDXの成功事例

ここではマーケティングDXを導入している企業事例について3つ紹介します。自分で実際に体験できるBtoCサービスとして提供されているものもありますので、ぜひ確認してください。

大日本印刷株式会社の事例

大日本印刷はデジタルとアナログ、リアルとバーチャルを掛け合わせた独自のビジネスモデルによって新しい顧客体験の創出を推進しています。その1つである「ストアDX」は、デジタルとアナログが交差する新しいショッピング体験を提供するソリューションです。

ストアDXでは、ユーザーはアプリをスマートフォン端末にインストールする必要なく「デジタルチラシ」による商品情報閲覧が可能です。一方、企業は店内における顧客行動を収集し来店頻度や行動導線、購買情報を分析しエリアマーケティングや効果測定分析ができます。どちらにとってもメリットがある施策といえるでしょう。

株式会社資生堂の事例

日本を代表する化粧品会社である資生堂は数多くのブランドを提供しているグローバル企業です。資生堂はこれまでブランド毎に分散していた顧客データを1つのIDで統合化するため、「Beauty Key」というスマートフォン向けアプリを通じた会員サービスを提供しています。

Beauty Keyでは顧客一人ひとりに合ったスキンケアに関する情報や肌分析、AI技術をベースとしたDNA検索など、パーソナライズ化したOne to Oneマーケティングの実現に成功しています。

東海東京フィナンシャル・ホールディングスの事例

同社は「東海東京デジタルNewワールド」というDX戦略を構想し、大手金融機関や学校法人などと連携しながらさまざまな新しい金融サービスのマーケティングDXを推進しています。

その1つとして地方創生に向けたFintech事業が挙げられます。電子レシートと連携したデジタルポイントの付与、デジタル商品券の導入、地域デジタル通貨を通じた企業間取引、デジタル通貨による給与の支払いなど、そのサービスは多岐にわたります。 

事例参考:DX銘柄2023(経済産業省)

マーケティングDXのためのリソース

マーケティングDXのためのリソース

マーケティングDXを学ぶためのリソースは豊富にあります。ここでは大きく3つに分けてそれぞれの手法の特徴やメリットについて解説します。

本の活用

マーケティングDXに関する本は初心者向けから専門的なものまで数多く販売されています。本を通じて学んだことが自社の業務に適用できるかどうかは、その本が同業界の著者によって執筆されたかに依存することもあります。なるべく自社と同じ業界の著者を選ぶようにしましょう。

本のよいところは気軽に隙間時間を見つけて学習できるところにあります。自分のペースで興味があるところから読み始めることもできます。その一方で、出版されてから時間が経過し情報として古いこともありますので注意するようにしましょう。

eラーニングの活用

eラーニングはインターネットを通じてPC上で学習する方法です。eラーニングを提供するサービスにアカウント登録しコンテンツを選択して学習します。有料のサイトもありますが、無料で学習コンテンツを提供しているサイトもあります。授業方式は、リアルタイムで授業を受ける方式、好きな時間に学習を進めるオンデマンド方式があります。

eラーニングのよいところは、動画コンテンツの場合、短時間で多くの情報量を受け取ることができる点にあります。特に動画ではないと理解しづらい内容はeラーニングを通じた学習がおすすめです。

Expoやセミナー

Expoやセミナーは、ツールなどのソリューションを提供しているベンダーやソリューションを活用しているクライアント企業が一同に参加し開催されるイベントです。近年では、オフラインのみならずオンラインでもイベントが開催されています。

このようなイベントの特徴は、ベンダーやクライアント企業の登壇により、ソリューションの活用を通じた効果や実績を直に聞ける点にあります。これまで知らなかった新しいマーケティングDXの活用方法や手法について触れることが期待できます。ベンダーがブースでツールをデモンストレーションしている場合は、実際の使い勝手を実感することも可能です。

マーケティングDX推進のために導入したいツール

マーケティングDX推進のために導入したいツール

ここではマーケティングDXを導入する際におすすめするツールについて3つピックアップし紹介します。マーケティングDXにおいてはどのツールも非常に重要な役割を果たしますので、ぜひ覚えておいてください。

MA

MAとは「Marketing Automation」の略でMAツールとも呼ばれます。スマートフォン向けアプリやWeb広告、ECサイトなど、顧客とのあらゆるタッチポイントから顧客行動に関するデータを収集し、そのデータに基づいて各顧客に対してさまざまなコミュニケーションを配信するためのツールです。配信する方法やEメール、スマートフォン向けアプリに配信するPush通知やSMS、アプリ内やWebサイト内バナーなどがあります。

顧客にはそれぞれ特徴がありその行動も多岐にわたるため、顧客一人ひとりに対してアナログ方式で個別にコミュニケーションを図るのは効率的ではありません。MAは顧客の属性や行動履歴に基づきパーソナライズ化したメッセージを自動的に配信します。

BIツール

BIツールのBIは「Business Intelligence」の略語です。BIツールはさまざまなデータを収集、整理、分析し、グラフとしてビジュアル化してくれるツールです。企業は日々さまざまなデータを収集しています。売上1つとっても、売上データに対して店舗や顧客属性、その日の天気など、複数の変数をかけ合わせると多様な分析ができます。データ量が膨大になってくると、このような分析を手動で行うのは時間がかかり効率的ではありません。BIツールは大規模なデータを一元的に収集し自動で分析してくれる便利なツールです。データに基づいたスピード感のある意思決定を行うには、BIツールは必須といえるでしょう。

CRM

CRMは「Customer Relationship Management」の略で、日本語で「顧客管理ツール」とも呼ばれています。CRMはその名の通り顧客情報の管理に焦点を当てたツールで、氏名、住所、役職、部署、連絡先電話番号やメールアドレスなどを一元管理します。企業と顧客との関係を維持し管理することを目指すのがCRMの目的です。

CRMは単純に顧客情報を管理するのみならず、顧客との対応履歴の照会、問い合わせ内容の管理、商談や案件の管理、請求書の発行などを行います。MAと混同しやすいですが、MAは顧客とのコミュニケーションを自動化するところに主眼を置いているのに対し、CRMは顧客との関係性維持に主眼を置いています。

まとめ

コロナ渦を通じて我々の生活は大きく変化しました。企業もそれに対応する形でマーケティングDXによる変革が求められ、新しいサービスやモノが次々と創出されています。今やフードデリバリーやセルフレジ、モバイルオーダーは当たり前の日常となっているといえるでしょう。自分が好きなブランドなど、身の回りでどのようなマーケティングDXが実現されているのか研究してみるのもよいでしょう。

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