小売業

BOPIS(ボピス)とは?基礎知識やメリット・デメリット、事例を紹介

近年、新型コロナウイルスの感染拡大などにより、「BOPIS」というシステムが注目を集めています。これは、簡単にいえば店頭受け取りを最適化したシステムで、小売業が現在のコロナ禍を生き抜いていくうえで欠かせない要素の1つです。本記事では、BOPISの基礎知識やメリット・デメリット、実際の導入事例について解説します。

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BOPIS(ボピス)とは

「BOPIS(ボピス)」とは「Buy Online, Pickup In Store」の略称で、消費者がECサイトで事前に注文・購入した商品を、店舗で受け取れるシステム・サービスのことです。これはスマートフォンやECサイトの普及に伴い、ショッピングのリアルタイム化が進んだことで誕生したシステムで、欧米では2016年ごろからすでに小売業・飲食業を中心に取り入れられていました。日本国内では聞き馴染みの薄い言葉ですが、後述する理由から、徐々に認知度が高まってきています。

Click & Collect(クリック&コレクト)との違い

BOPISと似たサービスとして、米国のスーパーマーケットチェーン「ウォルマート」が導入したことで知られる、「Click & Collect(クリック&コレクト)」があります。これはECサイトで注文した商品を自宅以外で受け取れるサービスで、自宅でなければ基本的に受け取り場所を限定していません。よって、店舗での受け取りはもちろん、宅配ボックスやコンビニエンスストアなどでの受け取りも可能です。

対してBOPISは、受け取り場所が主に店舗に限定されている点で異なります。それゆえClick & Collectの一種という見方が一般的です。

BOPISが普及している大きな理由は新型コロナウイルス対策

近年、このBOPISが国内でも浸透しつつあります。その主な理由としては、未だ収束の兆しが見えない新型コロナウイルスの影響が挙げられます。コロナ禍により、消費者の間で感染リスクの減少を望むニーズが高まったことで、なるべく対人接触を伴わないショッピングスタイルが推奨されるようになりました。その結果、決済の過程をオンラインで済ませ、対人接触の機会を減らせるBOPISに注目が集まったのです。

また、単純に「買い物時間を短縮したい」というニーズに応えられることも、理由の1つとして考えられます。

BOPISのメリット

BOPISは、事業者・消費者の双方にさまざまなメリットをもたらします。以下では、両者それぞれの観点から見たメリットを解説します。

事業者側のメリット

事業者側のメリットとしては、まず「ついで買いを促せること」が挙げられます。米国のビジネスニュースサイト「Business Insider」の調査によれば、BOPISを利用して店舗で商品を受け取った消費者のうち、実に85%が別の商品も購入しているとのことです。メインの商品以外の購入も促せることは、大きなメリットと言えるでしょう。

2つ目のメリットは、「人件費の削減」です。BOPISのシステム上で決済が終了するため、レジ業務の効率化・省人化が実現し、人件費の削減が期待できます。実際、ファストフード業界では、「いかに人件費を減らしつつ効率的なオペレーションを組むか」という観点で導入が進んでいます。

3つ目のメリットは、「物流コストの軽減」です。店舗受け取りを基本とするBOPISでは、商品の宅配を行わないため、配送網における無駄の削減が可能です。また、商品を店舗ごとに振り分けて一括で配送トラックを手配できるため、物流コストを抑えられます。

消費者側のメリット

次に消費者側のメリットを、消費者目線で説明しましょう。
まず「送料がかからないこと」が挙げられます。消費者が直接店舗に出向いて受け取る都合、そもそも宅配のプロセスが生じないため、送料の負担がありません。むしろ商品検索や事前注文、商品レビューの閲覧などは変わらず行えることから、実店舗とECサイトのいいとこ取りと言えるでしょう。とはいえ、宅配は宅配で便利な面もあるため、この点は人により一長一短とも捉えられます。

2つ目のメリットは、「購入に時間がかからないこと」です。ECサイトで購入すると、購入してから実際に商品が届くまで時間がかかります。その点、BOPISなら自宅で商品の到着を待ったり、再配達を申し込んだりすることがないため、自分の都合がよいときに店舗へ足を運ぶだけです。事前に決済を終えているためレジ待ち時間も短縮でき、スムーズに買い物を終えられるでしょう。

3つ目のメリットは、「在庫の確保ができること」です。店頭にほしい商品がなかったときでも、ECサイトで事前に購入しておくことで、入荷したタイミングで商品を取り置きしてもらえます。特に人気商品は入手困難なケースも多いため、目当ての商品を確実に押さえておけるのは大きなメリットと言えるでしょう。

BOPISによるデメリット

このように、BOPISにはさまざまなメリットがある一方で、事業者にとってはいくつかデメリットもあります。

その1つが、「業務負担の増加」です。新しいシステムを導入すれば業務効率化は図れますが、新システムにおける業務負担が増えます。具体的には、商品を受注するためのWebサイトやアプリ、電話への応対などです。すべてを効率化できるわけではないので、その点には留意する必要があるでしょう。

2つ目は、「在庫の増加」です。消費者側からすれば店頭で取り置きしてもらえるメリットがありますが、事業者側としてはリスク要因になり得ます。店舗在庫とBOPIS在庫の両方の準備が必要なため、店内スペースの圧迫や在庫リスクなどが懸念されます。

BOPISを取り入れた事例

ここからは、実際にBOPIS を取り入れた企業の成功事例を紹介します。自社に導入する際の参考にしてみてください。

「待ち時間0・非接触」のテイクアウトを実現|ケンタッキー・フライド・チキン

日本KFCホールディングスが展開する大手飲食チェーン「ケンタッキー・フライド・チキン」では、2020年10月よりBOPISを活用した「ピックアップロッカー」の試験導入が行われています。これは、来店時間を決めて商品をオンライン注文すると、店内に設置したピックアップロッカーに保管されるというシステムです。これにより待ち時間0・非接触を実現し、コロナ禍においても安定した売り上げを維持しています。

「自動土産ロッカー」で待ち時間短縮|スシロー

大手回転寿司チェーン「スシロー」では、2019年6月より順次「自動土産ロッカー」の店舗導入が行われています。これは、事前に注文しておけばスマートロッカーで商品を受け取れるシステムです。これにより、消費者は好きなタイミングで商品を受け取りに行けるようになりました。コロナ禍以前からスタートした施策ですが、店舗内での滞在時間の削減に寄与し、結果的に感染症対策として機能しています。

店舗受取の導入でリードタイムを短縮し、前年比144%|ワークマン

作業関連用品専門のフランチャイズチェーン「ワークマン」は2020年3月、店舗受け取りを重視したECサイトの開設に伴い、従来の店舗受け取りサービスを「客注通販」「店舗取置通販」として刷新しました。この背景には、それまでもネット通販利用者の67%が店舗受け取りを選択していたことに加え、宅配コスト削減により競合優位性を確保する狙いもあります。これにより店舗営業・客注通販・店舗取置通販の3軸展開が実現したことで、大幅なリードタイムの短縮に成功し、同年6月には売上高前年比144%を達成しています。

FUJITSU「Brainforce」はBOPISの導入をサポート

ここまでBOPISについて述べてきましたが、いざ実際に導入するとなると、何から手をつければよいかわからないという方も多いことでしょう。そこでおすすめなのが、FUJITSUが提供する「Brainforce」の導入です。

これは主に小売業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を後押しするソリューションで、オンライン対応のコマース機能や顧客・商品情報といったデータベースをAPIと併せて提供しています。例えば、2020年10月に開始した第一弾「Brainforce ウォークスルーチェックアウト」では、消費者が商品のバーコードをスキャンしながら買い物することで、レジに並ぶことなくそのまま決済まで行えます。

Brainforceには「業務アプリケーションをクラウドで提供」「スマートフォンアプリのテンプレートを提供」「利用量に応じた料金設定が可能」という3つの特徴があり、これによってBOPISのスムーズな導入をサポートします。BOPISの導入でお悩みの際は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

BOPISは、消費者が事前オーダーした商品を店舗で受け取れるサービスです。消費者・事業者双方にメリットがあることはもちろん、感染症対策の観点でも注目を集めているため、導入を検討する余地は大きいでしょう。BOPIS導入の際は、併せてリテール事業者のデジタルシフトに役立つ「Brainforce」の利用もおすすめです。

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