「Azure NetApp Files」はMicrosoftの提供するストレージサービスとして、注目を集めています。あらゆるシステムがクラウドに移行する昨今、Azure NetApp Filesのような便利なストレージ環境の構築は、企業のDX化を推し進めるきっかけになるでしょう。
この記事ではAzure NetApp Filesとはどんなシステムなのか、導入することでどのようなメリットがあるのかを解説します。
社内の情報管理システムの一新を検討している場合などには、参考にしてみてください。
Azure NetApp Filesとは
Azure NetApp Filesとは、企業のシステムをサポートするストレージサービスです。フルマネージドサービスとして、導入後に多くのメリットを得ることに期待できます。まずはその基本的な概要を、それぞれの言葉の意味から解説します。NetAppとは
Azure NetApp Filesとは、「NetApp」によって提供されているサービスです。NetAppとはアメリカの老舗ストレージベンダとして知られている企業で、Azure NetApp Filesをはじめとしたさまざまな製品を提供しています。
会社名と同じ名前を持つ「NetApp」ファイルサーバーが有名で、コンパクトながら大容量のデータを保護する数々の機能を搭載し、企業の情報管理をサポートしているのが特徴です。
ONTAP:NetAppのストレージOS
NetAppは、「ONTAP」と呼ばれるストレージOSを展開しています。求める機能のみを活用してストレージを管理でき、基本的なファイルシステムの他、データ保護、効率化、スケールアウト、セキュリティなど多くの機能を有しているのが特徴です。
Azure NetApp Filesの魅力を引き出すOSが、NetAppの創業以来提供され続けているので、オンプレミス・クラウドの両方で高パフォーマンスを実現できます。
NetAppによりAzureで提供されるストレージサービス
Azure NetApp Filesとは、NetAppによってMicrosoft Azureで提供されているストレージサービスです。
Azureでシームレスな提供が実現されているので、構築から監視までを含んだ包括的なサービスの利用に期待ができます。
ストレージOSのONTAPを基盤にしているため、さまざまな機能を柔軟に活用することが可能です。
信頼できるだけの環境が整っているプラットフォームからの提供になるので、安心して利用できるのが特徴です。
Azure NetApp Filesの導入メリット
Azure NetApp Filesの導入は、企業に多くのメリットをもたらします。現在データ管理等に問題を抱えている場合は、Azure NetApp Filesの利用が解決のきっかけになるかもしれません。
以下では、Azure NetApp Filesの導入におけるメリットを紹介します。
高いパフォーマンス
Azure NetApp Filesは、NetAppの長い歴史の中で培われたテクノロジーを活用して高いパフォーマンスを実現しています。
利用目的に合わせて負荷を変更でき、「Standard」「Premium」「Ultra」の3つを柔軟に設定可能です。
Standardは主に静的コンテンツや、データベースバックアップに利用されます。Premiumは、より高度なパフォーマンスが必要とされるエンタプライズアプリ分析などに活用可能です。
Ultraは遅延を許さない高度な機能を有するレベルで、ワークロードに合わせて利用できます。 これらのレベルは簡単に変更できるため、既存の環境に最適化しやすいのがメリットです。
シンプルでマネージドなストレージ管理
Azure NetApp Filesとは、シンプルな簡素化されたストレージ管理が可能な点でも魅力です。
NFSやSMBなど複数のファイルストレージプロトコルが活用でき、1つのサービスだけでまとめられるのがメリットになっています。 Azure portal、CLI、PowerShell、REST APIなど、既に慣れているコマンドラインインターフェースを使って利用可能です。
移行が必要な場合にもコーディングの必要がないので、シンプルに環境構築が行えます。単純に使いやすいストレージ管理も、Azure NetApp Filesのメリットです。
柔軟なスケーラビリティ
Azure NetApp Filesには、柔軟なスケーラビリティという特徴も備わっています。クラウドストレージだからこそ実現できる拡張性があるので、必要に応じて高度な環境を導入することが可能です。
容量と性能に合わせて課金が行われるため、逆にコストを抑えたいときにもメリットがあります。
自社のデータ管理にそれほど大規模な環境が必要ない場合にも、使いやすいシステムだと言えるでしょう。
自社の環境に合わせて、必要なスケーラビリティを調整してみることでメリットを実感できます。
万全な可用性
Azure NetApp Filesは、万全な可用性を持っている点でもメリットがあります。既定で99.99%の可能性が提供されているため、長期的なデータ保存と運用リソースが確保可能です。
将来的に使い続けられる環境を得られるので、早めの導入に大きなメリットが見出せます。 Azure NetApp Filesは、HIPAAやGDPRなど業界で推進されている認定基準に準拠しているのが特徴です。
HIPAAは、アメリカで2003年に施行された医療情報の電子化に伴うプライバシー保護やセキュリティ確保に言及した法律となっています。一方でGDPRは、EU域内の個人データを保護する一般データ保護規則で、2018年より施行されています。
これらの認定制度に準拠しているため、自社の環境を確実に移行可能です。
堅牢なセキュリティ
Azure NetApp Filesは、安心して利用できるだけの堅牢なセキュリティが備わっているのもメリットです。
主要なセキュリティ機能であるデータの暗号化(保存時のFIPS 140-2に準拠)、RBAC(ロールベースのアクセス制御)、AD認証(ユーザーやコンピュータの認証を行う仕組み)、ACLエクスポートポリシー(ネットワークをベースとしたアクセス制御のリスト)など、数々のシステムが採用されてセキュリティを高めています。
またMicrosoftはサイバーセキュリティの研究開発に年間10億USDを投資し、データセキュリティとプライバシーの専門家を3,500人抱えています。常に安全な環境を確保するためのリソースが割かれているため、その堅牢性がさらに高まることにも期待できます。
Azure NetApp FilesはISO/IECやCSA/CCmなど、数多くのセキュリティ認証を獲得しているので、客観的に安心できる環境が整っていることもうかがえます。
まとめ
Azure NetApp Filesの導入は、企業のデータ管理システムを円滑なものとし、安定したパフォーマンス運用や高いセキュリティによる安全性の確保などを実現します。多くのメリットを持つシステムの導入は、既存の問題を解決するきっかけとして作用することもあるでしょう。
スムーズに導入が可能な点も魅力なので、この機会にAzure NetApp Filesでクラウドストレージを使い始めてみてはいかがでしょうか。