ヒヤリハットはトラックの運転において思いがけないタイミングで発生します。ヒヤリハットが発生していても、実際には事故が起きてないと、改善や対策をせずに見逃しがちです。しかし、ヒヤリハットが発生したときに適切に改善や対策をしておかないと重大事故や災害につながる可能性があります。
本記事では、トラック運転手のヒヤリハット事例とその防止策を紹介します。
ヒヤリハットの防止策の重要性について分かりやすく解説していますので、日々の安全運転に役立ててください。
ヒヤリハットとは?基本的な定義とその重要性
ヒヤリハットの基本的な定義を知ることは、重大な事故につながる要因を知ることができるため非常に重要です。ヒヤリハットについて詳しく紹介しますので参考にしてください。
ヒヤリハットとは?
ヒヤリハットとは、たまたま事故や災害にはならなかったが、1つ間違えれば重大な問題になっていた現象です。
ヒヤリハットの名前の由来は、急に起きたことに「ヒヤリ」や「ハッ」とすることです。名称の通り事故や災害が起きる前の段階ですが、事故が起きてもおかしくない状況のため見逃さずに改善や対策をしましょう。
ヒヤリハットが重大な事故につながる可能性に関しては、ハインリッヒの法則がよく知られています。
ハインリッヒの法則とは、330件の事故や災害のうち、1件は重大な事故や災害、29件は軽傷、300件は傷害がない事故があり、300件のヒヤリハットが起きると事故や災害が起きるという経験則です。
30件の事故や災害の背景には300件のヒヤリハットが存在しているので、ヒヤリハットが起きた場合は事故が起きなかったと安心して放置せずに、改善や対策をすることが重要です。
ヒヤリハットが発生する原因
ヒヤリハットが発生する原因は大きく4つあります。
原因 | 発生する要因 |
---|---|
精神面 | 不注意や焦り |
教育面 | 指示出しのミス |
環境面 | 整理やルール整備の不足 |
モラル面 | 情報管理、法律違反の常態化 |
ヒヤリハットが発生する原因で運転に1番影響を与えるのは、運転手の精神面です。
疲労の蓄積や納品時間が迫るプレッシャーは、判断ミスや操作ミス、不注意の原因となるでしょう。
例えば、下記などの事例があります。
- 前を走っている車に追突しそうになり、急ブレーキをしたため荷台の荷物が崩れた
- 交差点を急いで通過した際に、車と接触しそうになりハンドルを急に切った
- 居眠り運転をしそうになり、急ブレーキをかけたため荷台の荷物が崩れた
どれもが時間にゆとりを持ち、体調を万全に備えておけば防げたヒヤリハットです。
運転手の精神面における問題は、判断ミスや操作ミスを誘発させるため、余裕のある運転が重要といえるでしょう。
運送業界での一般的なヒヤリハット例とは
ここでは、運送業界での一般的なヒヤリハット例を紹介します。運送業界は、一般より大きな車両に荷物を積載して運転するため、車両が重くなることでヒヤリハットが起きやすい環境です。ヒヤリハットの事例を知り、対策や改善に役立ててください。
運転中のヒヤリハット例
運転中のヒヤリハット例とその解決策です。運転中のヒヤリハットは不注意や納品時間への焦りなどが大きな原因です。
ヒヤリハット例 | 解決策 |
---|---|
道幅の狭い通りで逆車線のトラックと接触しそうになった。 | 安全確認を十分に行い、譲り合いの心を持って運転を行う。 |
前の車両の積荷が高く、信号が見えなかったため、黄色信号なのに交差点に侵入しそうになった。 | 車間距離を十分にとり、信号が見えやすい位置で運転を心がける。 |
車をバックしようとしたら、作業している人に気がつかず、あわてて急ブレーキをかけた。 | 車をバックさせる時は、誘導者を常に配置する。 |
荷物の固定が弱かったので、カーブを走行中に荷物が崩れかけた。 | 荷物はしっかり固定をし、出発前にロープを確認する。また、カーブは減速してゆっくり曲がる。 |
運転中のヒヤリハットは、事前に状況確認を行い、安全運転を心掛ければ未然に防げるものばかりです。あらためて、従業員に徹底することで防げる可能性が高まるでしょう。
停止時のヒヤリハット例
次は、車両が停止しているときのヒヤリハット例になります。
運転の疲れや最後の納品などで、気が抜けた際にヒヤリハットにつながりやすいでしょう。
ヒヤリハット例 | 解決策 |
---|---|
荷物をワイヤーで固定する際に足を滑らせて転落しそうになった。 | 荷崩れしないように積載する。荷物に乗るときは、安定しているか確認してから乗る。 |
コンテナにシートをかけていたら足が滑り落下しそうになった。 | 周囲と足元をよく確認し、落ち着いて作業を行う。また、同様の事象が発生する可能性があるため、メンバーに注意喚起する。 |
重い荷物をおろしているときに、荷物が足の上に乗りそうになった。 | 重い荷物はゆっくり注意して持つ。メンバーがいるなら、重い荷物は2人以上で持つ。落下の予防策として、安全靴を履いて作業する。 |
停止時は、運転中と比べて気のゆるみや不注意が発生しやすいです。時間を気にするあまり作業を急いでしまうとヒヤリハットが起きやすいので、作業は安全を確認しながら行いましょう。
事例に学ぶ|トラック運転手のヒヤリハット
本章ではトラック運転手のヒヤリハットの事例を紹介します。
ヒヤリハットの事例を学ぶことで、どこに危険があり、どのような対策をすればよいか把握できます。このような事例は、普段から従業員に周知しておくとよいでしょう。
転落のヒヤリハット事例
転落のヒヤリハット事例です。
運転中ではないので、気がゆるみヒヤリハットが発生しやすいため参考にしてください。
テールゲートリフターから転落しそうになった
テールゲートリフターとは、トラック後部に装着する荷物積み降ろし用の昇降装置です。
トラックの荷台での作業を終えて、テールゲートリフターに足を載せて降りるときに段差に気付かず体勢を崩し、地面に落ちそうになりました。
<要因>
作業者:トラック運転手
環境:トラックのテールゲートリフター
要因は、トラックのテールゲートリフターの操作が中途半端で、全て上がり切っていなかったためです。
そのため、テールゲートリフターとトラックの荷台に段差が発生していました。
<対策>
対策は、リフトの昇降について最後まで確認の徹底をすることと、荷台から降りる際には昇降設備を使用することです。
昇降設備を使わずに荷台から降りるケースは、事故につながる可能性が高まります。従業員がどのように荷台から降りているか確認してください。
トラックの荷台で足が滑り転倒しそうになった
トラックの荷台で転倒しそうになった事例です。雨の日の翌日、トラックの荷台にかかっていたシートをどける際に滑って転倒し、さらに荷台から転落しそうになっています。作業者は安全帯を装着していたため、転倒はしたものの転落はせずに済みました。
<要因>
作業者:トラック運転手
環境:トラック荷台上
要因は、足元の注意不足と雨で濡れた鋼材は滑りやすいことの認識不足です。
不幸中の幸いですが、安全帯を着用していたので転落はしませんでした。
<対策>
対策は、天候によって足場の環境が悪くなることを認識して作業を行うことです。今回の事例では安全帯の着用をしていたので、トラックから転落はしませんでした。
荷台からの転落防止のため、安全帯の着用をした方がよいと分かる事例です。
積み込み作業中に崩れかけた積荷を支えたため、転落しそうになった
崩れかけた積荷を無理に支えようとしたため、転落しそうになった事例です。トラックのウィングを開け荷物の積込み作業中に発生しました。
ウィングとは、トラックのアルミパネルで囲われた荷台部分の側面です。作業中に、崩れ落ちそうになった荷物を支えようとして、荷台から転落しそうになりました。
<要因>
作業者:トラック運転手
環境:トラックの荷台(ウィング開口時)
要因は、荷物の積み込み作業で十分な荷崩れ防止措置をとっていなかったためです。
<対策>
対策は、荷物が偏らないように平均して積み上げることです。
崩れやすい荷物は、ロープの活用で荷崩れ防止の措置をし、作業時には保護帽の着用をしましょう。
転倒のヒヤリハット事例
ここでは、転倒のヒヤリハット事例について紹介します。
転倒は誰にでも起きやすい事例となりますので参考にしてください。
積み込み作業中、足元の空箱でつまづき転倒しそうになった
パンの積み込み作業中に転倒しそうになった事例です。両手で大きなトレーを持っているため足元は見にくい状況で、放置されていたトレーにつまづき転倒しそうになりました。
<要因>
作業者:運搬者
環境:商品の積み込み時
要因は、幅が広いトレーなので足元が見えにくかったことと、作業通路に空のトレーが放置されていたことです。
<対策>
対策は、作業通路に物を放置しないことです。たとえ作業に必要な物であっても、通路に放置するのはやめましょう。
作業開始前には、作業通路の安全確認を行います。
トレーを複数段に重ねて運搬する場合には、前方の視界を確保できる段数以下にしましょう。
トラックの荷台から飛び降りた際に、車止めブロックにつまづき転倒しそうになった
トラックの荷台から急いで降りたため、転倒しそうになった事例です。トラックの荷降ろし作業が終了したので、トラック荷台から飛び降りたら、車止めブロックにつまずき転倒しそうになりました。
<要因>
作業者:運搬者
環境:トラック荷台
要因は、トラックの荷台から飛び降りたためでした。
また、飛び降り先の足場をよく確認していなかったことも要因の1つです。
<対策>
対策は、トラックの荷台から飛び降りないことです。荷台から降りるときは、手すりをもちゆっくり降りてください。急ぎの作業では飛び降りてしまいがちなので、時間にゆとりを持つことが大切です。
激突のヒヤリハット事例
ここでは、激突のヒヤリハット事例を紹介します。
激突のヒヤリハットは大きな事故や災害に直結する可能性がありますので、参考にしてください。
後退時に人を轢きそうになった
車をバック時に人を轢きそうになった恐ろしい事例です。ダンプトラックで土の運搬作業をするためいったん車を止め、バックしようとしたところ、バックミラーに人が見えたので、あわててブレーキを踏みました。
<要因>
作業者:ダンプトラック運転
環境:工事現場
要因は、後方の不注意です。
1歩間違えれば、ダンプトラックで後ろの人を轢いてしまう重大な事故になるところでした。
<対策>
対策は、誘導者を配置し指示に従って移動させることです。ダンプトラックなど大型車両は、後方視界が悪いためバックするときは十分に視界が確認できません。
大丈夫だろうと思わずに、必ず誘導者の指示に従って移動しましょう。
トランクのドアに頭をぶつけそうになった
廃棄書類を、トランクからダストシュートへ投げ入れるときに起こった事例です。作業中に振り向いた際に勢いがついていたため、頭部をトランクのドアにぶつけそうになりました。
<要因>
作業者:運搬作業者
環境:車のトランク後方
要因は、トランクの位置確認を怠っていた不注意です。
もし、固いトランクに勢いよく激突していたら、重大な事故になっていました。
<対策>
対策としては、落ち着いて作業を行うこと、急な動作をしないようにすることです。
また、頭を打つ可能性があるときは、あらかじめヘルメットを装着するように徹底しましょう。
荷台からはみ出た積載物に激突しそうになった
原動機付自転車がトラックのはみ出した積載物に気付かず激突しそうになった事例です。
<要因>
作業者:トラック運転手と原動機付自転車
環境:一般道路
要因は、原動機付自転車の前方不注意になります。トラック荷台にコンクリート製電柱を積載していました。しかし、荷台から荷物がはみ出していたため、原動機付自転車が激突しそうになりました。
<対策>
対策は、トラックの荷台から荷物がはみ出す場合は後方に誘導員を配置することです。
はさまれのヒヤリハット事例
はさまれも重大な事故や災害につながる可能性がありますので、参考にしてください。
トラックの下で作業中、床面にはさまれかけた
作業者がトラックの下敷きになりそうだった事例です。1つ間違えれば大きな事故になるところでした。
サスペンションを手動操作で伸張させ、トラックの下でメンテナンス作業をしていました。別の作業者がトラックの下に人がいることに気付かず、トラックの電源を入れたところ、制御装置によりトラック後部のサスペンションが収縮し、車体と床の間に挟まれかけました。
<要因>
作業者:車両整備者
環境:自動車工場
要因は、別の作業者が十分な完全確認を行わなかったためです。
また、トラックには約6tの積載があり車体が下がっていたので、隙間を手動で拡張して作業していました。
<対策>
対策は、複数の従業員での作業は必ず確認の合図や安全作業の手順を定めることです。トラックの下での点検作業は荷物を降ろして、車体を安全状態にしてから作業しましょう。
また安全支柱などを使用し、作業者が挟まれないようにすることも大切です。トラックの下敷きになると重大な事故になりますので、必ず従業員同士で声を掛け合って作業をするよう徹底しましょう。
テールゲートリフターを操作中、ゲートの間に挟まれそうになった
ゲートに足の指先を挟まれそうになった事例です。作業者は、昇降板に乗ったままテールゲートリフターを操作して商品の積み下ろし作業をしていました。
テールゲートリフターを上昇させていたら、足の指先を車両とテールゲートリフターの間に挟みそうになりました。
<要因>
作業者:運搬作業者
環境:トラックのテールゲートリフター
要因は、作業者がテールゲートリフターを昇降板に乗ったまま操作していたことでした。
テールゲートリフターは、ながら操作をすると危険です。
<対策>
対策は、作業者が昇降板に乗ったまま、テールゲートリフターを操作しないことです。
また、不安定な積み荷は、ロープやベルトでテールゲートリフターに固定することを徹底しましょう。
トラックの誘導中に電柱との間に挟まれそうになった
誘導中に不注意で挟まれそうになった事例です。トラックを誘導している際に、誘導員が電信柱とトラックの間にはさまれそうになりました。
<要因>
作業者:誘導員
環境:一般道路
要因は、作業環境の確認不足です。トラックの誘導を電信柱とトラックの間で行っていたため、はさまれそうになりました。
<対策>
対策は、誘導する前に自身の周りの環境を確認して行うことです。
急いでいるときに周りをよく見ずに作業をしてしまうことがあるので、注意してください。
交通事故のヒヤリハット事例
ここでは、交通事故のヒヤリハット事例について紹介します。
後退時に一般車両と接触しそうになった
工事車両がバック誘導で停車中に、近くを通った一般車両および自転車と危うく接触しかけた事例です。
一般車両と自転車に気付いた誘導員は、工事車両に対して止まれの合図を出しました。工事車両は、すでに発進していたため接触しかけました。
<要因>
作業者:工事車両と誘導員
環境:一般道路
要因は、誘導員の合図を確認しないまま工事車両をバックさせたことです。たまたま、接触はしませんでしたがぶつかれば大きな事故になっていたでしょう。
<対策>
対策は、必ず誘導員の合図を確認してから、工事車両を動かすことです。誘導員は、運転手からもよく見える位置にいてください。バックをする場合はクラクションを鳴らすなど、動き出しの合図を統一しておくのも有効な対策です。
交差点で人を轢きそうになった
車と歩行者が接触しそうになった事例です。歩行者専用の信号が青に切り替わったのを確認して、車を発進させようとアクセルを踏みこんだところ横断歩道を人が横切ったので慌ててブレーキを踏みました。
<要因>
作業者:車の運転手
環境:交差点
この信号は車両用と歩行者用を分離している信号機です。運転手はそれを理解しておらず、歩行者用の信号を見て発車の判断をしています。車両用の信号機を確認していなかったことが要因です。
<対策>
対策は、車と人の信号の両方を確認して行動することです。また、走行ルートを地図上に記載して、歩車分離式信号機がある交差点を記入し、該当箇所は注意して走行するように共有するとより安全です。
路面が凍結していたため、スリップした
路面の凍結により、トラックがスリップした事例です。トラックにて国道を走行中、気温が低く路面が凍結していました。凍結の影響でカーブを曲がり切れず、車体がスリップして反対車線にはみ出しました。
<要因>
作業者:一般道路
環境:気温が低い日
要因は、路面が凍結しているのに対策をしていなかったためです。
幸いにも対向車がいなく、スリップしたのみで怪我人もいませんでした。
<対策>
対策は、気温が低い日は路面が凍結している恐れがあるので、スタッドレスタイヤをつけることです。ただ、スタッドレスタイヤをつけていてもカーブは減速する必要があります。
トラック運転手向けのヒヤリハット対策ガイド
ここでは、トラック運転手向けのヒヤリハット対策ガイドについて紹介します。ヒヤリハットの事例を学ぶだけではなく、しっかり対策をすることが重要です。
対策方法を分かりやすく解説します。
トラックには死角が多いことを把握する
トラックには、運転席から直接見えず、ミラーにも映らない死角がたくさんあります。これに関係しているのが、車高と運転席の高さです。乗用車よりも運転席が高い位置にあることで、車体の近くは前面も側面も死角となります。また、一般車両と比べて車体が大きく、全長が長いことでトラックの死角を広げています。
左側方視界と後方視界はトラックの死角が一番多いので、とくに気を付ける必要があります。トラックの運転は目視やミラーの確認だけではなく、指差し確認をするとより安全です。
交差点はヒヤリハットが多く注意する
交通事故の半数以上は、交差点付近で起きています。交差点でのヒヤリハットは、右折、信号発信・直進、左折の順に多いです。
状況と原因、解説策を以下にまとめています。
状況 | 原因 | 解決策 |
---|---|---|
右折 | 確認不足 | 右折時は減速を行い、目視で安全確認した上で曲がる。 |
信号発信・直進 | 信号無視 | 青に変わったら発進するのではなく、一呼吸置いてから発進する。 |
左折 | 確認不足 | 左折時は減速を行い、安全を確認した上で曲がる。 曲がる際には、ミラーだけではなく目視も心がける。 |
とくに、注意すべきは信号無視する割合はトラックドライバーが多いことです。ある安全運転センターの調査によると、一般ドライバーと比べて、トラックドライバーの方が約1.2倍も信号無視が多いという結果が出ています。トラックドライバーの信号無視が多い理由は、早く納品したいため急いでいたことや、急ブレーキをすることによる荷崩れの懸念です。
トラック協会が推奨|DXでヒヤリハットを防止
ここでは、トラック協会が推奨するDXでヒヤリハットを防止する方法を紹介します。
人の確認や管理は、限界があるため上手に最新の機械も活用しましょう。
ドライブレコーダーでできるヒヤリハット防止策
ドライブレコーダーはヒヤリハット防止策に非常に有効な機械です。ドライブレコーダーとは、高性能小型カメラによる運転中の動画記録装置になります。導入費用は、1台5万円から10万円程度です。通信タイプのものなどは、機種代だけでなく別途通信費が毎月発生します。
ドライブレコーダーの利用率は、2020年6月道交法改正とあおり運転の社会問題の影響もあり、一般車両の54%もつけている状況です。
ドライブレコーダーでできるヒヤリハット防止策をまとめています。
指導の定着化で安全向上 | 運転画像を記録するため事故発生時の急発進、急減速、急ハンドルの状況を蓄積し、指導に活かすことができます。 |
---|---|
映像を活用した研修会 | 道路、天候、場所を集計することで事故が起きやすいシーンが分かり、研修会などで共有できます。 |
輸送安全対策の強化 | 輸送安全のマネジメントや目標設定を行い社員の意識を高めます。 |
参考:全日本トラック協会
ドライブレコーダーを活用することで輸送安全のマネジメントを行い社員の意識を高めることができます。
費用はかかりますが、輸送の安全性が高いと荷主との信頼も厚くなり、安定した経営ができるでしょう。
デジタルタコグラフでできるヒヤリハット防止策
デジタルタコグラフは、輸送のステータス管理や状況が分かるためリアルタイムにヒヤリハットの防止策を行うことができます。導入費用の相場は、機器1台5万円から20万円程度で、毎月の運用費用は1千円から3千円ほどです。
デジタルタコグラフには、GPS機能がついているので、リアルタイムに車両位置の確認や作業状態、進捗状況を管理、運行記録を共有できます。
運行記録は、総重量が7t以上または最大積載量が4t以上は記録が義務づけられていますが、運行管理のしやすさから車種に関係なく8割以上もの会社がつけている状況です。
デジタルタコグラフの運行記録からは、運転者の個人指導を効率的に行うことができます。
主に下記の指導で有効です。
- ブレーキ、加減速、休憩がグラフからベテランと新人で比較して指導
- 日、週、月の労働時間から拘束時間の改善
デジタルタコグラフは運送コストが具体的に可視化できます。具体的な運賃・運送条件が分かるため、荷主との交渉にも使えるでしょう。
機器代金は決して安くはないですが、運転者の指導や荷主への交渉ができるのであれば費用対効果はとても高いです。
まとめ
ヒヤリハットは、たまたま事故や災害にはならなかったが、1つ間違えれば重大な問題になっていた現象です。しかし、こうした小さな危険が重なれば事故に発展します。
紹介した事例は身近にも起きやすいヒヤリハットのため、事例を認識することでヒヤリハットの防止に役立てられるでしょう。
また、ヒヤリハットの防止は、最新の機器を使うことで効率的に指導や改善もできます。トラック運転は、不注意や納品時間への焦りで事故が起こる可能性が高いので、安全確認を行いながら、余裕のある作業を心掛けてください。