製造業

3Dプリンターとは?造形方式別にメリット・活用法を紹介

デジタル社会を実現させるには、住民の身近なところで行政を担う自治体のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進が非常に重要です。本記事では、自治体が取り組むDXにクローズアップし、なぜ自治体にDXが必要なのか、DX推進のポイントなどを解説していきます。

3Dプリンターとは?造形方式別にメリット・活用法を紹介

Factory of the Future

3Dプリンターとは?

3Dプリンターとは、コンピューター上で設計したデータをもとに、立体造形物を成形できる機器を指します。一般的なプリンターとは異なり、液体金属やプラスチック樹脂などの素材をデータに基づいて重ね塗りし、3D造形を行います。

3Dプリンターが世に出たばかりのころは、1,000万円を超える価格の製品が多くを占めていましたが、現在では安価なものも増えてきました。そのため、中小規模の企業はもちろん、個人が入手するケースも増えているのです。

3Dプリンターへの注目が高まるのに伴い、さまざまな産業で活用されるようになりました。たとえば、食品業界では介護食の開発に3Dプリンターの技術を活用しています。医療業界においては、義歯や福祉用具、骨膜型などの製作に、自動車業界ではパーツ製作と、さまざまな産業で3Dプリンターが活躍しているのです。

3Dプリンターの造形方式

3Dプリンターの造形方式には、粉末焼結積層方式、熱溶解積層方式、光造形方式、インクジェット方式、インクジェット粉末積層方式などがあります。それぞれの特徴を把握しておきましょう。

粉末焼結積層方式(SLS)

粉末焼結積層方式は、SLS方式とも呼ばれ、粉末状にした金属や樹脂素材に高出力のレーザーを照射することで造形を行います。これにより素材が硬化し、そのプロセスを幾度となく繰り返すことで立体構造物を造形できるのです。

粉末焼結積層方式を採用した3Dプリンターは、複雑な形状の造形物を成形できるのがメリットです。また、金属素材を使用できるため、高強度の製品を製造できることもメリットといえるでしょう。

上記のような理由から、実用に耐えうる工業製品の製造に活用されています。航空宇宙用ブラケットや腕時計などの実製品をはじめ、ダクト部品の試作品成形などにも用いられています。

熱熔解積層方式(FDM)

熱溶解積層方式は、FDM方式とも呼ばれ、主に個人向け3Dプリンターに採用されています。樹脂の塊に熱を加えることで溶かし、射出ノズルの先端から絞り出した素材を積み重ねることで造形を行います。

低価格帯の製品が多く、安価で入手できるのは大きなメリットといえるでしょう。また、コンパクトなサイズの製品が多いため、設置場所に頭を悩ませる心配がありません。素材の研究開発も進んでおり、複数素材を組み合わせた材料を用いることができ、自由度が高い点も魅力です。

ただ、安価な製品ゆえに造形の精度はそれほど高くありません。また、機器によっては製造スピードが遅く、小さなサイズの成形にしか対応していないといったデメリットもあります。

個人が使用するケースでは、フィギュアやミニチュア、アクセサリーなどの製作に用いられています。ビジネス用途では工業製品の試作品製作に活用されています。

光造形方式(SLA)

光造形方式は、液状の樹脂に紫外線を照射して硬め成形する方式です。一層の樹脂を硬化させたら次に二層を、さらに三層をと次々に素材を硬化させつつ造形します。数ある3Dプリンター造形方式の中で、もっとも長い歴史をもつ方式でもあります。

PPライク樹脂やABSライク樹脂といったエポキシ系樹脂のほか、アクリル系樹脂を素材として利用できるのが特徴です。アクリル素材を利用すれば透明度の高い製品を造形できるのも、この方式の特徴といえるでしょう。

造形精度が高いため高クオリティな造形が可能であるほか、造形スピードの速さも魅力です。表面のざらつきがなく滑らかな仕上がりになり、なおかつ耐久性の高い立体物を製造できるのもメリットといえるでしょう。

光造形方式は、試作品やプロトタイプの製造で活用されています。また、高精度な仕上がりが期待できるため、工具や金型、アーティストの衣装、映画の小道具製作など、さまざまな分野で活用が進んでいます。

インクジェット方式

インクジェット方式は、一般的なインクジェットプリンターのように、素材を吹き付けつつ積層し造形する方式です。ノズルから射出した液状の樹脂に、紫外線を照射することで硬化します。

インクジェット方式のメリットは、ノズルからの素材射出量をコントロールできるため、精度の高い造形が可能であることです。滑らかに仕上がり、実製品の製造にも活用できます。機種によっては、いくつかの素材を混合して成形できるものもあります。

ただ、硬化に紫外線を用いるため素材が変色しやすいデメリットがあるため、注意が必要です。また、比較的高価な機器が多く、導入コストが高くなるのもデメリットといえるでしょう。

用途としては、機能性プロトタイプの製造が挙げられます。素材の組み合わせもできるため、完成品に限りなく近いプロトタイプも製造できます。射出成型に用いる原型の製造や、医療用モデルの成形など、幅広く用いられている方式です。

インクジェット粉末積層方式

インクジェット粉末積層方式は、プラットフォームに敷き詰めた粉末状の石膏へ接着剤やインクを塗布して造形する方式です。造形完了後には、造形物の周りにある石膏を除去し、エアダスターなどで製品に付着した微細な粉末も取り除きます。

費用の安い石膏を素材として用いるため、造形コストを抑えられることがメリットです。また、比較的造形スピードの速いモデルが多いのも特徴といえるでしょう。フルカラー機能を搭載したモデルであれば、さまざまなカラーリングの立体物を成形できます。

用途としては、建築模型や配管模型などの作成が挙げられます。また、フルカラー着色できる特性を活かし、フィギュア製作や医療モデルの製作にも用いられています。

ビジネスにおける3Dプリンターの活用事例

製造業や工業では、試作品の製作に活用されています。従来、試作品は外注するケースが多く、時間とコストがかさみやすかったのですが、3Dプリンターの登場でこれらの課題を解決できました。

医療分野においては、人口骨や義手をはじめ、人骨モデルやシリコン製物体の製造などに用いられています。また、CTやMRIのデータに基づき造形した臓器モデルを用いて、手術のシミュレーションに活用している医療機関もあります。

建築業では、建築模型の製作に用いられるケースが大半です。立体的な模型を用いたプレゼンを行えるため、家の完成イメージを顧客にしっかりと伝えられます。ほかにも、教育分野や自動車分野、宇宙・航空機業界など幅広い業界において3Dプリンターの活用が進んでいるのです。

3Dプリンターを導入するメリット

3Dプリンターを導入するメリットとして、開発・製作期間の短縮が挙げられます。たとえば、従来の製造業では部品を製作するにあたり、まずは金型を用意する必要がありました。しかし、3Dプリンターを利用すれば、完成品のデジタルデータさえ用意すれば製品を開発・製造できるため、従来よりも期間を短縮できるのです。

また、手軽に試作品を製作できるため、事前に入念なシミュレーションを行うことができ、品質の安定や向上につながります。さらに、完成品のデータがあればいつでも製品を造形できるため、余分な在庫をもつ必要がありません。必要に応じて、その都度製造できるのはメリットといえるでしょう。

まとめ

立体構造物の造形を容易に行える3Dプリンターは、製品開発期間の短縮や品質向上など、さまざまなメリットを得られます。今までできなかったことも試せるため、ビジネスチャンスも広がるでしょう。この機会に、3Dプリンターを導入しビジネスに活用してみませんか。

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