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地域が抱える課題とは?少子化・高齢化などの具体例と対策を紹介

地域が抱える課題とは?少子化・高齢化などの具体例と対策を紹介

高齢化や人口減少によって、労働人口が低下している問題は、日本全体が抱える問題です。とくに地方にとってその影響は顕著であり、深刻な問題へと発展しています。

その解決策として、近年デジタル技術を活用したDX化がさまざまな地方で導入されており、地域課題を解決する重要な方針となっています。

本記事では地方自治体が抱える現在の課題と地域DX化を通して、解決策・具体例について解説していきます。地方自治体の課題と、日本が抱えるDX化の課題双方の取り組みについて理解を深められます。

地域社会の現状|地域が抱える課題・問題とは

地域社会の現状|地域が抱える課題・問題とは

地域社会は、高齢化・過疎化・経済停滞・災害リスク増大・コミュニティの希薄化・環境問題といった多くの課題に直面しています。

特に、高齢化や人口減少は日本全体が抱える問題ですが、地方ではその影響が顕著です。
以下では、地域が抱える具体的な課題について解説していきます。

高齢化による労働力不足

地域が抱える問題の1つとしてよく取り挙げられるものに「高齢化による労働力の不足」があり、多くの地方自治体が直面する深刻な問題となっています。

総務省の統計によれば、15歳未満の人口は75歳以上の人口を下回っています。さらに、65歳以下、75歳以下ともに昨年度よりも増加しているのに対し、64歳以下の人口は前年度よりも減少しています。このことからも、今後も労働力不足が続くであろうことが予想されるでしょう。

また、地方では若者の流出により企業も人材確保が難しくなっており、将来的にはGDP(国内総生産)が下がってしまうことも懸念されています。

このような状況から、高齢化による労働力不足は早急に解決すべきだと広く認識されている問題です。

参考:人口推計(総務省)

経済の弱体化

高齢化による労働力不足の影響は、人口減少だけでなく、日本の経済の深刻な弱体化を進める要因ともなっています。

高齢化による社会保障費の増加により、地方自治体の財政運営もまた難しくなります。このような経済の弱体化は、地方の持続可能な発展を阻害し、さらなる経済の弱体化を引き起こす負のスパイラルを生んでいます。

インフラの老朽化

人口減少と高齢化により、地方ではインフラの老朽化もまた深刻な問題となっています。

道路や橋、上下水道などのインフラは高度経済成長期に整備されたものが多く、現在ではかなり老朽化が進んでいるものが多くあります。

しかし、地方自治体は財政難に直面しており、十分なメンテナンスや改修が行われていません。特に過疎地域では、地域住民減少により税収も少ないため、各施設の維持・改修費用が捻出できないことが多く、適切な管理が困難です。

老朽化したインフラは観光や新たな企業誘致の障害となり、地方経済の活性化を妨げる要因ともなります。

自然災害リスクの増加

地方の過疎化と高齢化が進むなかで、自然災害リスクの増加もまた問題となっています。

上記で述べたように地方のインフラは老朽化が進んでおり、特に道路や橋、堤防などは補修や改修が十分に行われていません。この状況は、地震や台風、大雨などの自然災害に対して地域が脆弱になる原因となります。

加えて高齢化が進む地方では、防災活動や災害時の避難支援が難しく、地域住民の安全が一層危険にさらされています。

地方自治体の財政難もこの問題を悪化させており、地方では適切な防災対策やインフラ整備が遅れているのが現状です。

地域が課題・問題を抱える理由とは

地域が課題・問題を抱える理由とは

日本の地方自治体が抱える課題とは、何が原因で発生しているのでしょうか?その理由について、詳しく解説していきます。

都市部への人口流出

都市部への人口流出が、地方の人手不足問題の要因の1つです。

人口の都市集中により、若者や労働力が大都市に流出することで、地方では急激な労働力不足が発生します。結果的に地方企業は必要な人材を確保できず、経済の衰退を加速させてしまいます。

この課題解決には、オンラインでの仕事環境の整備や、地元大学との連携強化、採用活動の見直しなどが必要です。地方企業が持続可能な成長を実現するためには、これらの問題に対処しながら、地域の魅力を最大限に引き出す努力が求められています。

業務効率の低さ

地方企業における業務効率の低さも、地域課題の要因となっています。

高齢化による労働力不足によって業務効率が低下し、地方経済の弱体化が進んでいます。さらに労働不足によって、限られた人員で業務を回す必要があり、従業員には多大な負担がかかります。一時的な負担であれば耐えられるかもしれませんが、永続的に負担がかかると従業員の離職につながるでしょう。

また経済の弱体化により予算の制約が厳しくなり、地方自治体は働きやすい職場環境や労働条件を整備することが難しくなっています。

地域の課題・問題を解決した具体例

地域の課題・問題を解決した具体例

ここまで述べたように、人口減少に関わる地域の課題は多く存在します。以下で、それらの問題を独自に解決した自治体の具体例をご紹介します。

高齢化による労働力不足|徳島県神山町のサテライトオフィス設置

徳島県神山町では、ブロードバンド環境を整備し、サテライトオフィスを誘致し労働人口の確保に成功しています。この取り組みによって、31社もの企業が誘致され、地元雇用が56名も増加しました。

神山町の成功要因は、DX企業の「Sansan」が、ネットインフラと地域のユニークな文化に魅力を感じ、サテライトオフィスを設置したことが始まりです。その口コミやメディア露出により、他の企業もサテライトオフィス設置に共感し同様検討がなされるようになったこととされています。

神山町は過疎化に対抗するため、「創造的過疎」の方針で、アーティスト滞在プログラムや移住支援、サテライトオフィス誘致を進め、多様な働き方が可能な地域を目指しており、
今後、さらなる利用者の拡大が期待されています。

参考:9つの好事例と成功の秘訣(総務省)

経済の弱体化|岐阜県高山市のデジタルサイネージの提供

岐阜県高山市は観光DXの一環として、AIカメラを用いた個人向けデジタルサイネージの提供と人流見える化を実施しました。この取り組みにより、地域内生産額が約3億円、地域内所得が約1億円増加する結果となりました。

成功の要因としては、住民との対話を重視したワークショップや説明会の実施、名古屋大学やNECとの連携が挙げられます。

高山市は、江戸時代の町並みやスキー場、温泉地が魅力で、観光客に支持される地域として今後さらなる活性化を目指し取り組みを続けています。

参考:9つの好事例と成功の秘訣(総務省)

インフラの老朽化|群馬県前橋市のデマンド型相乗りタクシー「マイタク」・自動運転バスの導入

群馬県前橋市では、「マイタク」と称したタクシー運賃支援制度にマイナンバーカード認証を活用しています。登録ユーザーは、3万人にも達しチケットレス化・マイナンバーカード普及率21%を達成しています。

従来の紙チケットによるタクシーの運営には、自治体の補助金申請処理に多くの時間を費やしていましたが、チケットの電子化を行うことで地域インフラの最新化を実現しました。

さらに、バスの運転手不足を解消するために、自動運転の路線バスの実証実験も行っています。群馬大学の協力で自動運転技術の知見をもとに実証を推進し、全体計画の采配は自治体が主導する、官民連携で課題解決を行うことで、長期的なビジョンで事業が継続できる工夫がなされています。

参考:9つの好事例と成功の秘訣(総務省)

自然災害リスクの増加|北海道森町のヒグマ出没情報管理システム「ひぐまっぷ」導入

「ひぐまっぷ」はヒグマ出没情報をマッピングし共有するシステムで、このシステムの
導入により北海道森町は関連業務コストの66%削減を達成しており、2022年7月時点で、38自治体が導入しています。

北海道森町では、ヒグマの出没情報が頻繁に報告されており、住民の安全確保が課題となっていました。「ひぐまっぷ」は、コスト削減に貢献しただけでなく、リアルタイムで共有・管理することで、ヒグマへの迅速な対応と住民の安心・安全な暮らしを確保する重要な役割を担っています。

また、開発(民間企業)、知見提供(教育機関)、金策(自治体)と関係各所の役割が明確化されており、補助金の準備、各自治体へのエビデンス提供などがスムーズに連携されることで、導入自治体を増やすことにも成功しています。

参考:9つの好事例と成功の秘訣(総務省)

地域医療の不足|長野県佐久市の地域医療連携システム構築

長野県佐久市では、地域医療連携の推進を進めるべく、地域医療連携システムの構築が進められています。

地域医療の再構築には「地域完結型医療体制」の確立が必要とされており、これは単に紹介率や逆紹介率を上げ連携を強めることだけではなく、住民が受けやすい医療体制を他の病院と協力してつくることが大切です。

具体的には、基幹医療センターには高度な医療機器を使った診断や専門外来の設置が求められ、地域医療連携室がその機能を広報し、患者同士の紹介・逆紹介を円滑に進める環境整備も必要です。

それらをスムーズに行えるように、インターネットを利用した地域医療連携システムを導入することで医師自ら自分のクリニックに居ながら、紹介状を送ったり、診療枠を取ったり、検査予約の取得などが可能になります。

参考:佐久市公式サイト

地域DXを成功させるためのポイント

地域DXを成功させるためのポイント

ここからはDXを成功させるために何が必要か、何が原因で失敗しやすいのかについてご紹介します。実際に導入を検討される際の参考にしてください。

地域の課題を明確化する

地域DXを成功させるためには、まず地域特有の課題を明確化することが重要です。

例えば、北海道森町の「ひぐまっぷ」や群馬県前橋市の「マイタク」などの事例では、地域住民や関係者から直接ヒアリングを行い、具体的な課題抽出が行われました。

地域課題に対する、「深い課題理解」や「現場重視の地道な努力」によって、住民のニーズを的確に反映した、持続可能なDXの推進が可能になります。

また、地域課題を明確化すると同時に、新しいサービスを導入するには関係各所の理解が欠かせません。そのため、関係各所に協力を得るための根回し・調整も同時に行う必要があります。

これらのアプローチを通じて、デジタル施策を展開することで、地域DXの成功につなげられます。

目標と役割を明確化する

地域DXの成功には、明確な目標設定と役割分担が不可欠です。

地域DXの目標は、地域課題をデジタル技術で解決することにあります。そのためには、事業の具体的な目標を設定し、達成するための計画を明確にすることが重要です。

さらに、関係者の役割を明確化することで、スムーズな事業推進が可能となります。

具体的には、北海道森町の事例のように「システム開発は民間企業」「補助金の準備は自治体」「エビデンス提供は教育機関」といった各役割を適切に分担することで、全体の進行が円滑に進みます。

地域住民の声を聞く

地域DXを成功させるには、地域住民の声を直接聞くことが重要です。総務省の調査結果にもとづき、地域DXの好事例を分析したところ、地域住民の意見を積極的に取り入れた取り組みが成功に寄与していることが明らかになりました。

例えば、北海道岩見沢市では、農家や母親の悩みを直接ヒアリングし、詳細な天気予報や児童見守りシステムを開発することで、住民のニーズに応えています。

また、地域の反発を防ぐために丁寧な根回しと調整を行い、住民の理解と協力を得ることも重要です。実証実験の段階で住民と直接対話し、地域住民のデジタルリテラシーの向上を図ることも成功の鍵となります。

このように、地域住民の声を積極的に聞き入れ、そのニーズに応じたサービスを提供することが、地域DX成功の秘訣です。

参考:9つの好事例と成功の秘訣(総務省)

まとめ

本記事では、地方自治体が抱える現在の課題と地域DX化を通しての課題の解決策・具体例について解説してきました。

これまでご紹介したように地域課題は「高齢化による労働力不足」「経済の弱体化」「インフラの老朽化」「自然災害リスクの増加」など、複数の課題が存在します。

特に高齢化による労働力不足は、負のスパイラルを生み出し、さまざまな課題を加速させる要因ともなっており、その解決策として地方におけるDX化が注目を集めています。

各自治体は、DX化を通して経済活動の効率化を行っていくことが必須です。変革をスムーズに行うには、自治体が地域住民の意見を積極的に取り入れ、協力を得ることが重要であり、日本全体でDX化を推進する姿勢をとることが地方の助けになるといえます。

ぜひ、この記事を参考にDX化の推進にチャレンジしてみてください。

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