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DX推進における各種調査内容や動向をまとめて紹介

近年では、デジタル技術を用いた社会の変革である「DX(デジタルトランスフォーメーション)」を推進する企業が増えてきました。
その背景には、2018年に経済産業省が発表した「DXレポート」および「DX推進ガイドライン(デジタルガバナンス・コード)」において、DX推進が充分に達成されなかった場合に起こる経済損失(通称:2025年の崖)について言及されたことがあります。

現在でもDX推進を活性化させるため、多くの機関が企業に対するDXの実態調査を行っていますが、
本記事ではそのDX推進に関する調査を主に6つ取り上げました。各調査の回答結果を見て、DX推進の現状を探っていきましょう。

DX推進における各種調査内容や動向をまとめて紹介

DXとは何か?

DXとは、DigitalTransformation(デジタルトランスフォーメーション)のことであり、広義ではデジタル技術を用いて、人々の生活や社会全体をより良いものへと変革していくという概念です。

ビジネスにおけるDXでは、デジタル技術を用いた業務効率化や新しいビジネスモデルの開発にとどまらず、組織全体を改革し競争を優位に保つことを目的とします。
混同されやすい言葉に「IT化」がありますが、これは主に手作業の自動化・システム化を指す比較的狭義の意味を持つ言葉です。DX(デジタルトランスフォーメーション)はビジネスや組織、社会全体の仕組みを変革するという概念であるため、IT化もこの中に含まれます。

また、経済産業省は2018年に、民間企業に向けた「DXレポート」「DX推進ガイドライン」(2020年11月に「デジタルガバナンス・コード2.0」へ統合)を発表しました。このレポートおよびガイドラインでは、2025年にDX推進が充分に達成されなかった場合に起こり得るとされる多くの問題を「2025年の崖」として取り上げています。
具体的な問題にはシステムのブラックボックス化や老朽化、IT人材の不足などが挙げられており、これらを放置すれば2025年以降、企業の競争力が低下し大きな経済損失が生まれると指摘されています。
このような背景から近年ではDXの実態を把握するため、DX推進に関する調査が様々な機関で行われるようになりました。

DX推進に関して公的機関が行う調査

DX推進の調査には、大きく分けて「公的機関による調査」と「リサーチ会社による調査」がありますが、このうち「公的機関による調査」には主に以下の2つが挙げられます。

デジタルトランスフォーメーション調査2022の分析

「デジタルトランスフォーメーション調査2022の分析(DX調査2022)」は、経済産業省が2021年12月1日〜22日に行った調査です。東京証券取引所の国内上場企業である約3,800社を対象に、選択式項目と記述式項目で構成されたWebアンケートにより行われました。

得られた回答を「ビジョン・ビジネスモデル」「戦略」「人材・組織・企業風土」「デジタル技術」「成果と成果指標」「ガバナンス」の6つのカテゴリに分けて分析されました。その結果、DX銘柄に指定されている企業は全体平均に比べ、すべてのカテゴリにおける回答スコアが高いことがわかりました。これは、経済産業省が取りまとめた「デジタルガバナンス・コード」を実践している企業と考えられています。また、DX注目企業やDX認定取得済企業もその傾向がみられます。

中小企業のDX推進に関する調査

「中小企業のDX推進に関する調査」は、独立行政法人「中小企業基盤整備機構」が株式会社ネオマーケティングに依頼し、実施した調査です。1,000社におよぶ全国の中小企業経営者や経営幹部を調査対象に、Webアンケートにより2022年3月11日〜18日の計8日間、行われました。

DXに対する理解度の調査では、「DXを理解している」もしくは「ある程度理解している」と回答した企業よりも、「DXについて理解していない」や「あまり理解していない」と回答した企業のほうが、わずかに高いことがわかりました。また、従業員規模別の分析では、従業員規模が大きいほど理解度が高い傾向が見られます。

一方、DXの取組状況については、DXを推進しているもしくは検討している企業よりも、「取り組む予定はない」とする企業が上回っているという実態が判明しています。

DX推進に関してリサーチ会社等が行う調査

DX推進に関する調査は、公的機関だけでなく民間のリサーチ会社も行っています。ここでは、リサーチ会社等が行うDX推進に関する調査を紹介します。

日本企業のDX推進実態調査2022

「日本企業のDX推進実態調査2022」は、PwCコンサルティング合同会社によるDX推進の実態調査です。売上高10億円以上のDX推進企業に所属する1,103名の幹部を対象とし、2022年1月から調査を開始しています。

DXの取り組み状況の調査では、「経営戦略に基づいて全社的に取り組んでいる」とした回答者が半数以上を占め、企業や組織そのものの変革に取り組んでいる企業が多い様子です。また、DXの取り組み成果では、「十分な成果が出ている」および「何らかの成果が出ている」と答えた回答者が半数を占める一方、「あまり成果が出ていない」「全く成果が出ていない」とする企業も3割近く占めています。

DX実現に向けた課題とコロナ禍における意向調査2022年版

「DX実現に向けた課題とコロナ禍における意向調査2022年版」は、株式会社INDUSTRIAL-Xが実施した、DX推進の進捗状況を、2021年上半期(4月〜9月)と2022年6月で比較した調査です。大手・中堅・中小企業別に206名ずつ、合計618名を対象として、インターネット調査モニターを用いて行われました。

DXを推進する上での課題では、「DXを推進するための具体的なソリューションがわからない」とする企業が2021年、2022年ともに最多ですが減少傾向にあることがわかります。一方、「推進・導入する人がいない」「推進するための予算がない」と回答した人が前年より増加していることもわかりました。また、今後必要な検討事項の調査では、「DX推進人材の確保・育成」が約3割を占め最多です。多くの企業がDXの人材不足を懸念していることがわかります。

独自調査で明らかになった日本企業のDXの推進状況と成功要因

「独自調査で明らかになった日本企業のDXの推進状況と成功要因」は、株式会社三菱総合研究所が行ったWebアンケートによる調査です。直近1年間の売上高が100億円以上の企業1,000社のうち、DXの取り組みに関与している従業員に対し2021年12月に行われました。

DXビジョンの策定・アップデートの重要性の調査では、コロナ禍においてビジョンを策定し実行している企業の4割が業績を向上させていることがわかりました。一方で、ビジョンの立案予定がない企業のうち業績を向上させているのは1割にも満たない企業です。また、DXにおける課題や取り組み優先事項の調査では、業種間でDXの進展度に差があり、今後の取り組み優先事項にも違いが見られます。

DXの取り組みに関する調査

「DXの取り組みに関する調査」は、株式会社ネオマーケティングが18歳以上の正社員・公務員の男女1,000人に対して行った調査です。自社の運営サイト「アイリサーチ」のシステムを利用したWebアンケートによって、2020年9月4日〜7日までの4日間に渡り行われました。

DXの取り組み企業に勤務している回答者に行った、DXの取り組みについての実感の調査では「うまくいっていると感じている」と答えた回答者が6割近くを占め、企業規模に関わらず、成果を感じている正社員が多いことがわかります。また、新型コロナウイルスの影響によってデジタル化が進んだ項目の調査では、「テレワーク制度の導入」や「リモートアクセス環境の整備」の割合が高く、企業規模が大きいほど取り組みが顕著であり、テレワークの実施状況にも差があることがわかりました。

まとめ

DX銘柄に指定されている企業をはじめとする規模の大きい企業では、DXに対する理解度や取り組み状況、得られた成果が高い傾向です。一方で、デジタル人材の不足や推進のための予算がないと回答した企業もあり、日本企業全体のDX推進には課題が山積されています。

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