小売業

ニューノーマルな時代だからこそ考えたい店舗分析の基本を紹介

新型コロナウイルスの影響で多くの店舗が甚大な被害を被っています。そして、このような状況だからこそ今まで以上に店舗の状態を把握し、分析することで、最適な戦略を実行し売上の最大化を狙う必要があります。そのためには店舗分析が必要になります。店舗分析とは「自社店舗はどのようなお店なのか?」を客観的データから把握するための作業です。店舗経営を最適化していく上で自店について様々な角度から分析していかなければいけません。その中心となるのはやはり「売上分析」でしょう。ここからは、基本である売上の仕組みから分析方法まで、店舗分析に必要な基本をご紹介します。

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「売上」とは?

売上とは商品の販売に応じて得られる対価であり、お客様が購入した際に、現金・クレジットカード・電子マネーなど様々な決済方法によって売上を得ることができます。店舗における一般的な計算式は次のとおりです。

売上=来店客数×購買率×平均単価

来店客数とは店舗に入店したお客様の総人数です。注意していただきたいのが、来店したものの何も購入しなかったお客様も一定数いることから、来店者数と購買者数はイコールではありません。購買率とは、来店したお客様のうち実際に商品を購入した人の割合を示します。購買率は次のような式で計算されます。

購買率=購買客数÷来店客数

次に、客単価とは1回の買い物でお客様が購入する金額であり、平均客単価は購入した全てのお客様で総売上金額を割った数になります。

平均単価=総売上金額÷購買客数

なぜ、当たり前の事実を改めて説明しているかというと、「商品単価を上げる」という方法以外で売上を向上するためには「来店客数」「購買率」「平均単価」のいずれかをアップさせることが重要だということを強く認識してもらうためです。

店舗分析の基礎

次に、店舗分析の基礎になる売上と利益の違いを解説します。売上は前述のように、商品の販売によって得た対価の総額になります。一方利益は、商品を販売するまでにかかったコスト(費用)を差し引いたものです。売上がどれほど高くとも、それに応じてコストも高ければ多くの利益獲得は見込めません。では、売上と利益を求めるために必要な基本をご紹介します。

値入高

商品の販売価格を決定することを値入と呼びます。さらに、商品の販売価格から原価(商品の仕入れや販売にかかったコスト)を差し引くと、値入高が求められます。値入高とはつまり、商品を販売した際に期待できる利益のことです。

値入率

商品の売価に対する利益の割合を値入率と呼びます。値入率が高いほど販売時の利益が大きく、値入率が低いほど販売時の利益が小さくなります。

値入率=(想定売価-仕入原価)÷想定売価×100(%)

利掛率

利掛率とは原価に対する値入高の割合を表します。

利掛率=値入高÷原価×100(%)

粗利益高

粗利益高(粗利)は実際の売買利益のことで、売上と売上原価との差額を意味します。

粗利益高=売上-売上原価

ロス率

何らかの理由により商品が販売できないとロスが発生することになります。飲食店では材料の過剰な仕入れやメニューの変更、小売店では万引きや内部スタッフによる横領などによって発生することが多いでしょう。

ロス率=ロス金額÷売上高×100(%)

利益の種類

一口に利益と言っても様々な種類があります。利益について理解を深めることも大切なので、ここで解説しておきます。

売上高総利益

売上からコストを差し引いた利益のことを売上高総利益と呼びます。例えばお弁当なら材料費や容器費と言った仕入れ金額を売上から差し引いて求めます。

売上高総利益=売上―売上原価

営業利益

商品を販売する際には、材料の仕入費以外にも様々な費用が必要になります。そうした費用を「販売費用及び一般管理費用(販管費)」と呼び、従業員に支払う人件費や交通費、店舗の賃料や光熱費、広告費を初め取引先との会食にかかる接待費用なども含みます。つまり、会社の営業活動を継続するためにかかる全ての費用です。売上高総利益から販管費を差し引いたものが営業利益となります。

営業利益=売上高総利益-販管費

総利益

店舗の主な営業活動以外から得られる収益を「営業外収益」と呼び、株式や預金によって生じる配当金や利息などが該当します。この営業外収益と営業利益を合わせたのが総利益です。

総利益=営業利益+営業外収益

純利益

純利益は店舗の通常業務から得られた利益です。総利益から営業外費用や支払利息などを差し引くことで算出されます。

純利益=総利益-営業外費用

店舗分析(売上分析)のポイント

では、店舗分析(売上分析)を実施するために欠かせないポイントをご紹介します。

ポイント1. 売上分析の目的を明瞭に

売上分析ではまず、分析の目的を明瞭にするところから始めます。目的が明確でないと「何のための分析なのか?」が分からないまま分析に取り組むことになるので、有効な情報を得ることが難しいでしょう。目的を明瞭にするためにまず必要なのが「現状課題の把握」です。

ビジネスの中で身を置いていれば日頃から業務課題や経営課題を肌で感じていることでしょうが、改めて整理すると今まで見えてこなかった部分が見えることもあります。さらに、どのような課題があるのかに加えて「何が原因なのか?」を知ることも大切なので、目的の明瞭化を始める前に現状課題の整理をしましょうl。

整理ができたら率先して解決すべき課題に優先順位をつけ、そこから売上分析の目的を明瞭にしていきます。

ポイント2. 難しく考えずに分析する

「売上分析」と聞くと難しいイメージが定着しているので、分析に消極的になってしまう気持ちもわかります。しかしながら、「分析とは何だろうか?」と頭で考える以前に、「売上の単純な比較」を地道に行うことが重要です。

例えば2020年には10億円だったA社の売上高が、2021年には9億円に下がったと仮定します。売上分析とはつまり、2つの数字を比較することにあります。ただし、大切なのは「詳細に比較していくこと」であり、そこから前項で整理した課題を解決していく糸口を見つけます。

新規顧客への売上高が低下したのかもしれませんし、既存顧客への売上高が低下したのかもしれません。実際に蓋を開けてみないことには、同じ売上分析でも見えてくるものが全く違います。だからこそ、難しく考えずに分析へ専念することが重要です。

ポイント3. 売上データを細分化する

売上データを細分化(セグメンテーション)することで、多くの事実に気づくことができます。「月別売上」「顧客別売上」「商品別売上」「担当者別売上」「部門別売上」「店舗別売上」と言った具合に、細分化していきます。このように売上データを細分化することで、現状課題に対して「何が問題なのか?」を浮き彫りにできます。

また、売上データを細分化するだけでなく、前年同月比を出したり、同業他社の売上などと比較することも大切です。

リアルタイムな店舗分析基盤を構築しましょう

現代の社会を生き残るためにはデータが必要不可欠であり、それらをうまく分析し経営に役立ててこそ勝ち残れると言っても過言ではありません。店舗分析(売上分析)のための手法がたくさん存在しましが、まず大切なのはやはり分析に必要なデータを集めることです。多店舗経営を実践している場合には、その情報を集めるための仕組みづくりや仕掛けが欠かせなくなるでしょう。ぜひ、この機会の店舗分析や店舗運営のためのプラットフォームをご検討ください。

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