小売業

中国越境ECを始めたい小売業者がおさえておきたいポイント

日本市場におけるEC事業に加えて、海外を視野に入れることはビジネスのグローバル化を実践する上で至極当然のことでしょう。海外において日本製品はブランドとして確立しており、世界でも人気を集めています。世界中のEC市場の中で、もっともホットな市場の一つといえば中国です。世界最多の人口とデジタル化が進む中国では、独自の市場形成によって巨大なEC市場へと成長しました。そこで、本記事では中国越境EC事業を検討している小売事業者に向けて、必ず押さえておきたいポイントをご紹介します。

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中国EC市場の規模と、世界のEC市場との違い

まずは、経済産業省が発表している『平成 30 年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備 (電子商取引に関する市場調査)』をもとに、中国EC市場の規模や世界のEC市場との違いをデータから読み取ります。

<中国および世界のEC市場規模>

  1. 中国 1兆5,267億ドル
  2. 米国 5,232億ドル
  3. 英国 1,236億ドル
  4. 日本 1,093億ドル
  5. 韓国 779億ドル
  6. ドイツ 726億ドル
  7. フランス 576億ドル
  8. カナダ 443億ドル
  9. インド 327億ドル
  10. ブラジル 254億ドル

(旅行・チケットを除いた金額)

同じく資料では、2018年における世界のEC市場規模は2兆8,400億ドルと紹介しており、中国EC市場だけで過半数を占めていることになります。ちなみに1ドル/102.9円(2020年3月9日時点)で換算すると155兆8,653億8,310万円です。日本のEC市場のおよそ14倍に達します。

このように市場規模だけ見ても世界のEC市場と一線を画している中国ですが、最も注目すべきはEC市場におけるプレイヤーの違いです。世界のEC市場の常識とはまったく異なることを知っておく必要があるでしょう。日本や米国をはじめ、欧米諸国や発展途上国においても最大のシェアを獲得しているEC事業者といえばAmazonです。一方、中国EC市場におけるAmazonのシェアはわずか1%未満であり、中国独自のECモールが市場を寡占状態にしています。

<中国EC市場におけるシェア率>

  1. アリババグループ「天猫(Tmall)」52.5%
  2. 京東商城「JD.com」31.3%
  3. 唯品会「vip.com」5.7%
  4. 蘇寧易購「Suning」3.7%
  5. 国美在線「Gome」1.2%

このことから中国でECを実践するために、他国と同様にまずはAmazonからというようなストーリーは成り立たないことに注意が必要になります。

モバイル経由の流通量が圧倒的

非常に巨大なEC市場を支えているのがモバイル経由での流通です。中国の小売業界にとっての最大の販売機会は、11月11日に開催される大セールです。中国では「光棍節(こうこんせつ)」といって、日付の1が並ぶことから「独身の日」という意味合いが広がっています。もともとは1993年に南京大学の学生たちが始めた記念日でしたが、メディアを通じて一般の人にも広がり、若者が集まってパーティを開くなどの日として発展しています。

中国EC大手のアリババグループはこの日を「双十一(ダブルイレブン)」と策定して双十一セールを開催し、多くのEC事業者が同様にセールを開催しています。2018年における総十一セールの流通総額は3,143億元であり、日本円に換算すると約5兆1,860億円(調査時点)という圧倒的な流通額を誇ります。短期間のセールの中で、日本の年間EC流通額の約5倍にあたるのです。

さらに驚くべき事実は、モバイル端末経由の流通総額が2,942億元(約4兆8,543億円)ということです。これは全体の93.6%を占めており、中国市場においてモバイル経由の流通がいかに重要かが分かります。

このため、中国EC市場を視野に入れたEC事業では、モバイル端末を想定した施策が欠かせません。ちなみにモバイル流通額が圧倒的に多い理由は、中国における主流決済サービスがモバイル中心のものだからであり、アリババグループが提供している「アリペイ」や、「テンセント」「ウィーチャットペイ」などが代表的な決済サービスになります。日本のようにクレジットカードは普及していないので、モバイル決済への対応も必須と言えます。

インフルエンサーマーケティングに注目!

では、日本企業が中国EC市場において自社製品を効率的に認知拡大し、より多くのターゲットへ情報を届けるためにはどうすればよいのでしょうか?中国では日本同様にアフィリエイト広告やECモール内のバナー広告、リスティング広告などが使われています。

※中国国内ではGoogleやYahoo!といった世界で主流の検索エンジンが規制されており、検索エンジンシェアの9割以上が「百度(バイドゥ)」が所持しています

昨今の中国において活発になっているマーケティング方法が、SNSやライブ配信アプリを活用した「インフルエンサーマーケティング」です。インフルエンサーとは特定の分野において影響力と情報発信力の強い人物を意味し、日本では有名YouTuberの「HIKAKIN」や「はじめしゃちょー」などが該当します(インフルエンサーパワーランキング2019年において7位と6位)。

中国ではインフルエンサーのことを「KOL(Key Opinion Leader)」や「網紅(ワンホン)」などと呼びます。インフルエンサーの中には1回のライブ配信で数億円を売り上げるインフルエンサーも存在し、マーケティン施策として大変有効です。

中国ECモールへの出店には現地法人設立が必須

日本、中国、米国の3国間にけるEC市場規模は中国が3兆2,623億円でトップ、米国が1兆3,921億円で続き、最後に日本が2,765億円となっています。これが2020年には中国5兆3,456億円、米国2兆3,531億円、日本3,154億円に成長する見込みです。さらに中国における日本経由のEC市場規模は2兆5,144億円に達すると予測されているので、日本企業が今後中国EC市場に進出する利点は大いにあります。

ただし注意していただきたいのは、中国の大手ECモールである天猫(Tmall)やJD.comは、中国に法人を持たない企業の出店を認めていないことです。このため、日本企業の多くは越境EC専門のECモールに出店する必要があり、「天猫国際(Tmall Global)」「JD.worldwide」「Kaola.com」などがあげられます。

信頼のおけるパートナーを選ぶことが中国EC事業成功のポイント

最後に、日本企業が中国EC事業において成功のカギを握るのは、信頼のおける現地パートナーの存在です。特に現地法人を設立して中国国内向けの大手ECモールへ出店するには、パートナー選定から慎重に行わなくてはいけません。中国EC事業を検討されている方は、本記事のポイントを含め中国市場の調査を十分に行った上で、戦略的案な越境EC事業を進めていきましょう。

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