今日、製造業においてIoT(Internet of Things/物のインターネット)を採用し、自社設備やシステムを接続することで多くの恩恵があることに注目が集まっています。IoTによりメーカーは工場などの非稼働時間を最小化し、働き方を変え、コストを削減することが可能になります。多くの企業においてフィールドサービス部門では設備・機器の可用性を最大限確保し、かつ材料費と人件費の無駄を徹底的に排除しなければならないという課題に直面しています。Afterコロナ時代では非接触型のサポートが重要視されていくとも考えられ、IoTによる「リモート モニタリング」の重要性が叫ばれています。
製造業のサービス向上のために、なぜリモート モニタリングが最適なのか?本記事では モニタリングによりビジネスを成長させた具体的な事例をもとに、その理由をご紹介します。
リモート モニタリングが最適である4つの理由
理由1. 利益拡大効果が高い
製造業におけるIoT活用として広がっているのが、設備・機器にセンサーを設置しリアルタイムなデータ収集と分析を通じて、動作状況を遠隔で確認するというソリューションです。IoTを活用したリモート モニタリングにより、フィールドサービスエンジニアは次のようなことが可能になります。
- 設備・機器に大事故が発生する前に問題をリモートで察知する
- リモートで解決できる問題へ素早く対応し、現場への訪問を不要とする
- リアルタイム モニタリングによって設備・機器の非稼働時間を減少する
- エンジニアが顧客先へ向かっている途中でリモート診断を実施することで、現場における対応時間を削減する
- 問題の根本原因を事前に知ることで、初回訪問時での問題修正率を高める
これらが可能になることで、フィールドサービスにかかるコストを大幅に削減し、相対的に利益を増大させることに成功します。がん治療用の放射線治療システムなどを販売するバリアン メディカル システムズ社では、リモートモニタリングによって設備・機器の平均修理時間を50%短縮しています。その結果、サービスコストが減少しソフトウェアサービス契約の更新による収益増に成功しています。
理由2. サービタイゼーションなどのイノベーション促進
リモート モニタリングの導入により、製造業ではこれまでにないサービス事業を展開することが可能になります。現在、製造業の収益の30%以上は製品販売ではなくサービス業務から成り立っていると言われています。この傾向をさらに加速させ、収益最大化に向けた取り組みが「サービタイゼーション」です。
つまりは、従来は単なるアフターサービスとして提供してきたフィールドサービスなどからマネタイズ(収益化)できる仕組みを整えることで、大きなイノベーションを促進できます。世界で初めてプロッター及び自動裁断機を開発したガーバー テクノロジー社は、特定の自動裁断機にIoTを活用したことで、リモートからの製品監視と予測メンテナンスのためのサービス「ガーバー コネクト」を提供し、40,000製品以上のリモート モニタリングで新しい収益源を確保しています。
さらに、総合印刷関連企業としてブローバルに事業展開を行なっているハイデルベルグ社では、スマート コネクテッド カスタマーサービスを中心としてプロセスを取り入れ、顧客の新しいサービスへの積極的な関与を実現しています。
理由3. コネクテッド プロダクツの入り口として
IoTを含むデジタルテクノロジーに搭載による飛躍が期待されている製造業において、リモート モニタリングは最も基礎的な仕組みだといえます。今後、多くの製造業がIoTによりあらゆる製品・設備・機器を接続し、巨大なデータプラットフォームにてAI(Artificial Intelligence/人工知能)を使ったダイナミックなデータ分析が必要とされます。
リモート モニタリングはつまり、そうしたコネクテッド プロダクツの入り口のような技術です。リモート モニタリングによるIoT変革を始めることで、次世代のデジタルテクノロジー活用に向けた取り組みをスタートできます。
ATM機器の販売・設置・保守などのトータルビジネスを展開するディーボールド社は、故障発生時のATM問題診断と、一部において技術者の派遣不要での問題修正を実現するにたり、ATM機器のリモート モニタリングから着手しました。その結果、サービス関連問題の17%をリモートで解決し、平均修理時間を83%短縮させ、ATMの非稼働時間を15%削減することに成功しています。
さらに、放射線治療の世界的プロバイダーのエレクタ社は、リモート モニタリングによって機器を監視することでデータを自動的に収集し、潜在的な問題を特定して医師に知らせることで機器のシャットダウン前に問題を解決しています。
理由4. ROI達成によるさらなるビジネスの成長
リモート モニタリングを早期に導入した製造業の多くがROI(Return of Investment/投資対効果)の達成に確信を持っています。
垂直および傾斜の車椅子用リフト、住宅用エレベーター、ダムウェイター等の製品を欧米中心に展開するマッキンリー エレベーター社では、業界平均の60%よりも28ポイント高い、88%という初回修理完了率を達成し、最終的には90%半ばに達する見通しです。
溶接製品、アーク溶接装置、溶接消耗品等のグローバルメーカーであるリンカーン エレクトリック社は、必要な部品をフィールドサービスエンジニアへ自動対応的に届けることにより、サービスコストを120万ドル(1億3,000万円弱)削減し、部品による収益を200万ドル(2億5,000万円弱)増大させています。
さらに、バリアン メディカル システムズ社のIoT対応リモート モニタリングシステムは1,500以上の医療センターに導入され、これにより技術者の訪問回数は42%削減しています。医療施設では不要になった現場修理1件あたり2,000ドル(25万円弱)の節約効果を実現しています。
PTCのリモート モニタリング ソリューション
いかがでしょうか?IoTによってリモート モニタリングを導入する価値は、すでに多くの先進企業が実証しています。そして、ここまでご紹介した各企業のリモート モニタリングは全て、PTCが提供するリモート モニタリング ソリューションによって実現しました。
PTCではMicrosoft Azure IoTを基盤にしながらDynamics 365とのコネクターを用意するなど、全ての製造業でIoT活用によるリモート モニタリングを可能にし、コネクテッド プロダクツ、スマートファクトリーなど製品や向上の自動化を目指すためのソリューションを用意しています。
これを可能にするのが産業用IoT(IIoT)ソリューションの「ThingWorx IIoT プラットフォーム」です。ThingWorxにはIoT活用及び製造業のデジタルトランスフォーメーションにかかせない全ての機能が揃っています。
まずは大規模なIoT化の第一歩として、リモート モニタリングの導入をぜひご検討ください。