品質検査は製品の品質管理のために行われるもので、欠かすことができない工程ですが、検査のトレーサビリティに関する課題を抱える企業は多いです。そこで、本記事では品質検査業務の概要や課題について解説した上で、課題を抱える企業に向けておすすめのソリューションをご紹介します。
製造業における品質検査業務とは
品質検査は、企業が安定的・継続的に活動していくために非常に大きな役割を果たします。この検査を行わず、生産即販売した場合、不良品を流通させてしまうリスクを抱えることになり、取引先・消費者からの信頼を失うことにつながりかねません。また、当該製品の利用者の安全を図る上でも、実質的に欠かすことができないとものだといえるでしょう。
特に製造業においては、「品質検査」にも2つのタイプがあります。それぞれの特徴について簡単に説明します。
1つは「外観検査」です。生産した製品の表面、外観をチェックする検査です。筐体にへこみやキズがないかどうか、ホコリなどの汚れが付着してはいないか、といった外観不良の有無を見るのです。日本においては機能性のみならず、見た目のレベルも消費者の関心事項です。雑な製造物に対する抵抗が強く、優れた製品であっても汚れがあるだけで強い悪印象を与えてしまいます。その結果、売上にも響いてくるため、外観検査が非常に重要となるのです。
もう1つは「機能検査」です。生産した製品や部品が、仕様通りに動作するかどうかをチェックする検査のことです。本質的にはこちらの機能検査が最重要といえるでしょう。外観だけしっかりしていても、機能性が十分でなければ利用者のニーズを満たすことができず、意味がありません。特に、メーカー向けに作る製造装置など、精密機械を製造している企業であればこの機能検査の重要度はさらに高くなり、通常であれば検査フローがしっかりと定められています。検査が行き届いていないことで、製造物によっては人命にかかわることもあるからです。ただ、あらゆる企業が適切に品質検査を実施できているわけではありません。たとえば、まだまだ紙媒体を使って検査関連業務を進めている企業も多く、後述するようにトレーサビリティに問題を抱えているケースも珍しくありません。
製造業が抱える品質検査のトレーサビリティに関する課題
品質検査は顧客、および世間一般との信頼関係構築のためにも重要であり、単に実施すれば良いというものではありません。そこで、その実効性を高めるためにも、トレーサビリティに着目することが大事です。これは「追跡可能性」とも訳されるように、何が・どこで・どのように行われているのかを把握することを示します。以下では品質検査におけるトレーサビリティに関する課題を確認します。
適切な作業が適切な時間に実施されたかわからない
品質検査をしなくても製造自体は可能です。しかし、企業は時間や人的コストを割いてこれを実施しているのであり、その効果を活かすためにも、検査に関する事項が適切に管理されていなければなりません。
せっかく検査をしたのに、詳細が把握できておらず、相手方に検査の妥当性・真実性を示せなければ、企業は無駄な労力・コストを割いたことになるだけでなく、信用を失い、将来的に大きな損失を出すことにもつながりかねません。
そこで、いつ実施されたのか、誰が実施したのか、などを監視できる体制を整えなければなりません。しかし、この監視体制が整備されておらず、ただ漠然と流れ作業で品質検査を実施してしまっている企業も少なくありません。
修理完了後の顧客サインの真実性
品質検査は製造時点のみに行われるものではありません。長期的に使用する設備・機器等であれば故障に伴いメーカーの点検を受けることがありますので、メーカーはその修理時に再び品質検査を行うことがあります
この場合、修理完了後、トラブルを防止するためにも顧客によるサインを求めるケースがあります。何が原因で故障が起こったのか、今回どのような修理をしたのか、品質のチェックをした結果現状どの部分がどのような状態にあるのか、といった各種情報を顧客に確認してもらうのです。
しかし、その顧客のサインには真実性が担保されていなければなりません。本当に顧客先で記入されたものかどうかわからなければ、それこそ大きなトラブルに発展する可能性があるからです。
この点をしっかりと判別できなければ、企業の社会的信用を落としかねませんし、最悪、業務が続けられなくなるおそれもあります。
報告写真の真実性
サインが真実でない可能性があるのと同様に、報告写真の真実性の問題もあります。品質検査において製造過程や修理過程の報告写真を撮影したものの、その写真が容易に捏造できる状況のものであっては品質検査を行う意味合いが薄れてしまいます。
検査を行ったにもかかわらず、相手方が検査品質に不安を残しており、メーカーに対して不信感を抱くようではその後の継続的な取引は期待できません。そこで、報告写真に関して偽造ができない管理体制を整え、添付した写真は真実であるというアピールする必要があります。
i-Reporterで品質検査業務の効率化を実現
上記トレーサビリティに関する課題を解決する手段の一つとして、業務の電子化が挙げられます。検査結果やその他様々な報告、情報共有を電子化しておくことで、容易な改ざん・書き換えを防げます。
誰がどの入力をいつしたのか、といったことも、業務を電子化させておくことで何か問題が生じた時に調査しやすくなります。また転記作業の負担を軽減し、ミスが減らせるなどの利点も得られます。
株式会社シムトップスが開発する帳票管理システム「i-Reporter」を導入すると、こういった電子化の利点を享受でき、集計作業の自動化により、社内で運用している他システムへの再入力なども省略できます。
結果として、品質検査や関連する周辺業務の効率も高められ、検査にかかる負担を軽減させられます。これまで紙媒体を多く使用してきた企業は、これを機に「i-Reporter」を導入して、品質検査関連業務の電子化を図りましょう。
まとめ
品質検査は製造業において極めて重要な工程です。品質を担保し、相手方に信用してもらうためには欠かすことができません。しかし、検査結果を紙媒体で処理していてはトレーサビリティ上の課題を解決できず、信頼性を欠きます。そこで「i-Reporter」を活用し、業務の電子化を図りましょう。信頼性を向上させられるだけでなく、作業効率も上げることができ、生産性向上につながります。