海外ビジネスを成功させるには何がポイントなのでしょうか。海外進出により、ビジネスチャンスを拡大できるのは魅力ですが、国内ビジネスとはさまざまな部分で違いがあります。今後海外ビジネスに乗り出したいと考えている企業経営者、担当者へ向けて、成功へ導くアイデアやポイントを解説します。
グローバル化による海外進出企業の増加
海外ビジネスへの取り組みは、大企業はもちろんのこと、近年では中小企業も積極的に海外事業へ乗り出しおり、今後ますますその数は増加すると考えられます。
海外ビジネスに取り組むメリットは多々あります。例えば、新たな市場の開拓や販売ネットワークの構築、生産コストの削減などが、まずは挙げられるでしょう。しかしそれら利点を承知しつつも、言語や生活習慣、文化など、さまざまな壁があるため、容易に海外進出へ踏み切れない企業も多く存在します。
ただ現在はインターネットが普及し、高性能な翻訳ソフトも開発されたことで、海外進出へのハードルが下がりました。事前の情報収集や現地スタッフの雇用など、従来よりも海外にビジネスを展開しやすい環境が整ったことで、これからも海外進出企業が増えていくと予想されます。
国内市場と海外市場の比較
少子高齢化が著しい日本では、国内の市場は縮小していると言われています。総人口や労働人口について、減少が懸念されているのです。一方、海外に目を向けると、人口(労働力)が増加し、目覚ましい経済成長を遂げている国がたくさんあります。
縮小の一途をたどる日本市場に比べ、海外市場には希望と可能性が広がっています。だからこそ、多くの企業が海外に目を向けています。
海外ビジネスを成功させるには、入念な情報収集と理解が必要です。特に現地の状況や生活習慣、文化、宗教観などは国によってそれぞれ異なります。「どういった違いがあるのか、どのような特徴があるのか」というマーケティングリサーチが欠かせません。また、著しく経済発展を続ける国は市場として魅力的ですが、それに伴う人件費高騰や物価上昇率も考慮する必要があります。
海外ビジネスのアイデア
入念な準備なしに海外進出してしまうと、思わぬ失敗をしてしまう恐れがあります。海外進出がしやすいビジネスとそうでないものもあるので、注意しなくてはいけません。どのようなビジネスが海外進出しやすいのでしょうか。
デジタルマーケティング事業
デジタルマーケティングは、SNSやビッグデータ、デジタルサイネージなど、さまざまなチャネルを用いて展開するマーケティング手法です。これは、スマートフォンをはじめとしたさまざまなデバイスが普及した現代だからこそ注目されているマーケティングであり、海外進出を考えるなら欠かせない要素となるでしょう。
しかし、SNSマーケティングやビッグデータの有効活用などのデジタルマーケティングに取り組みたくても、自社にノウハウがなく実行に移せない企業は少なくありません。このような企業に代わり、施策や運用を代行する事業には高い需要が見込めます。
デジタルマーケティングであれば、オンラインを通じてビジネスを展開できます。現地のリサーチは必須ですが、業務のほとんどを国内で行えるのは、大きな魅力と言えるでしょう。
人材支援事業
海外向けの人材支援事業も、比較的取り組みやすい事業と言えます。外国人の人材支援となると、担当者には豊富な知識と高度な語学力が求められますが、近年ではAIを用いた人材支援サービスも登場しています。
AIが条件に応じた最適な人材を選出し人材育成までしてくれるため、担当者の負担を大きく軽減させられます。また、近年では高性能な翻訳ソフトもリリースされているため、AIを用いたサービスを利用せずとも、海外向けの人材支援事業に取り組むことは可能です。
DtoCモデルの事業
DtoCとは、Direct to Consumerのことで、消費者に直接商品やサービスを提供するビジネスモデルです。DtoCのビジネスモデルなら、BtoCやBtoBに比べて海外進出のハードルが低いためおすすめです。
従来のビジネスモデルでは、その国の流通企業や卸売企業とのパイプが必要でした。しかし、ECサイトを中心に一般消費者に直接モノやサービスを提供するDtoCなら、パイプが必要ありません。インターネットを介して消費者へ直接サービスを提供できる環境が整っているため、その国の小売店や卸売業者・流通企業と契約しなくても事業展開は可能となっているのです。
海外ビジネスで注意すべきポイント
海外ビジネスに取り組むうえでは、いくつか覚えておくべき注意点があります。取り組みを始めてすぐ挫折しないよう、注意すべきポイントをきちんと押さえておきましょう。
技術や知的財産の流出
技術や知的財産の流出は、企業にとって大きな痛手です。特殊な技術やノウハウが流出してしまうと、自社の優位性が崩れてしまい、今後その国で成功できなくなる恐れもあります。
このような事態を回避するため、セキュリティ面の強化が必要です。海外では、日本の法律は適用されません。日本で特許権を取得していても海外では通用しません。技術や知的財産を奪われても、対抗できない場合があるため、自己防衛をしなくてはなりません。
特に、オンライン中心でビジネスを展開するのなら、強固なセキュリティ環境を構築しましょう。近年のサイバー攻撃はますます巧妙化しているため、隙のないゼロトラストベースのセキュリティ環境が求められます。
また、現地における情報管理や資料の持ち出しに関するルールづくりなど、万全なセキュリティ体制を構築しましょう。
経済情勢の変動
海外の国によっては、経済情勢が大きく変動する恐れもあるため、注意してください。「突如人件費が高騰する」「政情が不安定化して労働デモが発生する」「宗教紛争が勃発する」といった事態も考えられます。
平和な日本と違い、海外には常に紛争の火種が転がっている国も少なくありません。もし大規模な紛争などが勃発それば、現地の従業員はもちろん、自社から派遣しているスタッフにも危険が及ぶ恐れすらあります。
このような事態を回避するには、事前の入念な情報収集が欠かせません。ビジネスを展開する前に、さまざまなネットワークを駆使して情報を収集し現地の状況を理解することが大事です。
もちろん、情報収集を入念に行っても、人件費の高騰やデモ、紛争といった危機に直面する恐れはありますが、きちんと情報収集を行ったり対応策をあらかじめ決めておいたりすることで、被害を最小限にくいとどめられるでしょう。
外資規制
海外ビジネスを展開しようと考えている企業は、外資規制に注意しなくてはいけません。外資に対する規制は国によって定められているため、必ず事前に確認しましょう。
外資規制を確認せずにビジネスを展開してしまうと、その国の罰則が適用される場合もあります。そうなれば今後、その国では事業継続できなくなるかもしれないので、注意しましょう。
米国や中国などの大国だけでなく、タイやインドネシア、シンガポールなど東南アジアの国々は、外資規制が多いため注意してください。
外資規制は、世界情勢によっても変動します。そのため「該当国の現時点での外資規制がどうなっているのか」について、最新情報の収集を怠らないようにしましょう。
ERPにより海外進出をスムーズに
ERPの導入も視野に入れてみましょう。ERPは、Enterprise Resources Planningの略で、日本では基幹系情報システムと呼ばれます。
さまざまなデータの一元管理や、経営状況の可視化を行えるのが、ERPのメリットです。1つのプラットフォームで情報を管理できるため、海外に拠点を展開する際に役立ちます。情報はリアルタイムで更新されるため、海外拠点の状況も即座に把握でき、速やかな経営判断も下せるでしょう。また、多言語や複数会計制度、現地通貨に対応しているERPであれば、今まで以上に迅速でミスのない展開が可能です。
近年のERPには、情報の暗号化が可能なツールもあり、セキュリティ強化にも役立ちます。海外の国とさまざまな情報のやり取りを行う場合でも安心です。
まとめ
海外進出を成功させるには、自社が何を目的に海外へビジネスを展開するのかを明確にし、そのうえでその国に関する情報を収集することが大切です。技術や知的財産の流出、経済情勢の変動、外資規制などのリスクがあることも理解しておきましょう。本格的に海外進出を考えているのなら、ERPの導入も併せて検討するとよいでしょう。