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小売業IT活用事例:マクドナルドの次世代店舗と顧客を追跡の手法とは?

大手ハンバーガーチェーンのマクドナルドは、ITとデジタルを活用して次々と革新的なサービスを導入しています。その一環として、2019年には巨大IT企業を買収しました。

日本においても、より快適な店舗体験を提案する「次世代店舗」の導入を進めています。マクドナルドが進めるデジタル化とはどのようなものなのでしょうか。

小売業IT活用事例:マクドナルドの次世代店舗と顧客を追跡の手法とは?

小売業におけるAI活用の最新グローバルトレンドは?

未来店舗体験を加速するマクドナルドの取り組み

今や知らない人はいないマクドナルド。全世界に36,000以上のハンバーガー・レストランを展開するグローバルカンパニーです。日本国内では、1971年(昭和46年)7月20日に、第1号店である銀座店を銀座三越店内に開店してから、今では約3,000の店舗を展開しています。「1億2000万人の食の機会に期待を超える新たな満足を生み出すビジネスを展開する」ことをモットーに、日本人の食と生活をより豊かにするビジネスを展開しています。

モバイルオーダーへの対応で列に並ばず購入可能

日本マクドナルドでは、2019年4月より静岡県内の一部店舗で「モバイルオーダー」を導入しました。モバイルオーダーとは、来店前にスマホアプリで商品を注文し、来店時にアプリ上でキャッシュレス決済を行うだけで、できたての商品をピックアップできるというサービスです。店舗で列に並ばず商品を受け取ることができる便利なサービスであり、支払いもキャッシュレス決済のみに対応しています。

テーブルデリバリーで席を立つこともなくなる?

また店内で食べる場合は、カウンターで商品を受け取る方法の他に、スタッフが席まで商品を持ってきてくれる「テーブルデリバリー」というサービスも加わりました。

これら2つのサービスを組み合わせれば、レジに並ぶことも、席を立つことすらも不要。従来のファストフード店では考えられなかったサービスです。

次世代の店舗を実現するためのテクノロジー活用を徹底

日本マクドナルドでは、こうした次世代型サービスを「未来型店舗体験」と呼び、全国での導入を目指しています。

また米マクドナルドは2019年3月25日、AI(人工知能)を利用して顧客別にパーソナライゼーション(個人化)を提供するスタートアップ企業「ダイナミック・イールド(Dynamic Yield)」を買収しました。

買収額は3億ドル(約330億円)とも言われており、同社にとってここ20年間で最大規模の買収となりました。

マクドナルドはダイナミック・イールドが有する技術を活用して、ドライブスルーのメニューを時間帯や天候、店の混み具合、メニューのトレンドなどに合わせてカスタム化する狙いです。

また顧客がオーダーを始めると、その選択に基づいて追加メニューを提案します。マクドナルドは2018年に米国内の数店舗でこのやり方のテストをしており、今後は国際展開も計画しています。

さらに同年9月10日には、多言語での音声注文を可能とする会話エージェントを開発するスタートアップ企業「アプレンテ(Apprente)」の買収を発表しました。「より早く、より簡単に、より正確にオーダーをとる」とされている音声ドライブスルーの開発を進めています。

世界的なデジタル化の波に対応すべく、マクドナルドはこうした大規模な投資を進めています。マクドナルドのIT化は、今後グローバルレベルでますます進んでいくでしょう。

マクドナルドが抱えていた課題

ITを活用したマーケティングの成功事例として、マクドナルド・スウェーデンの事例があります。

マクドナルド・スウェーデンでは、顧客のニーズに合ったコンテンツを毎日配信できるブランドアプリを開発しました。新商品のマーケティングキャンペーンをはじめ、売上と客数を向上させるクーポンなどを配信します。このアプリを足がかりとして、「顧客との関係をさらに強めたい」という思いがありました。

実施内容

「Microsoft Azure」のクラウドプラットフォームをベースとして、「Plexure」(コンテクスト分析プラットフォーム)の分析および洞察システムを追加しました。具体的には次のような機能が追加されました。

  • アプリの登録に使用される個人IDを使用し、Microsoftのデジタルプラットフォームを通して顧客を追跡
  • 顧客の嗜好、お気に入りの店舗、クーポン引き換え履歴といった情報を収集・分析することにより、ターゲットを絞ったマーケティングメッセージを作成

IT活用で得たメリット

Microsoft Azureのクラウドプラットフォームを活用したことにより、次のような成果が得られました。

ユーザー数の向上

5カ国(スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、イギリス) の数百万人のユーザーにサービスを提供し、人口の10%に相当する人々がアプリをダウンロードました。結果として、より多くの顧客にアプローチすることに成功しました。

ブランドロイヤルティの向上

顧客一人一人のメニューの参照傾向などに基づき、購入傾向に合ったクーポンや新商品のメッセージなどを配信しました。その結果、ターゲットを絞ったオファーの引き換え率が700%も増加しました。

プロモーション効果の向上

顧客情報に沿ったパーソナルなコンテンツを提供することで、アプリの利用を継続するユーザーが増えました。クーポンを使用する顧客の購買額は47%まで増加しています。

導入製品とサービス

Microsoft Azureは、最先端のテクノロジーと圧倒的な導入実績を持つ信頼性の高いクラウドサービスです。

PaaSとIaaSの両方をサポートしており、新機能・新サービスが続々と追加されています。シアトル発コーヒーチェーン店のスターバックスも、Microsoft Azureのプラットフォームを利用して強化学習を用いたAI技術、IoT技術等を活用しています。

Microsoft Azureの主なサービスには次のようなものがあります。

AI+機械学習

AI(人工知能)を活用して画像解析や音声認識、自然な対話、各種データを使った未来予測を行います。最先端の機械学習機能を利用することで、機械学習モデルの構築や各種トレーニング、デプロイが容易になります。

ナレッジマイニングでは、様々なコンテンツから情報を引き出せる検索サービス「Azure Search」を活用し、ドキュメントや画像などの情報を簡単に見つけることができます。

また、AIアプリを活用することで様々なサービスから構築したAIモデルにアプローチすることができ、各サービスがAIを活用してあらゆる用途に展開することができます。

DevOps

DevOpsを利用することで、クラウドアプリやモバイルアプリのビルド、リリース、テスト、監視などが容易になります。

自社に合わせて多様な開発が行えるのがDevOpsの特徴であり、幅広い製品がラインナップされています。

ID管理とアクセス管理

ユーザーのID とアクセス権を管理し、デバイス、データ、アプリ、インフラを悪意のある攻撃から守る機能を持っています。

データベース

Microsoft Azureのデータベースは世界中に多重分散管理されており、いつでもどこからでも必要なデータを引き出すことができます。

フルマネージドサービスであり高い可用性を持つことから、ダウンタイムなどに苛まれることなく安定的に利用することができます。

コンピューティング

コンピューティングにおいては、アプリの利用に必要となるインフラを、必要に応じて必要なだけのリソースが手に入ります。WindowsとLinuxの仮想マシンをデプロイして移行させるハイブリッド環境を利用するなど、幅広い用途に対応しています。

まとめ

Microsoft Azureのプラットフォームを活用する企業は日本でも増えつつあります。デジタルマーケディングを上手に活用すれば、顧客との関係を強化し、従業員の生産性も向上させることができます。

従来のビジネスモデルを刷新し、競合他社を一歩リードするヒントとなりえるかもしれません。

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