製造業

製造業のベンチャー企業が熱い!ものづくり大国ニッポンの新たな力

ベンチャー企業の強みと言えば、柔軟な発想力とスピードを活かして革新的な商品を世に打ち出せることです。そして今、製造業における「ものづくりベンチャー企業」が大注目を集めています。本稿ではそんなものづくりベンチャー企業についてご紹介致します。

製造業のベンチャー企業が熱い!ものづくり大国ニッポンの新たな力

Factory of the Future

ものづくりベンチャー企業の躍進

2019年5月、社会的にインパクトのある新事業を創出したベンチャー企業を表彰する経済産業省の「第5回 日本ベンチャー大賞」が発表されました。

日本ベンチャー大賞は、インパクトのある新事業を創出した起業家やベンチャー企業を表彰し称えることにより、起業を志す人々や社会に対し、積極的に挑戦することの重要性や起業家一般の社会的な評価を浸透させ、社会全体の起業に対する意識の高揚を図ることを目的としています。

今回、開催された第5回では、全国から寄せられた144件の応募のなかから、内閣総理大臣賞(日本ベンチャー大賞)1件、経済産業大臣賞2件、農林水産大臣賞1件、審査委員会特別賞2件を選出されました。参加企業の50%以上がITサービス関連のベンチャーという中で、それ以外の業種においては15%が製造業とものづくりベンチャーも多いということが特徴の一つです。ちなみに製造業の次は、農林水産、教育、バイオ、フィンテック、シェアリングエコノミーと続きます。

専用のハードウェアやビジョンを達成するためのサービスにも力を入れるベンチャーの躍進

今まで、ベンチャー企業が手がける事業の多くは、何らかの社会的な課題やニーズを出発点にインターネット関連サービスやソフトウ ェアを開発する事業が多くを占めていました。これらのソフトウェアやサービスは、既存のエンドポイントデバイス(PCやスマートフォン)を主体としたものが多かった傾向があります。しかし、それだけでは企業や個人のニーズに対応できないことも多く、近年の傾向として、専用のハードウェアとソフトウェア技術を組み合わせた製品やサービスを提供するものづくりベンチャー企業が躍進してきている特徴があります。

例えば、「第5回 日本ベンチャー大賞」において審査委員会特別賞を受賞したWHILL株式会社は、「すべての人の移動を楽しくスマートにする」をミッションとして、新しい移動のスタイルを生み出しています。同社はパーソナルモビリティとMaaSを事業の柱としておりパーソナルモビリティ事業では次世代車椅子 WHILLの開発を行なっています。また、MaaS事業では、歩行困難者が増加していることを受け、電車、車、バスなど既存の交通機関を降りた後の「ラストワンマイル」の移動の最適化を行うために自動運転・I oT機能を搭載したモビリティを空港や商業施設、公道などでシェアリング利用する「歩道領域のための新モビリティサービス」を提供しています。

このように最近では、真の課題解決のために必要なハードウェア、そして環境作りにも力を入れるものづくりベンチャーが躍進しようとしているのです。

ものづくりベンチャー企業への投資額と投資件数が加速

日本においても元気の良いベンチャー企業が加速する中、この傾向は世界的に見ても同様です。例えば、以下のグラフはベンチャーキャピタルによるものづくりベンチャーへの投資額と投資件数の推移をあわらしており世界的に拡大している様子がわかります。

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日本のものづくりベンチャー企業

この章ではいくつかのものづくりベンチャー企業をピックアップしてご紹介します。

ノバルス株式会社/スマート電池を使った新しい見守りサービス

会社名

ノバルス株式会社(Novars Inc.)

代表者

岡部顕宏

本社

東京都千代田区神田錦町1丁目21番地 大手町モダンビルディング3F 301

設立

2015年4月24日

資本金

2億2,400万円(準備金含む)

事業内容

IoTデバイス事業・IoTコンサルティング事業

すべての製造業にIoTによるビジネスチャンスを創出することをミッションとして、ワイヤレステクノロジーや省電力電源制御技術を生かしたIoT事業を展開しています。「MaBee(マビー)」と呼ばれる単三電池商品は、今使っている家電を買い替えることなく、IoT化して生活の利便性を高めるものです。「Mabee」を乾電池で動く電化製品にセットすると、スマートフォン専用アプリから操作可能になります。

たとえば、「Mabee」をテレビリモコンに設置することでテレビの電源オンオフを察知して、問題なく生活していることを通知として受け取れます。それ以外にも「Mabee」を設置できる家電製品ならばあらゆる電源のオンオフを察知できるので、特別な作業を必要とせず、両親や子供の見守りが行えます。

 

株式会社ロビット/人々が本当に必要としているプロダクトをつくる

会社名

株式会社ロビット

代表者

新井雅海

本社

〒174-0051 東京都板橋区小豆沢4-26-13

設立

2014年6月

資本金

 

事業内容

ロボット、精密機器、関連するハードウェア、部品及びソフトウェアの設計、製造、販売

自動で開け閉めができるカーテンの「monin’plus」。高齢化社会に伴う人手不足を補うための製品検査自動化システム「TESTRAY」。など、今世の中で必要とされているものを製造することをコンセプトに事業展開しています。

さまざまなイベントでの出展にも精力的であり、製造業のベンチャー企業の中でも注目度の高い企業です。メディアへの露出も多いので、知っている方も多いでしょう。

キャディ株式会社/加工技術を駆使した高コストパフォーマンス

会社名

キャディ株式会社

代表者

加藤勇士郎

本社

東京都墨田区東駒形2-22-9

設立

2017年11月

資本金

10.9億円(準備金含む)

事業内容

独自開発のハードウェアによるものづくり

設立からまだ3年未満ですが、業界から高い注目を集めているベンチャー企業です。独自開発した原価計算アルゴリズムを使った自動見積もりシステムの「CADDi」を運営しています。さらに、製造業向けの受発注プラットフォームである「CADDi」では、数量/材質/納期/塗装などの条件を入力すると最適な会社をマッチングしてくれるサービスです。

これを利用することで、従来よりも低価格で高品質な製品の発注が可能になり、発注先選定の手間を大幅に省けます。

株式会社クロスエフェクト/3Dプリンターを使った試作品製造

会社名

株式会社クロスエフェクト

代表者

竹田正俊

本社

京都府京都市伏見区南寝小屋町57番地

設立

2001年8月1日

資本金

1,000万円

事業内容

プロダクトデザインおよび樹脂筐体設計、CTスキャンサービス、3Dモデリングサービス、光造形による3D開発試作モデルの製作、真空注型品製作、その他新製品開発に係わるトータルサービス

3Dプリンターを使った試作品をスピーディに製造するベンチャー企業です。常に開発者の立場になり、想像以上に完成度の試作品を短時間で完成させることで、製造業の時間とコスト削減に寄与しています。

パナソニック・エボルタのオリジナルロボットを試作したベンチャー企業としても有名であり、自動車のホイールから医療機器まで、幅広い制作をスピーディに行います。

inaho 株式会社:AIを駆使した新しい農業のかたち

会社名

inaho 株式会社

代表者

菱木豊 大山宗哉

本社

神奈川県鎌倉市材木座4丁目10−14

設立

2017年1月17日

資本金

4,980万円(準備金含む)

事業内容

野菜収穫ロボットを中心とした農業生産プラットフォームの提供、AIを用いた事業開発、一次産業向けソリューションの提供

少子高齢化に伴い減少しつつある農業従事者の人手不足問題を解消すべく、テクノロジーで農業を変えることを目標に掲げているベンチャー企業です。ロボットにより農業作物の自動収穫を行い、人件費や時間等の削減に貢献しています。収穫ロボットは汎用性が高いため、製造コストも抑えられるのがメリットです。

さらに、収穫量に合わせた従量課金制を採用しているため、農業機器を購入するための高額資金を用意する必要はありません。AIを取り入れることで収穫時期の作物だけを選んで収穫します。

株式会社未来機械

会社名

株式会社未来機械

代表者

三宅徹

本社

岡山県倉敷市中央二丁目20-23

設立

2004年3月24日

資本金

3億円

事業内容

ロボット・メカトロニクス機器及びレーザ三次元センサの研究開発、製造・販売受託研究開発及び技術コンサルティング

ロボットで未来に起こる課題を解決することを目的として設立したベンチャー企業です。現在販売されているのが、太陽光発電のためのソーラーパネル掃除ロボットです。新しいエネルギー資源として実用段階に入っているソーラーパネルですが、乾燥地では砂が付着して発電効率が低下してしまいます。さらに、掃除のための水を確保するのも難しいため、掃除コストが高額になりがちです。

同社が開発した掃除ロボットは、水を使わないでブラシで掃除を行い、人が手作業で掃除をするよりも5分の1のコストに抑えられます。中東地域への輸出を盛んに行っており、今後は太陽光発電の需要の高まりに応じて、普及すると考えられます。

ニッポンの製造業に注目しよう!

日本国内の製造業は現在、さまざまな課題に直面しています。人手不足の解消に向けた対策、世界から遅れを取っているIT活用など、いずれも製造業の運命を決定づける課題ばかりです。

その中でも、ベンチャー企業が強く奮闘している姿を見ると「ニッポンの製造業はこれからだ!」という強い意志を感じることができます。また、そのベンチャー企業の多くはAIやIoTといったテクノロジーを駆使して世界に挑戦しているのです。今回は製造業におけるベンチャー企業についてご紹介しました。まだまだ、一部のご紹介でしたが、この記事を執筆していて日本のものづくりの未来への躍進を強く確信することができました。

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