IT技術の発展と共に、病院経営においてもあらゆるデータが活用できるようになってきました。しかし、多くの病院が自社に存在するデータを経営資源として活用できていない現状が課題となっています。そこで本記事では、病院経営におけるデータ分析の課題について触れつつ、病院経営データ分析のポイントについて詳しく解説していきます。
病院経営におけるデータ分析の課題とは
ICT(情報通信技術)の発展と共に、ビッグデータの活用やデジタル化への取り組みが社会的に進んでいます。これは病院経営においても無縁ではなく、豊富に蓄えた経営データや医療データをいかに積極的に活用していくかが医療業界全体の課題となっています。
データを効果的に利活用するためには、直観的に分かりやすいデータ整備やデータ分析が欠かせません。しかし多くの病院においては、データこそ豊富に蓄えてはいても、それぞれのシステムでばらばらにデータが管理されており、必要なときに速やかにデータを引き出せるようになっていないケースが散見されます。
これはデータを抽出し、可視化するシステム基盤の導入がなされていないことに原因があります。あるいは、システム基盤が導入されている場合でも、システムを使いこなせる人材が限られ、業務が属人化してしまっている場合もあるようです。
こうした課題を解決するためには、誰もが利用しやすいICT環境の整備と、病院ないしは医療業界全体のデータ活用に関する理解の底上げが重要となります。
病院経営におけるデータ分析の活用ポイント
病院経営者やそこで働く医療従事者にとって、データ分析はどのように役立つのでしょうか。続いては、役職に応じたデータ分析の活用ポイントについて解説していきます。
経営層向けデータ分析
経営層向けのデータ分析の用途は、病院経営に要するさまざまなコストに関する分析や診療リスクの分析など、多岐にわたります。その一部をあげると、たとえば診療材料費分析、クリニカルパスのバリアンス原因の調査、手術室利用の効率化、外来待ち時間調査など、医療サービスの改善や病院経営の効率化に役立つ分析が列挙できます。あるいは、病院職員の労働量調査などにもデータ分析は役立てられるでしょう。こうした分析は医療従事者の過重労働や、それによる医療事故のリスク回避のために役立ちます。
医師向けデータ分析
医師向けデータ分析には、新たな医療分野の研究や自医院の患者の属性分析など、病院が提供する医療サービスの向上を目的としたものが挙げられます。そもそも医療の分野では、昔から統計学が当たり前のように使われてきました。エビデンスを重視する医学とデータ分析の相性は非常に良いといえるでしょう。実際に、日本医師会の「日本の医療ビッグデータの利活用」という資料によれば、リアルタイムな医療ビッグデータの構築と活用が、慢性疾患をはじめとする診療に役立つと報告されています。
現在ではAIを用いた画像診断技術なども実用化されつつあり、医師ごと、地域ごとの医療格差がIT技術によって是正されていくことが期待されています。
看護師向けデータ分析
看護師向けデータ分析には、看護業務における労務面での改善と患者の状態を把握することで、患者へのサービス改善につながる分析が含まれます。具体的には、転倒転落率の分析やベッドコントロール、勤務実態調査などが挙げられます。このようなデータ分析を現場にフィードバックし、実際に改善していくことで、現場レベルでもデータ分析の有用性が実感できるようになるでしょう。
情報管理室向けデータ分析
診療情報を管理・収集する情報管理室においても、もちろんデータ分析は役立ちます。たとえば、電子カルテの分析のほか、入院患者一覧の情報分析や紙カルテの所在管理などにもデータは活用できるでしょう。情報管理室のデータ分析は主に、病院内で導入されている各種情報システムから閲覧できる情報を対象としたものです。とりわけ、電子カルテデータは、普及が進んでいくにつれ、その患者自身の治療だけでなく、類似した症状や治療履歴を持つ患者全体の分析のために役立つことが期待されます。
薬剤師向けデータ分析
薬剤師向けのデータ分析は、薬剤師の業務を効率化するための情報整理的な側面で利用されることが想定されます。たとえば、薬剤師は医師からの処方箋をもとに患者に薬剤を処方しますが、その際には患者の症状やアレルギーの有無、処方履歴などと照らして、その薬剤が適切かどうかチェックする必要があります。そこにおいて該当患者のデータ抽出が必要になるのは言うまでもありません。また、その他のデータ分析の用途としては、たとえば患者一覧の抽出や抗菌薬の多剤併用患者一覧の抽出なども挙げられます。
CLISTA!を活用したデータ分析で経営改善を実現
前項ではデータ分析がいかに病院経営や医療従事者のために活用されるかをご紹介しました。病院経営において求められるデータ分析の種類は多岐にわたりますが、こうした多様なニーズを十全に満たすデータ分析システムが次にご紹介する「CLISTA!」です。以下では、医療用データウェアハウス「CLISTA!」のシステム概要について解説していきます。
CLISTA!とは
CLISTA!は、病院で管理するあらゆるデータを集計・管理できるデータウェアハウスソフトです。病院は医事会計システムや電子カルテをはじめとして多様なシステムを利用していますが、CLISTA!はそうしたさまざまなシステム内に分散したあらゆるデータの集約、分析、「見える化」を実現します。
CLISTA!の検索機能を使えば、病院のあらゆるシステムを横断して必要な情報を簡単に抽出できます。CLISTA!は「科」、「病名」、「検査値」、「日付」など、多様な条件設定を使って絞り込み検索ができる上、カテゴリ別に情報を整理してくれるので、直観的な把握と操作が可能です。
この使いやすいユーザーインターフェースはデータ分析においても同様です。CLISTA!ではテンプレートを利用して統計分析を自由に簡単に行えるので、病院全体のあらゆる職種でデータの利活用が進められます。
「CLISTA!」はすでに130件以上もの導入実績を持っており、多くの病院においてデータの利活用に役立てられています。
CLISTA!が実現する課題系津
CLISTA!によるデータ分析は、病院における「経営」、「診療」、「研究」の各分野において優れた課題解決を可能にします。
経営に関して言えば、「病床稼働率統計」、「入退院患者数統計」、「地区別来院者数統計」、「看護職員の管理統計」など、病院運営におけるさまざまなデータを可視化し、経営分析や運営改善に役立てることができます。
診療への活用においても、「外来待ち時間統計」や「手術室利用統計」、「服薬指導実施率」、「術後感染率」、「転倒転落率」など、診療サービスの現状把握と今後の改善に役立つ統計分析を簡単に行えます。
さらに研究への活用法としては、「主病名別患者数統計」、「手術別患者数統計」、「輸血数の統計」、「検体検査数の統計」などに役立つでしょう。
このようにCLISTA!はシステム横断的なデータ管理と分析を簡単に可能にすることで、病院経営の現状把握と改善に大きな力を発揮します。
まとめ
経営層・医師・看護師・薬剤師など、ポジション別のデータ分析を効果的に行うことで、病院のKPIを改善することができます。それには、誰もが簡単に扱え、システム横断的にデータを管理したり分析したりできるツールが不可欠です。病院経営において積極的にデータの利活用を進める際には、ぜひ「CLISTA!」の導入をご検討ください。