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有名企業のSDGs取り組みとは|メリットやステップ、日本・海外の有名企業の事例を紹介

有名企業のSDGs取り組みとは|メリットやステップ、日本・海外の有名企業の事例を紹介

SDGsは全ての企業が取り組むべき重要な目標です。しかし、実際にどのように取り組めばよいか悩んでいる企業も多いのではないでしょうか。

本記事では、SDGsの概要から、企業が取り組む際のメリットや具体的な進め方、国内外企業の取り組み事例まで、詳しく解説します。また、企業がすぐに始められるSDGsの取り組み例も載せているので、ぜひ参考にしてください。

SDGsとは

SDGsとは

企業がSDGsに取り組むにあたり、まずはSDGsそのものが何を目指しているのかを理解することが大切です。ここでは、SDGsの基本的な概要や目標について見ていきましょう。

SDGs17の国際目標

SDGs(持続可能な開発目標)は、2030年までに持続可能でよりよい世界を実現するために、国連が掲げた17の国際目標です。2015年の国連サミットにおいて、全ての加盟国が合意した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中で掲げられました。

SDGs17の国際目標

出典:外務省

これら17の目標は、経済成長、社会的包摂、環境保護をバランスよく追求するために設定され、企業や個人に求められる取り組みの指針となっています。

例えば「貧困をなくそう(目標1)」は、全ての人々が最低限の生活を送れるよう、貧困に対するあらゆる形の根絶を目指すものです。こうした目標は、相互に関連し合いながら、全体として持続可能な社会の構築を目指しているのです。

169のターゲット

17の目標はスケールが大きく、それだけを見ても具体的なアクションを起こすのは難しいかもしれません。そこで、これら17種類の国際目標を実現するために、より細分化した行動目標として設定されているのが「169のターゲット(手段)」です。

例えば「貧困をなくそう(目標1)」には、以下の記載があります。

「2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる」
「2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、全ての年齢の男性、女性、子供の割合を半減させる」

引用:すべての企業が持続的に発展するために(環境省)

企業がSDGsに取り組む際には、まずこれらの目標とターゲットをよく理解し、自社の事業との関連性を見出すことが重要です。SDGsの目標を1つずつ掘り下げていくことで、自社がどの部分で貢献できるか、具体的な方向性が見えてくるでしょう。

SDGsのために企業がすぐにできることの例

SDGsには17種類もの目標があるため、企業ができることの種類もさまざまですが、比較的始めやすい取り組みとしては以下が挙げられます。

SDGs目標 企業がすぐにできる取り組み例
目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • オフィスの電力消費を見直す(LED照明の導入、不要な電力のカット)
  • 再生可能エネルギーの利用を増やす
目標8:働きがいも経済成長も
  • フレックスタイムやリモートワークの導入によるワークライフバランスの推進
  • 公平な評価制度やキャリアパスの整備
  • 働きやすい職場環境の整備(メンタルヘルスサポート、健康管理プログラムの導入)
目標12:つくる責任つかう責任
  • リサイクルやリユースの促進(廃棄物の削減、再利用可能な製品の使用)
目標13:気候変動に具体的な対策を
  • 二酸化炭素排出量の削減(通勤時の交通手段の見直し、カーボンオフセットの利用)

企業がSDGsに取り組むことで得られるメリット

企業がSDGsに取り組むことで得られるメリット

SDGsに取り組むことで、企業は経済的・社会的に多くのメリットを享受できます。ここからは、以下3つのメリットについて見ていきましょう。

  • 企業イメージが向上する
  • ビジネスチャンスが広がる
  • 事業活動の持続可能性の向上につながる

企業イメージが向上する

SDGsに取り組むことで得られるメリットの1つは、企業イメージの向上です。

SDGsが掲げる目標は、地球規模で解決すべき重要な課題であり、これらに積極的に取り組む企業は、社会的責任を果たす存在として高く評価される傾向にあります。こうした姿勢は、消費者や取引先からの信頼を得るだけでなく、企業イメージの向上にもつながります。

また、企業イメージが向上すれば従業員のモチベーション向上にもつながり、社会貢献に関心のある優秀な人材の採用にもプラスに働くため、企業の成長にとっても大きなメリットとなるでしょう。

ビジネスチャンスが広がる

SDGsは、貧困の撲滅、ジェンダー平等の推進、持続可能なエネルギーの確保、海洋資源の保全、気候変動への対策など、17の目標から成り立っています。これらは、世界が直面する重大な課題であり、その解決に向けた取り組みを進めることで、新たなビジネスチャンスを生み出せる可能性もあります。

例えば、SDGsを起点に、社会問題の解決を目指した新規事業の展開や他業種との協業など、さまざまな可能性を広げられるはずです。このように、売上だけでなく、社会課題の解決を事業の中心に据えることで、これまで想像し得なかったイノベーションや新たな市場の開拓が期待できるでしょう。

事業活動の持続可能性の向上につながる

企業がSDGsに取り組むことで、事業の持続可能性の向上につながることもメリットの1つです。SDGsに無関心な企業は、社会的課題に取り組む姿勢がないと見なされかねず、将来的にはサプライチェーンから外されたり、ステークホルダーや地域社会からの支持を失ったりするリスクも否定できません。

一方、SDGsに積極的に取り組んでいる企業は、社会や地域からの支持を得やすくなるため、持続可能な事業活動を継続するための基盤を固められます。

さらに、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資が注目を集めている現代において、SDGsへの取り組みは、資金調達の面でも有利に働き、企業の成長を支える要因となるでしょう。

企業がSDGsに取り組む際の5つのステップ

企業がSDGsに取り組む際の5つのステップ

SDGsに取り組む際、企業にとって参考になるガイドラインが「SDGコンパス(SDG Compass)」です。SDGコンパスには、SDGsをビジネス戦略にどのように組み込むべきかの手順が細かく記載されています。

以下では、このSDGコンパスにもとづき、企業がSDGsに取り組む際の具体的なプロセスを5つのステップに分けて解説します。

1.まずはSDGsを理解するところから始める

SDGsに取り組む際、まずはSDGsの全体像、ビジネスとの関わり、推進の方法、達成すべき目標についてしっかりと理解するところから始めましょう。これにより、なぜ企業がSDGsに取り組むことが重要なのか、自社の事業がどのようにSDGsに貢献できるのかが見えてきます。

また、企業がSDGsに取り組むことで得られるメリットも確認しておきましょう。SDGs経営は、企業価値の向上に寄与するだけでなく、新しいビジネスチャンスを生み出し、ステークホルダーとの関係強化にもつながります。こうしたポイントについては、SDGコンパスにも詳しく記載されているので、しっかりと読み込み、SDGsへの理解を深めることが大切です。

2.SDGsへの優先課題を決定する

SDGsへの理解が深まったら、次に自社が優先して取り組むべき課題を特定します。SDGsには17の目標がありますが、それら全てが自社に直接関連するとは限りません。また、これらの課題に取り組むには多大な時間と労力が求められるため、まずは自社の事業と関連性の強い目標に焦点を当てることが重要です。

自社の事業活動を振り返り、どの部分でSDGsの目標に貢献できるかを洗い出し、優先すべき課題を明確にしましょう。

さらに、事業領域に加えて、取引先や消費者にとっても価値ある目標に取り組むことがポイントです。こうした活動は、社会貢献性の高い取り組みとして企業のブランディングにもつながります。

3.目標を設定する

優先課題を決定したら、次はその課題に対して「現実的・具体的・計測可能」な目標を設定しましょう。

達成したい目標に対してKPI(主要業績評価指標)を設定し、それを測定するためのベースラインを決めます。KPIは期限を設けて進捗を追跡できるようにし、目標が「絶対目標(単純なKPIの達成)」なのか、あるいは「相対目標(KPIを他の指標と比較したもの)」なのかを明確にすることが重要です。

そして、設定したSDGsの目標を社内外に向けて公表することで、企業の透明性が高まり、ステークホルダーからの信頼を得ることにつながります。目標が期限内に達成できなかった場合には批判のリスクもありますが、定期的に進捗状況を発信し、透明性を保つことで、このリスクを軽減できるでしょう。

4.持続可能性の経営への統合

目標設定を終えたら、次はSDGsを経営に統合する段階に入ります。ここまでに設定したKPIや目標を達成するためには、これらを持続可能な経営戦略としてしっかりと組み込んでいかなければなりません。

SDGsには経営陣だけでなく、全ての従業員が一丸となって取り組むことが求められます。そのため、SDGsへ取り組む重要性・意義や、そこから得られる価値を従業員に正しく伝え、理解してもらうことが目標達成への第1歩となるでしょう。

また、各部署間の連携を強化することはもちろんですが、企業単独では対応が難しい場合もあります。そうした際には社外のパートナーと協力し、持続可能な目標達成に向けたパートナーシップを築くことも効果的です。

5.効果的な報告・コミュニケーションを実施

最終ステップは、SDGsに対する取り組みを外部に向けて発信し、進捗状況を定期的に報告することです。近年、社会問題に対する企業の姿勢は投資家にとっても重要な評価基準となっており、持続可能性に関する情報開示がますます重要になっています。

そのため、SDGsへの取り組みがどのように進んでいるか、その達成度を定期的に報告することは、ステークホルダーとの信頼関係を深めるだけでなく、企業の価値を高めることにもつながります。

企業がSDGsに取り組む際に注意すべきこと

企業がSDGsに取り組む際にはいくつか注意すべきことがあります。本章では取り組みに向けて注意すべき3つのことについて解説します。

SDGsウォッシュに陥らないようにする

SDGsウォッシュとは、企業がSDGsに取り組んでいると見せかけるだけで、実際には効果的な行動を取っていない状態を指します。これは、企業の信頼性を損ない、ステークホルダーからの評価を低下させるリスクがあるため、避けなければなりません。

SDGsウォッシュとみなされる具体例は以下の通りです。

  • SDGsへの取り組み不足
  • 情報開示不足
  • 誤った情報の提供
  • グリーンウォッシュとの混同

SDGsへの取り組みを行う際には、形だけのアクションに終わらせず、実際に具体的で持続可能な活動を行うことが求められます。また、情報発信の際は、過大なアピールや実態に即していない宣伝は避け、事実にもとづいた発信を心がけましょう。

無理のない目標を設定する

企業がSDGsに取り組む際には、現実的で無理のない目標を設定することが重要です。あまりにも高すぎる目標を掲げると、負担が大きくなり、結果として取り組みが継続できなくなるリスクがあります。また、予算やリソースが予想以上にかかり、計画通りに進められないことで、企業の信頼や評判に悪影響を及ぼす可能性もあるので注意してください。

そのため、まずは実現可能で具体的な目標を設定し、1歩ずつ着実にSDGsに取り組んでいくことが大切です。

経営層が積極的に取り組む

SDGsの取り組みを実際に進めていくのは、主に現場の担当者です。しかし、こうした取り組みは社員全体を巻き込んでいかなければならないため、担当者にとって負担になることもあります。

そのため、経営層が率先してSDGsの推進をリードし、全社的に取り組むための環境を整えることが重要です。経営層が自らSDGsに関心を持ち、実際に行動する姿を示すことで、社員や関係者に対して「全社一丸となってSDGsに取り組む」という明確なメッセージを伝えることができます。このように、経営層の積極的な関与が、企業全体でSDGsを効果的に推進する原動力となります。

【日本】有名企業のSDGsへの取り組み事例

【日本】有名企業のSDGsへの取り組み事例

ここからは、SDGsに積極的に取り組んでいる国内有名企業の事例を3つ紹介します。

ユニクロのSDGs

株式会社ユニクロは、SDGsの17の目標全てに向けて取り組みを進めており、そのなかでも特に以下の4つに重点を置いています。

  • 目標5:ジェンダーの平等を実現しよう
  • 目標10:人や国の不平等をなくそう
  • 目標12:つくる責任つかう責任
  • 目標13:気候変動に具体的な対策を

例えば「目標12:つくる責任つかう責任」では、同社は持続可能な素材の使用や製品のライフサイクル全体において、環境への配慮を強化しています。具体的な活動としては、リサイクル素材を使用した製品の開発や、製品回収プログラム「全商品リサイクル活動」を実施。不要になったユニクロ製品を回収し、リサイクルや再利用を行うことで、資源の効率的な活用と廃棄物の削減を目指しています。

トヨタのSDGs

トヨタ自動車株式会社は「全ての人にモビリティを提供する」という企業理念を掲げ、SDGsへの取り組みを企業活動の中心に据えています。持続可能な未来を実現するために、以下のSDGs目標の達成に向けて特に力を入れています。

  • 目標7: エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 目標11:住み続けられるまちづくりを
  • 目標13: 気候変動に具体的な対策を

「目標13:気候変動に具体的な対策を」の取り組みとして、トヨタは2050年までに新車のCO2排出ゼロを目指す「トヨタ環境チャレンジ2050」を推進しています。これの一環として、ハイブリッド車(HV)、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)など、環境負荷の少ない次世代モビリティの開発と普及を加速させています。

パナソニックのSDGs

パナソニック株式会社は「よりよいくらし」と「持続可能な地球環境」の両立を目指し、海洋の多様性保護や無電化地域への支援など、幅広い活動を展開しています。

特に「目標11:住み続けられるまちづくりを」と「目標17:パートナーシップで目標を達成しよう」の達成に向けて「サスティナブル・スマートタウン(SST)」の開発を進めています。

SSTは環境への負荷を抑えつつ、快適な生活を提供する次世代の都市モデルです。このタウンでは、再生可能エネルギーを活用して電力を自給自足する仕組みが整えられており、最新のエコ技術が導入された住環境を提供。防災や防犯にも配慮した設計により、住民が安心して暮らせるコミュニティが形成されています。

【海外】有名企業のSDGsへの取り組み事例

【海外】有名企業のSDGsへの取り組み事例

マクドナルドのSDGs

マクドナルドでは「2050年までに、店舗、オフィス、サプライチェーン全体でネット・ゼロ・エミッション達成」を目標に掲げ、17全ての目標に対して幅広い取り組みを進めています。現在、特に注力しているのは以下の6つの目標です。

  • 目標2:飢餓をゼロに
  • 目標8: 働きがいも経済成長も
  • 目標12:つくる責任つかう責任
  • 目標13:気候変動に具体的な対策を
  • 目標15:陸の豊かさを守ろう
  • 目標17:パートナーシップで目標を達成しよう

例えば「目標12:つくる責任つかう責任」「目標17:パートナーシップで目標を達成しよう」に関連する取り組みとして、マクドナルドでは食品ロスの削減に努めています。バーガー類・ドリンク・ポテトなどの商品で、さまざまなサイズを用意することで「選べる量・食べきれる量」の提供を徹底。また、店内で食べきれなかった人には、持ち帰り用の紙袋を提供することで「食べ残し」によるフードロスを最小限に抑えています。

スターバックスのSDGs

スターバックスコーヒーは「2030年までにCO2排出量、水使用量、廃棄物量の50%削減(2019年比)」を目標に掲げ、環境保護と資源の有効利用に積極的に取り組んでいます。なかでも、同社が特に重点をおいて取り組んでいるのが以下3つの目標です。

  • 目標2:飢餓をゼロに
  • 目標12:つくる責任つかう責任
  • 目標15:陸の豊かさも守ろう

例えば、同社は「目標2:飢餓をゼロに」の達成に向けて、食品廃棄を削減するための取り組みを強化しています。具体的には、賞味期限が迫ったドーナツやケーキ、サンドイッチなどの商品を、閉店3時間前を目安に20%OFFで販売することで、フードロスの削減を徹底。そして、収益の一部を認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえに寄付し、地域の子どもたちへの支援に役立てています。

まとめ

まとめ

本記事では、SDGsの基本的な概要から、企業が取り組むことで得られるメリット、具体的な進め方、国内外企業の取り組み事例まで、詳しく解説しました。

SDGsは今や世界的に注目され、多くの企業がその目標達成に向けて行動を起こしています。SDGsの17の目標は一見すると規模が大きく、数も多すぎると思えるかもしれません。しかし、これだけ多くの課題があるからこそ、どの企業にも取り組める領域が必ず存在すると考えることもできます。

記事内で紹介した取り組み事例も参考にしながら、ぜひ自社のビジネス戦略にSDGsを取り入れてみてはいかがでしょうか。

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