デジタル化が進む中で「オフィスDXを進めていきたいけれど、どのようなツールを選べばいいかわからない」といった悩みを抱えている企業が増えています。
そこで本記事では、オフィスDXの概要や導入に役立つツール、オフィスDXの効果的な進め方などを詳しく解説します。実際の成功事例についても5つ紹介しますのでぜひ参考にしてください。
オフィスDXとは?
オフィスDXにおすすめのツールを紹介していく前に、まず、オフィスDXとはそもそも何か?という点について解説します。何となく言葉は知っているけれど説明はできないという方は、しっかりと概要を掴みましょう。まずはオフィスDXの概要を確認
オフィスDXとは、デジタル技術を使って社内の業務効率化や生産性の向上を目指し、企業の改革や利益を上げるための取り組みを指します。
AIや5G技術の登場により、作業の自動化や無人化が行われています。これらの最新の技術を使うことだけでなく、契約書や精算書など紙でまとめていたものを電子化する取り組みもオフィスDXの一環です。
例えば、データの自動化、ワークフローの最適化、リアルタイムな連携を可能にするツールの導入などが含まれます。これにより社員は情報を容易に共有でき、リモートワークや柔軟な労働環境をサポートできるようにもなります。
オフィスDXの対象|フロントオフィス・バックオフィス
オフィスDXの対象は、以下の2つに分けられます。
- フロントオフィス
- バックオフィス
この2つの違いについて解説します。
フロントオフィスDX
顧客と接する機会が多く、より顧客に近い業務をフロントオフィスといいます。
具体的には、顧客対応や営業、受付などが挙げられます。
フロントオフィスDXは、オンライン予約システムやチャットボットなどのテクノロジーを活用し、スムーズな顧客対応や顧客一人ひとりに合わせた接客を目的として行われます。
このフロントオフィスDXによって、顧客満足度の向上と顧客との長期的な関係の構築が期待できるでしょう。
バックオフィスDX
顧客と対面しない、社内業務に近い業務をバックオフィスといいます。
バックオフィスDXは、経理部や人事部など管理部門の業務をデジタル技術を使って改革しようという取り組みを指します。
コロナ禍の影響などで多くの企業がテレワークを導入していますが、FAXや郵送での資料送付、管理文書の押印をするために出社が必要というバックオフィス担当者も多いのではないでしょうか。
こうした課題を解決するために、バックオフィスDXをすすめる動きが高まっています。
オフィスDX推進で得られる4つのメリット
オフィスDXを進める企業が増えていますが、なぜオフィスDXの推進が行われているのでしょうか。
ここでは、オフィスDXによるメリットを4つ紹介します。
メリット1|業務効率化
オフィスDX推進による第1のメリットは、業務の効率化が図れる点です。
ITツールの導入により、従来手作業で行われていた業務を効果的に自動化でき、生産性向上が可能となります。
特にバックオフィスで行われる繰り返し業務は、ITツールの活用によって高い効率化が期待されます。
経費の計算、給与の計算、請求書の発行、採用プロセスなど、繰り返しのタスクを正確かつ迅速に処理できるようになります。
オフィスDXの成果により、無駄な作業を削減し、時間とリソースの節約が可能です。これによって、従業員はより戦略的な業務に集中し、組織全体の効率向上を実現できるでしょう。
メリット2|生産性の向上
オフィスDXにおける2つ目のメリットは、生産性の向上です。
正確な業務処理をサポートするオフィスDXツールの導入により、従来よりも多くの業務を効率的に処理できるようになります。
特にアイデアや創造性を必要とする業務に十分な時間やリソースを割り当てることができます。また、重要なコア業務に従業員を集中させることができるため、結果的に生産性が向上します。
オフィスDXの導入によって、作業量を効果的に増やし、タスクの効率的な実行を可能にすることで、従業員はより多くの成果を生み出すことができます。生産性の向上は、組織全体の成果に直結し、競争力を強化する要因となります。
メリット3|長時間労働・労働環境改善
オフィスDXにおける3つ目のメリットは、長時間労働の是正と労働環境の改善です。
業務効率の向上により、従来の残業を削減し、業務を効果的に時間内に完了させることが可能となります。
さらに、人的コストの削減にもつながります。自動応答システムやチャットボットの導入によって、24時間対応のコールセンターや受付担当の必要性が低減します。
無人受付ツールの活用によっても、受付業務に従事する人材を削減できます。
オフィスDXにより、従業員のワークライフバランスが改善され、健康的な労働環境が促進されます。労働時間の適正化と負担軽減が、従業員の満足度向上と離職率の低減に寄与するでしょう。
メリット4|業務・情報の一元管理と共有
オフィスDXの4つ目のメリットは、業務と情報の一元管理と共有の向上です。
これにより、業務の効率化だけでなく、柔軟な働き方の実現にも寄与します。
特にテレワークの推進に大きな影響を与えます。
テレワークは、子育てや介護、体力的な制約などがある人々にも働く機会を提供します。
オフィスDXによりオンラインで業務を行う環境が整えられれば、従業員は時間や場所に制約されずに業務を遂行できます。
情報は一元的に管理され、チーム内で容易に共有されるため、効果的なコラボレーションが可能となります。
テレワークの導入は、柔軟な働き方を支援し、従業員の働きやすさと生産性の向上に寄与します。
オフィスDX推進のステップ
近年、オフィスDXは企業の競争力向上に欠かせない要素となっています。その一方で、いざオフィスDXを進めるといっても「どのように進めていけばいいか分からない」という企業も多いです。そこで、ここからは効果的なオフィスDX推進のステップについてご紹介します。
目的と目標を設定して推進計画を立てる
まずは、オフィスDXの目的と目標を明確に設定してから推進計画を立てます。
オフィスDXの目的については、どの業務プロセスを効率化し、生産性を向上させたいのかを明確にしましょう。
目標は、具体的な数字や期限を設定しておくとよいでしょう。
例えば、顧客対応時間を50%削減する、紙の使用量を30%減少させるなどです。
これにより、チーム全体が同じ目標に向かって協力しやすくなります。
計画は、達成したい成果やステップを段階的に示したものが理想的です。
デジタルツール・システムを選定する
オフィスDXを実現するには、適切なデジタルツールやシステムの選定が不可欠です。
しかし、選択肢が多すぎてどれを選べばよいか迷うこともあります。
ここで大切なのは、自社の業務ニーズに合ったツールやシステムを選ぶことです。各ツールの特徴や利点を比較し、利用者の声や評判もチェックしましょう。
おすすめのツールについては、この後詳しく紹介します。
周知徹底しながら実行する
推進計画を実行する際には、チーム全員が計画の内容や進捗状況を把握することが重要です。計画や目標を周知徹底し、チーム内での共通認識を確立しましょう。
定期的なミーティングや報告を通じて情報共有を行うことで、全員が一丸となってオフィスDXを推進できる環境を整えましょう。
評価・改善を繰り返す
オフィスDXのプロセスは一度で完璧になることはありません。
定期的に進捗や成果を評価し、改善の余地があれば適宜調整を行いましょう。
データや統計情報を活用して、効果的な施策と課題を洗い出し、次のステップに活かすことが重要です。
オフィスDX推進のステップをこのように進めることで業務効率化を行い、企業の競争力を向上させることができます。
オフィスDXで導入したいツール5選
ここでは、オフィスDXを行う際におすすめのツールを5つ紹介します。フロントオフィス編|オフィスDXで導入したいツール
近年、オフィスDXが急速に進展しており、その中でフロントオフィスの効率化も大きな焦点となっています。ここでは、フロントオフィスDXを推進するうえで導入がオススメのツールについて2つ紹介します。
受付を自動化する『RECEPTIONIST』
最初に紹介するフロントオフィスDXを行う際におすすめのツールが、「RECEPTIONIST」です。
従来の受付業務は、待ち時間や人為的なミスが発生しやすい課題を抱えてきました。
その他の課題として、受付担当者への負荷の偏りや担当者不在時の取次作業の手間などが挙げられます。
こうした問題に対処する革新的なソリューションが受付業務を無人化する「RECEPTIONIST」です。
このツールを導入することで、来客の自動通知や情報の即時アクセスが可能になり、スムーズな受付対応が実現します。担当者の負荷軽減とサービス品質向上に貢献するだけでなく、オフィス全体の効率化にもつながります。
電子契約をクラウド化する『クラウドサイン』
次に紹介するフロントオフィスDXにおすすめのツールが「クラウドサイン」です。
契約プロセスのデジタル化はビジネスの俊敏性を高め、時間とコストを削減する手段として重要です。
クラウドサインを導入することで、契約書の電子化と担当者が署名を行うプロセスのクラウド上での管理を実現できます。
紙の手続きを排除し、遠隔地からの署名や承認が容易に行えるため、ビジネスプロセスの迅速化が可能となり、さらにクラウド上でデータを保管をすることで業務のDXにもつながります。
バックオフィス編|オフィスDXで導入したいツール
バックオフィスの効率化は、ビジネスの迅速化と運用の円滑化に不可欠です。ここでは、オフィスDXを推進する上でバックオフィスで導入が推奨されるツールについて3つ紹介します。
これらのツールは内部プロセスの最適化や情報の整理に貢献し、ビジネスの持続的な成功を支えることでしょう。
Google WorkSpace
最初に紹介するバックオフィスDXにおすすめのツールが「GoogleWorkSpace」です。Google Workspaceは、Google社内で利用しているツールを一般向けに利用できるようにしたサービスです。このツールの導入によって、Google社と同様のレベル感で効率的な業務を行えるようになります。
メール、ドキュメント、スプレッドシート、カレンダーなどの機能を備えており、グループやプロジェクト間の連携がとりやすくなります。
また、リアルタイムでの編集やコメント機能を使うことで、チームメンバーの協力を促進し、テレワークにも適した環境を実現できるでしょう。
TimeCrowd
次に紹介するバックオフィスDXにおすすめのツールが「TimeCrowd」です。
TimeCrowdは、各従業員がワンクリックで打刻をするだけで時間管理ができ、業務の透明性と効率化を実現するツールです。
TimeCrowdを導入することで、いつ・誰が・どのような作業を行っていたのかを確認でき、個人やチーム、組織全体の業務内容や時間配分を簡単に把握できます。
タスクの開始と終了をワンクリックで記録する直感的な操作性は、従業員の負担を最小限に抑えつつ、業務プロセスを可視化する助けとなります。
このツールを用いて従業員ごとの時間単価を設定することで、各タスクの人件費をリアルタイムで算出することができ、プロジェクトごとの収益性を見極めるのに役立ちます。2週間の無料トライアル期間があるため、気になる方はお気軽にお試しください。
salesforce
最後に紹介するバックオフィスDXにおすすめのツールが「salesforce」です。
企業の営業活動に欠かせないリードの獲得から、契約後の顧客満足度の向上までを一元化するプラットフォームとして、多くの企業が利用しています。
カスタマイズ可能なダッシュボードやレポート機能と、AIによる分析と通知機能を組み合わせることで、成約率向上や営業成績の向上が期待できるでしょう。
オフィスDXを成功させた5つの事例
オフィスDXのために、目的に合わせた最適なツールを選ぶことが重要です。しかし、自社に最適なツールを選ぶことが難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。そこで、オフィスDXを成功させた企業を5つ紹介します。ぜひ自社のオフィスDX推進の参考にしてください。
事例1|帝人株式会社
最初に紹介するオフィスDXの成功事例は、帝人株式会社の事例です。
帝人株式会社は、人事部門への電話やメールによる問い合わせが多くなり、担当者にかかる負担が増えるという課題を抱えていました。
この課題を解決するために、人事部門に問い合わせを自動化するチャットボットを導入しています。
問い合わせ内容を事前にFAQとしてまとめ、チャットボットに登録することで、登録した質問については、チャットボットが自動で返信を行ってくれます。
このツールの導入によって、担当者への負担が減り「本来の業務に集中できるようになった」と効果を実感しています。
参考:OfficeBot
事例2|SBSグループ
次に紹介するオフィスDXの成功事例は、物流をメイン事業としているSBSグループの事例です。
SBSグループは、もともとはグループ会社ごとや拠点ごとに別々のツールを使っていたこともあり、Outlookを使った会議室予約システムの管理に課題を抱えていました。
そこで、受付業務を自動化できる「RECEPTIONIST」とマルチテナントの機能を使える「予約ルームズ」のツールを組み合わせることで、課題を解決しています。
DXツールの導入によって、会議室の稼働率向上と管理の自動化による業務効率化を果たせていると効果を実感しています。
参考:RECEPTIONIST
事例3|Sansan株式会社
続いて紹介するオフィスDXの成功事例は、クラウド名刺管理サービスを提供しているSansan株式会社の事例です。
Sansan株式会社は、オフィスのアップデートを行う際に社内来訪システム「ACALL」を導入しています。
数ある社内来訪システムの中でACALLを選んだ理由は、機能面が充実していることに加えて、将来的な発展性やカスタマイズ性が優れていることを重視したためでした。社内の他システムへの連携やデザインのカスタマイズ、モバイル端末の台数追加などの柔軟性を高く評価し導入に至りました。
導入前は、受付に来訪者の行列ができることが多い状態でしたが、チャットで社内担当者へ通知が届くことと、受付終了後の画面メッセージで来訪者を待ち合いスペースへ誘導することでこの課題を解決したと語っています。
参考:Acall
事例4|株式会社三笠商会
次に紹介するオフィスDXの成功事例は測量機器の販売を行う株式会社三笠商会の事例です。
株式会社三笠商会では、商品の仕入れ先から届いた納品書や請求書の電子化を行う際に、「RICOH 証憑電子保存サービス」を導入しています。
紙で届く納品書などの確認作業や保存に多くの時間やスペースを必要としていましたが、ツールの導入によって時間やスペースの削減に成功しています。
さらに、電子帳簿保存法に対応する必要も出てきましたが、ツールを活用する中で法律に対応するノウハウも蓄積することができるという、思わぬ副産物も得ることに成功しています。
参考:RICOH
事例5|一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)
最後に紹介するオフィスDXの成功事例は、一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)の事例です。
JEITAは、来客用の飲料を購入する際の経費精算に手間がかかるという課題を抱えていました。
コロナの影響で人手不足となり、もともと利用していたドリンクサービスを廃止し、社内自販機・社内コンビニの決済システム「オフィスペイ」を導入しています。
オフィスペイを導入することで、社員証などで商品を購入でき、来客時にも利用可能なカードとして利用も可能です。
このツールの導入によって、自費で購入することもなくなり、面倒だった清算作業の工数も減るなど効果を実感しています。
まとめ
本記事ではオフィスDXについて、概要やおすすめのツールを紹介しました。
事例の紹介を多く行ったため、オフィスDXについて具体的なイメージもつかめたのではないでしょうか。
実際にオフィスDXを行う際には、目的をはっきりさせたうえで、目的に合った最適なツールを選ぶことが特に重要になります。
業務効率化や顧客満足度の向上を達成し、企業の売上向上にもつなげるために今回紹介したツールの導入を検討してみてください。