製造業

デザイン思考とは? 必要とされる理由やメリットをわかりやすく解説

モノと情報が溢れかえる現代において、注目されている思考法がデザイン思考です。新たな商品やサービスの開発に役立つ思考であり、企業にさまざまなメリットをもたらします。本記事では、デザイン思考の概要や必要とされる背景、得られるメリット、実施する際のプロセスなどを解説します。

デザイン思考とは? 必要とされる理由やメリットをわかりやすく解説

Factory of the Future

デザイン思考とは?

デザイン思考とは、デザイナーをはじめとしたデザインに携わる人が用いる手法を利用し、課題の定義や解決策を発見する思考法を指します。もっとわかりやすくいえば、自社ではなくユーザー目線で課題を発見し、ビジネス上の問題解決を実現する方法です。ユーザーの共感と満足を最重要視するのは、デザイン思考の大きな特徴です。

デザイン思考で重要なのは、固定観念にとらわれないことです。ユーザーが感じるであろう課題と、自社が考える課題が一致するとは限りません。固定観念にとらわれると、自社の視点で課題を探ろうとしてしまうおそれがあります。

アイデアを出すだけでなく、アイデアを具現化した試作品との組み合わせまで配慮してブラッシュアップを続けるのも特徴です。試行錯誤を繰り返す中で、ユーザーが真に求めるものが何か見えてきます。

似た言葉にアート思考がありますが、こちらはユーザーではなく、自身の視点で課題の発見や解決を行います。つまり、デザイン思考とは真逆に位置する思考法です。

デザイン思考がビジネスで必要とされる理由

デザイン思考がビジネスで求められる背景として、モノや情報の多さが挙げられます。かつては、新しい商品やサービスを発売するだけで売れる時代でした。しかし、技術の進歩により現代では市場に似たようなものが溢れかえり、人々はスマートフォンやパソコンを用いてさまざまな情報も得られる時代になりました。

つまり、現代は「新しい」だけではモノやサービスが売れない時代なのです。人々はさまざまな情報を容易に入手し、溢れかえるモノやサービスの中から真に求めるものだけを選ぶようになっています。

このような時代でモノやサービスを売るには、誰がどのようなものを求めているのかを考えたうえで開発を進めなくてはなりません。そのためには、従来の考え方にとらわれない発想をしなくてはならず、デザイン思考が求められるのです。

デザイン思考のマインド

デザイン思考を構成するマインドのひとつはユーザー視点です。ユーザーが真に求めるものを提供するには、常にユーザーの視点で考えなくてはなりません。ユーザーは何を欲しているのか、ユーザーが解決したい悩みは何なのか、といった具合に考えます。

また、デザイン思考ではコミュニケーションを重視します。コミュニケーションを通じてさまざまなアイデアを出し合えば、斬新な発見があるかもしれません。単純に、たくさんのアイデアを創出できるメリットもあります。

最初から、ユーザーの要望をすべて満たす完璧なものを生み出すのは困難です。そのため、まずは試作品を作り、ユーザーのリアクションを見つつブラッシュアップを繰り返す方法が効率的です。

多様な視点によるさまざまなアイデアを生み出す必要があるため、ひとつのアイデアに縛られてしまうのはNGです。ひとつに縛られると、自ら可能性を狭めてしまいます。ブレインストーミングのようなフレームワークも活用し、多様なアイデアを集めましょう。

デザイン思考のプロセス

デザイン思考には決まったプロセスがあるためそれに基づき進めます。基本的には、共感→定義→概念化→試作→テストといったプロセスで取り組みます。

共感

ユーザーが真に求めるものを提供するには、ユーザーのことをきちんと理解する必要があります。共感はそのためのプロセスです。

まずは、仮想顧客となるペルソナを設定しましょう。自社が商品やサービスを売りたい、理想的な顧客像です。そのペルソナが、どのような悩みを抱えているのか、何を欲しているのかを考えることで理解が進みます。理解を深めるために、この段階でユーザーインタビューやアンケートを行うのも効果的です。

定義

ユーザーへの理解が進んだところで、ユーザーのニーズを定義します。このプロセスにより自社の課題ややるべきことを明確にできます。ユーザーについてさらに掘り下げて考えることで、核心的な問題やユーザー自身が気づいていないニーズを発見できる可能性もあります。

概念化

定義したニーズを満たすにはどうすればよいのか、アイデアを出しましょう。最初からよいアイデアを出せる可能性は少ないため、この段階では実現可能性などは考慮せず、とりあえずは数を重視します。チームのメンバーとコミュニケーションをとりつつ進めましょう。ブレインストーミングを活用するのも有効です。

試作

アイデアに基づき試作の商品やサービスを作るプロセスです。あくまでプロトタイプであり、ここからブラッシュアップを行うことが前提です。そのため、それほどクオリティを気にする必要はありません。

試作の商品やサービスに時間やコストをかけすぎるのもNGです。それよりも早く試作品を作り、テストを繰り返してブラッシュアップしたほうが短期間でユーザーが求めるものを生み出せるでしょう。

テスト

完成した試作品をユーザーに使用してもらうプロセスです。実際に使ってもらうことで、ユーザーの率直な意見をヒアリングできます。定義したニーズや課題をクリアできているかどうかを確認しましょう。

ニーズや課題は解決できても、ほかの検討事項が発生する可能性もあります。ユーザーの意見を参考に再度試作品に手を加え、何度もテストを繰り返しましょう。

デザイン思考がもたらすメリット

現在、多くの企業がデザイン思考をビジネスに活用していますが、それは多大なメリットを得られるからにほかならないでしょう。具体的なメリットとしては、アイデア提案の習慣化や、組織力強化につながることが挙げられます。

アイデア提案の習慣化

デザイン思考では、とにかくたくさんアイデアを出すことが求められます。実現できるかどうか、役に立つかどうかなど考えず、とりあえずたくさんアイデアを出すスタイルであるため、アイデアを提案する習慣が根付きやすいのです。

企業にとって、アイデアは利益拡大に直結する重要なリソースといっても過言ではありません。従業員が自由にアイデアを出せる環境が整えば、ビジネスにプラスとなるさまざまなアイデアが日常的に生み出される可能性があります。

また、このような環境で働くことで、従業員はさまざまな意見を受け入れられるようになるでしょう。周りからの意見やアイデア、アドバイスを受け入れて仕事を進める習慣が身につくのもメリットです。

企業の組織力を強化できる

デザイン思考はコミュニケーションを重視します。思考プロセスには他部門の従業員や、日ごろ言葉を交わす機会が少ない役員なども参加するため、コミュニケーションを通じて組織力の強化につながります。

上下関係を気にせず思ったことを口に出せるため、アイデアを提案しやすいのもメリットです。多くの従業員から多様なアイデアを引き出すことができれば、新たな商品やサービスのヒントにつながるだけでなく、組織力強化にも寄与します。

仕事へのモチベーションも高まります。デザイン思考を採用した商品開発には、多くの従業員が関係できるためです。自身も組織の利益に貢献していると実感でき、モチベーションが高まればより意欲的に働くようになり、組織力がさらに強化されるでしょう。

まとめ

モノと情報が溢れる現代では、デザイン思考に基づいてユーザーが本当に求める商品やサービスの開発に努める必要があります。コミュニケーションを重視しつつユーザー視点で考え、ひとつのアイデアに縛られないことが取り組むうえで大切なポイントです。

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