YouTubeをはじめとする動画配信サービスの普及により、映像制作(動画制作)は企業のみならず、個人やグループで幅広く行われるようになりました。そこで活用が進むAIとクラウドについて、映像制作にどのような変革をもたらしうるのか、映像制作から配信までの過程でどのようなメリットがあるのかを詳しくご紹介します。
また、映像制作がどのような工程を経て行われているのか、企画から撮影・編集など、一般的な流れも併せて見てみましょう。
映像制作の一般的な流れ
まずは、映像制作がどのように行われているのか、一般的な流れから解説します。ただカメラを回して動画を撮るのではなく、映像を作る目的を明確にするところから撮影・編集・配信まで、細かな工程について一つずつご紹介します。打ち合わせ・ヒアリング
まずは、打ち合わせ・ヒアリングを行います。
クライアントから、制作の方向性を確実に聞き出します。そこで必ず明確にするものが、映像制作を行うにあたって必要な「目的」、「予算」、そして「納期」の3点です。
クライアントがなぜ映像制作を依頼してきたのか、どのような目的があって映像制作をするに至ったのか、映像をもとにどのようなマーケティングや宣伝を行いたいのかなど、詳しくヒアリングします。
また、映像制作にはコストがかかります。動画の撮影にはもちろん、編集にかかるコスト、人件費などが主な内訳です。同じく、納期も必ず確認しておきましょう。ゴールとなる納期を明らかにしておくと、撮影の準備から編集、そして映像の公開までのスケジューリングができるようになります。
その他、映像の内容や配信したいターゲット、コンセプト、映像をもとに伝えたいこと、盛り込みたいメッセージなど、可能な限り動画の詳細についてヒアリングをします。
見積・提案
次に行うのが、見積・提案です。
ヒアリングをもとに、大まかな企画内容や要件をまとめて提案書(見積書)を作成します。内容としては、制作費、スケジュール、制作にかかわるスタッフの人数や動画の長さ、動画を配信する媒体、方向性などを盛り込みます。
そして、この提案内容から費用の見積をクライアントに提示するという流れです。また、撮影を進めるうちに何らかの追加費用が発生する可能性がある場合は、その旨を忘れずに別途盛り込んでおくことも重要なポイントです。費用面での不要なトラブルを避けるため、明確にしておきましょう。
企画立案・プランニング
続いては、企画立案・プランニングについて解説します。
まずはヒアリングをもとに、映像の制作チームを編成するところからスタートします。出演者をキャスティングしますが、社内のスタッフをキャスティングすることもあれば、プロの役者に依頼することもあります。
外部に依頼する場合には、映像の完成度を高めるために、より映像のイメージに合った人選をすべくオーディションを行う場合もあります。
また、スケジュールを立ててキャストのブッキング(日程調整)も行います。出演者が複数人の場合、撮影スケジュールの調整が難しくなるため細かく調整しなくてはなりません。
さらに、撮影場所の下見となる「ロケハン(ロケーション・ハンティング)」も必要に応じ実施する必要がありますが、ロケハンは単純に撮影場所を確認するだけでなく、行政や建物の持ち主に撮影の許可を取る必要があり、時間がかかる工程です。
台本・シナリオの作成
続いて、台本・シナリオの作成について解説します。
クライアントから得たヒアリング内容を、台本として具体化していきます。クライアントがどのような映像を作りたいのか、そのイメージや目的とすり合わせるため、クライアントとの打ち合わせを重ねて修正していく必要があります。シナリオ台本は映像の骨組みになる重要な部分のため、クライアントからの要望を事細かく聞きながら、クライアントの最終決定が出るまで修正を繰り返し、台本を完成させます。
そのため、シナリオ台本は文章のみではなく、クライアントにもイメージを伝えやすい「絵コンテ」がわかりやすいでしょう。また、台本が確定した段階で最終見積となる場合が多いため、費用についてもクライアントに伝える必要があります。
撮影準備
台本が決まったら、撮影準備にうつります。
撮影に必要なカメラや照明、大道具や小道具をはじめとする機材や、出演者・スタッフへの食事となるケータリングなどを調達します。撮影内容によってはドローンを使った撮影をする場合もあるため、こちらも地方航空局や場合によっては空港事務所へ撮影許可を取る必要があります。
また、企画やプランニングの段階でご紹介したロケハンですが、撮影準備の段階で行うケースも少なくありません。
撮影
準備ができたら、いよいよ撮影です。
台本(シナリオ)をもとにして撮影を行いますが、映像の内容や天候によって撮影にかかる日数は大きく異なります。1日足らずですべての撮影が終わることもあれば、何日にもわたって撮影を行う場合もあるため、複数日かけて撮影を行う際にはスケジュール管理が重要です。
撮影には、予算にもよりますがキャストやスタッフなど、相当な人数が参画することになります。後で撮り直すのは難しいため、撮影日にはクライアントに立ち会ってもらうようにし、その場で必ずチェックをしてもらいます。
後になってイメージと違う・部分変更したいなどの齟齬が発生しないよう、必ず撮影当日にはクライアントに立ち会ってもらうようにしましょう。
編集
撮影が終わったら、次は編集にうつります。
編集次第で映像の質や雰囲気が大きく変わります。台本(シナリオ)の雰囲気や流れ、客観的視点、クライアントの好み、などを組み合わせた編集をする必要があるので、とても重要な工程です。こちらもクライアントのチェックが必要になります。
撮影時間によって編集の作業時間は大きく変わってきます。長時間の撮影だった場合、膨大な時間がかかる可能性が高いです。
編集には、カット作業、素材のつなぎ合わせ、文字入れ、ぼかし・モザイク等の映像加工などのような作業があります。これを事前にクライアントと緻密な打ち合わせを行い、具体的な編集の方向性や素材の有無など事細かく決める必要があるでしょう。
音入れ・MA
撮影が終わったら、続いては音入れ・MAを行います。
MAとは「Multi Audio(マルチオーディオ)」のことで、映像にナレーションやBGMなどを付け加えていくことをいいます。基本的には、映像の編集が終了したら音声を入れていくという流れですが、編集の段階でナレーション等を入れてしまう場合もあります。
効果音一つで映像のイメージががらりと変わることもあるため、こちらも必ずクライアントのチェックを入れましょう。
試写・納品・配信
最後に、試写・納品・配信について解説します。
できあがった映像を試写して、テロップやナレーションなどに間違いがないか、最終的なチェックを行います。注意点として、この段階ではすでに映像を撮っていることから、大きな修正は無理ということです。ここに至るまでの複数の工程で十分なクライアントチェックを行い、方向性を確かめながら工程を進めましょう。
完成した映像は、所定のフォーマットにしてクライアントに納品して完了です。また、場合によってはwebサイト、動画サイト、SNSなどへの配信を行うこともあるため、ヒアリングの段階で最適なフォーマットを提案しておくことも大切です。
AIとクラウドが映像制作の流れにもたらす進化
ここまでは一般的な映像制作に関する流れをご紹介しましたが、ここに掛け合わせることで大きな変化をもたらすと考えられているのが、AIとクラウドです。
AIとクラウドは、果たして映像制作の今後をどう変えていくのか、詳しく解説します。
AIが撮影から編集、配信までを自動化
まず、AIは映像制作のあらゆる工程を自動化できるというメリットがあります。
AIは撮影から編集、配信までを自動化できるのが特徴で、特に映像制作の工程のうち、最も時間のかかる編集については、すでにAIの導入が進んでいます。たとえば、AIに映像や画像を与えるだけで、自動で視聴に向いたダイジェスト映像に編集してしまうこともあるといいます。
映像制作においてAIを活用するためには、データ投入や結果の反映などを行って、AIの設定や教育を施していくことが必要です。画像をデータとしてAIが解析し、与えられたデータをどのように使えば良いのかを学習していきます。その結果、データ取得・分析から自動編集、さらにはSNSへの投稿などを一貫して行ってくれるようになるのが、AIの大きなメリットです。
こうしたプロセスを簡単に利用できるようにする「Media Analytics Portal」というソリューションも存在します。Media Analytics Portalは高度な自動化機能を持っており、映像の制作から編集、配信までをワンストップで可能にしており、映像スタッフの負荷を大幅に軽減できます。
クラウドによる映像制作の流れの柔軟化
次に、クラウドによる映像制作の流れの柔軟化を解説します。映像(動画)は非常に大きなデータ量のため、自社でデータを保管するにはコストや手間がかかります。また、映像編集をするために、データが保存されているコンピューターを利用しなければならないなど、柔軟な編集・制作は難しいといえるでしょう。
しかし、クラウド化により場所を選ばない編集・制作が可能になる上に、データ保管にかかるコストを必要最低限に抑えられるというメリットを実現できます。コンテンツ管理のためのインフラを、これまでのように自前で用意する必要がなくなります。さらにはワークフローの一元化により、制作過程での手止まりがなくなることも大きなメリットです。
AIとクラウドの連携によって、これまで細かな工程ごとに時間がかかっていた映像制作の流れに対し、DXが実現されるようになるでしょう。
まとめ
映像制作には多くのスタッフの力と膨大な時間、手間暇がかけられています。そこで、AIによる映像編集・制作を可能にする「Media Analytics Portal」と、従来のデータ設備に比べて大きくコストダウンできるクラウド「Media Backbone NavigatorX」をおすすめします。
YouTubeをはじめとする動画配信サービスやSNS、企業のコーポレートサイトでの動画配信といった需要の高い映像制作には、今後AIやクラウドの力が欠かせません。Media Analytics PortalやMedia Backbone NavigatorXのようなサービスを積極的に利用し、効率良く映像制作を行うと良いでしょう。