市場競争力を確保するためには、経営的な余裕のある大企業だけでなく、中小企業においてもDXの推進が重要です。この記事ではDX推進が求められる理由や、さらにDX実現に成功した中小企業の先進事例を紹介しています。あわせてDX実現に役立つサービスの紹介もしているので参考にして下さい。
中小企業が抱える課題
現代は、加速する技術的進歩や情勢の変化に伴い、日本の中小企業の多くが課題を抱える状況にあります。なかでも幅広い業種で共通してみられる問題の例として、以下があげられます。
【労働者不足】
少子高齢化によって、日本全体で労働者不足が深刻な状況です。年々出生率は低下しているため、この傾向の解消は見込めません。さらにネームバリューや福利厚生などで勝る大企業と比べると、中小企業には若い人材が集まりにくい状況です。
【生産性の低下】
2008年に起こったリーマンショックの影響により、世界中の企業が大きなダメージを受け、労働生産性が大幅に低下してしまいました。それから10年以上経過した現在、大企業では生産性が回復しつつありますが、一方で多くの中小企業は今なお回復が遅れたままの状況にあります。
【後継者不足】
中小企業の経営層で高年齢化がすすんでおり、近い将来にその多くが引退すると想定されます。そうしたなか、事業を継承できる後継者が見つかっていない中小企業は少なくありません。後継者がいなければ、仮に企業が黒字経営を続けていても、廃業せざるを得なくなるでしょう。
【技能承継】
中小企業は後継者だけでなく、培ってきた技術やノウハウを次世代へどのように承継するかも課題と言えます。業務知識についてはマニュアル化して解決できることもありますが、身体で習得しなければならない専門技能は教育に時間とコストが必要です。
こうした課題を解決するため、中小企業はどのような対応が必要となるのでしょうか。次項から紹介していきます。
中小企業にも求められるDXの推進
DX(Digital Transformation)とは、デジタル技術を駆使して、業務内容から企業文化・風土までを変容させることです。
昨今では名だたる多くの企業が、DXを推進するための取り組みを続けています。一方でDX推進は、大企業だけが必要となる取り組みではありません。企業体力で劣る中小企業にこそ、より高度なDX推進が求められます。中小企業が抱える問題の多くは、DX推進により、解決可能な場合があります。
まず、DX推進で最新のデジタル技術を取り入れることで、業務を大幅に効率化できます。その結果、従業員一人ひとりの生産性の改善が見込めます。
DXを推進する例としては、テレワークの導入があります。これにより場所と時間を選ばず業務遂行が可能となることで、人材が確保しやすくなります。テレワークが可能な職場であれば、遠地の優秀な人材を採用できることをはじめ、家庭環境の変化などに柔軟な対応ができるため、離職率のケアにもつながります。
従業員の生産性が向上すれば、より品質の高いサービスを開発・提供するための余力も生まれるでしょう。サービスの質を高められれば、企業における市場競争力を向上できます。
DX実現に成功した中小企業の先進事例
大企業のみならず、中小企業でもDX推進に成功し大きな成果をあげたケースがあります。ここからは中小企業の先進事例を紹介します。
A社
A社は大手自動車メーカー向けの部品を製造販売する企業です。A社の所属する業界は中小企業の零細化がすすみ、より設備の整った大手メーカーに市場を奪われている状況でした。
そこでA社は地域にあるほかの中小メーカーと連携し、共同するグループで部品の製造を行うシステムを構築しました。具体的には、グループの設備にIoTデバイスを取り付けることで、各メーカーの仕事量を予測できるよう改善が施されました。これにより、顧客から注文を受けると仕事量や生産能力に応じてグループ内の最も適したメーカーが受注・製造できるようになりました。
グループ内のメーカーは、このシステムにより受注機会や売上の増加を実現しています。成功を受けてさらにシステムを拡張し、今では地域を限らず、遠地のメーカーもグループに加わって仕事を割り当てられるようになりました。
なおこのシステムにより発注する顧客側も、ワンストップで様々な部品を注文できるようになったことから、納期を短縮化できるメリットがあります。DX推進による業務効率化で、結果的に市場競争力の確保にまで至った好例と言えます。
B社
B社は日本の伝統な畳を販売する企業です。日本国内で畳の需要が減少し続けるなか、多くの同業者は苦戦を強いられています。一方、B社は畳に興味をもつ海外顧客から多くの注文を受け、業績を伸ばしました。
そうした海外顧客を対象とする販路の確保は、ローコードの開発ツール(※)によって自社開発したアプリが重要な役割を果たしています。
海外からの畳の注文は、日本とは家屋の規格が異なることからそれぞれに合ったサイズのオーダーメイドがほとんどです。しかし、オーダーメイドによる見積作成は煩雑で、手入力・手計算では手続き上の限界がありました。
そこでB社は部屋のサイズなど、最低限の情報を入力するだけで、自動的に計算して見積書を作成するアプリを開発します。これによって、見積書・請求書・納品書などにかける時間を大幅に削減しました。
DXの実現により市場を拡大し、それまでニッチ層だった海外顧客を総取りすることで高い競争力を実現した例です。
※ローコード開発とは
難しいソースコードの記述をほとんどすることなく、システムを開発する手法です。
中小企業の成長を支援する「Quick Start Service」
「Quick Start Service(以下、QSS)」は、マイクロソフト社のビジネスアプリケーション「Microsoft Dynamics 365」の導入を支援するサービスです。
Microsoft Dynamics 365とは、CRM・SFA・ERA・マーケティングといった、DX推進に重要な業務システムをパッケージ化したマイクロソフト社のビジネスアプリケーションです。十全に活用するためには専門的なIT知識を必要としますが、QSSを利用することで導入にかかる時間とコストを圧縮できます。さらに、Microsoft Power Platformによるローコード開発のノウハウをトレーニングによって習得するサービスもあります。
なお、QSSはさらに、CRM用の「QSS for Sales Pro」とERP用の「QSS for ERP Pro」に分かれています。QSS for Sales Proは、Microsoft Dynamics 365の営業支援モジュール「Dynamics 365 Sales」による、営業活動の可視化や案件の共有を専門としたサービスです。一方のQSS for ERP Proは、Microsoft Dynamics 365における中小企業向けERPパッケージ「Dynamics 365 Business Central」のうち、販売・購買・在庫・財務に関する機能を専門としています。
システムの内製化に向けた取り組み
社内システムの構築にあたって、システムの導入・管理の外部委託が難しく、自社で内製化したいと考える企業も多いのではないでしょうか。しかし、従業員のITスキルが乏しく現実的ではない、という場合にはQSSが役立ちます。
QSSを利用することで、Dynamics 365と合わせPower Platformを活用した自社によるシステム開発を実現可能です。さらにQSSのサービスを通じて、ローコード開発に関するナレッジを蓄積できるというメリットもあります。そのほかにも、Power Automateを利用した業務プロセスの自動化などが可能となります。
DXを推進するためには、質の高いデジタル技術の採用が欠かせません。なかでもQuick Start Serviceを使えば、Microsoft Dynamics 365を無理なく導入可能です。
DXやシステムの内製化を進めるにあたっては、そのほかにも様々なソフトウェア・システムの導入が有効です。どのような目的をもって推進していくのかを検討したうえで、自社にあったサービスを選択しましょう。
まとめ
中小企業は、労働者不足をはじめ様々な問題に悩まされることが珍しくありません。これらの問題解決には、DX推進が重要です。DX実現により、業務の大幅な効率化につながります。
DX推進には、Quick Start Serviceがおすすめです。これにより、Microsoft Dynamics 365を用いたDXの実現が可能です。