製造業

ビジネスモデルの成功に必要な構成要素とは? 作成するメリットも説明

企業にとって、最も重要な経営課題のひとつとして挙げられるのが、優れたビジネスモデルの構築です。そこで本記事では、ビジネスモデルの概要や構成要素などについて詳しく解説します。新規事業の立ち上げを推進している企業は、ぜひ参考にしてください。

ビジネスモデルの成功に必要な構成要素とは? 作成するメリットも説明

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ビジネスモデルとは

「ビジネスモデル」とは、事業活動における「付加価値を創出する仕組み」と「利益を得る構造」を指します。企業は事業活動を通じて製品やサービスを創出し、顧客に付加価値を提供することで利益を得て、発展していく組織です。したがって、企業が持続的成長を実現するためには、競合他社にはない独自の市場価値を生み出し、それを提供する仕組みを体系化しなくてはなりません。

つまり、どんな事業活動で収益を得るのか、ターゲット層をどこに設定するのか、どのような製品やサービスを市場に提供するのかなどを体系化したものが、ビジネスモデルといえるでしょう。そして、企業にとって優れたビジネスモデルの構築は、最も重要な経営課題といっても過言ではありません。さまざまな事業形態の図解方法をまとめた『ビジネスモデル2.0図鑑』では、ビジネスモデルの重要性について以下のように述べられています。

どんな仕組みをつくったら、生き残れるか?これはビジネスにおける根本的な問いだ。裏を返せば「これまでの仕組みが通用しない」ことは、企業、産業の生き死にに直結する大問題となってしまう。どれほど優秀な人材を集めても、どれほど設備に多額の投資をしても、「仕組み」自体が通用しなくなったら、そこで終わりだからだ。

引用元:ビジネスモデル2.0図鑑(P.2)|近藤 哲朗

たとえば、高性能CPUや大容量メモリだけを集めても、コンピュータとしての役割は果たしません。これと同様に、いかに優れた人材や設備機器を揃えても、付加価値と利益を生み出す仕組みが体系化されていなければ、企業の長期的な発展は困難といえるでしょう。ビジネスモデルはその重要性ゆえに、実施するうえでの技術的な工夫が特許対象となり得るものも存在します。

ビジネスモデルの構成要素

ビジネスモデルを構成しているのは、「顧客」「価値提供」「提供方法」「収益モデル」という4つの要素です。そして「Who(誰が)」「What(何を)」「How(どうやって)」「Why(なぜ)」の4つを突き詰めることで、各要素を具体的なビジネスモデルに落とし込めます。

Who(顧客)

どれだけテクノロジーが進歩しても、ビジネスの土台にあるのは人間関係であり、顧客がいてこそ事業は成り立ちます。したがって、まずはターゲットとなる顧客や見込み客を明確化しなくてはなりません。ビジネスモデルを構築する際は、まず潜在顧客の需要や市場動向などを分析し、確かなリサーチに基づく明確なターゲティングが必要です。

What(価値提供)

ターゲットの設定後は、何を提供すれば見込み客や潜在顧客のニーズを満たせるのかを明確化しなくてはなりません。そのため、どのような付加価値を提供するのかを、このフェーズで立案・策定します。すでに顕在化しているニーズだけを追うのではなく、潜在ニーズを捉える洞察力や消費者インサイトを発掘する発想力が求められます。

How(提供方法)

ターゲットを選定し、提供する付加価値を具体化できたなら、次はそれをどのようにして実現するのかを策定しなくてはなりません。どのようにして製品やサービスを生産するのか、いかにして営業活動やプロモーション戦略を展開していくかなど、生産や集客、提供の方法を具体的な事業戦略に落とし込む必要があります。

Why(収益モデル)

ターゲットの設定や製品開発だけでは、ビジネスモデルとしては不完全です。それらに加えて、どのようにして自社の製品やサービスが利益を生み出すか、という収益モデルを明確化しなくてはなりません。そして、マネタイズの構造や利益の方程式を明確化することはもちろん、持続的成長を実現するためには、自社の強みを活かせる収益モデルかどうかを検討することも大切です。

代表的なビジネスモデル

ビジネスにおいて収益を生み出す方法は、基本的に3つしかありません。1つ目は「新規顧客を獲得する」こと、2つ目は「顧客単価を上げる」こと、3つ目は「購買頻度を高める」ことです。

そして、これら3つを実現するビジネスモデルとして、「小売モデル」「販売モデル」「広告モデル」「サブスクリプションモデル」の4つが挙げられます。ビジネスモデルは無数にあるものの、大きな枠組みとしてはこの4モデルに集約されるといえるでしょう。以下、各ビジネスモデルの特徴について解説します。

小売モデル

商品を生産者や卸売業者から仕入れて、消費者に提供するビジネスモデルです。小売モデルの一例としては、デパートやスーパーマーケット、家電量販店、コンビニエンスストアなどが該当します。商品を自社で開発する必要がなく、在庫調整をしやすい点が小売モデルの大きなメリットです。しかし、生産者や卸売業者に対する依存度が高く、競合他社との差別化を図るのが難しい傾向にあります。

販売モデル

製品やサービスを自社で開発し、販売を通じて利益を得るビジネスモデルです。たとえば、製造業や自動車産業などのものづくり分野が該当します。農業生産者や飲食業なども販売モデルに当てはまるといえるでしょう。基本的に、原材料の仕入れから販売に至る全行程を自社リソースで賄う必要があるものの、機能・価格・生産量などを自由に決定できるため、差別化を図りやすいメリットがあります。

広告モデル

自社が保有する媒体に広告枠を提供し、掲載料を得るビジネスモデルです。一例としてテレビ局や新聞社、雑誌編集社、SNS、Webメディアなどが挙げられます。また、Googleも広告モデルの代表格といえる企業です。GoogleはITソリューションの設計・開発で利益を得ている企業と思われがちですが、検索エンジンや動画プラットフォームを無料で提供し、広告収入によって莫大な利益を生み出しています。

サブスクリプションモデル

月額や年額でサービスを提供するビジネスモデルです。たとえばNetflixやHulu、Amazonプライムなどの配信サービスがサブスクリプションモデルに該当します。Microsoft 365のようなクラウドコンピューティングも、サブスクリプション型のビジネスモデルです。サブスクリプションモデルは、顧客一人ひとりの利益率は小さい傾向にあるものの、安定的かつ継続的な収益を見込めるメリットがあります。

ビジネスモデルの作り方

新規事業のビジネスモデルを構築する際は、まず参入する市場に対する徹底的なリサーチが必要です。とくに重要となるのが、「消費者インサイト」を捉えるという視点です。消費者インサイトとは、見込み客や潜在顧客が言語化も認識もできていない無意識下の欲求を指します。

たとえばフォード・モーター・カンパニーは、荷馬車による移動が常識の時代に、自動車の大量生産体制を構築しました。またAppleは、iPodの開発によって「音楽はCDで聞くもの」という常識を覆した企業です。

これらは、消費者が意識的に求めている顕在ニーズに応えるのではなく、潜在ニーズのさらに奥にある認識さえしていない消費者インサイトを発掘し、全く新しい市場を開拓した事例といえます。もちろん、こうした消費者インサイトを捉えるのは容易ではありませんが、新たな市場を開拓するためには欠かせない視点です。

そして、ビジネスモデルキャンバスのようなテンプレートを活用し、多角的かつ俯瞰的な視点からビジネスモデルを考案する必要があります。見込み客や潜在顧客が何に悩み、どのような製品やサービスを求めているのかを逆算的に思考し、それらを解決するという視点でビジネスモデルをブラッシュアップしていく必要があるでしょう。

まとめ

ビジネスモデルとは、事業活動における「付加価値を創出する仕組み」と「利益を得る構造」を指します。競合他社にはない新たな市場価値を創出し、持続的成長を実現するためには、優れたビジネスモデルの構築が欠かせません。

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