多くの病院が労働生産性の課題を抱えていますが、具体的にどのような業務課題により生産性が低下しているのか、正しく理解している経営者は少ないでしょう。本記事では、病院業務における改善や効率化のポイントを解説します。正しく課題を的確に捉え、適切な施策で業務改善を進めましょう。
病院における業務課題とは
病院における業務課題はさまざまなことが挙げられますが、代表的なものとして、看護業務の複雑さや人員不足などが挙げられます。それぞれ、具体的にどのような業務課題が考えられるのか見ていきましょう。
看護業務の複雑さによる非効率な業務実施
看護業務とは、主に看護師が中心となり担う業務を指します。看護業務には、患者と直接触れ合う直接看護業務のほか、患者と接することのない間接業務の2種類があります。
前者は、入院している患者の食事や排泄の世話をはじめ、診療や治療におけるサポート、入退院時業務といった業務が該当します。後者は、ナースステーションにおける申し送り、記録や事務、医療器具の管理、医師への報告などといった業務が該当します。
看護師は、これらの業務を総合的に担うケースが多く、一人ひとりにかかる業務負担が大きくなりやすい傾向があります。煩雑な業務を並行して行うため、非効率的な仕事の進め方となってしまうことも少なくありません。
他にも、新人の教育や指導に時間を割く必要があるほか、病院によっては雑務を任されるケースもあります。このように、看護師が担う業務は多岐にわたり、なおかつ複雑・煩雑であることが業務効率低下につながっていると考えられます。
人員不足
多くの医療現場では、慢性的な人手不足に直面しています。特に、医療の現場で必要不可欠な存在である看護師の不足が顕著です。人材不足により一人ひとりのスタッフにかかる負担が増大し、それが業務効率の低下を招いている一面もあります。
人手不足に陥る理由はいくつか挙げられますが、ひとつには労働環境の厳しさが挙げられます。看護師の業務は多岐にわたり、大きな責任が伴います。その割に給料がそこまで高くないケースも多く、職場を離れる看護師が後を絶ちません。ある調査結果では、離職理由でもっとも多いのが「人手不足で仕事がきつい」で、約半数を占めていました。
医療ニーズの増加に伴い、多くの医療機関では十分な数の看護師を確保したいと考えています。しかし、業務の厳しさや安い賃金、休暇が取れないなど、さまざまな理由で人員の確保が難しくなっています。
十分な数の看護師を確保できないため、高品質な医療サービスを維持できなくなっている病院も少なくありません。これも、多くの病院が抱えている課題のひとつといえます。
病院における業務改善・効率化の方法
業務改善や効率化が進まないと、医療サービスの品質を維持できません。それに伴い集客力が低下し、利益の減少を招くおそれもあります。ここからは、具体的な業務改善、効率化の方法を見ていきましょう。
病棟における看護業務改善
病棟における看護業務は多岐にわたりますが、どの業務が負担になっているのか、効率を落としているのかを把握しなくてはなりません。現状を把握することこそ、改善への第一歩です。そのため、まずは病棟における看護業務を正確に洗い出し、現状を把握する必要があります。
現状を把握するには、実際に行われている業務を洗い出すだけでなく、現場の声を聞きとることも大事です。現場で働いている看護師にヒアリングを行い、現状の把握と整理を進めましょう。そのうえで、課題となる部分をピックアップします。どうしてその業務が問題なのかを考え、改善ポイントも洗い出しましょう。
基本的に業務を改善するには効率の悪い業務をなくす、もしくはやり方を変えるの2パターンが考えられます。なくしても問題のない業務なら、この機会になくすことも検討してみましょう。やり方を変えるのなら、具体的にどのような方法に変えるのかを併せて検討する必要があります。
病院向けシステム導入
現在では、あらゆるビジネスにおいてICTの導入が進んでいます。情報通信技術をビジネスに活用し、大幅な業務効率改善、利益拡大を実現している企業も少なくありません。医療業界においても同様に、ICTを活用しようとする動きは拡大しています。
病院向けのシステムを導入すれば、限られた人数で効率のよい業務の遂行が可能です。個々にかかる負担も軽減できるため、職場環境の改善効果も期待できるでしょう。人手不足により高品質な医療サービスの維持が難しくなっている病院でも、効率化により課題解決が可能です。
病院向けのシステムとしては、基幹システムや患者モニタリングシステム、電子カルテ管理システムなどが代表的です。また、近年ではパソコンやスマートフォンなどのデバイスを用いた、オンライン診療のシステムを実装する医療機関も増えています。
現在では、医療機関向けのさまざまなツール、システムがリリースされています。価格やできること、導入、運用のしやすさなどがそれぞれ異なるため、じっくりと検討しながら選ぶことをおすすめします。
データ管理システム導入
多くの医療現場では、膨大な量のデータを管理しています。データをうまく活用できれば、業務効率化や生産性向上効果が期待できますが、適切な管理運用ができていない医療機関が少なくありません。
膨大なデータを業務改善に活かすには、管理システムの導入がおすすめです。システムによっては、あらゆるデータの一元管理ができるため、従来の手間を大幅に軽減できるでしょう。優れた検索システムを備えたツールであれば、必要なときスムーズに情報を取り出せます。
また、システムによっては統計データの分析ができるもあります。経営における課題を抽出でき、適切な改善策の立案が可能です。
このように、管理システムを導入すれば業務や職場環境の改善、サービス品質の向上を実現できるだけでなく、病院経営にも役立ちます。研究や開発においても、力を発揮してくれるでしょう。
管理システムの導入においては、価格はもちろん、機能性やオーダーメイドの柔軟性、サポート体制などをしっかり確認しておく必要があります。併せて、過去の導入実績もチェックしておくと安心です。
医療用データウェアハウスCLISTA!がおすすめ
「CLISTA!」は、病院で管理するあらゆるデータの集計や一元管理を実現できるシステムです。大学病院や公立病院、民間病院など、多くの医療機関で導入された実績があります。
あらゆるデータの管理が可能なだけでなく、データ同士の連携ができるのも特徴です。CLISTA!は、多くの医療機関が採用している電子カルテとの連携ができます。国内で使用されているの電子カルテベンダー90%以上との連携実績があります。
CLISTA!では、平均在院日数や地区別来院患者などの統計データを分析できます。これらのデータを適切に分析できれば、経営改善に役立つ施策も容易に立案できるでしょう。また、待ち時間や手術室の利用統計も可視化、分析でき、サービス品質向上につなげられます。
優れた検索機能も搭載しており、複数の要素を横断した高度な検索ができるのも特徴です。また、抽出条件のテンプレート化ができ、複雑な条件でもスピーディーな検索が可能です。
また、ユーザーの立場や気持ちに寄り添った、安心のサポート体制を整えているのも特徴です。導入はもちろん、運用においても手厚いサポートを受けられるため、初めて導入する医療機関でも安心です。
事例1: 院内データの一元管理による業務効率化の実現(豊橋市民病院様)
愛知県豊橋市にある公立病院、豊橋市民病院様は、システムの導入により、これまで抱えていたさまざまな課題の改善を実現しました。同院は膨大なデータを管理していましたが、システムごとのデータアクセスが複雑で、専門家でないと適切に扱えないという課題を抱えていたのです。
CLISTA!を導入することで、あらゆるデータの一元管理ができるようになりました。また、経営に関連するデータの可視化や課題の抽出にも成功し、戦略的な病院経営が可能になりました。
データは必要に応じて容易に抽出できるため、従来のような業務の属人化も改善できました。他にも、患者様の待ち時間分析を行い、どこで時間がかかっているのかを明確にし、改善を図っています。
事例2: データ活用により統計業務効率化を実現(富士吉田市立病院様)
富士吉田市立病院様は、山梨県富士吉田市にある公立病院です。同院では、他社DWHを導入、運用していましたが、定型化された統計帳票しか利用できなかったため、業務が非効率にならざるを得ませんでした。
CLISTA!の導入により、この問題を解決できたとのことです。また、従来では採取管マスタの入れ替えにおいて不整合が発生していましたが、CLISTA!でデータ抽出を行うことでこうした問題も改善できました。現在では医事科や看護部でも、過去の紙カルテの所在精査やベンチマーク事業への精度の高い統計や分析にも有効活用できています。
まとめ
病院における業務改善や効率化では、きちんとポイントを押さえたうえで実行することが重要です。現状を正しく把握し、課題を抽出したうえで適切に対処していきましょう。
CLISTA!なら、あらゆるデータの一元管理や連携ができます。業務や経営改善、サービス品質の向上に、導入を検討してみてはいかがでしょうか。