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ビジネスモデルキャンバスとは? その特徴や9つの要素などについても解説

企業が持続的な発展を遂げるためには、市場環境の変化にあわせてビジネスモデルの変革や新規創出を推進する必要があります。そのようなシーンにおいて重要な役割を担うのが「ビジネスモデルキャンバス」と呼ばれるフレームワークです。本記事では、ビジネスモデルキャンバスの概要や作成方法などについて詳しく解説します。

ビジネスモデルキャンバスとは? その特徴や9つの要素などについても解説

ビジネスモデルキャンバスとは

「ビジネスモデルキャンバス」とは、事業の戦略や収益構造などを整理し、ビジネスモデルを俯瞰的な視点から分析するためのフレームワークです。現代はテクノロジーの進歩に伴って市場の変化が加速しており、予測が困難で先行きが不透明な時代になりつつあります。このような時代のなかで競争優位性を確立するためには、自社を取り巻く環境の変化に対応すべく、既存事業の改善や新たなビジネスモデルの構築に取り組まなくてはなりません。

ビジネスモデルキャンバスは、事業の全体像を後述する9つのセグメントに分解・整理し、自社のビジネスモデルが競合他者に勝る要素や事業形態の課題などを洗い出します。そして、事業の全体的な構造を俯瞰的な視点から分析し、既存事業の変革や新規事業の創出につなげることがビジネスモデルキャンバスの役割です。また、ビジネスモデルキャンバスは事業構造の設計図となるフレームワークであり、組織内で経営ビジョンの浸透や情報共有を促進する際にも用いられます。

リーンキャンバスとの違い

「リーンキャンバス」とは、ビジネスモデルキャンバスと同様に事業の構造を9つの要素に整理し、ビジネスモデルを可視化するためのフレームワークです。ビジネスモデルキャンバスとの違いは、スタートアップのビジネスモデルに特化している点にあります。ビジネスモデルキャンバスと非常によく似たフレームワークですが、リーンキャンバスはスタートアップにとって重要ではない要素が省略されており、なおかつ顧客との関係性を深堀りしている点が大きな違いです。

ビジネスモデルキャンバスの特徴

ビジネスモデルは事業戦略やプロダクト、経営資源、顧客、販売経路、収益構造、コスト構造など、複数の要素によって構成されています。既存事業の変革や新規事業の創出を推進する際は、これら複数の要素を俯瞰的な視点から捉え、それぞれが相互に与え合う影響や関係性を分析しなくてはなりません。こうしたビジネスモデルを構成する要素を9つのセグメントに整理し、事業の全体像を俯瞰的な視点から捉えられる点がビジネスモデルキャンバスの大きな特徴です。

ビジネスモデルキャンバスの9要素

先述したように、ビジネスモデルキャンバスは事業の全体像を9つの領域に整理し、ビジネスモデルを俯瞰的に分析するフレームワークです。ここでは、ビジネスモデルキャンバスを構成する9つの要素について解説します。

顧客セグメント

自社の顧客となり得る見込み客を明確化します。経営学者のP・F・ドラッカーは「企業の目的として有効な定義は一つしかない。すなわち、顧客の創造である(※1)」と述べており、付加価値の提供対象となる顧客分析は企業とって最も重要な経営課題といっても過言ではありません。顧客創造の第一歩は見込み客の選定であり、年齢や性別、職業、居住地域、家族構成、ライフスタイルといった属性でターゲットをセグメントし、誰に対してどのようなプロダクトを提供するのかを具体化します。

(※1)引用元:現代の経営[上](P.46)|P・F・ドラッカー(ダイヤモンド社)

価値提案

見込み客の潜在的な需要を深堀りし、自社が提供する付加価値と満たすべきニーズを明確化します。現代は市場の成熟化が進み、さまざまな商品やサービスが溢れているため、競合他社との差別化を図るためには独自の付加価値を創出しなくてはなりません。そのため、顧客となり得る見込み客が何に悩み、どのような商品やサービスを求めているのかを分析し、そのニーズを満たすために提供する具体的な付加価値を明確化します。

チャネル

セグメントされた見込み客に対し、どのようなルートでアプローチするのかを決定します。たとえば、アパレル事業を展開する企業でも、店舗型のビジネスモデルをメインに展開するのか、オンラインチャネルでの販売を主戦場とするのかでは事業戦略が大きく異なります。セグメントした見込み客にどのようにリーチするのかを深堀りし、販売ルートやプロモーション戦略の方向性などを具体化することが、このフェーズにおける主な目的です。

顧客との関係

ビジネスモデルと顧客の間にある関係性を具体化します。ビジネスで売上を拡大する方法は、基本的に「新規顧客の獲得」「顧客単価の向上」「購買頻度の上昇」の3つしかありません。たとえば、売り切り型のフロービジネスと継続型のストックビジネスでは顧客との関係性に相違があり、顧客単価や購買頻度の向上を促す戦略の方向性が異なります。セルフサービス型かフルサービス型か、あるいは対面型か非対面型かなど、顧客との関係性を具体化することで事業戦略の方向性が定まります。

収益の流れ

マネタイズの構造を具体的な戦略に落とし込むフェーズです。企業は商品やサービスの創出を通じて市場に付加価値を提供し、その対価として利益を得ることで発展していきます。したがって、事業活動においてどのような形態で収益を獲得するのかを明確化するプロセスが必要です。顧客が何に対し、どのタイミングで対価を支払うのかを明確化するのはもちろん、買い切り型かサブスクリプションか、従量制か定額制かといった課金形態、またはセールやキャンペーンの方向性なども具体化します。

主要活動

付加価値を提供するために必要な事業活動を定めます。たとえば、原材料の調達や製品の生産、ECサイトやWebサービスの設計・開発、マーケティング戦略やプロモーション展開の立案・策定、市場調査や需要動向の分析、人材の採用や育成など、事業の軸となる活動を具体的な言語と数値に落とし込みます。主要活動の明確化は、事業活動の具体的な計画や戦略の方針を定めるために欠かせないプロセスです。

リソース

事業活動に投じる経営資源を明確化します。企業は「人的資源」「物的資源」「資金」「情報」「ファシリティ」など、さまざまなリソースを活用して事業を展開します。これらのリソースなくして事業活動は不可能であり、ビジネスの持続的な成長には経営資源を効率的かつ戦略的に活用する仕組みが不可欠です。このフェーズでは業績向上に直結するコア業務と直接的な収益を生まないノンコア業務を明確化し、事業活動におけるリソース配分を明確化します。

パートナー

事業活動におけるパートナーを明らかにするフェーズです。たとえば、商品が消費者の手元に届くまでには、「調達」→「生産」→「物流」→「販売」というサプライチェーンの流れがあります。多くの場合、こうした流通プロセスにはさまざまな企業が関わり合っており、サプライチェーンをすべて自社で管理する企業は多くありません。こうした代わりのきかないパートナーや協力会社の明確化が、このフェーズの目的です。

コスト構造

事業活動を展開する上で必要なコストを明確化します。企業にとって最も重要な経営課題のひとつは利益の最大化です。売上高から仕入れ原価を差し引いた金額が売上総利益であり、さらにそこから販売費や一般管理費を差し引くことで営業利益が算出されます。利益を最大化するためには、売上高を高めるのみならず、いかにしてコストを削減するかが重要な課題です。そのため、このフェーズを通して固定費や変動費を洗い出し、その他8つの要素との関連性を分析する必要があります。

ビジネスモデルキャンバスの作成方法・書き方に関するポイント

基本的にビジネスモデルは「マーケティング」「オペレーション」「ファイナンス」という3つの領域で構成されています。さらにマーケティングは「顧客セグメント」「価値提案」「チャネル」「顧客との関係」の4項目に分類され、オペレーションは「主要活動」「リソース」「パートナー」の3項目に細分化されます。そして、ファイナンスは「収益の流れ」と「コスト構造」で構成されており、これら9つの要素を整理することでビジネスモデルを俯瞰的な視点から分析できます。その際に全ての要素を埋めることを意識しましょう。そうすることで全体の関係性が把握できます。

そして、ビジネスモデルキャンバスを実際に作成する際は、最初から完璧を求める必要はありません。「計画(Plan)」→「実行(Do)」→「評価(Check)」→「改善(Action)」のPDCAサイクルを回し続け、加筆修正や段階的な精度向上を視野に入れることが大切です。また、SWOT分析や3C分析などのフレームワークを併用することで、既存事業の変革や新規事業の創出をより効率的に推進できます。

まとめ

ビジネスモデルキャンバスは事業を構成する9つの要素を整理し、ビジネスモデルを俯瞰的な視点から分析するフレームワークです。ビジネスモデルキャンバスの戦略的な活用を推進する企業は、Microsoft 365のようなビジネスを支援するデジタルソリューションの導入をご検討ください。

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