クラウド移行(インフラ・DB)

クラウド移行を安全・確実に行う手順とは?

自社のオンプレミス環境をクラウドに移行したいと考えている企業も増えてきています。しかしその一方で、実際に移行するにはどういった手間やリスクがあるのか、疑問に思われる方も多くいることでしょう。そこで、本記事ではクラウド移行におけるリスクと、それを回避できるポイントなどを紹介していきます。

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クラウド移行 まるわかりガイド

システムのクラウド移行における注意点・課題

昨今、自社サーバーにクラウドサービスを活用する企業が増えています。クラウドサービスには、自前で用意したオンプレミス型と比較して、「どこでも気軽に利用できる・バックアップが手厚く災害に強い・保守管理をプロに任せられる」といったメリットがあります。

ただ、クラウドサービスへの移行にあたって、こうしたメリットが自社に本当に有用なものなのか。移行する際にどういったリスクが考えられるのか。こうした点は、事前に確認しておく必要があるでしょう。

移行における注意点として、まずあげられるのが技術的なリスクです。クラウドに移行することで、オンプレミス環境では実行できていたことが、実行不可能となるケースもありえます。こうした際に、「何ができなくなるのか・どういった対応で代用できるのか」といった点を課題としてきちんと把握することが重要です。

次に考えられるのが、セキュリティ面でのリスクです。自社で管理するオンプレミス型と違って、クラウド型では機密情報などのデータをプロバイダー側に委ねることになります。そのため、クラウドサービスを検討する際には、「セキュリティにどれだけ注力しているか」という点も重視したいところです。

セキュア通信や暗号化、ファイル移動のモニタリングなどといったセキュリティ対策を用意しているかどうか、事前にチェックしておきましょう。また、データの損失リスクも意識しておきたいポイントです。どういったバックアップシステムが用意されているかも確認しておくといいでしょう。

クラウド移行を安全・確実に行う手順・ポイント

それでは、クラウドを安全に移行するための手順について、ポイントを押さえつつ具体的に確認していきましょう。

ITインフラ戦略の策定

まず重要なのが、クラウドへの移行は企業のITインフラとしての戦略の一つであると認識することです。ニーズに近いからとただ闇雲にクラウドを導入するのでは、むしろ目標達成の妨げになる可能性すらあります。

自社のITインフラの測定基準をいったん明確にし、自社のIT環境やIT資産と照らし合わせることが大事です。こうした基準を設定することで、ページの読み込み時間やメモリやCPUの使用状況などといったクラウド移行のKPI(重要業績評価指標)を判断することにも役立つでしょう。実際のITへの技術面も大切ですが、戦略を立てる上ではビジネス面において有用かどうかを意識していくことが肝心です。

アプリケーション選定の最適化

戦略の方向性を明確にしたら、次はクラウド移行についてより具体的な内容に踏み込んでいきましょう。最優先で行いたいのは、「クラウドに移行することで生じる、利用中のアプリケーションへの影響」を、現在のオンプレミス環境と比較して明確化することです。クラウドサービスには多くのメリットもありますが、オンプレミス型におけるアプリケーションすべてに対応できるとは限りません。クラウドへ移行する際には、特に下記の点をしっかり確認しておきましょう。

  • 現在利用しているアプリケーションのうち、そのまま移行できるものと対応が必要なものの洗い出し
  • 対応が必要な場合、どれくらいの手間やコストがかかるかの確認
  • 移行するアプリケーションの投資収益率とその達成予定期間の確認
  • 移行にあたっての投資収益率をクリアしたアプリケーションが、パブリック、プライベート、マルチクラウドのいずれに適しているかの確認

クラウド・プロバイダー選定の最適化

アプリケーションの選定が終わったら、次は実際にどのプロバイダーに委託するかを検討する段階に入ります。プロバイダーの選定は、当然提供されているサービスの条件が自社にマッチすることを基準に行うべきです。その条件について具体的に見ていきましょう。

まずは費用、そしてシステム障害などに強いかどうかといった可用性の面、将来的に構成の変更を行える拡張性があるかどうかなどは最優先でチェックしておきたい部分です。

そして意外と見落としがちなのが、「国内法が適用できるか否か」という点です。プロバイダーによってはデータセンターが北米やヨーロッパ、アジアなどの国外にあるケースもあります。もしデータが海外データセンターに保管された場合、そのデータの扱いはそこの国の法律に準じることになります。つまり、日本では合法であってもその国は違法であったり、またその逆であったりということが起こりうるのです。こうしたトラブルを避けるためにも、国内サービスを展開する場合は日本国内にデータセンターがあるプロバイダーにしておくのが無難でしょう。

加えて、移行作業にあたって外部のものを含む移行ツールが使えるか、パブリックやプライベートやマルチクラウドといった環境に対応できるか、移行の段階からどういったサポートを提供しているか、といった点にも留意したいところです。

データの整合性と運用性の維持

既存のサーバーからクラウドサーバーへ移行するにあたっては、整合性や運用性の確認も重要となります。すなわち、「2つのサーバーの間でデータの整合性が適切に取れているか」「移行コストに見合うよう、以前のサーバーよりも優れたパフォーマンスで運用できるか」といった点です。移行中や移行後の検証、移行のスキームの事前確認を行っていないと、データの消失や破損を招く恐れもあるでしょう。ただデータ移行と聞けば簡単な作業のようにも思えますが、実際の移行作業を行う際には綿密な戦略計画を立てておく必要があるのです。

エンドツーエンドアプローチの適用

プロバイダー側とユーザー側が、どれだけお互いにアプローチしあえるかどうかも知っておきたいポイントです。データ移行が大掛かりな作業となるので、この段階でプロバイダー側が支援してくれると作業の安定度もアップします。また、プロバイダー側のSLA(サービス品質保証)も確認しておくといいでしょう。

クラウドサーバーでは1つのサーバーを複数のユーザーと共有する形になるため、ほかのユーザーの使用状況によっては性能が一時的に低下する可能性もあります。こうした性能低下が許されない環境下で運用する場合は、一定の性能を保証してくれているプロバイダーを優先して選ぶことをおすすめします。もしプロバイダー側が定めたSLAを下回るパフォーマンスを見せたとき、利用料金の減額といった形で対応してくれるところも多くあります。

クラウド移行実施と検証

最後に、実際に移行を行うにはどういった方法があるかを見ていきましょう。クラウド移行作業の難易度は、移行するアプリケーションの複雑さが大きく影響してきます。そのため、まずはクラウドを移行する目的はそもそも何なのかという点に立ち返って考えましょう。

「特定のアプリケーションの機能を強化したい」「既存のサービスの契約が迫っているものから順次移行していきたい」といった明確な目的がある場合は、その点の移行を優先して段階的に作業を行っていく形が理想的です。

目的が複数ある場合は、作業の難易度を計測し低いものから取り掛かっていく方が効率的と言えるでしょう。もちろん、アプリケーションを段階的でなく一気に移行してからオンプレミス環境を移行するといった方法も可能です。どういった手順が一番スムーズにいくか、クラウド移行への目的を改めて見直しながら検討していくといいでしょう。

以上が、クラウド移行のリスク回避にあたって知っておきたい6つのステップです。クラウド移行は手間もコストも大きくかかる作業となるので、事前に綿密な計画を立てておくことが肝心です。

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まとめ

クラウドへの移行は大掛かりな作業となります。クラウド移行の目的、得られるメリット、プロバイダーの選定など、一つひとつを丁寧に検討しなければ、費用や手間がかかるわりに効果は薄い、といった結果につながりかねません。移行を行う場合は、まずしっかりとしたリサーチを行った上で戦略を立てていきましょう。

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