団塊世代(1947~1949年)、しらけ世代(1950~1964年)、段階ジュニア世代(1965~1970)は日本人口の大部分を占めており、日本の労働力を支える世代でもあります。また、65歳以上の人口は3,515万2,000人で日本全体の3割近くを占め、人口数は年々拡大傾向にあります。
少子高齢化を食い止める具体策は未だ存在しませんし、この波は今後も大きくなる見通しです。これらの情報から、日本は今後15年ほどかけて労働人口が劇的に減少すると予測されています。そこで訪れるのは、「人材難時代」です。
企業は深刻な人材管理を乗り越えるために、人材管理を徹底しなければいけません。本記事では、人材管理とは何なのか?システムを導入することで何ができるのか?といった、現代企業の人事部門に求められている情報を解説します。
人材管理とは?
「企業が掲げるビジョンの実現と、ビジネス戦略を推し進めるために人材という経営資源を広く管理し、効率的に活用するための取り組み」を人材管理(人材マネジメント)と呼びます。主に人材活用のための仕組みそのものを整備したり、社員1人1一人に応じたマネジメントを実施したりする人事的な取り組みです。
人材管理の重要性が叫ばれている理由はやはり、人材難を乗り切るためというのが大きいでしょう。ただし、他にもさまざまな理由があります。
日本市場のグローバル化に伴い、人材の多様化が進みました。日本企業は徐々に海外企業の風土を取り入れつつあり、人材の流動化も進んでいます。「年功序列」から「成果主義」へ切り替える企業も多くなってきていることから、新たな人材管理に取り組む必要性があるのです。
また、多くの企業では「人材管理が企業の競争力を養うための重要な要素である」ことを認識しています。今や人材管理は従業員の出退勤情報を記録して給与を計算するためのものではなく、企業が目指すビジネス戦略を成功させるのに欠かせない要因となっているのです。
人材管理は具体的に何を指すのか?
人材管理は単に従業員情報を記録するための業務ではありません。従業員に関するあらゆる情報を、企業のビジョンやビジネス戦略と絡めながら、それらを達成するために効率よく人材を活用していく必要があります。以下に、人材管理の具体的な取り組みを説明します。
採用活動
人材管理は最適化された採用活動から始まります。「毎年行っているから」といった理由で年次採用活動に取り組む企業も多いですが。採用活動はもっと戦略的でなければいけません。まずは、「自社が欲しい人材像」を明確にしてから、どういった人材をターゲットにすればよいかを決めます。
企業にとって優秀な人材とは自然と集まるものではなく、企業が能動的に採用活動を行い獲得するものです。それを十分に認識した上で、新卒採用や中途採用、インターン採用などそれぞれの形態にあった採用戦略を立てていきます。
人材育成
企業のビジョンの実現やビジネス戦略を推進するために大切なことは、外部から優秀な人材を獲得することはもちろん、既存人材を育成して積極的にスキルアップすることです。そのためには、「人材をどのように育て上げたいか」というイメージを明確にしてから、社内外の研修やセミナー、資格取得補助などさまざまな角度から人材のスキルアップをサポートします。
新しい人材を確保するよりも、既存の人材を育成する方がコストが安く、かつ組織を大きく育てられる可能性があります。
人材配置
人材活用において「適材適所」が重要であることは間違いありません。人材ごとの経験やスキルに応じて適切な部署や業務に配置することで、人材の能力を最大限に引き出し組織の生産性アップや業績アップへと繋げることができます。
そのためには、各人材がこれまでどのようなキャリアを積み上げてきたか、どのようなスキルや専門知識を持っているかを正確に把握しなければいけません。また、誰をいつどこに異動させるかなど戦略的な人材配置が重要になります。
人材評価
人材の働きを評価した結果、それらが給与や賞与に反映されます。従って、人材評価はモチベーションに直結する要素なので、慎重さがとても大切です。日本企業は年功序列制の名残があるところも多いですし、成果主義とうたっていても実際は「結果主義」で、利益やプロジェクトにどれくらい貢献したかではなく、それらをけん引した責任者が評価されるような風潮もあります。
これでは人材のモチベーションは一向に上がりませんし、そのままでは人材評価が整備された企業や外資系企業にどんどん人材が流れていくことになります。人材管理の中でも、最も重要なのが人材評価だと言えるでしょう。
報酬管理
従業員ごとの働きに見合った報酬を与えることが、最大のモチベーション向上・維持に繋がります。これは単純に成果報酬を採用するのではなく、「従業員ごとの貢献度に見合った報酬がしっかりと支払われているか?」という視点で現状を見つめなおすことが大切です。
人材評価との整合性をチェックしたり、定期的な制度見直しを行ったりと適切な報酬が支払われるように管理しなければいけません。
福利厚生
福利厚生もまた人材のモチベーションを管理するための大きな要因です。雇用形態(オフィス勤務やテレワークなど)や育児休暇制度など、現代の多様化した人材に適応した福利厚生を提供する必要があります。
日本においても人材の流動化が急速に進んでいるため、優秀な人材の流出を防ぎ、かつ企業に対するロイヤリティを高めるためにも、「各従業員にとって働きやすい環境」という視点を持って、福利厚生や人事制度を充実させていきましょう。
システム化された人事管理の姿
人事管理にかかわるシステムのことを、昨今では「HR Tech(Human Resource Technology)」と呼びます。HR Techを導入することで、人事管理は人材情報の統合管理、採用活動の効率化、人材育成の最適化およびシステム化、総合的な人材評価制度の導入などが実現されます。さらに、最近のITトレンドであるAI技術を取り入れることで、人材配置において適材適所を実現するためのアドバイスをAIから受けたりと、戦略的な人事管理に大きく貢献してくれます。
これまで、人事管理が導入するシステムと言えば給与管理システムや勤怠管理システムなど、情報管理系のものが一般的でした。一方これからは、人事管理を戦略的に推し進めるために様々な情報管理機能や分析・解析機能、あるいはAI技術などを搭載したHR Techが主流になっていきます。
そして、クラウド型のHR Techが今や巨大市場を形成しつつあります。クラウドサービスはサーバー・ソフトウェア導入が不要など導入容易性に優れており、かつ月々や毎年の費用が固定化することから予算編成が立てやすく、インターネット経由で利用するため利便性が高いといったメリットが盛りだくさんとなっています。
これにスマートフォンはタブレットの普及も相まって、クラウド型の利便性はさらに向上しています。皆さんも、HR Techの導入を検討する際は、クラウド型を優先的に検討していきましょう。