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需要予測とは?当たらないが当たり前?その制度の上げ方をご紹介

会社の商品やサービスが将来的にどれくらい売れるのか?その情報が正確に分かれば、ビジネスで躓くことは無くなります。しかし、タイムマシンのようなツールは存在しません。では、会社は未来の情報をどうやって手にすればよいのか?それは過去のデータを集計し、分析して需要予測を行うことでまかないます。

今日、多くの企業が需要予測に取り組んでいます。データを集計し、加工し、分析しレポートとして出力するシステムを導入したり、独自の予測モデルを作ったり、あるいは在庫担当者の長年の知見に頼ったり、方法はさまざまですがほとんどの企業が需要予測を何らかの形で取り入れていると言ってよいでしょう。

では、現在になって需要予測の重要性が叫ばれているのはなぜでしょうか?本稿では、需要予測の基礎についてご紹介します。

需要予測とは?当たらないが当たり前?その制度の上げ方をご紹介

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需要予測とは?

それは文字通り、市場において会社の商品やサービスがどれくらい売れるかを、さまざまな形で予測することを指します。需要予測の目的は、簡単に言えば「企業収益の最大化」です。経営者に会社を成長させようという意思がある以上、そのためには収益を拡大し、より多くの利益と資金を確保して、既存事業へ投資したり新規事業を立ち上げたりします。そのために「企業収益の最大化」はとても重要であり、成長への近道と言ってもよいでしょう。

どのように最大化されるかというと、販売における機会損失を防いで売上減少を回避し、過剰在庫による管理コストの増大を防ぐことができます。中長期的な目線で見ると、会社の経営戦略を正しい方向へと導くことになるので、需要予測には「企業収益の最大化」という効果があるわけです。

なぜ需要予測は重要なのか?

では、昨今のビジネスで需要予測が重要だと考えられている理由とは何か?これは普段のビジネスを踏まえて考えると分かりやすいでしょう。

皆さんの会社で販売している商品やサービスは、おそらく市場で唯一無二の存在ではないでしょう。モノやコトが溢れている現代において、市場では類似した商品やサービスが競合し、単純な商品力ではない付加価値で勝負することが少なくありません。そうした中で、高い競合優位性を手にするにはどうすればよいのか?方法はいくつかありますが、その1つが需要予測によって収益の最大化を図り、新たに得た利益や資金から商品やサービス、あるいはマーケティングに集中的な投資を行うことです。

ここでいう需要予測とは、在庫担当者や販売担当者の経験や勘に頼ったものではなく、データ分析を基準にしたものを指しています。企業によっては、ベテラン従業員の経験と勘から需要量を予測し、意思決定を下している場合もあります。ところがこのやり方では、属人的な部分が多いため会社に知見が蓄積されず、当該従業員が退職でもすれば従来通りの需要予測はたちまちできなくなります。リスクの高い方法です。

さらに、データ分析をもとにしているわけではないため、予測精度はあまり高くありません。「〇〇さんはこの業界を熟知しているから、予測は正確だ」と思えても、それは他人と比べて高いという程度で、やはりデータ分析を基準にした需要予測には劣る部分が多いでしょう。

これに加えて、昨今では日本企業のグローバル進出が活発になっており、そうした場合は経験や勘に頼った需要予測が当たらないことが大半です。市場変化の兆候をいち早く察知するためにも、やはりデータ分析を起点とした会社の基準値としての需要予測が欠かせないということになります。

需要予測は「当たらない」が当たり前?

ある会社では、SCM(Supply Chain Management:サプライ・チェーン・マネジメント)システム刷新の一環として、高性能エンジンを搭載した需要予測システムを導入しました。それにより欠品の排除と、在庫の30%削減が期待され、収益最大化に向けたプロジェクトが始動します。

万全の体制で迎えた本格稼働も、1週間経過するとある製品の急激な需要拡大を予測できずに、欠品を起こし、顧客から多数のクレームが届きました。この会社は、なぜ需要予測に失敗したのでしょうか?

その原因は、システム導入によって「需要予測が必ず当たる」と信じ込んだことです。ここまで需要予測がどれほど重要かを説明したにもかかわらず、需要予測は当たらないとは矛盾ではないか?と思われるでしょう。しかしこれは事実です。需要予測の方法は多数存在しますが、1秒先ですら実際にそのときになってみないと何が起こるか分かりません。システムを導入して未来の情報が把握できるようなら、誰もビジネスで失敗はしないのですから。

ポイントは、「需要予測は当たってなんぼ」と考えるのではなく、「正確には当たらない」ことを前提に置きながら、目的に応じた需要予測モデルを使用し、目的に応じた活用方法を心掛けることです。昨今の需要予測にはAI/機械学習が備わっております。AI/機械学習の本質は大量のデータから知見を導き出すことにあります。つまり、分析対象となるデータがたくさんあればあるほど精度が増すわけです。

このことから需要予測は、ある程度長い年月をかけて育てていくものだと考えるのが良いでしょう。

需要予測精度を上げるには

「正確には当たらない」ことを前提にするのがポイントとはいえ、毎度結果と乖離した需要予測を行ってしまっては、ビジネスにまったく活用できなくなります。そこで検討していただきたいのが、需要予測精度を上げる取り組みの実施です。100%当たる予測は存在しなくても、その精度を0.1%でも上げることで収益の最大化が近づきます。

そのためにはまず、分析に私用するデータの品質を上げることが大切です。データは何よりも正確でなければいけません。長らく更新されていないデータや、信憑性の低いデータを使っても、正確な需要予測は行えないでしょう。「そんなこと当たり前だろう」と思われるかもしれませんが、実は多くの企業がデータそのものに不備があり、需要予測を正しく行えていない傾向にあります。

次に、データの異常値に対する処置の大切さです。小売店でのマーケティング活動によって数日間だけ売上が急増した場合、一時的な売上増大は異常値として需要予測モデルの入力データから除外するか、補正などの処理を行った上で取り扱う必要があります。異常値をそのまま使って需要予測を実施しても、正しい予測は行えません。

需要予測モデルを継続的に改善する、という取り組みも成功への要になります。正確なデータを使用して行った予測も、実際の需要とは大きく乖離する可能性があります。そのとき、単なる失敗に終わらせるのではなく、予測と結果の比較検証を行った上で、その情報を需要予測モデルの改善に反映させ、この取り組みを継続的に行っていくことです。そうすれば、今よりも明日、明日よりも明後日、さらに1年後と需要予測の精度は上がっていきます。

決して急激な伸びは期待できませんし、平坦に近いほど緩やかな精度向上かもしれませんが、継続することがより高精度な需要予測モデルに繋がっていきます。

需要予測を始めよう

従来のような経験や勘に頼った予測を続けるのではなく、データ分析をもとにした需要予測が今のビジネスに求められているものです。しつこいようですが、大切なのは「正確には当たらない」ことを前提に置くことです。その本質が理解できたら、さっそく需要予測を始めましょう。今よりもずっと正確な未来の情報を手にして、収益の最大化を図り、中長期的なビジネス目標を達成するための企業体質を作り上げてください。

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