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ERP導入の失敗例は? 成功へ導く要件定義を解説!

ERP導入の失敗例は? 成功へ導く要件定義を解説!

ERPの導入は、企業の業務効率化や情報の一元管理を実現するために有効です。ただし、導入で失敗してしまうケースも少なくありません。失敗例やその原因を知ることは、ERPの導入を成功させるための反面教師として役立ちます。本記事では、ERP導入の失敗例と、成功に必要な要件定義の進め方を解説します。

ERP導入で失敗する8つの理由と回避策

ERP導入の失敗例や課題

ERP導入が失敗に終わってしまう原因は多岐にわたります。なかでも特によくあるのは、

  • ERP導入の目的が曖昧になっている
  • ERP導入後の体制が考えられていない
  • 経営陣と現場との意思疎通が取れていない
  • アドオン開発が増えてしまう
  • 自社にあったベンダーを選択できない

といったことです。

ERP導入の目的が曖昧になっている

そもそも導入目的自体が不明確なことに原因があるケースが少なくありません。具体的な業務改善目標を設定せずにERP導入を開始すると、ベンダーや製品の選定、要件定義、業務フローの見直しなど、プロジェクトの至るところで迷走しやすくなります。「業務効率化」や「情報の一元管理」といった漠然とした目標だけではなく、どの業務をどのように改善したいのかを明確にすることが重要です。

ERP導入後の体制が考えられていない

ERP導入の成功は、導入後にしっかりと活用し、自社の抱える課題や目標を達成して初めて実現されます。しかし、導入までの工程で頭がいっぱいで、どのように活用していくのかまでは構想できていない企業が多く見られます。せっかくERPを導入しても、運用体制やデータ活用の方法などが整備されていないと、従来の経営方法から脱却することは不可能です。導入自体がゴールのように錯覚しないためにも、先述した通り、目標を明確化することが重要です。さらに、導入後も見直しや評価を定期的に行い、必要に応じてERPの改修や機能追加を行うことも欠かせません。

経営陣と現場との意思疎通が取れていない

経営陣と現場の意思疎通に原因があることもめずらしくありません。ERPの導入は現場に業務フローの変更などの負担を強いることも多いので、経営陣が十分にイニシアティブを取れていないと、現場の反発を招いてプロジェクトが難航しやすくなります。しかしながら、現場の意見をよく聞けばERP導入が成功するわけでもありません。現場の意見を過度に取り入れたERPは、現場にとっては使い勝手がよくても、経営目標の達成にとっては不都合なこともあるからです。ERP導入に際しては、経営陣と現場の間で綿密なコミュニケーションを取り、導入の目的や意義、プロセスなどについて合意形成することが大切です。

アドオン開発が増えてしまう

過度のアドオン開発も失敗につながりやすい要因です。アドオンは利便性を向上させるために有用な手段ですが、細部にこだわりすぎると開発コストや工数の増加を招きます。さらに、システム全体が複雑化するせいで、バージョンアップなどの負担も大きくなりがちです。このような問題を避けるためには、「ERPを業務に適合させる」のではなく、「業務をERPに適合させる」ように発想を変えることが大切です。

自社にあったベンダーを選択できない

ERP導入の成功は、選定するベンダーとの相性にも大きく左右されます。しかし、ERPに関する知識や情報が不足していると、自社に最適なベンダーを選択できないことも少なくありません。ベンダーの選定を誤ると、担当者との意思疎通や製品の機能などにも連鎖的に問題が生じてしまいます。特にベンダー側の担当者が力量不足だと、導入目的からは逸れた形でERPを導入してしまうことも起こり得ます。こうした事態を避けるためには、自社の責任者側も十分にERPの知識や情報を蓄えて、ベンダーの力量を確かめたうえで最終的な採用判断を行うことが大切です。さらに、ベンダーとの間で認識の齟齬が起きないように、担当者に任せきりにすることなく、綿密な協力体制を築く必要があります。

ERP導入が失敗する主な要因

上記の諸課題とも関連してERP導入の大きな失敗要因になるのが、ベンダーに提出するRFP(提案依頼書)が適切に書けていないことです。すなわち、ERP導入に失敗する企業は、RFPに記載するERPの機能要件を現行システムベースで記述しているケースが多く見受けられます。

機能要件を現行システムベースにするのでは、新しい技術基盤の上に旧式の機能を焼き直しするだけになってしまいます。これでは現行のシステムや業務フローが抱える問題も維持されてしまうため、ERP導入の目的を達成するのは困難です。また、最新のERP標準とは異なる現行システムをベースにしようとすると、どうしてもアドオン開発が多くなるのも問題です。先述したように、過度のアドオン開発もまたERP導入の失敗につながります。

RFPに問題があるなら、ベンダー側が指摘してくれるだろうと思うかもしれませんが、多くのIT技術者は、ユーザーの要求にできるだけ応える形でシステムを構築することに良くも悪くも慣れています。ベンダー側ではRFPの内容通りに開発を進めることが最善と判断して、最終的にERP導入が失敗に終わるケースが少なくありません。RFPを適切に作成することは非常に重要です。

ERPを成功に導くためのプロセス

前章で述べたことを踏まえると、ERP導入を成功させるには、現行のシステムや業務から脱却し、ERP本来の業務プロセスに沿ってRFPを作成することが重要です。適切なRFPを作成し、ERP導入を成功させるためには、以下の手順で取り組みを進めましょう。

①あるべき姿のRFP(提案依頼書)を認識する

まずは、そもそもRFPはどのように作成すればいいのかをしっかり認識することが重要です。RFPの作成にあたっては、特に以下の事項を徹底するように心がけましょう。

  1. 新システム導入の目的・目標を明記
  2. ERPの業務プロセスベースで要件を記載
  3. 全社のプロジェクト体制を明記
  4. 実現可能で最適な導入計画の記載

これらの事項を明記することで、ベンダーを含む関係者間で正確に認識を共有し、プロジェクトをスムーズに進行できるようになります。ERP導入にあわせた業務改善なども行いやすくなるはずです。

②ERPベースでの業務の見直し整理をする

ERPベースで業務の見直し整理をすることも大切です。現行のシステムや業務フローをベースにしたRFPのまま要件定義に進むと、先述したような失敗に陥ってしまいます。いきなり要件定義に進むのではなく、まずはERPベースで業務の見直しや整理を行うことをおすすめします。ERPベースでの業務の見直し整理が行えるベンダーを選択することも極めて重要です。そうしたベンダーとの連携によって、新システムが現行システムの単なる焼き直しにならないようにすれば、ERPの導入効果を最大化できます。

③要件定義を行う

業務の見直し整理が完了したら、次に要件定義を行います。つまり、ERPが実装すべき機能や性能を明確に定義する段階です。要件定義の手法としては、CRP(Conference Room Pilot)を使用するのが一般的です。Dynamics 365などERPの標準機能やテンプレートなどを使用し、見直しをした業務プロセスに沿ってシステムの動作確認をしながら業務運用を検討していきます。要件定義に際しては、Gap(標準機能やテンプレートでは対応が難しい要件)が発生することがあります。Gapにどのように対処するかが、要件定義の成否を握る鍵です。ポイントとしては以下が挙げられます。

  1. ERP機能に詳しいコンサルタントを求める
  2. ERP機能ではないツールを利用した対応を考える
  3. 業務処理の重要度を見極める
  4. 開発予算の上限を設定して判断する

こうしたGapへ対処するためにも、ベンダーの選定は非常に重要です。

④帳票やレポートの検討

帳票やレポートの整理と対応の検討活動を要件定義と並行してユーザー企業側で進めます。帳票やレポートの最適化を通じて開発削減を行います。

まとめ

ERP導入を成功させるためには、失敗例から学び、あるべき姿でRFPを作成したり、要件定義をしたりすることが重要です。富士フイルムデジタルソリューションズは、ERPソリューションの導入を支援しています。以下の資料でERP導入に際しての要件定義の詳しいポイントも解説しているので、ぜひご覧ください。

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