レンタル・リース業界は、顧客となる民間企業の動向に業績が大きく左右されるほか、サブスクリプションの台頭もあり、厳しい様相を呈しています。本記事では同業界の市場動向と今後の課題を解説します。また課題解決の手段として、レンタル業務に特化したツール「Dynamics Rental Management」を紹介します。
レンタル・リース業界の市場動向
設備や機械を貸し出すレンタル・リース業界の市場には、どのような特徴があるのでしょうか。業績の推移とあわせて確認します。
景気動向に依存している
企業がビジネスに必要な設備をすべて購入しようとすると、莫大な資金がかかってしまいます。そこで利用するのがレンタルやリースです。いずれもレンタル(リース)会社が顧客に代わって製品や物件を購入し、それを貸し出すサービスです。対象となるのは電話やコピー機、パソコンから、ブルドーザーなどの工作機械、医療機器、不動産、船舶にいたるまで多岐にわたります。
一般的に、企業は業績がよければ、設備投資を行って新たに機器を導入し、さらにビジネスを拡張しようとします。そのため、レンタル・リース会社へのニーズも高まります。しかし、業績が悪化すれば新たな需要は生まれにくく、契約の延長も難しくなります。したがってレンタル・リース業は、顧客となる民間企業の業績に大きく左右される傾向にあります。
また、低金利の場合、企業が自ら金融機関から資金を借り入れて必要な機器を購入する動きも出てくるので、レンタル・リース業には向かい風になります。
実際の売上の推移を見てみましょう。リース業の取扱高は、バブル期の1991年度に約8.8兆円と過去最高額に達しました。バブル崩壊後は7兆円台と低迷し、2008年のリーマンショックを機にさらに減少して4~5兆円台になり、コロナ禍においては約4.2兆円まで落ち込みました。その後、2022年度は前年度費2.2%増の約4.3兆円まで回復しています。
しかし、民間企業の設備投資額に占めるリースの割合は、2002年度の8.44%をピークに落ち込み、2022年度は4.18%まで減少しています。
景気の低迷や低金利政策など、レンタル・リース業界全体として厳しい要素があるものの、東京オリンピックなどで需要が高まった建機・建材に関しては、2022年度の建機レンタル売上高が3.2%増の1.1兆円と、2年連続で増加しています。
参照元:
リース統計(2022年度)1~2ページ公益社団法⼈リース事業協会
「建機・建材リースの業界概要」(NIKKEICOMPASS)
サブスクリプション型サービスが拡大している
サブスクリプション型サービスの台頭もレンタル・リース業に影響を与えています。
サブスクリプションとは、商品やサービスを一定期間、一定額で利用できることです。「利用する分だけ」をサービスとして提供され、解約のハードルが低いビジネスモデルなので、一定期間モノを所有することを前提としたリース・レンタル業のビジネスチャンスを奪いかねません。
とくにソフトウェア分野では、サブスクリプションの拡大が顕著です。2022年度のリース取扱高におけるソフトウェア構成比は7%と、大きくはありません。しかし今後は、建機などの他分野でもサブスクリプションが拡大するとみられています。その場合、リース・レンタルの市場規模はさらに縮小する恐れがあります。
参照元:リース統計(2022年度)4ページ公益社団法⼈リース事業協会
レンタル・リース業界の今後の課題
今度レンタル・リース業界が業績を伸ばすためにクリアすべき課題は、以下の二つです。
運用コストを削減する必要がある
運用コストの削減はレンタル・リース業界の重要課題です。
レンタル業界では、業者間の価格競争に加え、顧客からの値下げ要求もあるため、経営体力を消耗しがちです。加えて契約を獲得するには、安全かつ省エネルギーや騒音対策に配慮した最新機種をそろえなければなりません。また、電気機器を搭載したICT機器に入れ替えるなど、市場のニーズに応じて自らも設備投資する必要があります。
しかし過去には、無謀な設備投資のために資金繰りが悪化し、連鎖倒産を引き起こした事例もあります。そのため、今後は、コストを削減して生産性の高い企業体質を作り上げることが必須です。
ビジネスモデルの変化が求められる
競争に勝ち抜くためには、IT化や業務のオンライン化、DX推進に取り組んで、ビジネスモデルを変えていかなければなりません。オペレーションを見直し、業務プロセスを効率化することは、コスト削減にもつながります。
たとえば建機レンタル業界では、以前は電話予約が一般的でしたが、現在はオンライン予約が広がりつつあります。レンタル品の検索から予約、返却、修理までオンラインで処理できるので、利便性が改善されました。また、拠点ごとに異なっていた業務プロセスの最適化も進んでいます。
ただ、経営層主導で新しいシステムを導入するだけでは、機能を活用しきれず、働き方も変わりません。現場で働く従業員の、ITツールやDXに対する意識を変える施策も必要です。
レンタル・リース業界の課題解決につながる「Dynamics Rental Management」
競争が激化するレンタル・リース業界においては、業務プロセスの効率化や資産管理が不可欠です。その課題解決をになうのがDynamics Rental Managementです。Dynamics Rental Managementはレンタル業界に最適化されたビジネスソリューションツールで、すでにさまざまな企業で導入されています。なおこのツールはMicrosoft Dynamics 365 Supply Chain Managementで使用できます。
Dynamics Rental Managementのメリット
レンタル業界のマネジメントに特化したDynamics Rental Managementを活用すると、レンタル業務のすべての運用情報をリアルタイムで明確に把握できます。レンタル業務の一連のプロセスを単一のプラットフォームで管理・遂行するため、以下の四つのメリットを享受できます。
- 入力データの一貫性…データはレンタル・販売・管理・物流・財務と、部門を横断して活用できます。
- 効率の向上…すべてのビジネス情報を単一のデータベースに結合します。
- 在庫資産の簡単な移動…在庫資産をレンタル資産に移行できます。
- 総合的な経営情報…経営情報を一括して、事業活動の最適化を図ります。
Dynamics Rental Managementの三つのレンタルタイプ
Dynamics Rental Managementは、機材レンタル・バルクレンタル・プロジェクトレンタルの三つのタイプに対応します。
機材レンタルは最新のデータをもとに投資効果の最大化を図り、バルクレンタルでは適切な情報とツールの導入で、顧客が適切なバルク機器を確実に入手できるようになります。また、プロジェクトレンタルでは可用性・マージン・コストを見越した対応ができます。
Dynamics Rental Managementの主な特徴
レンタル・リース業界特有の要件に最適化されたDynamics Rental Managementは、見積もりから請求書までのレンタルフローを完全にカバーしています。そのためレンタル・販売・クロスレンタルのサポートが可能です。ユーザーの使いやすさを考慮してグラフィカルで可視性に優れていることも特徴で、レンタル在庫と販売在庫の識別も簡単にできます。
まとめ
市場の動向に左右されやすく、今後競争がさらに激化するレンタル・リース業界において、コスト削減や業務の効率化は避けて通れません。Dynamics Rental Managementはレンタル業界に特化したソリューションツールです。レンタル情報をリアルタイムで把握できるので、ムダのない最適化されたパフォーマンスを実現できます。