RPA/ワークフロー

RPAの流行は日本だけ?海外との違いと導入ポイント、事例を紹介

RPAの流行は日本だけ?海外との違いと導入ポイント、事例を紹介

RPAを使われていますか?RPAとはロボットによる自動化で、日本だけでなく海外でも業務効率化のために利用されています。ロボットは24時間365日稼働し、ミスをすることがありません。本記事ではRPAの概要から海外との違い、導入のポイントや導入事例を紹介します。RPA導入の参考としてください。

RPAとは|RPAの基礎知識と将来性

RPAとは|RPAの基礎知識と将来性

RPAとはRobotics Process Automationの略で、「ロボットによる業務の自動化」を指します。

RPAは24時間365日休むことなく稼働し、ミスをすることがありません。そのため、深刻化する労働力不足や、業務改善への対応として期待されています。

ここでは、RPAの概要と展望について解説します。

RPAの概要

RPAは人が手作業やパソコンを操作する業務を自動化するツールもしくはシステムです。

主に、パソコンの操作やデータの受け渡しといった、繰り返し行われる定型業務を効率化するために導入され、作業時間の短縮や人的ミスの削減を実現します。具体的には、データ入力やメールの仕分け、定期レポートの作成といった日常的な業務です。

すでに金融業界では導入が進んでおり、総務省によると大手都市銀行で年間8,000時間の削減事例が報告されています。

このように、RPAは業務効率化、ミスの低減、人材不足を解消する強力なツールとして期待されています。

出典:総務省HP RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)

RPAのこれからの展望(将来性)

RPAは以下の3クラスに分類されています。

クラス 概要
クラス1:RPA 定型業務を自動化
クラス2:EPA(Enhanced Process Automation) 生成AIを利用し、一部非定型業務も自動化
クラス3:CA(Cognitive Automation) 生成AIを利用し、高度な自律化

現在のRPAはクラス1が主流です。今後は生成AIによる、自然言語処理や画像解析技術、音声解析技術の活用で、プロセスの分析や複雑な意思決定までも可能になると期待されています。

RPAの流行は日本だけ?日本特有の流行理由とは

RPAの流行は日本だけ?日本特有の流行理由とは

RPAの導入は日本だけでなく世界中で進んでいますが、日本での導入理由は特有の事情が大きく関係しています。ここでは日本でRPAの導入が進んでいる理由を解説します。

業務改善が急務である

現在、さまざまな企業でシステムの操作ミス低減や、誤入力防止といった業務改善が行われています。

手作業ではどうしてもヒューマンエラーが発生する可能性があり、ミスによる納期遅延や品質低下といった問題になりかねません。この解決策としてRPAは注目されています。

例えば金融業界では、日々膨大な取引データを処理しなければなりません。RPAにより、人手に頼っていた業務を自動化し、ミスの防止と処理速度を向上させています。また、人件費の削減にも効果的です。

このように、業務改善を目的としてRPAが導入されるケースが増えています。

人材が不足している

日本では、少子高齢化により労働力が減少しており、多くの企業が人材不足に直面しています。

そのため、単純作業に従事する労働力をRPAによる自動化で対応し、社員には人しかできない創造的な役割に注力してもらう方法が注目されています。

例えば、今まで手作業で行ってきた在庫管理や発注業務などの自動化です。RPAが在庫を監視し一定数を下回ると自動的に発注するといったことができます。これにより、人材を他の「人しかできない」業務を担当させることが可能になります。

人材の育成には時間がかかり、すぐに人材不足を解消することは厳しいのが現実です。RPAは、人材をより創造的な業務に集中させ、人材不足を補う有効な手段となります。

働き方改革を推進する必要性がある

政府が推進する働き方改革も、RPAの導入を後押しする要因の1つです。

企業は労働時間を削減しながら生産性を向上させるという難題に取り組まなけれななりません。そのため、RPAは重要な解決手段として注目されています。

例えば、手作業で行っていた給与計算やデータ入力をRPAに任せることで、従業員の負担を軽減し、残業時間の削減が可能です。

また、RPAは365日休むことなく稼働できます。休日や深夜でもRPAは稼働し、スケジュールを調整する必要がありません。これにより、時間と場所が決められた業務が削減され、社員は柔軟な働き方が可能になります。これが、リモートワークやサテライトオフィスの活用にもつながっています。

このように、働き方改革推進の手段として、RPAの導入が急速に進んでいるのです。

RPAに対する日本と海外の違い

RPAに対する日本と海外の違い

RPAに対する日本と海外の違いについて、企業文化の違いがあります。海外企業では、さまざまな拠点で多様な人種が働くため、一定の品質を担保するために標準化が進んでいる場合が多いのが実情です。

それに対して、日本企業では現場が主導権を握り業務の効率化を考える習慣が根強く、ISOに代表されるような全社的な標準化が進んでいないのが実態です。

標準化が進んでいる海外企業の場合、RPAツールを導入しても全社で一様の業務変更をすれば対応できます。一方、日本企業の場合は現場によりやり方が異なるため、RPAツールを導入しても、個々の現場で活用方法を考えなければなりません。

そのため、日本企業では全社的にRPAを導入しても活用できなかったり、異なるRPAツールを現場ごとに調達したりする場合が多く見られます。

このように日本と海外では働き方の違いにより、RPA導入に対する考え方の違いがあるのです。

日本企業がRPA導入に失敗しないためのポイント

日本企業がRPA導入に失敗しないためのポイント

先述したように、日本企業がRPAを導入する際は、現場の働き方を考慮しながら導入する必要があります。

ここでは導入フェーズと運用フェーズに分けて、考慮すべきポイントを解説します。

RPA導入フェーズでのポイント

RPA導入の際に、いきなり全社での導入は多大な費用と大きな混乱を招くおそれがあります。RPA導入には入念な準備が必要です。まずは、RPA導入におけるポイントを紹介します。

導入前の検討

RPAを導入する前に導入目的の明確化が必須です。RPAを何のために導入するのかがはっきりしなければ、導入するにつれて目的がそれたり、導入後に目的が達成できなかったりするおそれがあります。

例えば、以下のような課題と解決すべき目的を明確にします。

課題 解決すべき目的
・超過勤務が多い

・パソコンの操作が多い

・職員の負担軽減
・ヒューマンエラーが多い ・ヒューマンエラーの削減
・顧客へのサービスに時間がかかる ・サービスのリードタイム削減

続いて、この課題と目的を解決するために、どのようにRPA導入を推進するのか検討が必要です。主な方法としては以下の3つのケースが考えられます。

  1. RPA導入推進課が主導するパターン
    RPA導入推進課が業務担当課の業務を分析し、RPAで改善できる業務を調査します。この方法はRPA導入推進課の負担は大きいですが、客観的に業務を分析することで、業務担当課では考えつかない改善方法を見つけられる場合があります。
  2. 業務担当課が主導するパターン
    業務担当課が業務を分析し、改善点を洗い出します。これは、業務担当課にITとRPAを理解している社員がいることが前提ですが、現場のニーズに即したRPAを導入できるメリットがあります。
  3. 事例を参考にするパターン
    他社の事例を参考に自社の業務に当てはめます。これは事前に改善の効果がイメージできる点がメリットです。ただし、そのまま導入はできないため、自社なりの改良が必要になります。

導入体制の整備

課題と目的が決定した後は、導入体制を整備します。

これは、導入体制を明確にしなければ、責任の所在が曖昧になり、RPA導入が滞留したり、改善すべき内容が十分盛り込まれなかったりするおそれがあるためです。また、さまざまな業務知識を持つ社員の参画が望まれます。

RPA導入のノウハウは、別の業務改善でRPA導入を行う際に有効活用できます。そのため、導入体制を整備する際は、テストやメンテナンスまで体制に含めるとよいでしょう。

また、RPA導入を外部委託する場合もあります。専門家に依頼して業務を客観的に評価、改善方法を策定する方法も有効です。

業務の可視化と自動化範囲の検討

RPA導入の際は、社内の理解を得ることが必要不可欠です。現在の業務フローを可視化し、自動化の範囲を定めます。その後、業務がどのような流れになるのかレビューし、共通の認識を持つ必要があります。

そのためには、以下の順序で進めるとよいでしょう。

  1. 業務の流れを把握
  2. 自動化範囲の検討
  3. 効果のシミュレーション
  4. 現行の業務フローの作成
  5. RPA導入後の業務フローの作成

ここまでイメージできた後に、RPAツールを選定します。各社の製品を比較し、RPA導入後の業務フローが実現可能な製品を選択しましょう。

その際、サポートの充実度は重要な要素です。RPAのシナリオ作成のサポートまでが含まれれば、RPA導入をスムーズに進められるでしょう。

シナリオの作成、テスト

RPAツールを調達した後は、RPA製品のシナリオ作成ツールを使い、業務フローの自動化シナリオを作成します。

シナリオとはRPAが実行する一連の動作を記述したものです。正確なシナリオを作成することで、ロボットが正しく動作し、期待通りの結果を得ることができます。

作成したシナリオは、正しく動くかテストが必要です。トライアンドエラーを繰り返して正しく動くシナリオを作成します。

また、シナリオのテストは実環境に影響を与えないように、テスト環境や保守環境の利用がよいでしょう。

シナリオを作成した後に、業務の流れが変わる場合があります。設計書をしっかり残さなければ、属人性が残り業務の変更に対応できないおそれがあります。誰が見てもシナリオが理解できるように設計書をしっかり残すことが重要です。

このシナリオ作成やテストは、今後RPA対象業務を拡大する際に、重要なノウハウになります。設計書やテスト結果もあわせてドキュメントとして保存しましょう。

RPA運用フェーズでのポイント

RPAは導入してから、さらなる業務の改善やメンテナンスが必要不可欠です。ここではRPAの運用フェーズでのポイントを紹介します。

運用体制の整備

RPAは稼働して終わりではありません。RPAツールのアップデート、システムやOSのセキュリティパッチ、アップグレードといったメンテナンスを実施し最新の状態を維持することが重要です。

最新状態を維持しなければ、脆弱性が残りサイバー攻撃を防ぐことが困難になるおそれがあります。また、バージョンアップが必要になった場合は、事前に検証し問題ないことを確認しなければなりません。

これらに対応するため、運用における体制を整備し要員を確保する必要があります。

また、新たな業務が追加された場合は、シナリオの追加や変更が必要になります。担当者がスムーズに対応できるよう、設計書やマニュアルを整備しトレーニングを実施することも効果的です。

このように、RPAを継続的に利用するためには、運用体制の構築が重要になります。

RPAの検証と維持管理

RPAの効果を定期的に検証し、維持管理していくことが必要です。導入後のパフォーマンスを確認し、必要に応じたメンテナンスにより、継続的な改善が望めるでしょう。

導入初期には大きな効果を上げたシナリオが、時間が経つにつれてパフォーマンスが低下する場合があります。効果を定期的にレビューし、原因の特定と対策を行いましょう。

例えば、業務の流れが変わりRPAのシナリオが合わなくなった場合、パフォーマンスが低下します。そのままでは、誤った結果を使用したり、RPAツールの結果に手を加える手間が必要になったりして、業務効率化の妨げになります。

本来であればシナリオを変更し、業務の流れに対応しなければなりません。しかし、定期的な監視を行わなければ、対策が必要であることに気付けません。

このように、RPAの効果を最大化するためには、定期的な検証が必要になるのです。

日本企業におすすめのRPAツール3選

日本企業におすすめのRPAツール3選

RPAツールを選ぶ際には、自社の業務効率を最大限向上させる製品の選定が必要です。ここでは、日本企業に特におすすめのRPAツールを3つ紹介します。それぞれの特徴を理解し、最適なツールを選びましょう。

Microsoft Power Automate

Microsoft Power Automateは、Microsoft社が提供するRPAツールです。

ノーコードで直感的に操作できるインターフェースを備えており、ITスキルが高くない社員でも扱いやすい点が特徴です。

例えば、メールで受け取った請求書を自動でクラウドに保存し、データを整理するワークフローを簡単に構築できます。その他、Microsoftの他サービスと連携しやすいメリットがあります。Microsoft 365やAzureなどのサービスと連携することで、更なる業務効率化が可能です。また、クラウド環境での利用になるため、リモートワークにも対応できます。

このように、Microsoft Power Automateは、業務効率化のみならず、働き方改革を進めたい企業にとってよい選択肢となるでしょう。

UiPath

UiPathは、世界的にシェアの高いRPAツールの1つです。

ノーコード・ローコードツールであり、直感的な操作によりRPAを作成できます。シンプルなRPAはノーコードで作成し、複雑なRPAにはプログラミングで対応可能です。

UiPathの特徴として、RPAのAIを利用した「RPAによる改善対象を発見」する機能や、「管理者が不在で正しく管理されていないRPAを管理」するツールがある点も特徴です。UiPathは、テンプレートが公式Webサイトから公開されており、それを元にRPAを作成できるため、RPA構築の工数削減も期待できます。

60日間の無償トライアルがあるため、事前に使い勝手を確認してもよいでしょう。

WinActor

WinActorは日本企業が開発したRPAツールで、日本企業の業務に適した設計が特徴です。

Office製品やEPR、ワークフローといったWindows端末から操作可能な、あらゆるソフトに対応できます。また、日本企業が開発しているため、日本語対応やサポート体制の手厚さも特徴です。

その他、WinActorはWindowsパソコン1台から導入できるため、スモールスタートにも適しています。

全ての機能が利用できる30日の無料トライアルや、研修付きの60日有償トライアルがあるため、事前に評価してもよいでしょう。

おすすめのRPA資格3選

おすすめのRPA資格3選

RPAの導入には、業務を分析し改善できる流れの検討が必要です。これはDXに求められる業務改善に通ずる部分があります。

そのため、RPAの資格を取得する際に、DXによる業務改善を実現するスキルが身につきます。RPAツールの習熟と業務改善の方法を習得するために、積極的に資格を取得してもよいでしょう。

Power Automate RPA Developer Associate

Power Automate RPA Developer AssociateはPower Automateのための資格です。この資格習得により、時間のかかる繰り返し作業を自動化できます。

この資格では、要件確認、設計、開発、ドキュメント作成、トラブルシューティング、評価までを行います。また、ExcelやOutlookといったOffice製品との連携を習得できる点も特徴です。

RPAに必要なプロセスとOffice連携までを習得できるため、Microsoft Power Automateを利用する場合は、習得するとよいでしょう。

UiPath RPA資格

UiPath RPA資格は以下の2つに分類されます。

  • オートメーション デベロッパー アソシエイト:シンプルなRPAの設計、開発
  • オートメーション デベロッパー プロフェッショナル:複雑なRPAの設計、開発

自社でUiPathを用いて、RPAの開発やメンテナンスを行う場合は、ぜひ習得したい資格です。

RPAの作成や運用に資格は必要ありませんが、資格を取得するための学習を通じて、高度なRPA人材の育成の手助けになるでしょう。

高度なRPA人材を育成し、業務改善や効率化のサイクルを回すことで全社的な生産性向上を図ることができます。

WinActor認定資格

WinActor認定資格は以下の2つがあります。

  • RPA技術者検定のアソシエイト
  • RPA技術者検定のエキスパート

アソシエイトは基礎的なWinActor活用方法の習得、エキスパートは応用のWinActor活用方法の習得になります。

Windows上で利用できるソフトウェアであれば自動化が可能なため、自動化できる範囲が広い点が特徴です。WinActorを利用する場合は、ぜひ習得したい資格の1つです。習得したスキルは、自社のRPA導入の際に十分活用できるでしょう。

日本企業|RPAの導入事例3選

日本企業|RPAの導入事例3選

業務効率化やコスト削減を実現するため、多くの日本企業でRPA導入が進んでいます。ここでは、RPAにより大幅な業務改善に成功した事例を3つ紹介します。

早稲田大学

RPA による生産性向上を目的として、Power Automateを導入し、年間 20 万件以上ある支払伝票のシステム登録自動化を実施しました。

スプレッドシートで作成した伝票を紙に出力し、手作業で行っていたチェックとシステムへのデータ登録をRPAで自動化。年間 30,000時間以上の工数削減に成功しています。

この結果を受けて、全学部でRPAによる業務改善に着手。120ほどの業務で、ロボットの開発と活用が行われています。

RPAとして、Power Automateを選定した理由はMicrosoft 365を持っていればライセンス費用が抑えられることと、自分たちで作成できスピード感のあるサービス提供が可能なためです。

参考:Microsoft

株式会社JMiX

株式会社JMiXは、「通信事業者向け事業」「学校教育機関向け事業」「地域企業・公共・自治体向け事業」を手がけるICT ソリューション企業です。

改正電子帳簿保存法に沿った請求管理業務を自動化するために、Power Automateを導入しました。改正電子帳簿保存法では、取引の電子化が義務化されています。この要件を満たすためにはタイムスタンプや改ざん防止処理が必要ですが、この対応としてRPAを活用しています。

改正電子帳簿保存法に対応したパッケージ製品ではなく、Power Automateを利用して自社で自動化したため「自社のフローに合わせた運用」を可能にしました。

参考:Microsoft

コマツオーストラリア

コマツオーストラリアは小松製作所のオーストラリア子会社です。コマツオーストラリアでは250のサプライヤーから部品を調達し、毎日大量の請求書を処理していました。

各請求書は、Excelへの入力、チェック、メインフレームシステムに再度手入力して税金と料金を追加する必要がありました。これをMicrosoft Power Automateを利用して自動化しています。

まずは1つのサプライヤーに対して、RPAを構築しました。1,100通の請求書を3週間で処理し、年間作業時間を300時間削減できたとしています。今後はこれを全てのサプライヤーに適用し、さらなる業務効率向上を目指しています。
参考:Microsoft

まとめ

RPAは業務の自動化により、労働力不足や働き方改革、業務改善といった課題を解決するための技術です。今後、生成AIを利用した高度なRPAが登場し、より業務効率の向上が期待できます。RPAを活用するためには、RPA人材を育成し、業務を分析して継続的な改善をしていくことがポイントです。特にMicrosoft Power AutomateはRPAだけでなく、生成AIとの連携やTeams、Office製品との連携が可能です。
自社の業務効率を向上させ、人材を有効に活用するためにMicrosoft Power Automateを導入してはいかがでしょうか。

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