Microsoft Copilot Studioはプログラミングの知識がなくても、AIを活用したチャットボットや自動化ツールを作成できます。さらにMicrosoft 365との連携で業務効率化が可能です。本記事ではCopilot Studioを使うためのライセンス体系や価格を詳しく紹介します。
Microsoft Copilot Studio とは
Microsoft Copilot Studioとは、自社専用のチャットボットや自動化ツールを作成可能なローコード・ノーコードツールです。チャットボットと生成AIを組み合わせてMicrosoft 365や外部システムと連携し、業務効率を向上できます。
例えば、カスタマーサポート専用のチャットボットを準備し、業務の負担を軽減可能です。
詳細は以下を参考にしてください。
Copilot Studioとは?使い方と料金プランなどを解説
Microsoft Copilot Studioのライセンス体系
Copilot StudioはCopilot Studioのライセンスだけでは利用できません。少なくともテナントライセンスとユーザライセンスが必要になります。Copilot Studioを利用するためのこれらのライセンス体系を、以下に紹介します。
テナントライセンス
テナントライセンスとは、Copilot Studioを利用するにあたって必要なライセンスで、1企業に1ライセンスが必要です。
1ヵ月あたりに25,000メッセージが上限となっており、無制限には利用できません。
25,000メッセージを超えた場合、追加のライセンス購入をしなければ制限がかかります。
メッセージの消費量
消費対象となるメッセージはCopilot Studioにユーザが送信したメッセージと、その回答です。消費量の考え方は次の通りです。
- 通常のやり取り:1メッセージ
- 生成AIを利用したやり取り:2メッセージ
例えば、チャットボットに「店の開店時間は?」と質問した場合、生成AIは記録されたデータから開店時間を回答します。これは、記録されたデータからの回答であり、AIで回答を生成しないため、1メッセージの消費です。
一方、「次の祝日の開店時間は?」と質問した場合、カレンダーと記録された営業時間から回答を生成するため、2メッセージ分を消費します。
メッセージの注意事項
メッセージの消費量については以下の注意点があります。
- メッセージ消費量は月単位で適用
- メッセージ消費量が25,000/月に満たない場合でも翌月持越しなし
- メッセージ消費量が25,000/月を超えた場合、新たにライセンス拡張が必要
- メッセージ消費量が超えた場合に制限がかかる
- メッセージ消費量が大幅に超過した場合は、サービス拒否
管理者はメッセージの消費量を監視し、適切なライセンスを取得しましょう。
ユーザライセンス
ユーザライセンスとはCopilot Studioを利用するユーザ一人ひとりに必要なライセンスで、Microsoft 365管理センターより権限付与する必要があります。
Microsoft 365管理センターに登録されるアカウントは以下の通りです。
- ビジネスアカウント:企業や組織のユーザアカウント
- エンタープライズアカウント:大規模な企業や組織のユーザアカウント
そのため、ユーザライセンスはCopilot Studioを利用するライセンスと、ビジネスアカウントもしくはエンタープライズアカウントの2つが必要になります。
Teamsライセンス
Copilot Studioで作成したチャットボットを、Teamsで利用する場合はTeamsライセンスが必要です。
注意点として、Microsoft 365を利用している場合でも、プランによってはTeamsライセンスが付属していない場合があります。
具体的には、以下の通りです。
- ビジネスアカウントの内、Microsoft 365 Apps for businessはTeamsライセンスが付属していないため、別途Teamsライセンス購入が必要です。
- エンタープライズアカウントはTeamsライセンスが付属していないため、別途Teamsライセンス購入が必要です。
Microsoft 365をすでに利用している場合は、Teamsライセンスを持っているか確認するとよいでしょう。
Copilot Studioのプラン内容
Copilot Studioはプランの中でさまざまなAI機能を提供しています。プランに含まれる各機能の内容について解説します。
生成 AI: AI による会話
Copilot Studioは自然言語処理モデル「GPT-4」を使用し、AIによって会話を自動生成します。これにより、チャットボットとの自然な会話が可能です。
独自のスタンドアロンのコパイロットの作成と公開
Copilot Studioを使用して、独自のカスタムチャットボットを作成し公開できます。
Copilot for Microsoft 365をカスタマイズするためのプラグインの作成と公開
Copilot for Microsoft 365は、Teamsなどのアプリケーションで利用できるCopilotのカスタマイズバージョンです。プラグインを作成し機能を拡張できます。
拡張された自然言語機能を使用したコパイロットのトピックの作成と反復実行
Copilot Studioでは、自然言語処理技術を活用してトピックを作成し繰り返し実行可能です。
例えば、「今日の天気」や「天気は?」と違う問い合わせをしても、自然言語機能により、同じ問い合わせと認識します。
Copilot Studioの作成のコンテキスト内でのPower Automate for Copilot Studioクラウドフローの作成
Copilot Studioで作成したチャットボットと自動化ツールであるPower Automateを組み合わせて、タスクやワークフローを自動化できます。
例えば、チャットボットへ「経費の申請がしたい」と依頼があったら、経費申請のワークフローが起動します。申請入力が完了したら、チャットボットがPower Automateを起動し、自動的に申請作業が行われるのです。
標準Power Platformコネクタ
Copilot Studioは、Power Platformの標準コネクタを使用して、さまざまなデータソースに接続できます。
具体的な機能は、以下の通りです。
クラウド上のデータベースとの連携 | QL Server、SharePoint、Excelなどのクラウド上のデータベースと連携してデータの取得や更新が可能
例えば、SQL ServerやExcelで作成したデータベースをチャットボットの回答に利用できるS |
Microsoft 365アプリと連携可能 |
Microsoft 365アプリとの連携 例えば、OneDriveに格納されたデータを参照したり、Outlookのスケジュールを参照したりしてチャットボットの回答に利用できる |
外部APIとの連携 |
外部APIやWebサービスと連携してデータの連携が可能 例えば、天気予報APIから天気情報を取得できる |
プレミアムおよびカスタムPower Platformコネクタ
プレミアムコネクタは、あらかじめ定義されたインタフェースを利用して、高度なデータ統合を実現するためのツールです。一方、カスタムコネクタは独自にインターフェースを定義して連携するためのツールです。
例えば、自社専用に開発した学校図書館の貸出システムと連携して、生徒が借りた本の情報を取得したり、チャットボットで回答したりします。
Power Platformコネクタでのオンプレミスと、クラウドサービスのデータ転送
Copilot Studioは、オンプレミスとクラウドのデータ連携が可能です。
例えば、オンプレミス環境に格納されている図書館の貸出データを取得して、クラウドサービス上に作成したチャットボットへ貸し出し状況を回答するといった連携が可能になります。
Dataverse for Copilot Studio
DatavarseとはMicrosoftが提供するクラウドデータベースサービスでCopilot Studioのデータストレージとして利用できます。
例えば、法律事務所が持つDataverse内の法律的なデータをCopilot Studioに統合できます。これにより、Dataverse内の法律専門知識にもとづいた正確な回答を提供できるようになります。
つまり、回答元の情報をインターネットではなくDataverseにすることで、誤回答(ハルシネーション)を低減可能です。
マネージド環境
ユーザがCopilot Studioを利用する一方で、そのクラウド環境全体はMicrosoftの専門チームが管理しています。
専門チームの管理により、安全かつ信頼性の高い環境で利用可能です。
Copilot/プラグインを公開できるチャネル
Copilot Studioで作成したチャットボットやプラグインは、Facebook、外部のWebサイト、モバイルアプリなどの外部チャネルと、Teamsなどの内部チャネルに公開可能です。
公開されたチャットボットやプラグインは、ユーザと自然言語での対話を行い、業務支援や問い合わせ対応に活用されます。
Microsoft Copilot Studioのライセンス価格
Copilot Studioの利用にはライセンスが必要です。
ライセンスはプランによって異なるため、自社のニーズに応じたライセンス取得が重要になります。ここではCopilot Studioを利用するために必要なライセンス価格を紹介します。
テナントライセンスの価格
テナントライセンスは、組織全体で利用するためのライセンスです。テナントライセンスについては、企業の規模に関わりなく以下の価格となります。(2024年10月時点)
月額:29,985円/25,000メッセージ
テナントライセンスが25,000メッセージ/月という制限があるため、超過した場合は利用できなくなり、ライセンスの追加購入が必要となります。
メッセージの消費量を監視し、適宜ライセンスの追加を行うとよいでしょう。
ユーザライセンスの価格
Copilot Studioを使ってチャットボットを作成するためには、利用者一人ひとりのMicrosoft 365 Copilotライセンスが必要です。
月額:4,497円/1ライセンス
ただし、このライセンスを購入する前提条件にMicrosoft 365管理センターから登録される必要があります。そして、Microsoft 365管理センターに登録されるためには以下のアカウントである必要があります。
- ビジネスアカウント:企業や組織のユーザアカウント
- エンタープライズアカウント:大規模な企業や組織のユーザアカウント
これらのアカウントは個別のライセンス料が必要であり、プランごとの価格は以下の通りです。
◾️ビジネスプラン
プラン | 月契約 | 年契約 |
---|---|---|
M365 Business Basic(Teamsあり) | 1,079円/月 | 899円/月 |
M365 Business Standard(Teamsあり) | 2,249円/月 | 1,874円/月 |
M365 Business Premium(Teamsあり) | 3,958円/月 | 3,298円/月 |
M365 Apps for Business(Teamsなし) | 1,483円/月 | 1,236円/月 |
M365 Business Basic(Teamsなし) | 712円/月 | ーーー |
M365 Business Standard(Teamsなし) | 1,536円/月 | ーーー |
M365 Business Premium(Teamsなし) | 2,961円/月 | ーーー |
ビジネスアカウントは最大ユーザ数が300人未満となります。
◾️エンタープライズプラン
プラン | 月契約 |
---|---|
M365 E3 | 5,059円/月 |
M365 E5 | 8,208円/月 |
M365 Apps for enterprise | 1,799円/月 |
Office 365 E1 | 1,161円/月 |
Office 365 E3 | 3,110円/月 |
Office 365 E5 | 5,359円/月 |
エンタープライズプランはユーザ数が300人以上の大規模企業向けとなります。ただし、エンタープライズプランはTeamsのライセンスを含みません。
Teamsライセンスの価格
Teamsライセンスは、Teams上でCopilot Studioを利用するためのライセンスになり、利用者全員分のライセンスが必要になります。
Teamsライセンスを持ちCopilot Studioと連携すれば、TeamsにAI機能が追加されチャットや会議の効率化が期待できます。Teamsライセンスがない場合は、作成したチャットボットがエラーになり生成AIが利用できません。
Teamsライセンスなしのビジネスプランと、エンタープライズプランは、別途Teamsライセンスの購入が必要です。
- ビジネスライセンス:Microsoft Teams Essentials 月額:599円
- エンタープライズライセンス:Microsoft Teams Enterprise 月額:787円
Teamsライセンスは、Copilot Studioとの連携以外にも社内コミュニケーションの円滑化や、他のMicrosoft 365アプリとの連携を強化できます。組織全体の生産性向上が期待できるため、導入を検討してもよいでしょう。
Microsoft Copilot Studioのライセンス割り当て
ライセンス割り当て方法は、次の順で行います。
- Microsoft 365 管理センターに移動し、管理者アカウントでサインインする
- サイドウィンドウからユーザメニューを選びアクティブユーザを選択する
- 権限を付与したいユーザを選び、製品ライセンスの管理を選択する
- Copilot Studio ユーザライセンスの横にあるチェック ボックスをオンにし、変更を保存する
利用目的に応じてライセンスを割り当てることで、不要なコストを抑えつつ最適なAI活用が可能になります。企業の成長や組織変更に合わせたライセンスの見直しを行い、最適なライセンスの割り当てを維持しましょう。
Microsoft Copilot Studioの試用版
Copilot Studioのライセンスはテナントライセンス、ユーザライセンスを契約しなければ利用できませんが、効果が明確にならないうちに全て契約するのはリスクと考える場合もあるでしょう。
ビジネスアカウントやエンタープライズアカウントを持っていれば、Copilot Studio試用版を利用できます。
試用版は最大60日間、無料で利用可能です。以下の公式リンクの「無料で試す」から試用版が利用できます。
また、ビジネスアカウントやエンタープライズアカウントを持っていない場合でも、Copilot Studioのデモ環境を試用可能です。
トライアルページより使い勝手を確認できます。
まとめ
Copilot Studioは、独自のチャットボットや自動応答システム、Teamsとの連携など多彩な機能があり、業務効率の向上が期待できます。
さらに、Microsoft 365のライセンス取得により、その他のサービスも利用可能になるため、さまざまな分野で業務効率を向上できるでしょう。ただし、Microsoft 365サービスは数が多いため専門家への相談をおすすめします。
Copilot Studioを活用して、自社の業務効率を向上しましょう。