ビジネスを成長させるためには継続的な「新規顧客の開拓」が欠かせません。既存顧客は離れていく可能性があるため、新規顧客を開拓しなければ、自社の顧客数は減少する一方です。そういった課題に対処できるよう、本記事では効率的に新規顧客を開拓していくための手法やコツについて解説します。
新規顧客開拓が必要な理由
これまで関係性を築いてきた顧客でも、自社のサービス等が不要になると離れてしまうことがあります。このため、定期的な商品購入やサービス利用のある顧客を一定数確保できていても、常に新規顧客の開拓を視野に入れなければなりません。現状維持を目指しているだけではやがて売り上げが落ちてしまい、企業活動を継続することも難しくなってしまうでしょう。
また、新規顧客開拓を成功させれば売り上げ向上が期待できるため、キャッシュフローの安定、競争力の強化という観点からも新たな顧客の獲得は重要と言えます。
しかし、新規顧客獲得には営業コストがかかります。短期的に見た場合には既存顧客へのアプローチを強めた方がよいという見方もできるでしょう。しかし、長期的な観点では、継続して新規顧客を確保できればリピーターとなってくれる人数増加につながるため、営業コストをペイ可能となるでしょう。また、将来的なリスク低減にもつながります。
同時に、継続して営業活動を実施することで、営業部門のノウハウの蓄積や人材育成もできるため、営業力の向上も見込めます。社会情勢が変化するなどの理由で、急遽新規顧客の獲得が必要になったとして、既存顧客への対応しかしてこなかった場合には営業担当者のスキルが不十分で結果が出せない、ということにもなりかねません。
そのため、普段から営業活動に積極的に取り組み、さまざまな状況下でも対応できるようにしておくことは重要です。その過程において、消費者のニーズへの感度が向上し、消費者ニーズの移り変わりにオンタイムで対応できるようになるなど、新たな戦略を打ち立てる際にも役立つ成果が得られます。
つまり、新規顧客を継続的に獲得することは、単純に目先の利益の確保というだけでなく、企業活動全体をより効率的にする効果が見込めるため、結果的に競争力強化にもつながるのです。
新規顧客開拓のプロセス
ここからは、新たな顧客を獲得するために何を行えばよいのか、その大きな流れを説明します。
まずはターゲットの調査と選定を行います。
どのような相手を対象に営業をかけるべきか、慎重に検討しましょう。初期段階から厳密に絞り過ぎると候補が少なくなってしまい、効果が得られにくくなってしまいますが、ある程度目星を付けてアプローチをかけるべきです。
そうでなければ無駄な時間とコストをかけて営業を行うことになり、かけた労力に見合う効果が得られません。そこで、のちに行う営業活動のためにターゲットとなり得る企業の職種や現況などの情報を収集しましょう。
続いてターゲットに合わせたアプローチ方法を検討します。
前述の調査からどの企業をターゲットにするのか選定ができれば、その企業に合わせたアプローチの方法を検討していきます。収集した情報を基に最適な方法を探るのです。
電話営業が向いているのか、面会すべきか、ビデオ会議が求められるかなど、コンタクトの取り方だけでも多様な選択肢があります。入り口を正しく選択することで引き続き行う営業活動にも影響を与えるため、慎重に選択しましょう。同じ業種、同じニーズや課題を抱える企業であっても、具体的な営業のかけ方は変わってきます。
次に、自社の状況に合わせた業方法を選択します。
ある企業に対する最適なアプローチ方法がわかったとしても、自社がその営業を適切に行えなければ十分な効果は期待できません。そのため、相手のことだけを考えるのではなく、自社の状況を把握し、その上で他社よりも魅力的なアピールができる方法によって営業をかけなくてはなりません。
ここで注意しておきたいのは、自社の状況に固執するあまり、特定の方法に固定化してしまうことです。あくまで、ターゲットの状況を勘案した上で、自社が取り得る選択肢のなかで最適なものを選ぶ、ということを重要視しなければなりません。ときには、新たなトレンドとなっている手法やツールを使った営業方法を模索といったバランス感覚も求められます。
新規顧客開拓の方法
新規顧客開拓に向けた、具体的な方法をについて、「アウトバウンド営業」と「インバウンド営業」に大別して解説します。アウトバウンド営業
アウトバウンド営業は、顧客に対し積極的に働きかける営業手法のことをいいます。主にテレアポと飛び込み営業が挙げられます。テレアポ
テレアポは電話を用いた比較的手軽な営業手法です。営業初期に行われることが多く、直接相手の事務所等に出向くわけではないため、スピード感を持って取り組めます。短期的に成果を上げたい場合などに適しています。
一方、一回の電話で費やせる時間には限りがあり、ほかの手法に比べても説明に短時間しかかけられないという難点があります。数十秒から1分程度、長くても数分でアポイントを取らなくてはなりません。
飛び込み営業
飛び込み営業は、相手方にアポを取らず直接職場等を訪問する手法です。アピールしたい商品やサービスに地域性が関係している場合には効果的とされています。ある特定のエリアにおいて、特に価値を持つ商品等を扱っているのであれば、そのエリアにある企業を一日で何件も回ることで成果につながります。
ただし、交通費や人件費がかかり、移動時間も必要です。上手くいけば広告費を抑えられますが、無差別に飛び込むだけでは成果が得られません。ターゲットの選定がより重要となる方法なのです。
また、飛び込み営業を担当する従業員のスキルも非常に重要です。コミュニケーション力が高くなければ、最初の声がけの時点で断られてしまい、話を聞いてもらえないでしょう。また、コンプライアンスや情報保護の観点、社会情勢の変化などから、近年では受注確率が下がりつつある営業手法とされています。
インバウンド営業
インバウンド営業は、顧客からの行動を促すタイプの営業手法をいいます。ここではリスティング広告・コンテンツマーケティング・メルマガ・プレスリリース・SNSを使う方法を紹介します。リスティング広告
リスティング広告はWeb広告の一種で「検索連動型広告」とも呼ばれます。インターネット検索の際に入力したキーワードを用い、そのユーザーに適した広告を表示するという仕組みになっています。そのため、無差別な広告表示をする場合に比べて高い費用対効果を得ることが期待できます。
しかし、キーワードに関連する広告が表示されたからといって、ユーザーがその広告に興味を持つとは限りません。クリックしたくなるような広告文や設定をしなければならず、Web広告に対する専門的な知識も必要でしょう。どのようなメッセージを伝えるのか、ゴールはどこに設定するのかをよく検討するとともに、配信後も効果測定と改善を続ける必要があります。
コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングは、価値あるコンテンツを提供することでユーザーを惹きつけ、収益につながる行動を促す手法をいいます。自社の商品・サービスについてブログでその魅力を伝えたり、動画配信サービスを使って魅力を伝えたりすることで訴求していきます。
成果を上げるためには、長期的に取り組まなくてはならないため、根気強く価値の高いコンテンツを提供し続けなくてはなりません。その反面、取り組みが成功すれば、そのコンテンツはその後長く効果を発揮し続けられます。
メルマガ
メルマガは、購読登録をした読者に情報を届けることでその後の行動を促す手法をいいます。オプトイン時点で自社サービスに興味を持ち、登録というハードルを越えてきたユーザーに対して訴求できるため、心理的距離感が近く、ターゲットが情報を確認してくれやすいという特徴があります。このため、一時的な販売先としてではなく、継続的な見込み客へと育て上げる手法として有効です。プレスリリース
プレスリリースは、企業の新着情報を報道機関に向けて発信することをいいます。プレスリリースをきっかけに他メディアで取り上げられるケースもあり、高い拡散効果が期待できます。そのため自社サイトでの情報発信も大事ですが、併せてプレスリリースの配信も検討しましょう。特に、大きな変化があったときや新商品・新サービスを展開し始めたときなどに行うと効果的です。SNS
SNSでの発信は近年特にその重要性を増しています。ちょっとした情報でも気軽に発信できますし、顧客とのコミュニケーションを取ることも可能です。このため、集客のみならず販売や採用など、広い範囲で活用できます。
フォロワーが増えるまでは効果が小さいですが、オウンドメディアよりも手軽に始められますし、低予算で始められるというメリットがあります。
新規顧客開拓のコツ
新規顧客開拓をする上では、相手方が抱える課題を理解することが大事です。まずはしっかりと調査し、何が求められているのかを考えましょう。
優れた商品であっても、こちらのアピールしたいことを伝えるだけでは不十分です。その商品を手に入れることで、相手にどのような利益が生じるのかという観点からアプローチをかけなくてはなりません。自社商品により得られるメリットを具体的かつ明確に示すことが大事なのです。
また、ここで紹介した手法を個別に実施していくのではなく、掛け合わせることによって相乗効果が生まれます。ターゲットと自社の状況を適切に把握し、最適な営業プロセスを作り上げ、新規顧客獲得に取り組みましょう。
まとめ
継続的に新規顧客を獲得していくことは、企業活動として極めて重要です。そのための方法としては、アウトバウンドとインバウンド、それぞれにさまざまな手法が存在します。近年ではインバウンドの比率が高まっていますが、アウトバウンド手法が非効率ともいいきれません。ターゲットの状況に合わせ、自社が取り得る方法を厳選した上で、複数の手法を組み合わせて効果的な新規顧客獲得のための営業活動を実現しましょう。