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ローコード開発の導入について解説|メリット・デメリットから、導入の進め方まで

ローコード開発の導入について解説|メリット・デメリットから、導入の進め方まで

近年、国内ではDXの実現が重要な課題となっており、アプリケーション開発を内製化できれば、現場を中心とした業務のデジタル化の推進につながります。しかし優れたIT人材の確保は容易ではありません。そこで注目を集めているのが「ローコード開発」です。本記事ではローコード開発導入のメリットやデメリットなどについて解説します。

Microsoft PowerApps はじめてのアプリ開発

ローコード開発を導入するメリット

ローコード開発とは、ソースコードの記述を最小限に抑えてアプリケーションを開発する手法です。調査・コンサルティング企業である株式会社アイ・ティ・アールが実施した調査結果によれば、2022年度のローコード/ノーコード開発市場の売上規模は709億4,000万円で、前年比16.0%増、2022~2027年度の年平均成長率は14.0%に達すると予測されています。ローコード開発は世界的なトレンドとして急速に普及しており、国内でもDXの実現に欠かせない開発手法として大きな注目を集めています。ローコード開発を導入する具体的なメリットとしては、

  • 開発の効率化につながる
  • 人材不足に対応できる
  • 非エンジニア部門でも開発を行える

といったことが挙げられます。

参照元:ITR Market View:ローコード/ノーコード開発市場2024|株式会社アイ・ティ・アール

開発の効率化につながる

まず、第一に挙げられるメリットが、Web制作やアプリケーション開発などを効率化できるということです。従来のアプリケーション開発では、PHPやPython、Ruby、Javaなどのプログラミング言語を用いたコーディングが必須です。一方、ローコード開発ではGUIによる直感的・視覚的な操作で機能を組み合わせたり、設計情報を入力したりして、ソースコードを自動生成することが可能です。直接的なコーディング作業を最小限に抑えられるため、従来の手法と比較して、開発の工程を大幅に効率化できます。

人材不足に対応できる

二つめのメリットが、コーディングの効率化・自動化によって人材不足を補える点です。国内は少子高齢化の進展にともなって生産年齢人口が年々減少しており、特にIT人材の労働力不足が大きな問題となっています。ローコード開発を導入すれば、プログラミングに関連する業務の負荷を軽減でき、開発工数を大幅に削減することが可能です。コーディング作業を簡略化できれば、より少ない人的資源で従来と同等以上の成果が得られます。今後、さらに深刻化していくと予測される人材不足に対応できます。

非エンジニア部門でも開発を行える

非エンジニアでもWebサイトやアプリケーションを開発できることが、ローコード開発を導入する三つめのメリットです。例えばフロントエンド開発では、HTMLで全体の構造をマークアップしてCSSで装飾を施し、JavaScriptやPHPで動的なコンテンツを作成するといった専門的な知識が求められます。しかしローコード開発では、GUIを使用したドラッグ&ドロップを中心として、プレゼンテーションツールでオブジェクトを配置するような感覚で開発を進められます。プログラミング知識に乏しい非エンジニア部門でも業務支援ツールを開発したり、コンポーネントを調整・変更したりすることが可能です。

ローコード開発の導入で起こり得るデメリット

ローコード開発は世界的に注目を集めている手法ですが、いくつかのデメリットを懸念する声がないわけではありません。それが、

  • 想定外のコストが発生する
  • セキュリティ面でのリスクが増える

の、2点です。

想定外のコストが発生する

ローコード開発はコーディングの工数削減が期待できる一方、想定外のコストが発生する可能性があります。ローコード開発では、プラットフォームが提供する機能の範囲でしか開発業務に対応できないため、機能を追加したり、容量を拡張したりするには、プランの変更による追加課金が必要です。さらに開発業務を簡略化できる一方で、システムがブラックボックス化し、障害発生時に原因を特定できず、調査困難な問い合わせへの対応コストが発生するおそれもあります。

セキュリティ面でのリスクが増える

ローコード開発は開発業務を効率化しますが、提供されるコンポーネントに脆弱性が存在する場合にはサイバー攻撃の対象になり得ます。さらに、不適切なアクセス権限の設定による情報漏洩や、アプリケーションの意図しない外部公開などもローコード開発で発生し得るリスクです。

このようなリスクを最小化するためには、ローコード開発プラットフォームの選定が極めて重要です。例えば「Microsoft Power Platform(以下、Power Platform)」は、明確な料金体系と機能群の統合性によって予期せぬコストの発生を抑えつつ、高度なセキュリティとコンプライアンスへの対応で問題を未然に防止している開発プラットフォームです。

【5つのステップ】ローコード開発導入の進め方

ローコード開発では、不要なアプリケーションの乱立を防止するためにもシステム管理部門による統制が必要です。ローコード開発を導入する際には、

  1. アーキテクチャを理解する
  2. 利用方針を決める
  3. 利用方針に基づき基盤を設定する
  4. アプリケーションを開発する
  5. 運用を管理する

の5段階のステップを踏んで進めることが重要です。

1. アーキテクチャを理解する

ローコード開発を導入するための最初のステップはアーキテクチャを理解することです。例えばPower Platformは「Power Apps」「Power BI」「Power Automate」「Power Virtual Agents」「Power Pages」という5つのサービスで構成されていますが、導入時にはまず、各サービスの機能や対応領域、制限の範囲などを理解する必要があります。

2. 利用方針を決める

ローコード開発を導入することによって何がしたいのか=利用方針の決定が、導入時の第2のステップです。具体的には、実装したい機能や外部サービスとの連携性、セキュリティ要件などを整理し、実現可能性を検討する必要があります。ローコード開発プラットフォームの運用管理を担当する部門やアクセス権限の設定、データの取り扱いなどに関しても定めておかなければなりません。

3. 利用方針に基づき基盤を設定する

第3のステップが運用基盤の設定です。例えばPower Platformであれば、Power Appsの基本的な設定が必要です。さらにアプリケーションの用途やセキュリティポリシー、外部接続の有無や機能公開の可否なども定めます。運用基盤を設定する段階で業務要件を明確化しておくことで、運用開始後の改善や調整が容易になります。

4. アプリケーションを開発する

基盤の設定が完了したら、いよいよアプリケーションを開発します。これが第4のステップです。ローコード開発でも従来の開発手法と同様に「要件定義」「設計」「構築」「テスト」「リリース」の工程を辿ります。ただし、設計やテストの工程は大幅に省力でき、構築のプロセスはGUIを使用して、最小限のコーディングで開発できます。標準機能で実現できない要件がある場合には、プログラミングによる機能の追加や他システムとの連携などを検討する必要があります。

5. 運用を管理する

開発したアプリケーションの正常性を保つためには、継続的に運用を管理していく必要があります。アプリケーションの運用状況を定期的にモニタリングして、パフォーマンスやセキュリティを適切な状態に保ち、必要に応じて機能の調整や追加を検討します。業務要件を満たせていない場合には他システムとの統合や連携、あるいは新たにアプリケーションを開発する必要があります。

ローコード開発の導入支援なら「運用管理マスター for Microsoft Power Platform」

ローコード開発はWeb制作やアプリケーション開発の効率化に寄与するものの、一定以上のパフォーマンスとセキュリティを担保するためには、ローコード開発プラットフォームに関する相応の知見が求められます。

日本ビジネスシステムズ株式会社が提供する「運用管理マスター for Microsoft Power Platform」は、Power Platformの運用管理に関するトレーニングサービスです。ユーザー主体のアプリケーション開発を想定した運用管理の考え方や、管理機能の使い方を短時間で学べます。

座学の講義とハンズオンによる学びを交互に実施し、知識だけではなく、実践的な理解を深められる点が大きな特徴です。ローコード開発の導入によってDXの推進を目指すのであれば、「運用管理マスター for Microsoft Power Platform」の導入を検討してみることをおすすめします。

まとめ

ローコード開発はGUIの使用やソースコードの自動生成により、プログラミングを最小限に抑える開発手法です。ドラッグ&ドロップによる視覚的な操作でWeb制作やアプリケーション開発を実行できるため、コーディングの工数削減と人材不足の解消に寄与します。プログラミング知識に乏しい非エンジニア部門でも業務支援ツールを開発・調整できる点がローコード開発導入の大きなメリットのひとつです。

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