令和6年版の情報通信白書によれば、日本ではDXに関連する取組を未実施と回答した割合が約50%と、海外に比べてデジタル化推進が遅れている、また、デジタル化の中身も日本では業務プロセスの改善・改革のデジタル化における取組が多い一方で、新規ビジネス創出や顧客体験の創造・向上のデジタル化の取組は少ない、とのことです。
ERPの選定においては、機能性や価格面も重要視するのは勿論ですが、使い易さ・操作性を一番の選定理由に上げられたお客様もおられるほどです。まずは、使い易さについて整理いたします。
したがって、ERPによる業務改善がしばらく続くと想定されます。
そこで、 ERP選定において重要な操作性(使い易さ)に焦点を当て、なぜ使い易さが重要なのか、Dynamics 365 Business Central がいかに使い易いかを整理します。基幹システムの再構築やERPの導入をご検討の際は、是非参考にご利用ください。
ERPの選定で使い易さがなぜ重要なのか
Dynamics 365 Business Central(以降、D365BCと略す) の使い易さ・操作性の良さには定評があります。
ERPの選定においては、機能性や価格面も重要視するのは勿論ですが、使い易さ・操作性を一番の選定理由に上げられたお客様もおられるほどです。まずは、使い易さについて整理いたします。
使い易さはERP選定基準の1項目
ERP導入の際の選定基準(比較項目)は、一般的に以下の通りです。
- 対象となる企業規模
- 業務と機能要件への適合度
- グローバル対応(多言語、多通貨、国別の法制や商習慣への対応)
- 操作性(使い易さ、習得のし易さ)
- 拡張性(機能追加・変更の容易性や業務量増への対応など)
- コスト(導入期間と導入費用、ランニングコスト)
使い易さ(操作性)は、選定基準の1項目となっています。
使い易さが重要である理由
ERPの使い易さは、いくつかの観点から重要なものです。以下のものが考えられます。
- 使い慣れるまであまり時間が掛からない、初心者でも使える
- 属人性を排除できる
- データ処理の時間短縮により業務の効率性が上がる
- データ処理で間違いが発生しにくく、データの正確性に寄与する
D365BCの使い易さの分類
D365BCの使い易さの観点は、いくつかに分けられます。
- 画面遷移の容易性
- リスト画面の使い易さ
- キーボード入力の軽減
- 他システムとの連携の容易性
- AI機能サポートによるさらなる使い易さ
以降、上記の各観点ごとに説明していきます。
D365BCの画面遷移の容易性(1)
タイルの利用
初期画面には、タイルと呼ばれるアイコンが並んでいます。このタイルをクリックすれば、タイルに表示されている画面名の画面に遷移します。
なお、タイルには該当の画面を表示した際に表示されるデータの件数が表示されているので、画面を開かなくても、業務処理が必要なデータが何件あるかが一目瞭然なのです。
メニューの利用
メニューは MS Office と同様のリボン形式で、クリックするとサブメニューがある場合は、サブメニューが表示され、クリックすれば該当の画面が表示されます。MS Officeを利用の方には、おなじみです。
なお、メニューは左から業務処理の順に並んでいますので、分かり易くなっています。
D365BCの画面遷移の容易性(2)
データ値の利用
一覧画面(リスト画面)で「番号」フィールドをクリックすると個別の画面(カード画面)が表示されます。 また、「金額」フィールドなど数値が青緑になっている項目は、クリックすると明細を表示する画面に遷移します。ドリルダウンに相当する操作です。
検索機能の利用
画面右上にある虫眼鏡アイコンをクリックして表示される検索ウィンドウで画面名を入力して検索することで、検索された画面名をクリックすることで目的の画面に遷移できます。
データ値の利用(詳細表示)
データ値によっては、画面遷移ではなく、該当データの詳細が表示されます。
D365BCの一覧画面(リスト画面)の使い易さ(1)
一覧画面(リスト画面)
見積データ、受注データ、発注データなどの業務データは、まずは一覧画面(リスト画面)が表示されて個別のデータに進めますが、この一覧画面では様々な便利な機能操作ができます。
項目名称の右側の「V」をクリック
項目名称にカーソルを当てると右側に下矢印「V」が表示されます。これをクリックすると、ポップアップが表示されます。 表示されたリストを選択することで該当の操作ができます。
ソート
「昇順」あるいは「降順」をクリックすれば、データの並び替えができます。
検索
「フィルター」をクリックすれば、データの値の選択画面が表示され、選択した値を持つデータが検索され、データの絞り込みができます。
「この値でフィルター処理する」をクリックした場合は、選択されている行の値と同じ値を持つデータが検索されます。
パーソナライズ
画面右上の歯車アイコンをクリックすると、ポップアップが表示されます。
一番上の「パーソナライズ」を選択します。 「パーソナライズ」画面になるので、項目名称の右の「◀」をクリックすることで、項目の横の並びを「移動」で変更したり、項目を「非表示」にしたり、「+フィールド」で画面に隠れている項目を表示するようにしたり、ユーザーごとに自由に使い易いように画面をカスタマイズできます。 横のスクロール操作を無くすために、使用頻度の高いデータ項目を左に寄せると効果的です。
D365BCの一覧画面(リスト画面)の使い易さ(2)
リストの分析
一覧画面(リスト画面)上部の「解析」を選択して、解析モード(分析モード)に変更することで、データの絞り込み、グルーピングや集計を Excel と同じように簡単な操作で情報分析ができます。
ピボット分析も可能です。 Excelにダウンロードしなくても分析ができ、その分析書式は保存できます。
D365BCのキーボード入力の軽減
日付定型句
日付フィールドへの入力に、日付定型句を使用できます。
日は「D」、月は「M」、年は「Y」、今月や今週は「CM」、「CW」、今日から2週間は「2W」などが使用できます。
入力フィールドの説明
入力の軽減ではありませんが、入力フィールドの内容が分からない場合に、フィールド名のところにカーソルを当てると、項目の説明が表示されるので即時に確認して入力ができます。
D365BCの他システムとの容易な連携
MS Officeとの連携
(1)Excel や Teams との連携
一覧画面(リスト画面)からExcel へのダウンロード、および、Excel での編集が行えます。(編集が可能な画面は主要な画面)
画面右上の共有アイコンを選択して、ポップアップで「Excel で開く」、「Excel で編集」を選択することで行えます。また、Teamsとの連携も行えます。
(2)Word との連携
Word形式のレポートレイアウトを編集して、帳票の書式をカスタマイズすることができます。
Power Automate との連携
Power Automate のワークフローに連携することができます。
Power BI との連携
D365BC のデータを Power BI で加工することも、Power BI で作成したレポートやグラフをD365BC に組み込むこともできます。ワークセンター画面(初期画面)の下部に組み込めます。また、メニューとして組み込むこともできます。
D365BCのAIサポート機能によるさらなる使い易さ(1)
AIの利用が急速に進展しておりますが、 D365BC でも Microsoft のAI機能である「Copilot」との連携により、使い易さがさらに向上しつつあります(リリースアップの都度、機能が追加されます)。
以下で、D365BC の Copilot 連携機能のいくつかを紹介いたします。
(ここに記載の機能は、一般提供開始前の機能で今後、一般提供されます。また、他の機能も含め詳細内容は、弊社のブログ記事をご参照ください)
受注明細行の入力サポート
Copilot からの質問に回答を入力していくことで、受注明細行が自動で生成できます。
Copilot から提案された内容を確認して、挿入を選択することで、受注データ(販売注文)の明細行に受注明細が自動で入力されます。
D365BCのAIサポート機能によるさらなる使い易さ(2)
リストの分析のサポート
前述の「D365BCの一覧画面(リスト画面)の使い易さ(2)」の「リストの分析」で記載している解析モード(分析モード)も Copilot からの質問に回答を入力していくことで、目的の分析が行えます。
弊社はクラウドの巨人であるMicrosoftの中堅・中小企業向けのクラウドERPである Dynamics 365 Business Central を提供しています。 また、AI導入のご支援も行っております。是非、ご検討ください。