近年、さまざまなシーンにおいてAIカメラが活用されています。製造業においても、AIカメラの導入により業務効率や生産性の向上が見込めます。本記事では、AIカメラの概要や製造業への導入で実現できること、導入事例などについて解説します。製造業を営む経営者の方や、IT部門担当者の方はぜひ参考にしてください。
AIカメラとは
AIカメラとは、人工知能が搭載されたカメラを指します。人工知能(AI)はすでにさまざまなシーンで活用されていますが、よく知られるところではiPhoneに搭載されているSiri、Amazonのアレクサが挙げられます。
一般的なカメラは写真や動画の撮影が主な目的として用いられますが、AIカメラはその限りではありません。高度な人工知能を内蔵することにより、従来とはまったく異なる活用方法が見出せます。
その活用方法の一つとして、AIには「学習能力」があるため、事前に認識させたいことを学習させておけば、アクションを確認して行動を起こせます。不審な行動や危険な行為をしている人物を認識し、撮影したデータを管理者へ送信する、記録するといったことが可能なのです。
このように、AIカメラを導入することにより、これまで難しいと考えられていたことの実現が可能です。製造業においても、作業効率や生産性の向上が期待できると考えられているため、すでに多くの企業が導入に乗り出そうとしています。
AIカメラで実現できること
導入によりどのようなことが実現できるのかが、もっとも気になるところではないでしょうか。導入により実現できることとしては、画像認識による高度なパターン検出と、人の行動パターンの可視化が挙げられます。詳しく見ていきましょう。
画像認識で高度なパターン検出
抽出した画像データを分析し、高度なパターン検出が可能です。被写体の形や大きさ、数、色、明暗などのほか、文字や顔なども認識して検出できます。
AIカメラの画像認識技術なら、人の目では難しい高度なパターン検出が可能です。たとえば、製造ラインを流れる部品を監視し、イレギュラーな部品が流れてきたとき警告を発する、といったこともできるのです。
明らかに違和感のある部品なら、目視でも気づけるでしょう。しかし、ごくわずかな欠陥や不良の場合、人の目では見逃してしまうおそれがあります。このようなリスクも、画像認識技術を用いることで回避できる可能性があります。
事実、画像認識の技術はさまざまな現場で実用化されています。セキュリティや医療、農業、製造業、マーケティングなどの業界において、すでに活用されています。
人の行動パターンの可視化
人がどのように行動するのかを把握できれば、ビジネスに役立てられると思いませんか?しかし、高度な知能と感情をもつ人間は、一人ひとりが独自の意思で行動するため、アクションを正確に把握することは困難です。
AIカメラなら、把握することの難しい人の行動パターンを可視化できます。たとえば、施設内に複数のカメラを設置し、それぞれがとらえた情報を統合することにより人の流れを解析できます。
施設を訪れた人がどのように流れていくのか、パターンを把握できれば、それに応じたサービスの提供が可能です。適切な人員の配置が可能となり、もっとも人の集まるところへ売れ筋の商品を配置する、といったことも可能でしょう。
製造業においても、作業員の動線を把握することで、より作業しやすく業務効率の向上につながる現場を構築できます。すでにこの技術は、店舗運営やマーケティングの効率化、倉庫内や工場における作業効率化に活用されているのです。
製造業におけるAIカメラの導入事例
すでに製造業においても、AIカメラを導入する企業が増えています。やはり、それだけ多くのメリットが得られるからこそ、導入する企業が増えているのだと考えられます。ここからは、製造業におけるAIカメラの導入事例をいくつかピックアップしてご紹介しましょう。
AI画像認識を利用した工場の見える化
IoTやAIカメラの導入により、工場機械が稼働している様子を可視化できます。工場の規模によっては数多くの機械を導入しているため、稼働状況を正確に把握することは生産性向上を考えると重要です。
たとえば、コクネ製作株式会社では、生産設備の稼働状況を正確に把握するため、AIカメラを現場へ投入しました。これにより、リアルタイムで現場の稼働状況を把握できるようになり、現場と管理部門がうまく連携できるようになったとのことです。
また、現場の状況をモニタリングすることにより、マンパワーが必要な場所を正確に把握できるようになったようです。マンパワーの足りないところへ集中的に人員を投入できるため、効率よく人を動かせるようになったのだとか。
また、機械停止の予測ができるため、メンテナンス性が向上するメリットも得られます。管理部門は、どの機械が停止するかを把握できるため、そのタイミングでメンテナンスが可能になるのです。
不良品や異物混入の特定
製造業の工程において、不良品や異物混入が発生することは珍しいことではありません。ただ、不良品や異物混入の起きた製品をそのまま出荷してしまうと、大きな問題に発展してしまいます。そのため、多くの企業では検品工程において入念なチェックを行い、そのうえで製品を出荷しているのです。
従来では、スタッフが手作業で検品を行い、不良品や異物混入した製品を仕分けしていました。しかし、この方法では手間と時間がかかるうえに、どうしてもミスが生じるおそれがあります。
このような問題も、AIカメラの導入により解決が可能です。たとえば、マヨネーズで有名なキューピー株式会社も、原材料の不良品検知にAIの技術を採用しています。
キューピーの扱う食品原料は、一つひとつの大きさや形が異なるため、不良品の仕分けはスタッフが手作業で行っていました。スタッフへの負荷を軽減し、なおかつ品質向上をさせるという目的でAIカメラのシステムを導入したのです。
システムの導入により、これまで難しかった不良品仕分けの自動化が実現しました。また、スタッフの作業負荷も軽減したのだそうです。
まとめ
すでにAIカメラはさまざまな業界で導入され実用化もされています。製造業においても、さまざまなメリットを得られることから多くの企業が導入を検討しているのです。
本記事でお伝えしたように、AIカメラの導入により機械の稼働状況把握や不良品の検知などの業務効率化が可能です。この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。