キャビネットから溢れ、デスクに積みあがった大量の紙資料…。明らかに業務効率を下げる原因ですね。そんな時こそペーパーレス化を検討すべきなのですが、そもそも「紙を無くす」ことにどんな意味があるのでしょうか?本記事では知っているようで意外と知らない、ペーパーレス化のメリット・デメリットをご紹介します。
ペーパーレス化とは?
まずは簡単にペーパーレス化についておさらいしましょう。
ペーパーレス化とは、キャビネットや倉庫に紙として管理していた資料をデジタルデータに変換し、紙資料を削減する取り組み。と理解している方が多いでしょう。ただし、それだけではペーパーレス化を説明する言葉として不十分です。
紙資料を削減することと同じくらい大切なのが、紙の必要性をそもそも無くすことなのです。会社では日々様々な資料が作られています。しかし、それらの中には誰が目を通し、何のために活用されているのかも分からない資料が存在していませんか?そうした資料の作成義務を無くすこともペーパーレス化の1つです。また、システム化により作成から活用、管理まで一貫してデジタルデータとして扱うことで紙の必要性を大幅に無くし、ペーパーレス化による効果を最大限受けることができます。
ちなみに日本の国民1人あたりの紙・板紙消費量は年間201.8キログラムと世界でもトップクラスの水準です。世界平均が56.2キログラムなので、4倍近い紙を消費していることになります。日本のビジネスや行政ではハンコ文化が深く根付いているため、必然的に紙消費量が多くなっているようですね。
ペーパーレス化のメリット
企業がペーパーレス化に取り組むことで具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか?
メリット1. 印刷コストの削減
現代ビジネスの多くは、紙資料として印刷することを前提に資料が作られています。一方、ペーパーレス化を実現した環境ではどうでしょうか?紙資料をデジタルデータ化し管理することで、印刷せずに活用する環境が整います。また、紙の必要性を無くすことで紙資料を印刷する頻度が格段に減るため、相対的に印刷コストが削減されます。オフィス向け複合機にて白黒コピーを行った場合、1枚あたり3~4円のコストがかかります。社員数200名の会社で1人あたり1日平均5枚印刷すれば、3,000~4,000円の印刷コストがかかります。1ヵ月なら6万9,000~9万2,000円、1年なら82万8,000~110万4,000円のコストが削減されることになります。
メリット2. 資料検索性の向上
紙資料を大量に管理している環境では、1年以上前に作成した資料を探すのにかなりの苦労を強いられます。取引や監査などに必要な書類を1日中探し回った経験はないでしょうか?これはビジネスにとって大きな非効率であり、生産性を下げる原因になります。一方、ペーパーレス化を実現した環境では、ファイルサーバーで管理されている資料をキーワード検索や全文検索を使って素早く見つけられます。早ければ数秒で必要な資料を手元に置くことが可能でしょう。
メリット3. 資料利便性の向上
向上するのは資料の検索性だけではありません。もしも、ペーパーレス化による資料管理基盤をクラウドに置いたらどうでしょうか?社員はオフィスにいなくても簡単にファイルサーバーにアクセスして、いつでも資料を閲覧・ダウンロードできます。外回りで忙しい営業マンからすれば、これほど有難い環境はないでしょう。また、リモートワーク・テレワークを導入するきっかけにもなります。
メリット4. セキュリティ対策
紙資料は持ち出しによる紛失・盗難や災害時の滅失が怖いところです。情報漏えいは会社の社会的信用を著しく低下させますし、重要資料が滅失すればビジネスに大きなダメージを与えることになります。ペーパーレス化によって資料がデジタルデータとして管理されていれば、セキュリティ対策も講じやすくなります。資料の1つ1つにアクセス権限を設定したり、クラウドストレージをバックアップ先として選択すれば災害発生時のBCP(事業継続計画)としても有効です。
メリット5. オフィスの清潔化
ペーパーレス化を実施することで目に見えてすぐに表れるメリットが、オフィス全体が清潔になることです。紙資料が散乱しているようなオフィスでは、集中力が持続せずに生産性も低下します。人間はスッキリとしてスペースで仕事をする方が効率性がアップすることはいろいろな研究で証明されていることなので、オフィスが清潔になるだけでも生産性はアップするでしょう。
ペーパーレス化のデメリット
ここまで多くのメリットがあるペーパーレス化にデメリットはあるのでしょうか?もちろんあります。デメリットを理解し、対策を立てているか否かでペーパーレス化の成否が分かれます。
デメリット1. 重要資料はデジタルデータ化できない場合がある
会社が管理するさまざまな資料の中で、顧客名簿など重要書類に関してはデジタルデータ化できない場合があります。また、法律によって保存期間が定めら得ている資料の中には原本管理が義務付けられているものがあります。
デメリット2. 資料に直接メモができない
資料に直接メモができないことで不便に思うこともあるでしょう。ただし、ペーパーレス化のやり方によってはタブレットを活用し、資料へ直接メモしたそのままデジタルデータとして管理することもできます。
デメリット3. ITに不慣れな社員には使いづらい
紙資料でなくなることで、資料閲覧や共有などあらゆる行動がシステム化されることになります。そのため、ITに不慣れな社員にとっては使いづらい環境になるかもしれません。そうした社員を対象にトレーニングをきちんと行い、かつ使いやすいシステム環境を整えることが大切です。
デメリット4. 画面の大きさによっては資料が見づらい
資料を紙ではなく画面越しに閲覧することになるので、タブレットやスマートフォンから閲覧する際は少々見づらいこともあるでしょう。こればかりは慣れが必要になります。
デメリット5. システム・ネットワークの安定性が提供する
紙資料をデジタルデータ化してファイルサーバー等で管理するので、システムやネットワークの安定性が直に影響します。障害が発生すれば資料が閲覧できない可能性がありますし、障害の重大性によっては資料そのものが滅失する可能性もあります。バックアップをしっかりと取ることが大切です。
ペーパーレス化を検討してみよう!
いかがでしょうか?ペーパーレス化には、意外と知らないメリットやデメリットも多かったのではないかと思います。デメリットは課題として捉えた解決策を立て、メリットを最大化する取り組みを進めれば会社の生産性は大きく進展するはずです。この機会に、ペーパーレス化をぜひ検討してみてください。