AI(人工知能)の発展めざましい現在において、多くの注目を集めているのがAIを活用した画像認識です。Appleが2017年にリリースしたiPhoneXでは初となる顔認証(Face ID)が搭載され話題を集めたことも記憶に新しいでしょう。AIによる画像認識はセキュリティでも活用されるほど高度な技術へと成長したのです。
そんなAIを活用し、製造業で取り入れられているのが「AI外観検査ソリューション」です。本稿ではAIを活用した外観検査のメリット他、その必要性などについてもご紹介します。
AI外観検査ソリューションはなぜ必要なのか?
AIによる外観検査ソリューションが注目され始めたのはごく最近のことです。しかしそれ以前から、画像認識技術を使った検査システムは広く導入されていました。では、なぜ今になってAIを活用した外観検査ソリューションが必要とされているのでしょうか?
まず、現行の画像検査システムではルール化しきれない不具合(不良)について検出が難しい傾向にあります。例えば製品表面上にバリが確認できたとして、しかしそれがルールとして定義されていなければ不具合と判断できずに後工程へと流してしまう可能性があります。となると、画像検査システムを経た後も目視による外観検査が必要になるため、検査工数削減には至っていないのです。
これに加えて、新製品が登場するたびに画像検査システムでの設定が必要になり、これが膨大な時間と労力を必要とします。つまり、AI外観検査ソリューション以前に活用されていた画像検査システムは「コストが割に合わない」ということが多々発生していたのです。
この状況を大きく変えたのが、AI外観検査ソリューションです。作業員が外観検査にて未知の不具合に遭遇した場合、何らかの「違和感」を感じ取ることでそれを発見できます。コンピューターはそうした人間的感覚を持ち合わせていませんが、AIはその「違和感」を数値化して表現することで、未知の不具合も見逃さずに検知できるのです。
さらに、AIは自ら学習するコンピュータであるため、旧製品と現行製品の多種多様なデータを取り込むことによって新製品にも素早く適用可能になり、ルール定義のための時間と労力を最小限に留めることが可能になります。これらの理由から、AI外観検査ソリューションはこれからの製造業にとってより重要性の高い製品へと成長していくでしょう。
AIを活用した外観検査のメリット
多くの製造業はAI外観検査ソリューションに様々な効果を期待しています。では、AIを活用した外観検査には具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?
メリット①ヒューマンエラーを限りなくゼロに
ものづくりの世界では、製造を続ける限り多かれ少なかれ不具合(不良)が発生します。不具合が生じた製品を後工程に流さない、顧客へ納品しないための砦になるが外観検査です。外観検査には高度な集中力とどんな細かい不具合も見逃さない洞察力が必要であり、製造ラインの中でも負担の大きな作業です。このため熟練の作業員を配置することが多いのですが、それでもヒューマンエラーが無くなることはありません。
作業員によってバラツキが生じますし、その日の体調や精神状態によっても質が左右されます。このため一定の割合で不具合を後工程や顧客へと流してしまうケースが多いでしょう。AIを活用した場合、そうしたバラツキを排除してヒューマンエラーを限りなくゼロにしながら外観検査を実施できます。
人に起因する不安定さは皆無なので、常に一定の基準で外観検査を実施して細かい不具合も見逃しません。
メリット②生産に回すためのリソースを確保する
製造において不具合が発生するたびに外観検査の負担は増していきます。1人の作業員で賄っていた検査が2人になり、場合によってはそれ以上の人手が必要になることもあります。これでは企業の生命活動として重要な生産にリソースを回すことが難しくなり、人手不足や人件費増を生んでしまいます。
一方、AIを活用した外観検査を用いることで検査に必要な作業員を最小限に留めることができ、その分のリソースを生産へと回すことが可能になります。今あるリソースを有効活用することが、生産性向上と人件費削減に貢献します。
メリット③目視では発見が極めて困難な不具合も発見できる
一眼レフカメラレンズを製造する現場など、ほんの些細な不具合も許されないような現場でもAIを活用した外観検査が有効です。例えば2100万画素の画像センサーを搭載したソリューションの場合、肉眼では発見が極めて困難な「0.05mm以下」の傷や異物も見逃しません。
こうした現場では専用の検査ソリューションを導入しているか、超熟練の作業員によって検査が行われているのが大半です。これらは企業にとっても作業員にとっても非常に負担の大きな作業なので、AI外観検査ソリューションに代替できればかなりの導入効果を発揮するでしょう。
メリット④新製品登場のたびに発生する設定作業を短縮できる
前述のように、従来の画像検査システムと比較してAI外観検査ソリューションでは新たな設定作業が短縮できるメリットがあります。例えば「Voyance Inspector」という製品は、検査対象の特性に応じて「教師あり学習モデル」と「良品学習モデル」を使い分けています。
「教師あり学習モデル」を活用することで、少ない不具合データでもそれを拡張して正確なモデルを作成することが可能です。単純な画像処理技術によるデータ拡張では学習精度の向上は限界があります。一方、顧客のヒアリングから抽出した製品仕様や不具合パターンを練り込み、製品特性にチューニングしたデータ拡張を実施することで、少量の画像データでも学習が可能になります。
メリット⑤ダブルAI活用でより高い検査精度を実現する
同じくVoyance InspectorではダブルAIを活用することでより高い検査制度を実現します。例えばレンズの外観検査のように検査範囲である表面・裏面の両面にある場合、多種多様な不具合を検出するためにモードを切り替えて撮影を実施することで、特定の条件下では検出されなかった不具合も別のモードから検出することが可能です。
さらに個別に不具合を判定するAIに加えて総合的に合否を判断するAIを活用し、ダブルAI活用を行うことでより高い検査精度を実現することが可能になります。
AI外観検査ソリューションのご検討を
いかがでしょうか?AI外観検査ソリューションを用いることで生産ラインにおける外観検査のあり方は一気に変化します。今後はAIを積極的に活用して、ヒューマンエラーを極力排除した生産性タイルが当たり前になっていくでしょう。AI外観検査ソリューションをご検討の際は、Voyance Inspectorにご注目ください。Voyance Inspectorは画像・外観検査へのAI導入ソリューション. AI活用で、目視・外観検査をもっと素早く・もっと賢くしてくれます。