ワークロードには「仕事量」「作業負荷」という意味がありますが、IT業界では主にコンピューターやシステムにかかる負荷のことを指します。システムを効率的に動かすための指標とされており、ワークロード管理の重要度は年々高まっています。ワークロードの管理にクラウドサービスを利用すれば、管理を一元化してセキュリティ環境を強化できるほか、人員コストの削減にも繋がります。本記事では、ワークロードの意味や、クラウドサービスでワークロードの管理を行うメリット、管理作業を円滑にするAzureのサービスについて解説していきます。
ワークロードとは
ワークロードは、直訳すると「仕事量」「作業負荷」ですが、IT業界や仮想環境では異なる意味で使われます。
IT業界におけるワークロードの意味・使われ方
IT業界におけるワークロードの意味は「CPUの使用率」や「メモリやネットワークの使用率」です。あるいは、これらを総称してワークロードと呼ぶこともあり、実行されているソフトウェアがコンピューターの最大容量に対してどれくらいの割合で利用されているか、発揮できているかという意味でも使われます。IT業界では、ワークロードはシステムを正常に稼働させるための重要な指標として利用されます。ワークロードの数値を適切に把握することで、たとえばシステムのパフォーマンスが良くない場合、サーバの数を増やす、または冗長するといった判断や、不要なプロセスを削除して処理のスピードを上げるといった判断ができるようになります。
仮想環境でのワークロードの意味・使われ方
仮想環境でのワークロードの意味は「仮想マシン上で起動しているOS、ミドルウェア、アプリケーション」全般のことです。また仮想マシンのなかにあるデータなど、ソフトウェア全体を総称してワークロードと呼ぶこともあります。
クラウドサービスでワークロード管理をするメリット3選
企業でワークロードの管理をスムーズに行うためには、クラウドサービスの利用が必須です。クラウドサービスでワークロードを管理するメリットについて解説します。
メリット1.人員の負担やコストを抑えることが可能
通常、自社内で複数のワークロードを管理するには、人員とコストの負担がどうしても大きくなってしまいます。クラウドサービスを利用することで、人員の負担やコストを軽減でき、初期費用や維持管理費の負担を抑えた運用が可能となります。メリット2. セキュリティを強化できる
社内システムや使用サービスが複数ある場合、自社のセキュリティ対策の負担は大きくなってしまいます。クラウドサービスを導入して管理を一元化することで、システムのセキュリティ設定や自動チェックをまとめて行えます。加えて、クラウド提供事業者側で様々なセキュリティ対策を行ってくれるため、保証範囲の広いサービスを利用すれば、セキュリティ対策の負担やリスクを大幅に削減できます。
メリット3. 社内システムの設計・運用・管理を一括して行うことができる
たとえば複数の社内システムをIaaS、またはPaaSなど複数環境で利用していた場合、クラウドサービスを導入することで、管理を一元化できます。通常、社内で利用しているサービス環境が複数ある場合、社内の管理者のみで全体を管理するのは非常に困難です。クラウドサービスを導入して管理を一元化することで、社内システムの設計・運用・管理まで、一貫した流れで運営できます。また複数のクラウドサービスを相互接続することにより、データの移行作業や、クラウド間でのアプリやデータベースの利用をスムーズに行うことが可能です。
Azureでのワークロードの管理方法の例
「Microsoft Azure」は、多くの企業で導入されているクラウドサービスの一つです。ワークロードの管理は、Azureの「Azure Advisorスコア」「Azure Well-Architected Framework」という2つの機能により行えます。それぞれの特徴と最適化の方法について解説します。
Azure Advisorスコア
Azure Advisorスコアでは、「リソースコスト」「セキュリティ状況」「信頼性」「パフォーマンス」などの要素をスコア化して診断することにより、ワークロードの管理を円滑に進められます。Azure Advisorスコアは、5つのカテゴリスコアと1つの総合ストアによって構成されています。分析を行いながら各カテゴリーで情報を収集し、Advisorスコアとして数値化していきます。数値化されたスコアを参照することにより、自社のリソース状況を総合的に把握できます。また、ダッシュボード上に表示された情報を基にして、取り組むべきポイントを把握できるため、効果測定の施策も行いやすくなる点が特徴です。Advisorスコアは自身で目標の数値を設定できるため、毎日(もしくは毎週・毎月) スコアの推移をチェックすることにより、適切な対処が可能となります。Azure Advisorスコアは、運用管理者にとって重宝する多くの機能を搭載しています。
Azure Well-Architected Framework
Azure Well-Architected Frameworkは、設計・プロビジョニング・監視・最適化の4ステージに分けて段階毎にコスト面での問題点を把握し、最適化に向けたガイダンスを提供してコストの効率化を実現する機能です。ワークロードの管理に関しては、設計・プロビジョニング・監視の3ステージで自社のリソース状況の確認を行い、最後の最適化のステージでコスト効率化のための作業を実行する流れになっています。Azure Well-Architected Frameworkでの具体的な最適化の例としては、使用率が低いリソースに対してサイズの変更を行っていく、また常時実行され続けているワークロードに対して予約インスタンスで時間を短くする方法などが挙げられます。また、ライセンスオファーを利用してコストを軽減させる方法や、ストレージなどの初期設定を見直して新たに選択する方法も状況に応じて行います。
まとめ
ワークロードの管理は、企業のシステム運用やセキュリティの観点から非常に重要です。ワークロードの管理にクラウドサービスを利用することによって、管理を一元化してセキュリティ環境を強化できます。また、設計・運用・管理まで一括して行えるため、人員コストの削減に繋がります。クラウドサービスの活用により、企業は多くのメリットを得られるでしょう。今回ご紹介したAzureの「Azure Advisorスコア」「Azure Well-Architected Framework」は、ワークロードの管理を円滑に進める機能を搭載しています。「Azure Advisorスコア」は、複数の要素をスコア化して診断することによってワークロードの管理を最適化します。「Azure Well-Architected Framework」は、段階毎にコスト面での問題点を把握し、最適化に向けたガイダンスを提供してコストの効率化を実現します。ワークロードの円滑な管理や、自社のシステムのセキュリティの強化のためにも、導入を検討してみてはいかがでしょうか。