2020年から猛威をふるうコロナ禍の影響もあって、テレワーク導入を行う企業が増加してきています。もちろん「働き方改革」が政府によって推進されている背景もあり、生産性の向上や人手不足の解消などの対策として、民間企業は積極的にテレワークを導入しています。
しかしテレワークには、まったく課題がないわけではありません。
そこで本記事では、テレワーク導入の際の課題を「ワークフローシステム」の導入によって解決する方法について紹介していきたいと思います。
テレワーク導入における企業のメリット
テレワークを導入するメリットについては「厚生労働省テレワークではじめる働き方改革ガイドブック」でも紹介されており、大きく分けると7つのよい効果があるとされています。
1.人材の確保と育成
働き方改革を進める理由として、従業員が快適に働ける環境づくりが挙げられています。
よい労働環境は優秀な人材を確保し、さらにその人材が流出することを防ぐというメリットもあります。
従業員がその会社でキャリアを継続しやすいということは、人材確保や育成のコスト削減につながります。また、産休や育休などからの職場復帰、要介護の家族がいる従業員も、テレワークを計画的に利用することで働き方の多様化が可能となります。
2.業務プロセスの革新
テレワークを利用している人同士、もしくは片方が利用しているという状態でも効率よく業務を進めていくためには、書類やデータ、記録の電子化を進め、ネットワーク上で情報共有を正しく行うことが重要になるでしょう。
このような業務体制の改革を行うことが、結果として業務プロセスの革新につながっています。
3.事業運営コストの削減
テレワークを導入する際には、PC機器やウェブカメラなどといったICT環境の整備に初期費用がかかることがあります。
しかし、テレワークが実施されていくと通勤費、出張費などを削減だけるだけでなく、職場に固定席を確保しておく必要がなくなるでしょう。そのため総合的に見ると、事業運営コストを削減することにつながっています。
4.非常時の事業継続性の確保
台風や地震などの天災や、昨今のコロナ禍のような感染症の流行によって、全従業員がオフィスに出勤することが難しくなったとしても、テレワークを導入・活用することによって業務が途切れることを防げます。
5.企業内外の連携強化による事業競争力の向上
社内で使用するさまざまなデータ管理や業務内容の連携を、情報共有ツールを使うことによってスムーズに行うことができます。例えば意思決定の迅速化、社内外の連携の強化などの幅広い業務を行うことが可能となり、営業力の強化にもつながります。
6.人材の離職抑制・就労継続支援
従業員は、本人もしくは家族の出産や育児、配偶者の転勤、家族の介護などが原因となって離職することがあります。
また、ライフステージの変化による休職が長期に渡り、復帰後に不安が募るということも多くあります。テレワークを導入することで、さまざまな形態での勤務を可能とし、従業員の離職を抑えられるでしょう。
7.企業ブランド・企業イメージの向上
テレワークの導入・活用は、業務の効率化や従業員への手厚い対応を行っているというイメージにつながり、体外的に評価されることがあります。
これは企業イメージや企業ブランドを向上させることにもなるでしょう。さらに、労働環境がよくなれば、社内の従業員からの信頼感にも関係してきます。
テレワーク環境における課題とは
メリットが多いテレワークではありますが、まったく課題がないというわけではありません。
まず、テレワークを導入・活用するためには、ICT環境を整備していくことが必要です。パソコン、インターネット環境などを企業、従業員がそれぞれ整えておかなければ活用できないのです。
また、画面上で会話はしているものの、実際に会っているわけではないため、どうしても相手側の表情や間の取り方などが伝わりづらいということがあります。そのため真意が正しく伝わらない、イライラさせてしまうといったことが起こることも考えられます。こうしたコミュニケーション不足は、業務に影響する恐れもあるでしょう。
また、こうしたテレワークは、すべての業種・職種で行えるというものではありません。テレワークを導入している企業でも、すべての業務を遠隔で行っているとは限りません。どうしてもテレワークでは対応できない業務については、実際に出向いて行う必要性もあるのです。
テレワークが難しい業務の条件
テレワーク化が困難な業務とはどういったものがあるでしょうか。ここではテレワークが実施できない条件について、具体的に紹介していきます。
まず、会社の全員がテレワークを行うという環境では、業務がうまく進まないことも多いでしょう。ある程度の割合の従業員がテレワークをしていても、残りの従業員が会社で勤務しているからこそ、スムーズに稼動できている、という企業は少なくありません。
また、ウェブカメラなどを通して会話する、業務をするのが苦手だという方も一定数います。実際に会って話せばすぐに終わることでも、ウェブ上で会話しているために余計な時間がかかるというケースもあります。
そして管理の観点では、テレワークは勤怠管理が非常に難しいということもあります。
会社に出社している従業員は、目の前で実際に業務を行っている姿が見えるため、勤怠管理を行いやすいでしょう。しかし、テレワークをしている人の業務開始や終了時刻、休憩時間、残業時間などは、実際にその人がどのように過ごしているかが見えづらく、実情を把握しづらいのです。
例えば、テレワークを行っているはずの従業員が私的な買い物に出かけていたり、報告よりも長く休憩時間をとっていたりすることも起こっています。また、終業時刻を超えて残業を行っているにもかかわらず、それを確認する手段がないため超過労働になっていることもあります。
このように、テレワークを行っている従業員が、出社している従業員と同じ条件で勤怠管理できるような環境を整えることが重要です。
テレワークにおいてはセキュリティ対策も看過できない問題となります。パソコン、インターネット、モバイル端末を利用するテレワークでは、情報セキュリティのリスクに万全な備えを行う必要があります。
社内で業務を完結させるわけではなく、従業員の自宅など社外に情報を持ち出すことが増えるということは、必然的に情報漏えいのリスクが高くなります。端末の紛失やデータの削除、盗難などの危機管理ができていない従業員がいれば、さらにリスクは高まるでしょう。これらに備えるため、情報セキュリティの重要性の周知徹底は必須です。従業員には、リスクマネージメントの指導などを積極的に行っていく必要があるでしょう。
そして、日本のテレワークの推進を阻むものとして最大の課題となるのが「書類」です。
昨今では電子化が進められてきているものの、いまだに重要な書類については紙の書類に打ち出した上で、上司や会社の印鑑を押さなければならないという状況があるのです。
社印や上司の印鑑が会社にしかない場合は、テレワークで書類を完成させることができないでしょう。
電子印なども普及しつつありますが、一般的にはなっておらず、書類を完成させるためには出社しなければなりません。これは稟議書や契約書、請求書などすべての種類についても同様に言えることです。
テレワークの課題を解決するワークフローシステムとは?
テレワークにはメリットだけでなく多くの課題があるため、うまく導入できていない企業もあります。そういったテレワークの課題解決に役立つのが「ワークフローシステム」です。
ワークフローシステムとは、「一連の業務の流れをわかりやすく図式化するためのシステム」を指します。
多くの企業では、提案や申請、承認などの作業を書類で行っていることが多いでしょう。発注書の申請を書類で出し、上司がその書類に印鑑を押して、さらに管理職が確認して押印をしたら発注できるといった業務の一連の流れです。
こうした紙ベースの書類での業務は、どの書式の紙に書くのか、誰に提出するのか、いつ申請は下りるのかといった進行具合が把握しづらく、時間や手間がかかります。
ワークフローシステムを導入することで、紙ではなくデータでのやり取りとなるため、管理がしやすく、迅速に業務を進めることが可能になります。
テレワークの課題を解決へ導く
ワークフローシステムでは、紙ベースの各種書類や稟議書などを自動化した上で、オンライン上で申請、確認、承認、保存などを一連の流れとしてできるようにしています。
例えば、申請書類の入力フォームに必要となる事項を入力し、申請すれば、その書類を確認、承認するべき担当者に通知がいくように設定されています。
もちろん、承認者が複数いる場合や、権限が低い順番から高い順に順番に回していくという場合でも、そのように設定を変更することも可能です。また、承認の途中でもこうした流れが図式化されているため、経過を確認することもできるようになっています。
こうした流れがオンライン上でできるため、テレワーク時でも書類を提出、閲覧することが可能です。また、書類を提出するためだけに出社する必要がなく、社内でも紙ベースで書類を回していくよりはるかに迅速な業務が可能になります。
テレワークを利用するときにこそ、ワークフローシステムは活躍すると言えるでしょう。
ワークフローシステムで内部統制の強化と業務効率を実現
ワークフローシステムでは、ペーパーレスで業務を行うことができるだけでなく、ほかにもさまざまなメリットがあります。
例えば、ワークフローシステムで承認者の順番や、誰が承認を行うのかをあらかじめ設定しておくことで、「誰が承認したかわからない」「いつ承認されたかわからない」といったことがなくなり、トラブルを防ぐことが可能です。
また、誰がいつ承認したのかがデータに残るため、責任の所在を明確にすることもできます。業務の進行が可視化されていることで、進捗状況の確認も容易になり、内部統制の強化につながります。
紙ベースの書類では、記載内容に記入漏れや書き間違いがあった場合は指し戻されることとなり、時間や手間がかかります。
しかしワークフローシステムの入力フォームでは、記入漏れはその場で検知されるため、申請前に発見することが可能です。これにより、差し戻しの件数削減や、改めて提出するまでの時間ロスを防ぐことになり、業務効率化へつながるでしょう。
まとめ
テレワークが抱えている課題を解決することはもちろん、抜本的な業務の効率化を進めるためにも、ワークフローシステムの利用は非常に有効だと言えます。
さまざまな種類があるワークフローシステムの中でも、「ATLED」のワークフローシステムであれば、システムを停止することなくワークフロー設定の変更が可能であり、組織改編や業務変更にも強いため、より効率的に社内のデータ化を進められるでしょう。
テレワークや業務効率化を考えている企業は、「ATLED」のワークフローシステムを利用することをおすすめします。