SQLiteをご存じでしょうか。SQLiteは、軽量でコンパクトなデータベースソフトウェアのひとつです。サーバー上にあるデータベースではなく、アプリケーションに組み込んで使用するのが特徴であり、その可用性から様々な場面で利用されています。
本記事では、SQLiteの特徴やメリット、SQLiteが使われる場面などについて紹介します。
SQLiteとは
SQLiteとは、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)のひとつです。リレーショナルデータベースは、列と行で構成されているデータベースです。従来のデータベースと比較して柔軟なデータの取り扱いが可能で、プログラムの幅を広げるものとして広く普及しています。SQLiteの他に有名なリレーショナルデータベースとして「Oracle」「MySQL」「Microsoft SQL Server」「PostgreSQL」などがあります。
データベースと聞くと、大規模なシステムで利用するイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、SQLiteはサーバーへのインストールが不要で、アプリケーションに組み込んで使用するため、他のデータベースソフトと比べて簡易的にデータベースを導入できます。
SQLiteが広く使われるひとつの理由が、オープンソースであることです。特定の企業が権利を持っているソフトウェアの場合、ライセンス契約を解除すると使えなくなったり、ライセンス料が引き上げられたりする可能性があります。また、開発企業が倒産して使えなくなることも少なくありません。
一方でSQLite は、利用や修正にライセンス料が不要なパブリックドメインです。
オープンソースであるため、コードを改良して、誰でも自由にSQLiteを使ったソフトウェアを作成できます。
実際にSQLiteは、世界中で広く浸透しており、Google、Apple、Microsoftなどの大手ソフトウェア会社でもSQLiteを使用しています。スマートフォン、IoT 製品、アプリケーションにも使用され、高い信頼性が証明されています。
SQLiteの特徴
SQLiteには様々な特徴がありますが、ここでは代表的なものを6つ紹介します。
特徴1.自己完結型のデータベース
SQLiteは、クライアント・サーバー型のリレーショナルデータベースとは異なり、面倒な設定作業が不要です。従来のデータベースの場合、設定ファイルの準備など事前に多くの設定が必要ですが、SQLiteの場合はパッケージ管理システムをインストールするだけで利用できます。
特徴2.データ型の指定が不要
SQLiteは、データ型を指定する必要のないデータベース管理システムです。通常のデータベースは、テーブルのカラムごとに「文字列型」「数値型」といったデータ型の指定が必要ですが、SQLiteはデータ型を指定せずにテーブルを作成できます。データを格納する際に一定の基準を用いて、格納するデータにSQLiteがデータ型を当てはめます。
特徴3.容量が軽く高速処理が可能
SQLiteの本体ファイルサイズは600KB程度で、他のデータベースと比べて軽量です。消費するメモリの量も少なく、処理性能が低いデバイスに対しても組み込み可能です。SQLiteは軽量であるため、サーバーではなくライブラリとして利用できます。
特徴4.データベースの準備が不要
SQLiteは、データベースの準備が必要ありません。SQLiteはデータベースではなくライブラリの組み込みで使用します。他のデータベース管理システムでは、データベースを作成したり、設定作業をしたりする必要がありますが、SQLiteはライブラリを使用するため、導入の手間が少なく、簡単に組み込めます。
特徴5.バイトオーダーに依存しない
SQLiteは、バイトオーダーに依存しません。バイトオーダーとは、データを転送する際に、どのバイト位置のデータから先に転送するかという順番のことです。バイトオーダーに依存しないことから、SQLiteで作成したデータは、様々な環境で動作しているアプリケーションへデータの変換なしで移動できます。簡単にデータを移すことができ、他のデータベースと比較して可用性に優れている点が特徴です。
特徴6.マルチプラットフォームに対応
SQLiteは、外部ライブラリに対する依存性が低く、マルチプラットフォームに対応しています。
Windows、Linux、MacOS、Android、iOSなど数多くのOSに対応可能です。互換性が高く、SQLite をアップデートしてもソフトウェアの修正は必要ありません。
SQLiteが使われる場面
SQLiteは、おもに以下のような場面で利用されています。
組み込み機器やIoT製品
軽量で少ないメモリでも高速動作が可能なSQLiteは、組み込み機器やIoT製品に多く利用されています。データベース管理が不要なため、専門家のサポートなしで動作します。
アプリケーションフォーマット
SQLiteは、アプリ―ケーションフォーマットとしても利用可能です。アプリケーションで使用する情報をディスクファイルに書き込むのではなく、必要な情報をSQLiteデータベースに格納して利用できます。これにより、データへのアクセスが容易となり、パフォーマンス向上、コスト削減、複雑さの軽減などを図れます。
データ分析
SQLiteはデータ分析ツールのデータストアとしても使われます。分析データベースは単一ファイルとなるため、手軽にやりとりできるメリットがあります。データはCSVファイルからもインポート可能です。どの言語でも扱えるデータベース形式であるため、RやPythonなど言語を横断するデータ分析も実現します。Webサイトのログ分析などにも利用されています。
OS
自己完結型のデータベースであり、マルチプラットフォームに対応していることから、SQLiteはGoogleやAppleなどの製品にも採用されています。また、サーバーやスマホOSにも対応しています。SQLiteを利用している代表的なサービスには「Windows10」「Firefox」「Chrome」「Safari」「Skype」「iTunes」などがあります。
まとめ
SQLiteは、軽量でコンパクトなデータベースソフトウェアのひとつです。サーバー上にあるデータベースではなく、アプリケーションに組み込んで使用するという特徴があり、可用性の高さから様々な場面で利用されています。
しかし、SQLiteを利用したアプリケーションの規模が大きくなった場合、データを信頼性が高く、一元化されたデータストアに移行することを考える必要があります。そこで、移行先として注目されているのがクラウドです。近年では、データベースをオンプレミス環境からクラウド環境へ移行する企業も増えています。
Azureでは、SQLiteのデータベースをサーバーレスに移行するサービスを展開しています。
クラウド型のリレーショナルデータベースであるAzure SQL Databaseは、他社の製品と比較して、自動パフォーマンス監視、チューニング、コストの面で優位なサービスです。SQLiteのクラウドへの移行は、アプリケーション作成からデータ分析まで幅広い用途での利用が可能なAzure SQL Databaseがおすすめです。