「システムを導入するならスケーラビリティが重要だ」このような言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。しかし、スケーラビリティという言葉が具体的にどのような意味を持つものなのか、何が重要なのかわからないという方もいらっしゃることでしょう。そこで今回は、スケーラビリティの基礎知識や重要性、クラウドを利用するメリットなどについて詳しく解説します。
スケーラビリティとは
「スケーラビリティ」とは、システムの拡張性のことをいいます。必要に応じてメモリの容量やデータの保存容量を追加したり、端末の数を増やしたりする一方で、事業規模が縮小したときには速やかに保存容量を削減したり、端末の数を減らしたりすることを指しています。
拡張性が高く柔軟に拡張できる状態を「スケーラブルである」と表現することもあります。スケーラブルな状態を維持することは、ビジネスの成長性を確保するうえでとても重要です。
スケーラビリティの重要性
システムの規模が拡大・縮小するのに合わせて柔軟にスケールを調整できる状態にしておくことは、スムーズな業務運営や事業成長のために必要不可欠です。
一般的に、事業が成長するたびにシステムのリソースは拡張していく必要があります。必要なメモリや保存容量が増えたり、人員数の増加で新たな端末を用意しなければならなくなったりします。そのたびに大規模なシステム改修を行うのでは、膨大な手間やコストがかかり、業務運営に支障をきたす恐れがあります。また、改修コストは膨らむ一方です。
このことから、あらかじめ自社の事業成長を見据えてスケーラブルなシステムを意識し、いざというときに柔軟に拡縮できるように準備しておくことが重要になります。
スケーラビリティの2つの種類
スケーラビリティは、大きく分けて「垂直スケーリング」と「水平スケーリング」の2種類があります。ここでは、それぞれの意味や役割をご紹介します。
垂直スケーリング
垂直スケーリングには、さらに細かく分けて「スケールアップ」と「スケールダウン」の2種類があります。
・スケールアップ
スケールアップとは、業務を運営するうえでサーバーのスペックが不十分なときに、メモリやOSなどのスペックを引き上げることを指しています。例えば「2コア/2GB」で運用していたサーバーのスペック不足に対して、「4コア/8GB」にスケールアップするなどの例が考えられます。
・スケールダウン
スケールダウンはスケールアップと反対で、サーバーのスペックが過剰なときに、メモリやOSなどのスペックを引き下げることを指しています。例えば「4コア/8GB」で運用していたサーバーの過剰スペックに対して、「2コア/2GB」にスケールダウンするなどの例が考えられます。
水平スケーリング
水平スケーリングには、さらに細かく分けて「スケールアウト」と「スケールイン」の2種類があります。
・スケールアウト
スケールアウトとは、サーバーの処理速度が不足しているときに、処理スピードを高める目的で並列に複数台のサーバーを設置することです。例えば、これまで2台で運用していた業務用サーバーを1台増やして並列に接続することで、処理速度をより高めてスムーズな運用を可能にします。
・スケールイン
スケールアウトは、スケールインと反対で、サーバーの処理速度が実際に必要なスペックに対して過剰な場合に、余分なサーバーを削減することです。例えば、これまで3台で運用していた業務用サーバーを1台減らして並列に接続することで、運用を適正化し、コスト削減をはかれます。
スケーラビリティを高めるためにクラウドを採用するメリット
スケーラビリティを高めるためには、クラウドを採用するのがおすすめです。なぜクラウドがおすすめなのか、その理由を解説します。
スモールスタートが可能
クラウドサービスはスモールスタートが可能であり、自社が必要とするスペックから徐々に拡張できるのがメリットです。まずは社内の一部の組織だけで利用を始めて、少しずつ利用規模を拡大していくなどの柔軟性の高い運用を実現できます。
システムを最初から全社的に展開するのは失敗のリスクが高まりやすいため、スモールスタートしてから運用に慣れてきたところでほかの組織にも展開し、最終的に全社に導入を拡げていくのが有効な方法になります。
初期コストを抑えられる
クラウドサービスは、自社が必要とするリソースだけを用意して始められるため、初期コストが比較的低いのもメリットです。自社でサーバーを購入する必要がないので、初期投資をできるだけ抑えたいという方にはおすすめします。
また、クラウドサービスはサーバーの運用をサービス提供事業者が行うため、自社で運用のための人材を用意する必要もなく、人件費の削減にもつながります。
スケーリングを柔軟に行える
クラウドサービスは、必要に応じてリソースの追加・拡張が容易であり、スケーリングを柔軟に行えるのも魅力のひとつです。
サーバーを購入して社内に設置・運用するオンプレミス型の運用は、最初に必要なリソースを計算して確定してしまうため、追加のリソースが必要になったときにサーバーを追加したり買い替えたりしなければなりません。システムの改修も求められることから、スケーリングのための費用は膨大になります。クラウドサービスを選べば、このようなリスクを回避できます。
スケーラビリティの高いクラウド「Azure」とは
前述のように、スケーラビリティを高めるためにはクラウドサービスの利用が効果的です。中でもMicrosoftが提供しているクラウドサービスのAzureは、オートスケールに対応しておりセキュリティレベルも高く、おすすめのサービスのひとつです。
これから新たにクラウドサービスの利用を考えていて、どれを選べばよいかわからないとお悩みの方は、ぜひAzureの利用を検討してみてはいかがでしょうか。具体的にAzureのメリットをご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
スケーラビリティの高いクラウド「Azure」のメリット
スケーラビリティの高いクラウドサービスのAzureには、さまざまなメリットがあります。ここでは、あらためてAzureの3つのメリットをご紹介します。
オートスケールに対応
Azureは、オートスケールに対応しており、よく利用されているアプリ・されていないアプリのリソースをシステム側が自動的に検知し、必要に応じて柔軟に拡張してくれます。運用担当者がリソースの監視を行う手間を削減できるため、より重要性の高い業務に注力することが可能になります。自動検知のためリソースを無駄なく活用でき、コストの効率化にもつながるでしょう。
事前にリソースを拡張しておくことができれば、想定外のリソース不足などによるトラブルを回避しやすくなります。
セキュリティレベルが高い
Azureは、さまざまなセキュリティ対策が講じられているため、高いセキュリティレベルで利用できるのもメリットです。セキュリティ知識が豊富な人材が社内にいなくても、安全に運用しやすいクラウドサービスであるといえます。
ハイブリッドクラウドも実現可能
Azureは、オンプレミスとのハイブリッドクラウドに対応していることから、完全なオンプレミスまたはクラウドでの運用ではなく、オンプレミスとクラウドの良い部分を掛け合わせた運用が可能である点も魅力です。
社内のコンプライアンスなどの関係で100%クラウドベースの運用が難しい場合でも、Azureを活用することで「メインの運用はオンプレミス、一部業務のみクラウド」といった運用方法も実現できます。
スケーラビリティの低いサービスを使うとどうなる?
スケーラビリティの低いサービスを使うと、必要なときに必要なリソースを確保できず、業務に重大な支障が出る恐れがあります。
また、柔軟にリソースを拡張できないことを理由に一度導入したサービスからほかのサービスに乗り換えなければならず、再度初期費用がかかってしまうなど、想定外のコストが発生するリスクも考えられます。このようなリスクを回避するためにも、あらかじめスケーラビリティを意識したシステムの導入を検討しましょう。
まとめ
スケーラビリティを意識した運用体制を構築することで、ビジネスの成長に合わせて柔軟にリソースの拡張・縮小を行えるようになります。将来の展望を見据えて、「スケーラブルなシステム」の導入を心がけましょう。
スケーラビリティを意識した運用なら、クラウドサービス「Azure」の利用がおすすめです。オートスケール機能やセキュリティレベルの高さで、便利かつ安全性の高い運用を実現できます。