仮想デスクトップ

Azure Virtual Desktop(旧Windows Virtual Desktop)(AVD)に最適なAzureストレージサービスの要件とは

Azure Virtual Desktop(旧Windows Virtual Desktop)(AVD)」は、Microsoftが提供するVDIおよびDaaSサービスです。VDIを活用すると、場所やデバイスの制限なく、いつでも自分のデスクトップで仕事ができるようになります。本記事では、AVDの仕組みや求められるAzureストレージの要件について解説します。

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Azure Virtual Desktop(旧Windows Virtual Desktop)(AVD)の仕組み

「Azure Virtual Desktop(旧Windows Virtual Desktop)(AVD)」は、Microsoft社が提供するVDIおよびDaaSです。「VDI」とは場所や端末の縛りなく、いつでも自分のデスクトップで仕事ができる機能(仮想デスクトップ)を指し、「DaaS」はそのVDIの機能をクラウドから提供するサービス全般を指します。

従来の仮想デスクトップ環境は、オンプレミスのサーバーに構築されるのが主流でしたが、DaaSではクラウドを利用するため、物理的な基盤を自前で用意する必要がありません。特にAVDは、従来のDaaSと大きく異なり、Windows10のマルチセッション機能が搭載されています。

通常の仮想デスクトップでは、ユーザーごとに仮想マシン1台を割り当てるため、人数分の仮想マシンが必要でした。その点、マルチセッション機能を搭載したAVDなら、1台の仮想マシンで複数のユーザーが同じWindows10を共有できます。それにより、必要な仮想マシンの台数とシステム構築にかかるコストを削減することが可能です。

なお、AVDはMicrosoft社のVIDであるため、仮想マシンを構築するために利用できるクラウド基盤は「Microsoft Azure」の一択となります。

AVDのストレージ特性について

AVDを利用するうえでは、ストレージの特性を押さえておくことが欠かせません。

専用で管理するユーザープロファイルとは

「ユーザープロファイル」とは、Windowsにおいて利用者ごとに用意されている専用フォルダのようなものです。私たちはWordでドキュメントを作成したり、ブラウザで頻繁に閲覧するホームページをお気に入り登録したり、デスクトップの背景を自分好みに設定したりします。これらのデータや設定は、すべてユーザープロファイルの中にあり、ユーザープロファイルはデバイスのローカルディスクに保存されているのです。

利用者が常に同じデバイスを使い続けられるのであれば、特に問題はありません。しかし例えば、リモートワークで社外から会社のパソコンのデータを使いたい場合などには、不便が生じます。とりわけVDI環境では、サインインするたびに異なるデスクトップが割り当てられるので、ユーザープロファイルをファイルサーバーに保存しておき、その都度データを読み込まなければなりません。

この問題に対する解決策として、従来は「移動ユーザープロファイル」「フォルダリダイレクト」「ユーザープロファイルディスク」といった方法が提供されてきました。

移動ユーザープロファイルは、外部のディスク領域にユーザープロファイルを保存し、サインイン時にそれを読み込む方法です。しかしこれには、データが増えるにつれて、サインインやサインアウトに時間がかかるデメリットがあります。

フォルダリダイレクトは、必要なフォルダのみをショートカットのように指定し、すべてのデータを読み込まないようにする方法です。移動ユーザープロファイルに比べると、サインイン・サインアウトの時間を短縮できますが、データが外部サーバーにしまわれている以上、データの取り扱いに時間がかかるうえ動作も重くなってしまいます。

ユーザープロファイルディスクでは、ネットワークドライブにデータを保存しておけるので、アクセス速度が向上します。反面、一部のアプリケーションには対応できないケースがあります。

このように、従来のユーザープロファイルの管理方法は、それぞれ違った問題点を抱えていました。

AVDにとって重要なFSLogixとは

このような非永続的な環境下で不可欠となるのが、Microsoft提供の「FSLorix」と呼ばれるソフトウェアです。AVDでFSLogixを使用すると、ユーザープロファイルの管理が格段に快適になります。具体的なメリットとしては、「ユーザープロファイルの読み込み時間を短縮できる」「データを簡単に冗長化できる」「マルチセッション環境でOfficeが使える」などが挙げられます。

FSLogixには主に5種類の機能がありますが、そのうちユーザープロファイルの管理を担う機能が「ユーザープロファイルコンテナー」です。この機能は、ユーザープロファイル内のデータを仮想ディスクとして、外部ストレージに保存します。そしてサインイン時、ネットワーク越しに仮想デスクトップにマウントすることで、シームレスなデータの読み込みを可能となります。起動時は仮想ディスクのマウントのみで素早く立ち上がり、その後に必要なデータを個別に取得します。

ただし、FSLogixを使用した環境下であっても、プロファイルデータの格納先の性能が優れていなければ、仮想デスクトップの使い勝手も低下してしまうでしょう。したがって、AVDの利便性を向上するためには、適切なストレージの選定が不可欠です。

Azureストレージに求められる要件について

Microsoft Azureは、ストレージサービスとして「Azure Storage」を提供していますが、用途に応じて色々なストレージがあります。AVDのプロファイルデータを格納するストレージを選ぶうえで、求められる要件とは何なのでしょうか。

最優先すべきパフォーマンス

AVDのストレージ選びで最優先すべきは「パフォーマンス」です。ストレージにおけるパフォーマンスを左右する指標としては、IOPSの数値が代表的です。

「IOPS」とは、仮想ディスクが1秒間に処理できるインプットとアウトプットの数を示すものです。「インプット」はストレージにデータを書き込むこと、「アウトプット」はストレージ内のデータを読み込むことを意味します。一般的には、IOPSの数値が高いほど高性能なストレージとされています。

IOPSの数値は、AVDを起動してからサインイン・サインアウトできるまでの時間や、プロファイル領域から選択したファイルを開き終わるまでの時間などに影響します。それらはそのまま作業効率と生産性に直結するため、ストレージのパフォーマンスを安易に妥協すべきではありません。

運用のしやすさ

運用のしやすさも重要なポイントです。例えば、ストレージ内のデータを新しい環境に移行する際、多くの場合はユーザーごとに必要な情報をサーバーに移し、新たな環境で各自がログインして再設定を行います。しかし、こうした手作業による移行は、情報漏洩やデータの誤消去、コピー漏れなどのリスクも伴います。そのため、自動的にデータを移行できる機能があると便利です。

誤って必要なデータを削除してしまったときや災害時に備え、プロファイルの定期的なバックアップも重要です。バックアップを自動で管理してくれる体制が整っているか、必要なときに簡単にデータ復元ができるかなども着目しましょう。

予算に合ったコスト

必要以上にスペックを高めると、その分コストがかさんでしまいますし、反対にコストを優先してスペックを落とすと、かえって作業効率を悪化させかねません。そこでストレージ選びでは、予算に合ったスペックを採用する必要があります。利用者一人ひとりのデスクトップ環境を把握し、構築したいシステム環境に応じてコスト・容量・パフォーマンスのバランスを最適化することが重要です。

AVDのAzureストレージの最適解ANF

AVDとの親和性が高く、パフォーマンスに優れたAzure ストレージを選ぶなら、「Azure NetApp Files(ANF)」が最適です。以下では、なぜANFがAVDに最適といえるのかを解説していきます。

高いパフォーマンスを提供

ANFは、完全マネージド型の高性能ストレージサービスです。ユーザープロファイル用のサーバーを構築・運用する必要がなく、サーバー管理のほとんどを任せられます。さらに、Azure上にあるONTAPストレージを利用するため、オンプレミスと遜色ないパフォーマンスの実現が可能です。

予算に合ったコストを選択できる

ANFは、要求されるパフォーマンスの要件ごとに3種類のコストを展開しています。概要(東日本リージョンの場合)は以下の通りです。

  • スタンダード:¥19.78592/GiB/月
  • プレミアム:¥39.49008/GiB/月
  • ウルトラ:¥52.7352/GiB/月

ANFでは、プロビジョニング(必要に応じて提供)されたストレージ容量に基づき、1時間単位で課金される仕組みを採用しています。容量は1TiBずつ追加することが可能です。また、必要に応じてトラブルシューティングやテクニカルサポートなどに対応してもらえるサポートプランもあります。料金はサポートの充実度により、以下の3種類から選択できます。

  • デベロッパー:¥3,248/月
  • スタンダード:¥11,200/月
  • プロフェッショナルダイレクト:¥112,000/月

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まとめ

AVDでは、1台の仮想マシンを複数のユーザーで共有できるため、システム構築にかかるコストの削減が期待できます。なお、AVDの特性をフルに活かすには、ストレージサービスの選定が重要です。実現したいデスクトップ環境に応じ、予算内に収まる範囲で、できるだけ高性能なストレージを選びましょう。

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