クラウド移行(インフラ・DB)

ノーコード開発とは? デメリット・メリットや事例、ツールの選び方

ソースコード記述が不要のノーコード開発は、開発の新たな選択肢として国内でも導入が増えています。高まる需要に対して、近年ではECサイトやアプリなどに対応した幅広い機能を持つ製品も数多く登場するなど、市場も急成長しています。

そこで本記事では、事前に知っておきたいノーコード開発の基礎知識やメリットなどについて、簡潔に解説します。

ノーコード開発とは? デメリット・メリットや事例、ツールの選び方

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ノーコード開発とは

コード(code)とはプログラミング言語が書かれたソースコードのことです。つまりノーコード(NoCode)とは、ソースコードを記述せずにビジュアルベース(GUI)でシステムやアプリケーションを開発することを指します。新しい用語に聞こえますが、すでにさまざまな場面で導入されています。

そもそもアプリケーションやサービスは、ソースコードに基づいて動作します。WebサイトであればHTMLやJavaScript、PHPなど、スマホアプリであればJavaやSwiftといったソースコードで記述されているため、開発には専門知識を持ったプログラマーが必要です。

一方、ノーコード開発の場合は、専用ツールを利用することで、人間がプログラミング言語を記述することなくアプリケーションやサービスの開発を行えます。ノーコードツールはクラウド型が主流のため、サーバー構築や保守が不要な点も魅力です。

ノーコードツールの仕組みを簡単に説明すると、あらかじめ用意されたテンプレートに沿って必要な情報を記載したり、機能ごとに分かれた部品を組み合わせたりした後で、ツール側が自動的にソースコードに変換します。そのため人間はソースコードを記述する必要がなくなるのです。Excelマクロで記録した操作内容が、裏側ではVBAに変換されているのをイメージすると理解しやすいでしょう。

ノーコードツールにはさまざまな種類があります。現在は海外製品が主流で、ECサイト構築用途の「shopify」やWebアプリ開発用途の「Bubble」、マイクロソフトが提供する開発範囲が広い「Azure Logic Apps」などがよく知られています。かつては開発会社やシステム部門に開発してもらっていた機能も、今では手軽に構築できます。

ノーコード開発のメリット

ノーコード開発を行うことで、以下のようなメリットが期待できます。

プログラミングの知識がなくても開発ができる

ノーコード開発は、プログラミングの専門知識がなくてもビジュアルベースで開発できることが最大のメリットです。現場担当者が業務に必要なアプリケーションを開発するなど、従来であればアプリケーションやサービスを開発できなかった人でもツールを使うことで開発が可能です。

開発にかかる時間・コストが削減できる

もう一つの大きなメリットは、人間がソースコードを記述するよりも短期間で開発が可能になる点です。これによりスピーディで効率的に開発できるだけでなく、人件費や外注費の削減にもつながります。

ノーコードツールを必要としている企業にとって、そのアプリケーション開発はコア業務ではないことがほとんどです。開発に手間や時間をかけずに、その分のリソースを本来行うべきコア業務に注力することで、より質の高い成果を生み出せるようになります。

ノーコード開発のデメリット

一方でノーコード開発にはいくつかのデメリットもあります。採用する際には事前にそれらのデメリットを許容できるかを検討しておくことで、後々のトラブルを回避できるでしょう。

拡張性が低い

ノーコード開発は専用ツールを使用して開発を行います。そのため、ツール側に用意されていない機能は開発できません。言い換えると、汎用性が低い機能はツール側に搭載されていない可能性が高いのです。そのため、特殊な機能が必要な場合や、開発年数が経過している社内システムとの連携などは、ノーコードで対応できない場合があります。

ツールへの依存度が高い

ノーコードに限らず全てクラウドサービスにいえることですが、ツールを提供する企業の都合に左右されやすく、ツールへの依存度が高い点に注意する必要があります。マイクロソフトやAmazonのような大企業が提供するツールであれば比較的安心ですが、規模の小さい企業やスタートアップが提供するサービスの場合、突然ツールが開発停止、サポート停止になるリスクを考慮しておかなくてはいけません。万が一そのような事態になった場合は、今まで開発してきたアプリケーションが使えなくなったり、更新できなくなったりする可能性があります。

また月々の利用料を支払っている場合は、値上げされた場合に大きな影響を受けます。

ノーコード開発ツールを選ぶときに重視すべきポイント

以上のメリット・デメリットを踏まえた上で、自社でノーコードツールを採用すると決めた場合、次に必要となるのが導入ツールの選定です。課金体系を確認するのはもちろん、以下の3点に留意しながら自社に適した製品を選ぶことをおすすめします。可能であれば無料トライアルなどで事前に十分な使用期間を設けるとよいでしょう。

セキュリティ対策

近年クラウドサービスを狙った攻撃が増加しており、個人情報漏えいなどの重大なセキュリティ事故が多発しています。クラウドツールを利用する際には、ISO認証を取得しているかなど、ツール提供企業側のセキュリティ対策がしっかりしているかどうかをきちんと確認しておくことが重要です。

機能の豊富さ

ノーコードツールは、製品ごとに提供している機能が異なります。そのため、自社の開発したいアプリケーションを想定し、必要な機能を搭載しているかどうかを事前に確認しておく必要があります。

また、自社で使用している他製品との連携が可能かどうかもチェックしておくとよいでしょう。今後の拡張性も考慮して、他製品との連携機能が豊富な製品を選ぶのがおすすめです。

ツールごとの得意分野

ノーコードツールと一口に言っても、製品ごとに特徴や得意分野は異なります。汎用性の高いツールの場合、機能が多すぎるためにかえって使いづらい、といったことが起こりがちです。導入の目的がはっきりとしている場合、用途が限定されたツールを導入したほうが効果的かもしれません。製品ごとの違いを確認し、自社に適した製品を選定するようにするとよいでしょう。

ノーコード開発の事例

ここではノーコード開発の事例として、マイクロソフトが提供する「Azure Logic Apps」を使った問い合わせフォームの開発を紹介します。Azure Logic Appsは、クラウド上でサービスを提供するiPaaS(Integration Platform as a Service)型のノーコードツールで、Office製品のように利用できる特長を持ちます。

多くの企業では、自社サイトに問い合わせフォームを設置しています。Azure Logic Appsを使えば、既存のフォームに必要な機能が追加できます。たとえば、ツールにパーツとして提供されている感情分析機能を組み込むことで、クレームかどうかを自動判定し、クレームの可能性が高いと判定された場合は通常とは異なる対応を行う、といった機能を追加できます。

また、Azure Logic Appsは他製品との豊富な連携機能を備えているのが特徴です。「kintone」などのクラウドサービス上で顧客管理を行っている場合、問い合わせ内容や日時などを自動で登録することが可能です。「Slack」などのコミュニケーションツールに通知を送り、チーム内で共有することも簡単に行えます。

このように他製品とのシステム連携やAI(人工知能)などの高度な機能の実装もコーディング不要で開発できるのが、ノーコード開発の強みです。

まとめ

ノーコードツールの普及により、従来と比較して短期間・低コストでのアプリケーション開発が可能になりました。それだけでなく、「現場担当者が直接開発できる」「スピーディに開発できる」といったメリットもあります。

人手不足の中、さまざまな場面で自動化・省人化が進んでいます。開発の場面でも今後ノーコード開発が有力な選択肢になるでしょう。

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