SAP on Azureへの移行を考えている方も多いのではないでしょうか。今回は、クラウド化をサポートする「Microsoft Azure Accelerator プログラム」を紹介します。
迫るSAP2025年問題でクラウドへの移行が加速
SAP2025年問題とはいったい何のことでしょうか。
それはSAPの保守サービスが2025年に終了することで発生する問題のことになります。
ドイツのソフトウェア会社であるSAPは2019年に「SAP ERP Central Component」とそのほかの古いERPソフトウェアの保守サポートを2025年までに終了すると発表しました。その後、期限の延長を行いましたが、保守サポートが終了することには変わりません。
このサポート終了の狙いとしては、同社の発表しているEPRの最新の「SAP S/4HANA」への移行を加速させるためと言われています。
「SAP S/4HANA」はクラウド・IoT(モノのインターネット)・人工知能(AI)などの新しいテクノロジーに対応している高性能のシステムであり、デジタルトランスフォーメーションを実現させるポテンシャルを持っています。
SAPはERPパッケージをオンプレミスでも提供していました。しかし今日にかけては、オンプレミスでパッケージを導入していた企業も、クラウドに切り替える流れが加速してきています。
このように、SAPの保守サービス終了に合わせてオンプレミスからクラウドへのサービスの転換を迎えています。このことをSAP2025年問題と呼び、大きなうねりとなっているのです。
SAPがMicrosoftと提携拡大!Azureが優先クラウドに
前述したようにクラウドへの移行が加速しています。
そしていくつかの企業がクラウドのソフトウェアの提供を始めました。
注目を集めているのはMicrosoftが「Microsoft Azure」から「SAP HANA」対応ソフトウェアを提供開始したことです。
ちなみに競合するAmazon Web Services(AWS)も同種のサービスを提供しています。
オンプレミスSAPのクラウド移行を検討する企業にとって、移行先としてAzureかAWSのどちらを選ぶかという議論もあります。
そんな中、ERP大手のSAPがMicrosoftとの提携を拡大しました。「Microsoft Azure」を優先パブリッククラウドと位置付けています。
SAPもコラボレーションプログラム「Embrace」で、主力ERP「S/4HANA」のクラウド移行を支援しています。
では、具体的には「Microsoft Azure」を選ぶメリットは何があるでしょうか。
以下のようなメリットがあります。
- 初期投資を抑えられる
- 拡張性があるため、状況に合わせて運用環境を変えられる
- Webを利用するため社外からも使える
- ランニングコストの削減ができる
では、これらを一つひとつ説明していきます。
【初期投資を抑えられる】
Azureでは、サーバー調達やネットワークの整備などに費用をかけずに導入できるため、初期費用が抑えられるでしょう。オンプレミスと違い、サーバー調達やネットワークの整備をかけなくて済むため、安く済ませられます。
【拡張性があるため、状況に合わせて運用環境を変えられる】
利用途中で「サービスの拡大をしたい」と考えていても、問題なく対応可能です。また規模を小さくすることもできるため、ケースに合わせた資金投資を実現していけるでしょう。
【Webを利用するため社外からも使える】
インターネットを利用して使うので、社外にいても利用できます。アクセス権限は細かく調節できるため、セキュリティ面でも安心でしょう。アクセス制限の徹底は、不正アクセスによる情報漏えい防止にも有効です。
【ランニングコストの削減ができる】
1年もしくは3年分の費用前払いを行うと、投資額の予算を明らかにできます。長期的な計画を立てやすいので、ランニングコストの削減が可能です。3年で半分のコスト削減を行うこともできるでしょう。長期契約を考えている企業にとっては、投資計画も立てやすいのは業務上で役立つことと言えるでしょう。
SAP on Azureとは?環境構築が肝
SAP on Azureとは、SAPソリューションをAzureで実行するソリューションです。
Azureサービスには豊富なカテゴリがあり、必要に応じて選べます。AI+機械学習・DevOps・Microsoft Azure Stack・Storage・Web・データベース・ネットワーク・IoTなどがそろえられています。
ちなみに今上げたカテゴリは全体の一部であるため、もっと多様なことをできます。
ERPは基幹システムであり、環境構築には万全を期してトラブルを起こしたくないところです。
企業によっては、数度のリハーサルを行い、トラブルが発生しないようにしてから、クラウドに移行をしています。
非常に重要なことのため、入念に準備してから始めるようにしましょう。
SAP on Azureでクラウド化を実現「三井物産」
三井物産は2000年からERPの基幹システムを運用してきました。2025年問題への対処として、海外事業・国内事業で利用していたERPの移行を決意しました。新たなERPシステムで選ばれたのは何だったのでしょうか?それはAzureです。では何が決め手になったのでしょうか。
【決め手】
決め手となったのは、Microsoftの持つ総合力です。
移行のために、追加オプションや特別な設計が必要ではなく、既存の機能を合わせることで実現できるとことです。
コストの削減ができ、柔軟性・運用性・安定性・サポートなどさまざまな面で強みがあります。
Azure ではSAP HANAに対応するバックアップ機能や、災害対策機能を標準で使えることも大きなポイントがあります。
【移行にかかるコスト面は?】
このときに移行にしたのは、システムコンバージョン方式です。ちなみにこのシステムコンバージョン方式とは、既存のSAP ERP環境で稼働している機能をそのまま移行させる方式のことを指します。
ブラウンフィールドと呼ばれることもあります。
この方式にしたため、再構築する方法と比較すると、移行にかかるコストを約6分の1まで削減できました。
【移行のスピードは?】
期間も約半分に短縮されました。
【ランニングコストへの影響は?】
これまでは国内拠点・国内グループ会社で分けて運用していたものを、このAzureへの移行に合わせて統一しました。その分、運用にかかるリソースが減ったため、ランニングコストの削減につながりました。
Microsoft Azure Accelerator プログラム
安全に移行したいと考えている企業にとって、「どのようにすればシステムの移行を問題なく行えるか」というポイントはとても気になることと言えるでしょう。
そんな問題を解決できるサービスをsoftwareONEでは提供しています。
ではこれからsoftwareONEの提供するMicrosoft Azure Acceleratorプログラムについて紹介していきます。
まずMicrosoft Azure Accelerator プログラムとは、Azure上でSAP ECC導入やS/4HANA移行に関するアセスメントを実行するプログラムになります。
このプログラムには複数のサービスが含まれており、以下に詳細を説明していきます。
【順調に移行をさせるためのサポート】
- 最適化されたリファレンスアーキテクチャ
- SAP on Azure クラウドのための設計
- SAPをAzureクラウドに移行する際の前提条件と依存関係の洗い出し
- 現在のワークロードアセスメント レポート
- ハイレベルなTCO分析
上記のようなテクニカルなサービスを提供しているので、スムーズな移行が期待できます。
【見積もりなど】
- ハイレベルなプロジェクトのタイムライン見積もり
- 総保有コスト(TCO)アセスメント
- クラウドプラットフォームの部品表(BOM)が必要
- Azureクラウドに移行するためのサービスとプラットフォームの概算見積もり
各種の見積もりも出してくれるので、何にいくらかかるかがすぐにわかります。
【SAPワークロードをAzureに移行するための知見の提供】
- Azureクラウドへの移行経路
知見を手に入れられるので、順調に移行を進められるでしょう。
ちなみに移行の実績も豊富にあります。
Microsoft Azure Accelerator プログラムは、業界を問わずサービスを提供してきました。
例えばこれまでの実績では、化学会社・バイオテクノロジー会社・小売店・石油・ガス会社・物流会社などの実績があります。
世界中の企業が利用しているサービスのため、安心感があると言えるでしょう。
まとめ
この記事では、クラウド化をサポートするMicrosoft Azure Acceleratorプログラムについて紹介をしてきました。
2025年にサービスが終了するSAPのERPソフトウェア保守サポートに伴い、これまでオンプレミスで運用してきた企業のクラウドへの移行が加速しています。
クラウド利用できるシステムを提供している会社はAmazon・Microsoftがあります。SAPがMicrosoftと提携拡大したことにより、Microsoftを選ぶ企業も少なくありません。
ERPシステムを移行するときに大切なのは、とにかくトラブルを起こさず安全に移動させることです。
Microsoft Azure Accelerator プログラムでは、移行に伴う各種サポートを受けられます。
サポートには移行するための知見の提供やそれに伴う見積もりの概算などが含まれています。無料でこのサポートを受けられるのはうれしいポイントと言えるでしょう。国内企業でしたら三井物産がAzureを新たなERPソフトウェアとして採用しました。また業界や国を問わず多くの国でAzureは利用されているシステムです。
2025年のサポート終了に合わせてERPソフトウェアを探している企業も少なくないはず。
Microsoft Azure Accelerator プログラムのようなサービスを利用し、計画的にクラウド化を進める必要があります。