システムのクラウド移行が凄まじいスピードで進むようになった一方で、複数のクラウドシステムの管理問題が顕在化してきました。セキュリティ問題がはらむこともあり、企業にとっては早急に対応しなければいけない課題とされています。そこで本記事では、複数のクラウド製品を管理する「マルチクラウド管理」について詳しく解説します。
マルチクラウド管理とは
「マルチクラウド管理」とは、名前のとおり複数のパブリッククラウドを管理することを指します。複数のクラウドサービスを利用している企業が、それぞれのサービスを統括して使いやすいように管理するわけです。
マルチクラウド管理ではツールを利用することが一般的で、TISやIBMなど複数のベンダーがサービスを提供しています。それぞれのサービスでは、マルチクラウド管理によって抱える問題を解決できます。
例えば複数利用時の環境では、各サービスが分離していてバラバラに管理されているという状況が考えられます。また、使用しているサービスそれぞれにセキュリティリスクが異なるため、サイバー攻撃などに対するセキュリティ対策で困るケースもあるでしょう。
このような複数の問題に対して、マルチクラウド管理サービスでは、さまざまな機能が備えられています。複数のクラウドを利用している企業は、現在抱えているトラブルを把握して課題点を見つけ出し、問題を確実に解消しましょう。
マルチクラウド管理のメリット・デメリット
これからマルチクラウドをシステムに導入する方や、すでに複数のクラウドで業務をしている企業は、マルチクラウド管理のメリットやデメリットについて把握しておくとよいでしょう。というのも、管理ツールはマルチクラウドのメリットを活かしつつ、デメリットを解決できるサービスを導入することが重要だからです。マルチクラウド管理ツールのメリットとしては、主に以下のようなものがあります。
- 各サービスのメリットを活用した業務効率化
- データ消失などのリスク分散
- アクセス負荷を分散することによるサービスの安定稼働
- 1社に依存しないため柔軟な対応が可能
中には、業務を効率化するために複数のクラウドを導入している企業も多いでしょう。また、トラブルに対するリスク分散やアクセス負荷分散は、大きなメリットと言えます。
一方、デメリットには以下のようなものがあります。
- サービスの違いによる管理の煩雑化
- 各サービスによって利用方法が異なるため、それを覚える手間がかかる
- 高コスト
- セキュリティリスクの上昇
クラウドサービスによって管理方法が異なるため、運用・管理が煩雑化する傾向にあります。さらに、導入のたびに利用方法を覚えないといけないため、そのために多くのリソースが割かれることになります。とりわけ企業にとって看過できないのが、セキュリティリスクの問題です。複数のクラウドサービスを抱えることで、セキュリティホールが生まれる可能性が高まってしまいます。
クラウドを使いこなすことがマルチクラウド攻略の鍵となる
近年ではストレージやメールだけでなく、ERPやインフラなど、さまざまなクラウドサービスが提供されています。ほとんどの企業が何らかのクラウドサービスを活用しているといっても過言ではありません。そのため、現在は「クラウドを導入する」という局面から、「使いこなす」というフェーズに移行していると言えます。
実際、マルチクラウドで運用することによって、前述したさまざまな問題が出てきており、いかに使いこなすかが重要ということがわかるはずです。特に、セキュリティやクラウドの統括はひとつの課題で、これらを解決するには、自社だけではリソースに限界があるでしょう。
よって、問題を解決するには、クラウドサービスを統括する新たなサービスの導入が最適解となります。マルチクラウドを見越した運用をするときに、それらを統括するサービスの導入も含めたシステムの構築・運用をすることで、スムーズなシステム移行が可能です。管理ツールではセキュリティも強化できるので、企業が抱えるサイバー攻撃への対応も可能となります。
TISのECSPがおすすめ
TISインテックグループが提供する「ECSP」は、AWSやAzure、Oracle Cloudなどさまざまなクラウドサービスを統括するプラットフォームです。ECSPの主な機能は、「運用管理機能」「構成管理機能」「セキュリティ管理機能」の3つに分かれていて、それぞれを活用することでプラットフォームの構築ができます。
各種クラウドサービスを統括するプラットフォームを構築することで、一括した運用・管理やセキュリティ対策が可能です。ここでは、ECSPが持つそれぞれの管理機能を一つひとつ解説していきます。
運用管理機能
運用管理機能においては、「踏み台」「ログ管理」「サーバー・インスタンスの監視」の3つの機能が利用できます。これらの機能はSaaSで提供されるため、ソフトウェアをインストールしたり難しい構築をしたりする必要がなく、すぐにでも利用可能です。
踏み台とは、自社の各サーバーへログインするためのジャンプサーバーです。踏み台を使用することで、よりセキュアなアクセスができるほか、踏み台を利用していないほかのアクセスを解析することも可能です。
また、ログ管理やサーバー・インスタンス監視は、「不正アクセスの監視・把握」「トラブルの把握・対処」「情報漏えい対策」など、さまざまな用途に活用できます。これにより、複数のクラウドサービスのセキュリティを一括で監視することが可能となります。
構成管理機能
ECSPの構成管理機能では、「オーケストレーション」「リポジトリ」「構成管理(クラウド層)」「構成管理(OS層)」の4つの機能が利用可能です。これらはVM(仮想マシン)上で構築して動作させます。
まず、構成管理はクラウド層とOS層に分かれており、クラウド層では「Terraform」、OS層では「Ansible」のようなツールを利用して、構成管理を行います。そして、構成管理のデプロイを自動化するオーケストレーションと、自動化ファイルを管理するリポジトリによって、作業の効率化を促します。
これらの機能により、仮想環境でのコンテナ利用や、DevOps・DevSecOpsなどアプリケーション開発に合わせた環境でのデプロイが可能となります。さらに、運用・管理のスピード向上や、運用負荷の軽減も期待できるでしょう。
セキュリティ管理機能
ECSPのセキュリティ管理機能は、SaaSで提供されるクラウド全体を統括するセキュリティサービスです。この管理機能では、「IDM」「セキュリティ対策」「セキュリティ分析」「脆弱性診断」「脆弱性対応」の5つの機能が利用可能です。
各サービスを一括で統括するため、それぞれのサービスで利用するIDは、IDM機能で一括管理して連携されます。さらにセキュリティ機能では、Deep Securityのような統合型サーバーセキュリティソリューションによってサーバーのセキュリティ対策を行い、Azure Sentinelのようなサービスでセキュリティ情報の収集・分析を常に行います。
システムの脆弱性も常に診断されていて、システム上のミスやポリシー違反のある設定を、自動で修復する機能も備えています。これらを活用することで、内部のインシデントや外部からのサイバー攻撃など、さまざまなセキュリティ問題に対してアプローチが可能です。
まとめ
複数のクラウド環境に対応するため、マルチクラウド管理ツールが誕生しました。そして、数ある製品の中でもTISの「ECSP」は、クラウドの一括管理だけでなくセキュリティ向上も期待できる優れものです。
現在、クラウドをいかに使いこなすかが問われています。企業がこの波に対応するためには、多角的な管理ツールの導入がおすすめです。