ETLパイプラインの仕組みは、データのリソースを「抽出」「変換」「ロード」することで成り立ちます。近年の機械学習やデータサイエンスのようなビッグデータを取り巻く環境の重要性が高まりをみせている背景から、企業におけるETLパイプラインの必要性が高まっています。しかし、ETLパイプラインに関連する知識やスキルを持ったシステム開発者の人材不足が懸念されています。社内研修を取り入れて、ETLパイプライン人材の育成強化に努める企業も少なくありません。本記事では、ETLパイプラインの仕組みや開発事例などについて解説します。
ETLパイプラインの仕組み
企業に蓄積されたビッグデータやリソースの増加、また機械学習への組み込みなどを背景に、データサイエンスの多様化がみられます。企業におけるETLパイプラインの必要性が高まることから、システム開発者は関連知識の習得やスキルの向上が求められています。
ETLパイプラインの開発に携わる場合、仕組みについて理解しておかなければなりません。
次に、ETLパイプラインの仕組みやプロセスについて、詳しく紹介します。
ETLパイプラインとは
ETLパイプラインとは、企業が抱えるビッグデータを機械学習やデータサイエンスとして分析し、ビジネスへと繋げる手法や仕組みのことです。現場で発生するデータをいち早く分析するためには、ETLパイプラインを構築し運用することが良策といえます。
既存のリソースは普段、使用できる状態ではありません。そのため、ETLパイプラインのような工程を踏まえて、有益なデータへと変化させる必要があります。
ETLパイプラインは、企業の蓄積・散在するデータを加工し、ビジネスへと活かせるデータへと生まれ変わらせる役割を担っています。
ETLパイプラインの構成
ETLパイプラインの企業が抱えるビッグデータを分析・加工しビジネスへと活かすプロセスは、機械学習やデータサイエンスへの取り組みと変わりありません。
しかし、ETLパイプラインを構成する工程には「抽出」「変換」「ロード」という3つのフェーズが存在し、特有のデータマイニングにおける仕組みが確立されています。
具体的にETLパイプラインの3つの構成を説明します。
結論からいえば、データ収集以降のフェーズでリソースを有益な情報でカテゴライズし、ターゲティングを展開していきます。
概要について、下表にまとめました。
ETLパイプラインの構成 | 概要 |
抽出 | 「業務システム」「API」「センサーデータ」「マーケティングツール」「トランザクションデータベース」など、複数のソースからデータを抽出します。 |
変換 | データソースから抽出された未加工のデータを、異なるアプリケーションで使用できる形式へ変換します。 |
ロード | 変換されたデータをステージング領域からターゲットデータベースにロード(書き込む)します。 |
ETLパイプラインのメリット
ETLパイプラインの仕組みをシステム構築することでデータ管理上、マイグレーションや同期による整合性など、さまざまなメリットが得られます。
社内におけるデータサイエンスを効率よくビジネスへと展開するには、ETLパイプラインによる開発を実践し、メリットを活かした運用をしなければなりません。
次に、ETLパイプラインの主なメリット3つを説明します。
メリット1. データマイグレーション
ETLパイプラインを構築することで、データマイグレーションが可能です。データマイグレーションにより、アプリケーション間におけるデータ伝送を行うことができます。
たとえば、ウォーターフォールモデルの工程を経て開発されたETLパイプラインを経由して、企業間アプリケーションにて取引運用できるため互換性や移行の手間を最小限に抑えることができます。
メリット2.ビジネスインテリジェンスの獲得
ビジネスにおけるリテラシーを図るため、ETLパイプラインインテリジェンスを深めることは重要です。データウェアハウスの取り込みからソート・変換までの一連の流れをシステム化できます。
メリット3.システムの同期
ETLパイプラインによって、主要システムを同期させることが可能です。アプリケーション間でデータマイグレーションでき、データの整合性を保つことができます。
Azure DatabricksによるETLパイプライン開発の事例と一連の流れ
ETLパイプラインの事例の一つに、Azure Databricksを活用した方法が挙げられます。
システム開発において、リソースの選別および必要性に応じた運用をすることは重要なポイントといえます。次に、Azure DatabricksによるETLパイプライン開発の事例を紹介します。
Azure Databricks
Azure Databricksとは、ビッグデータを効率よく高速処理できるプラットフォームであり、Azure向けに最適化されたリソースのことです。クラウド上で運用できることから、データ管理における手間を最小限に抑え、分散型による運用が可能です。
ETLパイプライン開発において、Azure Databricksを活用することでSpark環境を手軽に構築できるだけでなく、他のAzureサービスとの連動が可能で、互換性が高くなります。
また、バッチやストリーミングデータ用のETLパイプラインを作成して、あらゆる規模のデータレイクのインジェストを簡略化できます。
ウォーターフォールモデル
ETLパイプラインにおけるシステム開発は通常、先に大枠の要件が決まり、徐々に詳細化されていきます。一方、テスト工程は逆に詳細レベルから始まり、最後にシステム全体でのテストを実施します。
ETLパイプライン開発は、ウォーターフォールモデルによる開発手法が理想的です。一般的に、ETLパイプラインのように要件が変わりにくい開発対象の場合には、アジャイルモデルは向いていないため、ウォーターフォールモデルを採用することが望まれます。
まとめ
今回は、ETLパイプラインの仕組みやAzure Databricksの事例などについて、解説してきました。
ETLパイプラインの仕組みを導入すると、データマイグレーションやビジネスインテリジェンスの獲得・主要システムを同期できるメリットが挙げられます。
また、Azure Databricksによって、ETLパイプライン開発の拡張性を高められます。ETLパイプライン開発におけるAzure Databricksをぜひご活用してみてください。