業務効率化を図るために、社内でのChatGPTの活用を検討する企業が増えています。一方、セキュリティ面における課題が明らかになっていることも事実です。この記事では、自社でAIを活用する際の課題、Azure OpenAI Serviceの概要、おすすめの環境構築サービスを紹介します。ぜひ参考にしてください。
ChatGPT(生成AI)を社内利用する際の4つの課題
昨今話題のChatGPT(生成AI)を業務に活用する企業が増加しています。マニュアルなど各種資料の作成はもちろんのこと、コンテンツ作成、チャットサービスなど、幅広い業務に活用し、ビジネスの幅を広げられます。
ChatGPTの活用には多くのメリットがあるものの、社内利用する場合には次のような4つの課題をクリアすることが不可欠です。
1:セキュリティ
企業内の情報を活用する際には、とくにセキュリティ面に配慮しなくてはなりません。OpenAI社のChatGPTは、利用の際にインターネットを通じて接続します。そのため、入力したデータなどの情報が外部に共有されるリスクが否定できません。機密情報をいかに保護するかが重要です。
2:導入計画
ChatGPTは、近年急速に広まり、多くの人々に利用され始めました。このような新しいサービスに関しては、知識やノウハウが不足しており、自社での導入方法が不明確なケースは少なくありません。
3:活用方法
導入にあたっては、運用時の具体的なイメージも持っておく必要があります。現場の業務にどのように適用し、最大限に活用するかを考慮しておきましょう。
4:導入効果
実際にどれほどの効果をもたらすのかがわからなければ、導入に踏み切れません。とくに業務効率化がどれほど進むのかはあらかじめ把握しておきたい点です。
Azure OpenAI Serviceとは?
Azure OpenAI Serviceは、Microsoft社のクラウド環境「Azure」上で、ChaGPTを始めとするAIモデルを利用できるサービスです。クラウドベースであり、一からオンプレミスでシステム構築しなくてよいため、初期コストを削減できます。
また、OpenAI社のAPIと比較して、より安全な環境下で利用可能です。信頼性の高いAzureのサポートサービスも利用できるため、導入後の運用時にも安心です。
Azure OpenAIとOpenAI(API)の違い
Azure OpenAIとOpenAI(API)にはいくつかの違いが存在します。ここでは主に3つのポイントについて解説します。
1. 接続方式
基本的にOpenAIの利用にはインターネット接続が必要ですが、Azure OpenAIは閉域接続も可能です。外部からのアクセスを制限し、機密情報の漏洩リスクを少しでも減らしたい場合は、よりセキュアに運用できるAzure OpenAIがおすすめです。
2. セキュリティ
各サービスにはセキュリティポリシーが定められており、それに則って運用されます。
Azure OpenAIはAzure側のセキュリティポリシーに準拠しているため、Azureが持つ強固なセキュリティ下で運用可能です。セキュリティポリシーは活動のもとになるため、どのような内容になっているのかをあらかじめ確認しておく必要があります。
3. 学習データの取り扱い方法
学習データの取り扱い方にもそれぞれ違いがあります。
まず、OpenAIは「SaaSのケース」に限って、学習データを利用することがあります。なお、API連携の場合は例外です。一方、Azure OpenAIでは、モデルのトレーニングの際に顧客が入力した学習データを使用しません。学習データは企業にとって重要な情報が含まれていることがあります。Azure OpenAIは、学習データからの情報漏洩リスクも軽減できるのがメリットです。
学習データには、企業にとって重要な情報が含まれていることがあります。学習データが利用されないサービスを選択すれば、情報漏洩リスクを軽減可能です。
安全なAI導入ならTIS「Azure OpenAI Service セキュア基盤構築支援」
自社でのAI活用を推進するにあたり、環境構築に関する課題があるのなら、TIS社の「Azure OpenAI Service セキュア基盤構築支援」の活用がおすすめです。
同サービスは、大きく「スタートアップサービス」と「API基盤構築サービス」の2つに分かれています。内容については後述しますが、これらはAIを社内活用するための環境構築のみに特化しています。
AIの導入にまつわる検証から実際の環境構築まで、ワンストップでのサポートを希望するなら、同社の「大規模⾔語モデル・⽣成AI支援業務支援サービス」を検討することも一案です。
スタートアップサービス
「Azure OpenAI Service セキュア基盤構築支援」のひとつである「スタートアップサービス」は、Microsoft Azureのネイティブ機能を使って、大規模言語モデルや生成AIを利活用できるように基盤構築をサポートします。
Microsoft社が標準提供している「OpenAI Studio」の画面上でChatGPTを検証できるため、通常のインターフェース開発にかかる時間や手間、コストを抑えられます。
また、セキュリティにも万全の対策がとられています。たとえば、ChatGPTと学習データは、各社別個に定められたCSP(コンテンツセキュリティポリシー)環境内で動作するようになっています。Azure OpenAI Service、つまりAzure内でデータを閉じ込めた状態でセキュアなPoC(検証)環境が整い、外部への情報流出を防げることが魅力です。
なお、導入価格は200万円~です。
API基盤構築サービス
「Azure OpenAI Service セキュア基盤構築支援」のうち、もうひとつのサービスが「API基盤構築サービス」です。
Azure OpenAI の主な機能は、基本的に大規模言語モデルや生成AIの動作に特化しています。そのため、ログ収集など細かな情報の流出を防ぐには、追加で環境を整備しなければなりません。
本サービスでは、顧客がAIを利用するための安全策を確保しつつ、API連携を目的としてセキュアな基盤を作成します。APIまでを提供し、ChatGPTをエンドユーザーに開放することが可能です。
先に述べたスタートアップサービスと同様に、ChatGPTと学習データは、各社ごとのCSP環境内で動作します。APIのセキュリティやログ、監視など、企業全体での利活⽤に必要な設定を追加構築してもらえるものの、アプリケーション自体はユーザーによる作成を想定している点には注意しましょう。
なお、価格は別途相談となっています。気になる場合はぜひお問い合わせください。
まとめ
ChatGPT(生成AI)を社内で利用する場合、導入計画や導入方法をどうするのか、導入効果は見込まれるのか、といった課題やセキュリティへの不安はつきものです。
こうした課題を解決するには、Microsoft社のAzure OpenAI Serviceを活用することをおすすめします。初期コストを抑えつつ、より高いセキュリティを担保できます。
また、Azure OpenAI Serviceを使える環境構築の支援が必要な場合は、TIS社の「Azure OpenAI Service セキュア基盤構築支援」をぜひ検討してみましょう。API連携を目的とした安全な基盤を作成してもらえるため、極力手間やコストを抑えたい場合に有用です。