「Microsoft Azure」は、ビジネスで幅広く使われているクラウドサービスです。数あるAzureサービスの中でも、データ活用のために「Azure Database for MySQL」を導入する企業が増えています。
Azure Database for MySQLは、「MySQL」を用いてデータベースを構築・運用したい企業にぴったりのソリューションです。本記事では、Azure Database for MySQLの基礎知識やメリット、料金体系など幅広くお伝えします。
Azure Database for MySQLとは
Azure Database for MySQLとは、データベース管理システム「MySQL」を用いたデータベースの構築・運用ができるAzureサービスです。セキュリティ性・拡張性が高いデータベースをAzureプラットフォーム上に構築できます。
フルマネージド型のサービスで、データベースの構築や運用などを代行・自動化してくれるのが特徴です。例えばデータやログなどのバックアップは自動で行われます。バックアップデータは、最長で35日保管可能です。データベース運用に費やす工数を削減できるため、企業はアプリケーション開発などに専念しやすくなるでしょう。
また、SLA(サービス水準合意)では最大99.99%の可用性が保証されているのもポイントです。データベースサーバーの冗長化により万が一、障害が発生しても迅速に復旧できます。データベース障害による業務への影響を最小化し、データベースの保守にかかる負荷軽減にもつながるでしょう。
さらに、AI(人工知能)がデータベースを監視・最適化することで、パフォーマンス向上も期待できます。昨今のビジネスに必要なデータベースの課題を解決するために、国内外問わず多くの企業がAzure Database for MySQLを導入しています。
Azure SQL Databaseとの違い
Azure Database for MySQLと混同されやすいものに、「Azure SQL Database」があります。Azure SQL Databaseとは、データベース管理システムのひとつである「SQL Server」のクラウド版サービスです。オンプレミス版とほぼ同等の機能が利用できるため、SQL Serverのクラウド移行に適しています。
Azure Database for MySQLやAzure SQL DatabaseもAzure上で提供されるフルマネージド型サービスである点は共通しています。異なるのは、対象となるデータベース管理システムであるという点です。Azure Database for MySQLは名前の通りMySQLが対象であるのに対し、Azure SQL DatabaseはSQL Serverが対象となります。
Azure Database for MySQLのデプロイモデル
Azureにおける「デプロイモデル」とは、システム構成を決める要素です。Azure Database for MySQLのデプロイモデルは、次の2つから選択できます。現在では、前者のフレキシブルサーバーが推奨されています。企業が新たに導入する場合は、フレキシブルサーバーを選択しましょう。
フレキシブルサーバー
複数の「可用性ゾーン」により、データベースサーバーを冗長化できるデプロイモデルです。Azureでは同一のリージョン(地域)において、データセンター単位で可用性ゾーンを設定できます。複数の可用性ゾーンにまたがる構成を取ることで、あるデータセンターで障害が発生しても迅速な復旧が可能です。
また、各可用性ゾーンのサーバーは柔軟に起動・停止が行えるため、コストの最適化もできます。データベースを安定的・効率的に運用できるデプロイモデルであるため、現在推奨されています。
シングルサーバー(単一サーバー)
単一の可用性ゾーンだけしか持たないデプロイモデルです。複数の可用性ゾーンによる冗長化はできないものの、単一の可用性ゾーンでは99.99%の可用性を保証しています。フレキシブルサーバーが提供されている現在では、シングルサーバーを選ぶ明確なメリットはありません。すでにシングルサーバーを適用しているケースを除き、フレキシブルサーバーを選択しましょう。
Azure Database for MySQLを利用するメリット
Azure Database for MySQLを利用するメリットは、これまでにもある程度触れてきましたが、あらためて整理しましょう。主な3つのメリットについて解説します。
データベース構築・運用の負荷を軽減できる
フルマネージド型サービスのAzure Database for MySQLを用いれば、データベース構築・運用における大半の作業を自動化できます。例えば、更新プログラムの適用やバックアップなどを担当者が行う必要がなくなるため、負荷の削減につながるでしょう。また、オンプレミス環境のMySQLをクラウド移行する場合にも、手間がかかりません。
セキュリティリスクを低減できる
Azure Database for MySQLはデータベースサーバーの冗長化などにより、障害発生リスクを最小化します。また、Azureプラットフォームが提供する高度なセキュリティ基盤を利用できるため、新たな脅威にも素早く対応可能です。セキュリティリスクを低減する仕組みが確立されており、クラウドの導入・移行に際して担当者の懸念事項が少なくなるでしょう。
データベースの活用促進につながる
Azure Database for MySQLは、拡張性が高いデータベースを構築でき、需要に応じたスケールアウトが容易です。また、前述したセキュリティ対策により、データベースサーバーの可用性も向上します。データベースの活用を妨げる要素を排除でき、活用の促進にもつながるでしょう。
Azure Database for MySQLの料金体系
最後に、Azure Database for MySQLの料金体系についてご紹介します。(2022年4月時点)
なお、ここでご紹介するのは、現在推奨となっている「フレキシブルサーバー」における料金体系です。
フレキシブルサーバーでデータベースを構築する場合、さらに3種類のワークロードを選択でき、それぞれ料金設定は異なります。いずれのワークロードについても、「コンピューティング」「ストレージ」「追加 IOPS」「バックアップ ストレージ」の4つが主な課金要素です。
基本は利用した分だけ料金が生じる「従量課金制」ですが、ワークロード・課金要素ごとに細かく料金が決められています。
詳しくは、下記公式サイトをご覧ください。
「Azure Database for MySQL の価格」
https://azure.microsoft.com/ja-jp/pricing/details/mysql/flexible-server/
ここでは3つのワークロードについて、順番に解説します。
- バースト可能
その名の通り、「バースト」が可能なワークロードです。バーストとは、本来の上限を超えたコンピューティング性能を一時的に出せる機能を指します。データベースの需要に波があるケースなど、柔軟に運用したい場合に適しています。 - 汎用
コンピューティング・ストレージのバランスが取れたワークロードです。仮想コア数やメモリ量がバースト可能よりも大きい分、料金設定もより高くなっています。 - メモリの最適化
トランザクション処理の高速化や、コンカレンシー(並行性)の向上を実現できるワークロードです。高度なデータ分析をともなうケースや、平均してデータベースの需要が高いケースに適しています。汎用よりも高いパフォーマンスを出せる分、料金設定もより高くなっています。
まとめ
Azure Database for MySQLとは、データベース管理システム「MySQL」を用いたデータベースの構築・運用ができるAzureサービスです。構築・運用の負荷軽減はもちろん、セキュリティリスクの低減やデータベースの活用促進といったメリットもあります。
MySQLでデータベースを構築するなら、Azure Database for MySQLを検討してはいかがでしょうか。