SAP on Azure

基幹データ活用を支援するAzure Data Platform

ビジネスで活用する情報は多岐に渡り、膨大な量のデータを日々蓄積しています。データは貴重な資産であり、迅速かつ適切に分析することによって、ビジネスの競争力を高めます。

ERPをはじめとする基幹システムのデータは、経営面における方向性を見極め、コストの最適化に役立ちます。しかしながら、多くの企業では、基幹システムのデータは活用していても、周辺データに関しては手つかずの状態ということが少なくありません。

ここでは、まずSAPなど基幹系システムの周辺データを活用するときの課題を整理します。そしてデータプラットフォームを実現するAzure Data Platformの概要に触れるとともに、に日本ビジネスシステムズ株式会社のSAP Surround Data for Insightを紹介します。

SAP on Azure総合カタログ

基幹系システムの周辺データを活用するときの課題

基幹系システムは、企業の業務内容に関わるシステムです。財務会計や人事給与のほかに、生産管理、販売管理、在庫管理などの領域があります。

企業のヒト、モノ、カネといわれる基本的な情報を扱うのが基幹系システムですが、実際には、日常業務に必要な最低限の処理を行うことが中心ではないでしょうか。

たとえば財務会計と販売管理のデータを組み合わせたり、営業部門やマーケティング部門の情報を連携させて多元的に分析したり、積極的な活用をしている企業は一部の先進的な企業に限られます。

基幹系システムのデータが活用されない理由には、「データ分析基盤の構築」「データ活用」の2つの面から課題があります。

データ分析基盤の構築に関する課題

データを活用するためにはデータの分析が必要ですが、分析の前提にやっておくべきことがあります。それが分析基盤の構築です。

まず社内に分散しているデータを把握します。社内のサーバーに残されているデータもあれば、従業員のPCやストレージ内に保存されたままのファイルもあるでしょう。データベースに格納されている一方で、Excelファイルが混在しているようなバラバラな状態も課題です。

次に、分析に必要なデジタル化されていないデータをチェックします。たとえば印刷物もしくは手書きの書類としてファイリングしてある場合は、そもそもデジタル化するところから着手しなければなりません。

このとき問題になるのは、日々増大するデータ量に基盤整備が追いついていないケースです。SAPで運用されているデータと連携させて、多角的かつ長期的に経営分析や顧客分析を行う場合、数年分のデータがまったくデジタル化されていない状態では、基盤整備のために膨大な時間を費やしてしまう可能性があります。

こうしたケースでは、どの期間のデータが必要かという設計を行い、データを選別することが必要です。

データ活用に関する課題

データ分析基盤を整備することによって、はじめてデータ活用の課題に向き合うことができます。

データ活用においては、まずデータの粒度が統一されていないことが課題になります。粒度とは、データを活用するときの作業工程の単位の粗さで、たとえば時間別データがある場合と、月次集計がある場合は、時間別のデータは月次に計算する必要があります。このようにさまざまな状態があるとき、粒度が高いといいます。

次に、どのデータを使うべきか分からない場合、あるいは複数のデータをどう組み合わせると効果的な分析結果が得られるか分からない場合です。データの相関性をみるときは、試行錯誤が求められます。仮説を立てた後で分析を行うと、有用な分析結果を得られることがあります。

粒度が整ったデータを分析した後に生じるのは、可視化に関する課題です。数値そのものでは分析結果やインサイト(洞察)を見出しにくいため、グラフなど視覚的な表現によって把握します。しかし、適切ではないグラフを作成すると、正しい分析結果を得られないことがあります。

Azureを利用している場合、データ分析基盤の構築はAzure Data Platformによって可能になります。また、データの可視化に関してはMicrosoft Power BIを利用できます。

Azure Data Platformの概要

企業に蓄積されるデータの利用を効率化し、戦略的にビジネスを展開するために、データプラットフォームという考え方が生まれました。データプラットフォームは、データの蓄積、加工、そして分析を一貫して行うための基盤になります。

Azureで実現できるデータプラットフォームが、Azure Data Platformです。データの保存場所がオンプレミス、クラウド、エッジを問わず、一貫したユーザーエクスペリエンスを提供し、ビジネスチャンスを発見するためのインサイトを導き出します。

Microsoftが展開しているデータベースのSQL Server、グローバル型のマルチモデルデータベースであるAzure Cosmos DB、Azure Data Lake Storageなどとともに、人工知能(AI)のCognitive Servicesのサービス群および機械学習をフル活用して分析を行います。さらに分析結果は、Microsoft Power BIにより可視化が可能です。

企業のシステムをインテリジェントに変革することが可能で、セキュリティ、パフォーマンス、可用性ともに導入した大企業に評価されています。

SAP Surround Data for Insightとは

Azure Data Platformを活用して、日本ビジネスシステムズ株式会社が提供しているサービスが「Data For Insight」です。既存の業務を効率化して、ビジネスの推進力を向上させます。

Data For Insightは分散したデータを集約し、さらに集約したデータをMicrosoft Power BIやAzureのAIで可視化することにより、IT 戦略を支援します。データの集約、可視化、戦略支援のサイクルを繰り返して、企業のデータ戦略によってビジネスを加速させるサービスです。

SAPの周辺データ活用に特化したサービスがSAP Surround Data for Insightであり、ビジネス戦略に基づいてSAPなどの周辺データを蓄積、統合するデータ分析基盤を提供します。オプションには、システム化の構想やデータ設計、実際の業務に役立つ Microsoft Power BIによるレポート作成のサポートメニューがあります。

データ活用の課題となるデータ分析基盤の構築と、データ活用に関するソリューションの概要を解説します。

データ分析基盤の構築に関するソリューションの概要

データ分析基盤の新規導入や、既存のデータ分析基盤のリニューアルが可能です。Azure 導入経験が豊富なエンジニアが支援します。各種データソースから分析に利用するデータを統合収集し、特性に合わせて適切な分析用ストアに収集したデータを蓄積します。

分析用データベース構築は、SQL DatabaseとSQL Data Warehouseを用います。Azureをアプリケーション稼働環境として活用することにより、スケールアウトとスケールアップの簡易化と高速化が可能です。

データ移行およびファイル構築は、Azure Data Factory(V2)とAzure Functions、 Azure Logic Appといったサービスを組み合わせます。高価な移行ツールと同じレベルの機能を実現します。

アプリケーション監視環境は、Azure Monitor、Azure Application Insights、Azure Logic Appで構築します。Azureのパフォーマンスや使用状況は、メールによるアラート機能などで知ることができます。

データ活用のソリューション(オプション)に関する概要

データ活用のソリューションは、オプションとして提供されています。データの粒度が統一されていない、どのデータを活用すればよいのか分からない、データの可視化方法が分からないといった課題に対応するサービスです。効率的な分析を可能にするデータ設計をして、企業のニーズに合わせたレポート作成の支援を行います。

データ設計と加工は、SQL Server Management Studio、SQL Server Integration Services、SQL Server Analysis Services、DQSのような製品群で構築します。

データ分析用に多次元データベースを構築してデータマートの数を削減、運用をシンプルにしつつ高度な分析を可能にします。データ加工では、予実管理や顧客分析、ダッシュボードの実装による情報の可視化などを支援します。

レポート作成は、Microsoft Power BI、Tableau、SQL Server、Reporting Servicesによって構築します。使い慣れたExcelと同じようなユーザーインターフェースによって、標準的なレポートをコーディングなしに作成できます。

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まとめ

ビッグデータを扱うデータレイクなどの技術に加えて、機械学習を中心としたAIのサービス拡充によって、データ分析および可視化の分野のアジリティ(機敏性)は飛躍的に向上しました。Azure Data Platformで基幹系システム関連の周辺データを活用することにより、ビジネスの最適化と効率化が期待できます。

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