データベースは、多くのデータを扱う企業において欠かせないシステムのひとつです。近年では、このデータベースを無料で利用できる「オープンソース・データベース」が注目を集めています。本記事では、このオープンソース・データベースについて、概要やその他のデータベースとの違い、利用時の注意点などをご紹介します。
オープンソース・データベース(OSS-DB)とは
データベースは、データを保存し蓄積するためのシステムです。オープンソース・データベースとは、ソースコードがインターネット上で公開されているデータベースのことを指します。無料でダウンロードができ、ソースコードの内容を好きなように変更し、そのままデータベースとして利用することが可能です。また、基本的にオープンであるため、自社で利用するだけでなく、インターネット上で公開・配布して再利用を促すこともできます。
有償のシステムとは異なりパッケージ化されていないこともあるため、自社環境に合わせるためには、自身でシステムを構築する必要があるケースがほとんどです。
オープンソースとは
そもそもオープンソースとは、有志のプログラマーにより提供されているプログラムのことをいいます。世界中の誰もがソフトウェアを利用できるよう、システムを構成している中身である「ソースコード」を公開し、内容の変更や再配布が行えるようにしています。無料でダウンロードできるものも多いですが、ライセンス料として有料で利用可能とされているものもあります。
他のデータベースとの違いは
データベースには、オープンソース・データベース以外に、フリーソフト・データベースや商用データベースなどの種類があります。では、これらのデータベースとオープンソース・データベースとの違いは何なのでしょうか。
フリーソフト・データベースとの違い
フリーソフト・データベースとは、無料で提供されているデータベースのことです。無料で利用できるという点はオープンソース・データベースと同じですが、オープンソース・データベースはソースコードが公開されている一方、フリーソフト・データベースはソースコードが公開されていないことがほとんどです。そのため、ソースコードの書き換えは行えません。また、再配布なども認められていない場合がありますが、オープンソース・データベースは、原則、変更や再配布が行えます。
商用データベースとの違い
商用データベースとは、企業から有料で提供されているデータベースのことをいいます。オープンソース・データベースとの大きな違いは、無料か有料かという料金面です。またそれだけでなく、商用データベースはオープンソース・データベースに比べ、セキュリティやサポート、カスタマイズに優れているという特徴があります。
これまで多くの企業では、商用データベースが採用されてきました。しかし近年の技術向上により、オープンソース・データベースでも商用データベースと変わらない機能を使用できるものが増えてきているため、商用からオープンソースへデータベースの乗り換えを行う企業も増えています。
OSS-DBなど無料データベース使用上の注意点
コストを押さえるために、無料のデータベースを利用したいと考えている企業担当者も多いことでしょう。しかし、無料のデータベースを使用する際には、注意しておくべき点があります。
自社でシステム開発をする必要がある
無料のデータベース利用における1つ目の注意点は、システム開発のスキルが必要なことです。特にオープンソース・データベースを利用する場合は、自社の環境に合わせて、ソースコードの書き換えが必要となる可能性があります。この際、ソースコードに関する知識やスキルがないと、うまくデータベースを活用できません。オープンソース・データベースを運用するには、高度なスキルが必要な場合もあるため、自社にエンジニアがいなければ、活用は難しいと考えた方がよいでしょう。
保守体制が万全ではない
無料のデータベース利用における2つ目の注意点は、保守体制についてです。無料のデータベースの場合、企業などによるサポートがついていないことがほとんどです。そのため、自社でデータの管理やバックアップなどを行う必要があります。社内の誰が、どのようにして保守を行っていくか、あらかじめ検討しておかなければなりません。
データベースには企業の重要なデータを保存します。万が一、データベースに不具合が生じた際、システム開発の知識がなければ、データが永久的に失われ、企業存続の問題にまで発展する場合もあるでしょう。また、セキュリティに問題があれば、ウイルスに感染するおそれもあります。このようなリスクも見据え、適切な扱いができることを前提にシステムを導入する必要があります。
無料で使えるOSS-DB
近年では、さまざまな無料で利用できるオープンソース・データベースが登場しています。ここでは、それらのなかでも有名なオープンソース・データベースを5つご紹介します。
MySQL
MySQLは、Oracle社より提供されているオープンソース・データベースです。世界シェアNo.1ともいわれており、GoogleやYouTubeなど日常的に利用するWebサイトでも利用されています。
独自のエンジンを採用しており、拡張性が高く、さまざまな用途で利用できます。シンプルな操作性も特徴のひとつです。セキュリティも高く、SSLなどの暗号化技術でデータを保護してくれます。さらに有料のサポートも用意されており、自社だけの運用が不安な場合、サポートを依頼することも可能です。
PostgreSQL
PostgreSQLは、カリフォルニア大学で開発されたシステムを基に、改善や再構築を繰り返して開発されたオープンソース・データベースです。日本では富士通が開発に協力しており、国内シェアも高く、業務用として利用されています。
オープンソースながらも、商用データベースに匹敵するほどの豊富な機能や拡張性が特徴です。また、無料で商用利用ができること、ソースコードの変更の際、コードの公開を行う必要がないことも人気を集めているポイントといえます。さらに、有料でサポートも受けられます。
MariaDB
MariaDBは、MariaDB社が提供するオープンソース・データベースです。Oracle社のMySQLを参考にして作られたデータベースシステムで、MySQLと互換性があり、データの移行を簡単に行えます。
MariaDBの大きな特徴として、独自のカラム型DBエンジンを採用している点が挙げられます。このエンジンは、通常のデータベースとは異なる方法でデータ処理を行うため、大規模なデータを高速で処理できます。さらに、システムが頻繁に更新されており、更新内容はすべて公開されています。
MongoDB
MongoDBは、MongoDB Inc.が提供しているオープンソース・データベースです。MySQLと同じく、世界中で利用されています。
MongoDB は、JSON形式と呼ばれる複雑なデータ構造を扱えるフォーマットを採用しているため、柔軟性に長けています。また、3台以上のサーバーを使用してデータの同期を行うので、万が一サーバーに不具合が起きても、他のサーバーで即座にカバーできます。そのため、多数の処理を必要とされるゲームなどに向いています。
SQLite
SQLiteは、ドウェインリチャード・ヒップによって開発されたオープンソース・データベースです。ライブラリとしてアプリケーションに組み込んで使用するシステムのため、設定が不要なのが大きな特徴です。この特徴から、「自己完結型」のデータベースと呼ばれています。
また、WindowsやMacOSをはじめ、Android、iOSなど、さまざまなOSに対応しているのもポイントのひとつです。軽量かつコンパクトに設計されているため、動作時のメモリ使用量を抑えられます。
まとめ
オープンソース・データベースは、ソースコードが公開されており、変更や再配布が可能なデータベースです。無料で利用できることから、企業での利用も増えてきています。オープンソース・データベースを利用する際は、より安全に利用するために、Microsoft Azure上での利用を検討してみてはいかがでしょうか。