セキュリティとガバナンス

マネージドクラウドとは?サービス内容と導入メリットを紹介

これまでクラウドの導入に踏み切れなかった企業にとって、心強いサービスが「マネージドクラウド」です。この記事では、マネージドクラウドの概要と具体的なサービスの内容、メリットについて解説します。システム運用・保守に関する課題解決は、IT業務の負担軽減とリソースの最適化につながるはずです。

マネージドクラウドとは?サービス内容と導入メリットを紹介

クラウド時代に求められる情報セキュリティとは? 〜Microsoft Defender for Cloudも解説〜

マネージドクラウドとは?

近年、クラウド化の推進とともに「マネージドクラウド(managed cloud)」という言葉を耳にする機会が増えました。マネージドクラウド固有の定義は存在しないものの「managed=管理された」という言葉から、クラウドの管理に役立つサービスだというイメージを持つことはできるでしょう。

マネージドクラウドという言葉は、2つの意味で使われており「Amazon Web Services(AWS)」や「Microsoft Azure」といったクラウド基盤そのものを指すパターンと、システムとしてのクラウド機能に加えて、その導入から運用・監視・保守サポートまで、一連の業務をベンダー側で請け負うクラウドサービスを指すパターンがあります。

この記事では、ITシステムの運用をアウトソーシングする後者のマネージドクラウドについて解説していきます。

マネージドクラウドの主なサービス内容

従来のクラウドサービスは、利用者側で初期設定や運用管理に対応する必要がありました。自社で運用・保守を行っている場合、情報システム部門はセキュリティ監視や不具合の原因究明など、多くのリソースを投じることになります。しかし、現在IT人材は不足傾向にあるため、アウトソーシングでリソースを確保する企業も増えています。

マネージドクラウドは、このような背景から誕生した新しいビジネスモデルといえるでしょう。サービスを提供するベンダーの中には、ユーザーのシステムが滞りなく稼働できるよう、24時間365日対応可能な相談窓口やサービスデスクを設けているところもあります。このように、クラウドが推進されたことにより、世の中の需要に合わせてサービスの内容も充実してきているのです。

ここでは、マネージドクラウドでどのようなサービスが提供されているのか、ステップごとに詳しく見ていきましょう。

クラウドサービスの環境構築

クラウド上で動かすシステムの環境を構築するには、専門的な知識を有したIT人材の技術が不可欠です。これまで、人材が確保できずにあらゆるシステムの導入を見送ってきた企業でも、マネージドクラウドの導入によりクラウド化の推進が実現できます。

仮想ネットワーク構築

クラウドサービスを構成するネットワーク環境を構築してくれるサービスです。ベンダーの標準とする構成のほか、個別の要件に合わせてネットワーク環境を構成できるケースもあります。

サービス構築

クラウドサービスを利用するための土台を確立するサービスです。ユーザーの必要に応じてスペックを変更できるよう、あらかじめプログラムを定義づけたり、ストレージを設定したりします。

セキュリティ設定

クラウドサービスの利用には、あらゆるリスクを回避するために十分なセキュリティ対策が不可欠です。ネットワーク通信の可否や、オンライン上にあるリソースへのアクセス可否などベンダーが要望に合わせて設定してくれます。

システム運用

企業がシステムを運用していくうえで、障害の検知や適切な情報管理・維持、バックアップの定期的な実施は企業の信頼性にもつながるものです。自社でシステムを運用する際に、多くの企業が課題としてきた効率性といった面からも、マネージドクラウドの導入は有効です。

作業代行

作業代行とは、あらかじめマニュアルで決められた通常業務について、その手順に従ってタイムラグなく作業を代行してくれるサービスを指します。ルーティン業務をベンダーが請け負ってくれれば、エンジニアの負荷は軽減されます。

システムの監視

ビジネスのリスクを回避するためには、安定的なシステムの稼働が不可欠です。運用監視サービスにより、マニュアルに則ってシステムを構成するサーバーやOS、ネットワークなどの状況を確認してくれるため、人的コストの削減に期待できます。なお、起こり得る不具合の予測も含めて監視を行っているマネージドサービスもあります。

障害の対応

監視で障害を検知したときに、アラートによる通知とマニュアルに沿った対応でシステムの復旧処理を行ってくれるのもメリットです。マニュアルにはない障害が発生した際は、ベンダーに在籍するエンジニアが専門的なノウハウに基づいて手順書を作成し、企業担当者の確認を取ったうえで対応にあたってくれます。発生した障害については、詳しくメールで知らせてくれるため、ユーザーが復旧作業に多くのリソースを費やす必要はありません。

システム分析とレポート

システムに何らかの問題がある場合には、1つひとつのプログラムを調査して改善を図る必要があります。これまで、何度システムを修正しても良い結果につながらないと悩んでいるのなら、マネージドクラウドの導入により解消するかもしれません。システム分析により得られたデータと専門家のノウハウに基づいた改善を繰り返していけば、これまでに出せなかった成果へ結びつく可能性もあるのです。

運用データの分析

クラウド環境下におけるシステムの稼働状況をはじめ、どれほどのコストがかかっているのかなど、運用データを分析してくれるサービスです。現状を正確に把握したうえでデータ分析を実行するため、IT関連コストの最適化が期待できます。また、将来的に新しいシステムを検討する際の投資予測も可能になります。

トラブル対策案のレポート作成

監視下でのアラート内容など、決められた期間単位でインシデントの件数を取りまとめてくれるサービスです。この分析を基に、セキュリティにおけるリスク回避に有効な対策案の提案もしてくれます。またサービスによっては、予算オーバーとなった際に、原因を究明して対処法をアドバイスしてくれるものもあります。

アップデート対応

常に最新の状態でシステムを運用することは、組織のパフォーマンス向上やセキュリティ対策の面でも重要なことです。定期的にアップデートの有無をチェックして、自動で新バージョンへ移行も行ってくれます。

マネージドクラウドを利用するメリット

マネージドクラウドは、これまでクラウドに対してさまざまな不安を抱いてきた企業や、リソースに課題を抱える企業の後押しとなるサービスです。ここでは、システムの運用・管理をサービス提供事業者に一任することで、どのようなメリットが得られるのかについて解説します。

リソースを有効活用できる

自社でシステムを運用する場合、高いITスキルを持つ人材が必須です。トラブル発生時には、迅速な復旧に向けて通常以上のリソースを要するため、情報システム部門には大きな負荷がかかります。また、スキルを担保するために人材育成をするとしても、相応の期間やコストが必要です。

マネージドクラウドを導入すれば、運用管理や保守、監視作業などのルーティン業務を情報に精通したクラウドベンダーが行ってくれます。エンジニアは、より生産性の高い開発業務に専念できるのは、企業にとって大きなメリットです。

品質の高いサービスを提供できる

マネージドクラウドサービスを提供する事業者は、高度なスキルと専門的な知識を持っています。そのため、トラブルの発生時に、迅速にシステムを復旧できる点もメリットといえるでしょう。

万が一の障害に対して素早く適切な対応が取れる体制が整えば、業務の停滞や顧客からの信頼低下といったリスクも最小限に抑えられます。管理・運用業務の効率化が実現すれば、エンジニアの貴重なリソースを本来の業務へ投じられるようになり、サービスの向上へ結びつきます。

セキュリティレベルを上げられる

クラウドに潜むリスクを監視して、継続的にセキュアな環境を維持するために、ユーザー側がリソースを投じる必要はありません。ベンダーが提供する運用レポートを活用すれば、適切なインシデント対策を見出せる可能性が高まるだけでなく、より精査されたシステム運用によるコスト削減も期待できます。これまで懸念されてきたクラウドのセキュリティに関しても、現代では優れた堅牢性により安心して利用できるサービスとなっているのです。

まとめ

ITインフラに関連する運用・保守・トラブル対応をアウトソーシングするマネージドクラウドは、業務効率化だけでなくセキュリティ対策の面でも有用なサービスです。Microsoft Azureは設計から構築、運用までをサポートするマネージドサービスも提供されているので、ぜひ検討してみてください。

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